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消極的な主人公・田端楓が大学で出会った秋好と一緒に「モアイ」と言うサークルを立ち上げる。楓は秘密結社のようなつもりでいたが、月日が流れ、楓との意思とは裏腹に「モアイ」は巨大なサークルになってしまう。楓自身も2年生の時に「モアイ」から離れるが、卒業を前に自分を裏切った「モアイ」と秋好に復讐を図ろうとする…
「君のすい臓が食べたい」の印象が強いからか、楓の復讐心を駆り立てる裏には何か温かいエピソードがあるのではないかと、つい期待してしまい、特に何も裏がない楓の行動だけを綴った中盤は、読み続けるのが結構つらい。
ラストに向けては、離れてしまった2年半の想いをぶつける楓と秋好の様子などが描かれ、やっと作者の良さが出て来る。
主人公が大学生と言うことで、大人になり切れないが故の「青さ」「痛さ」「脆さ」ラストまで読んで、やっとタイトルの意味が理解出来る。
でも、中盤の楓の気持ちは理解しがたいので、評価は低めで…
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彼がそうあるべき真理と信じて疑わないところ。そう正当化しないと立ち行かない心。もはや突き動かされ止められない自分。
だって、わたしは正しいことをしているんだもの。
全部知ってるから、自分を突きつけられてるようで、痛々しい。
タイトル以外の言葉が見つからない。
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人はそんなにたいしたもんではない。
しっかりしていよう。真面目に生きねばと気負いすぎるのは良くないことなのだと教えてもらえる気がする。
若さゆえからの痛い原動気持ち。
自分を追い出した人達に知らずにしがみつく若さ…
なんとも若い…
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タイトルがとてもぴったり。
発売にあたってのPR諸々が、宗教的な感じを皮肉っているように思った。
たぶん他の作品でも感じたことだけど、主人公に感情移入ができなくて、途中で流し読みをしてしまったりして、なんでこんなことすらわからないの、と憤る。
でも、それって楓とどう違うんだろう。安全圏から批判して、高みの見物して、挙句私なら正しいやり方ができるって、どの口が言うのか。
私も、人間関係で後悔することが多々あり、楓よりも人間との関わりを多く持ちたいと思う人間だから本当に多々あり、その都度後悔し、反省し、しかし自分を肯定するように慰める。いい加減許してくれてもいいじゃない、と思ってしまう。
自分だけを空虚だと思うのは、自分だけを特別視しているのと一緒。すべての人を特別だと思うのは、誰も特別ではないというのと一緒。
これだけ感想が出てくるだけでも、心を動かされているということで、素晴らしい本だったのだと思う。
自分が相手に性的な好意を持っていないと、そんなことで?と思ってしまうのは、とても共感できる。
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2018.3.14
今までと系統が違いすぎてびっくり。
こういう話って、創作で書けるもんなの?
男の子が、傷つきまくる話
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『君の膵臓をたべたい』読了後、間を置かずに読みました。大変上から目線になってしまい申し訳ないのですが、物語としての完成度、文章力共にすごく向上していると思います。これはすごい。他の二十代若手の人気作家さんたちと肩を並べるほどです。Web小説投稿サイトから'発掘'されてから数作を重ね、慣れももちろんあるのでしょうが、力を伸ばされたのでしょう。
主人公の'気持ち悪さ'はまるで同じ大学生だった、過去の自分自身と被る部分が多々あり、読んでいて当時の苦い記憶と共に(ギクッ!)となることも…
物語の主人公である楓くんがデタッチメントを気取り、自意識をどんどんこじらせてゆく様など、モテない大学生男子の描写はリアルで、なんとも言えない気分になりました。
その一方で、私自身から見ると(あれ?)と思う部分もそれなりにあります。例えばサークルが巨大化する成長スピードがリアリティを超越してしまっている点(二人で秘密結社的に始めたサークルがわずか数年で巨大化し、大学の仕組みに組み込まれる)や、あまりにあっさりめに進む、情報提供〜弱点入手の描写などです。さらに一番気になったのは、主人公は'時が経てば、組織も相手の気持ちも変化があって当たり前'ということを学びますが、ヒロインに対して'彼女の芯は変わっていなかった'という評価を下しているように思える点です。このズレを'青くて痛くて脆い'主人公が許容できるまでのストーリー展開が短すぎる気がします。彼の性格からして相当な葛藤があることは予想でき、(四回生になっても性格は変わっていない)その部分が描かれて然るべきだと思うのですが。また、主人公と対になるヒロインは相当の経験を積んだはずですが、性格の変化が少なすぎる(または十分に描ききれていない)のではないでしょうか。いずれにせよ、どうしても主人公以外のキャラクターが物語を進めるための'駒'、作者が舞台裏から操る糸あやつり人形のように見えてしまいます。
今後の作品ではそのあたりのディテールがさらに細かく描かれ、さらに物語にリアリティと説得力が増せば、さらに良い作品になってゆくのではないか…という感想を持ちました。
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初出 2017〜18「文芸カドカワ」
人との距離を保つことに過敏な大学1年生の田端楓は、授業中に理想論を繰り返し発言する「痛い」秋好の純粋さを持て余しながら、誘われて、なりたい自分になるための「モアイ」というサークルを二人で立ち上げた。
参加者が増える中で疎外感を感じた楓が途中で抜けたモアイは、その後就活のためのOBとの交流サークルと化し企業がスポンサーについくまでに発展していった。
4年生になった楓は、秋好が「いない」今、当初のモアイを取り戻したいとモアイ破壊工作に乗り出す。
ところが、196ページ目の衝撃!
そして、思ったとおり最悪の結末。
そこで楓はようやく気づく、自分の弱さに。
5年後、楓が大学の就活サークルに招かれ、「学生時代に学んだことは、大切な友人を傷つけて後悔したことで、今、人に対して誠実でいようする自分がある。」と語る最後の場面にはほろりとさせられる。
大切な人を傷つけた自分を葬りたくて、周囲の人には自分のことを忘れて欲しいと思い、過去を切り捨ててきた私には、「逃げてきた」ことを突きつけられた作品だった。
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モアイという大学サークルを立ち上げた「秋好」と「田端」。自分らいし自分になる為のサークルが大きくなるにつれて変わっていく「秋好」を、モアイを壊すことで昔に戻って欲しいと奮闘する「田端」の話。
「秋好」に対しての「田端」が向けている思いが、一途過ぎる。
理想というワードがメインの作品で、盲目になって美化しているところが何処か自分と重なっている様な感じになる。
青いなぁ、痛いなぁと読みながらも共感できるところがとても良かった。
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今回は大学生の話。
本人が言う「最高傑作」であるかどうかは。
私は元々この著者さんの本は好きでなく、仕事で読む必要があって、なのですが。
大学の講義で出会った「ちょっと痛い」女性と、あるサークルを作ることになった楓。あることがきっかけで、大きくなって自分の考えからずれ始めたサークルから抜け出した。
数年後その集まりはネット上でも反感の声が上がるようになった。楓は友人と組んで、二人で作ったサークル「モアイ」を取り戻すべく潜入したり調査したり・・・・。
これは人を傷つけ、傷つけらる物語。
だから読んでて大半が気分悪い。イライラする。最初から最後まで主人公にも誰にも感情移入は出来なかった。
表紙のような爽やか感はないかなぁ・・・・。書きたくて、狙って描いた内容なんだろうけど、セリフ一つとっても「うわっ、ひでっ」と思ったり、楓の行動に「なんなのコイツ」と思ってしまうから、再読はないわなぁ。住野さん好きな人にとってはどうだったんだろう。
変わらず文章が・・・・。
数行の中に同じワード「ポッキー」とか「15分」とか出して来たり文頭が続けて同じだったり。幼い。
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今回、主人公が大学生男子ということで少しオトナになった青春の痛みやもやもやがどんな風に描かれているのかとても楽しみだった。今までの住野作品だと、読み始めてすぐから主人公に感情移入してどっぷり浸る感じだったけれど今回は主人公に同化するのに少し時間がかかった感じ。
タイトル通り、主人公の4年間は青くて痛くて脆い日々で、もう、本当に読んでる方も「痛くて脆」くて辛かったね。
住野さんらしいひっかけも健在で、あぁ、なるほどそういうことね、とにやにやしながら読んだけど、なんとなくちょっとイタ過ぎて読んだ後のカタルシスが足りなかったかな、という気も。
それでもそのイタさが今回は読者層を広げる形になるのかな。
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2018031
ひとが変わっていくってどういうことだろう。自分の居場所を守りたいから。まわりが変わっていくから自分も変わらなきゃいけないから。
理想を語るって、格好悪いけど格好いい。ひとが変わっていくって、寂しいけど、その背中を追いかけていたい。自分も傷つくけど、相手も傷付くか。
学生であることと、社会人であることの違いは大きいと思うけど、もうあの頃には戻れない。ひとは誰かを傷付けて、傷付けながらじゃないと成長できない。今さらながら、若さって偉大だなと思う。
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住野よるさんの5作目。
今回の主人公は大学生。
主人公は人との距離の取り方にこだわりがある。
そんな主人公に声をかけたのは空気の読めない女の子。
二人はひょんなことからサークルを立ち上げ,そのサークルがやがて肥大化していくうちに……
まあ,ストーリーはこんな感じ。
登場人物に関しては,ちょっとしただまされた感がありました。
みんな誰かや何かを少なからず利用していて,傷ついたり,傷つけたりしている。
主人公と女の子が感情をぶつけ合うシーンは住野さんって感じでした。
他にもまた何かあったら追記します。
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『君の膵臓をたべたい』の著者の新作。過去のある出来事から意識高い系サークルを敵視する大学生の物語。文章が一人称視点のため読者もどこか冷めた卑屈な目線で“イタい奴ら”を見ることになる。そんな自分に牙が向けられる視点の転換が実に痛い。この感覚は朝井リョウの『何者』と通じるかも。
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理想が時間が経つにつれ、少しずつ変化していくことを許さず過去を求めてしまう楓。自分が傷付いたから相手も傷付いて当然だし、それを受け入るのも当然という傲慢な考えが、楓と秋好の関係を最悪なものとする。人との関わり合いの難しさを不器用な人間を中心に表現されている。その痛々しさに、読みながら何故か自分も傷付かされた気分になった。
人を傷つければ自分も傷つく。
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名前にギミックがあるのはいつものこと。持って回った言い方をする語り手に、バイアスバイアスとつぶやきながら読み進め、気持ち悪いの一言と共に読了。これがイタいという意味であったなあと、
自分の書く感想もイタい。あ、高評価です。