紙の本
素敵な対談
2019/01/25 12:15
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投稿者:ら君 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ふたりの会話をそばで聞いているかなように、心に響く対談でした。
暖かい気持ちになれました。
精神科って、決して敷居が高い場所ではないということもわかりました。
共感や傾聴は、私たちの日常にも必要ですね。
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販売ブースに積まれたこの本の前に立って表紙を眺めていると、出版社の人が説明をしてくれた。話し方は淡々としていたけど、話の内容の熱量がすごくて、この人はほんとうに本が好きなんだなと思ったので、半分くらいはその人の熱意を買うつもりで購入した。そういうふうに、目の前の人にお金を払う気持ちで買い物をするのが好きだ。たとえそれが赤の他人でも、というか赤の他人だからこそ、お金を使うことで敬意を示したい。
その出版社の人が言うには、この本はいとうせいこう氏と精神科医の対談をまとめた本だという。いとう氏自身が精神科を受診した経験から、「みんなにももっと気軽に精神科を受診してみてほしい」という思いを抱くようになり、この本を出すに至ったらしい。怪我をしたら外科に行くような気軽さで、つらいことがあったら精神科に行ってもいいんだよ、ということを書いている本だと言われた。
この本を読んだあとだから言うけど、実は少し前に心療内科を受診したことがあった。そのときの私は心療内科と精神科の違いもよくわかっていなかったけど、この本を読み終えた今、「何かつらいことがあったり、ストレスを感じたりしたら精神科に行ってみようかな」と思えている。そういうふうに、「何か困ったことがあったとき、どう対処すればいいか」がわかるようになれば、生きるのはちょっと楽になるんだと思う。わからないから怖いのだ。
いとう氏に関しては、かなり偏っている自覚はあるけど、やっぱり「フリースタイルダンジョンの審査員」というイメージが一番強い。そのいとう氏が精神科を受診しているというのはかなり意外だった。いとう氏はそういうふうに、「この人が精神科を受診するなんて意外だな」と感じてもらうことが何かの取っかかりになればいいなと考えたようだ。いとう氏のことはよく知らないけど、この人は世の中のできごとに対して自分に何ができるかを考えるとき、なるべく優しい手段を選ぶ人なのかもしれない。
・SNSのこと
私には論破癖みたいなものがあって、とにかく頑固で理屈っぽくて、納得いかないことがあったらすぐに「こっちのほうが正しい!」って主張してしまうんだけど、最近は意識的にそれを控えるようにしていた。自分の意思や立場を表明せずに、なあなあにしておくことに心地よさを感じるようになったからだ。それは「そのほうが敵を作らずに済むから」だと思っていたけど、星野概念氏の言葉を読んでいると、それ以外の理由がなんとなくわかってきた。
「いろんな人がいる、多様性がある、とどれだけ言ったところで、見落とされてしまう人は絶対にいます。だから、自分が何か意見を言うときに、そうじゃない人たちもきっといるよな、
っていう気遣いが常にないと、極端な理論になって、ゆくゆくはそれが戦いになると思うんです」(本文から引用)
「そういうふうに考えちゃうのって、何か話題になっている問題に対して、それなりに説得力のあることをコメントしなければならないっていう脅迫的な義務感が根底になるのではないかと思います。(中略)別にコメントなんてしなくても大丈夫なのに、勝手にその義務を負わされた感じになってしまう」(本文から引用)
今までは「みんなが話題にしているから、私も何か言わなきゃ」って焦ってたんだなあと思う。別に何も言わなくてもいいんだよな。
・偽善のこと
「偽善」という言葉がきらいだ。私の大好きな人が「偽善者」と言われるのをたくさん見てきたからだ。その人はよく、「やらない善よりやる偽善」という言葉を使っていて、私はまったくその通りだと思っている。偽善を偽善だと叩く人は、結局何もしていない。何もしないよりは、たとえ偽善だろうとなんだろうと、人のためになることをして人の役に立ったほうがよっぽどいい。だからこそ「国境なき医師団」の取材をしているいとう氏の言葉は腑に落ちた。
「金が最強の価値ってことになって、逆に人助けが『偽善だ』と言われるようになったような。儲かるんだったらいいけど、お金にならないなら、人助けなんか単なる偽善だし、やってもしょうがないよ、みたいなことを平気で言う人が出てきた」(本文から引用)
「なんかさ、いいことは目立たないようにやるほうが美徳とされがちだよね」(本文から引用)
「自分がわずかながらでも役に立てるんじゃないかと思って何かをすることに対して、あまりに評価が低すぎるよ、日本の社会は」(本文から引用)
そうだなあ、私も駅前で中学生が大きい声を張り上げながら募金を呼びかけているとき、その箱に小銭を入れるのを「はずかしい」と思ってしまったことがある。いいことをするのに、何をこそこそする必要があるんだろう。いいことをしている人がいたら素直に褒めたいし、あの人はいいことをしてるなあ、と言える人でありたい。
あと、対談中にいとう氏が「みうらさん」を連呼するのがなんだかかわいかった。みうらじゅん氏が唯一の親友だと言ってたけど、ほんとに仲が良いんだなと思う。
【読んだ目的・理由】出版社の社員さんの熱意に胸を打たれて
【入手経路】買った
【詳細評価】☆4.1
【一番好きな表現】
彼らについてのいとうさんの文章を読むと、すごい大変そうだなとは思うんですけど、一方で、そういう大変なことに取り組んでいる人がこの世界のどこかにいるんだ、っていうことがわかって、勇気をもらえる。国境なき医師団のラブが、まわりまわって、僕にとっての「ラブという薬」にもなるんです(本文より引用)
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あの‘いとうせいこう’が精神科のカウンセリングに現在進行中で通っていて、その主治医との『診察』を対談本として世に出したとブクログのレビューで知って軽く驚いた。
テレビで見るいとう氏と『精神科』のイメージがくっつかなかったのだ。
『通っている』ということを公にする人も少ないような気がする。特に日本では。
そんな現状を憂い『精神科』のハードルを下げようと企画したのがこの本『ラブという薬』。
カウンセリングという『対談』の相方はミュージシャンもやっている精神科勤務医、星野概念氏。
ネットでもコラムを書いているらしい。
前半3分の2は精神科、及び精神科医の役割と治療を受ける患者との関係性やどのような治療が行われるかをざっくばらんに話している。もちろん、医者によってそれぞれ違う部分も多く、星野氏の場合はということだそう。多少専門用語が出てくるがちゃんと説明もされているので、置いてきぼりを食らうことはなかった。
後半3分の1は文学や映画やSNS についての話題が多い。
小説や映画は『(自分とは)反対の立場でも想像できる』メディアという言葉には納得しきり。
時には意外な人物に感情移入しちゃったり、そこまではしないけど許容してみよか、という気分になったりする。
星野氏のキーワードに『傾聴と共感』があって、しきりにでてくる。『傾聴』とはひたすら相手の話に耳を傾けること、この場合の『共感』はひとまず相手の気持ちを想像してみること、だろうか。...どっちも難しい。
もしかしたら、オリンピックのカーリング女子の「そだねー」が日本中に優しく響いたのも、みんなそれを求めてるからかもしれない(笑)
このふたつをプロフェッショナルにこなしてくれるのが精神科医ってことかな。でも、カウンセリングが中心になるかはその医者や症状によって変わるそうだけれど。
おふたりの対談を読んでるだけでちょっと心が軽くなる。
精神科も思っているより怖くないところ(笑)
心がピンチのとき頼れる人や場所はなるべく作っておいた方がいい、と思った。
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いとうせいこう氏は言葉のイメージ。ツーと言えばカーではないけれど、言われた言葉に対してパッと適切な返しをそれも相手が思わずうむむと言ってしまうような切れる返しが出来るイメージ。つまり頭が良く世間の波を乗りこなすような感じに見えていたので精神科と結びつかなかった。が、人間どんな人でも調子の波もあったり人間関係の中での波もあったり不調に陥ることがあるよなぁと思う。いとうせいこう氏はそんな時気軽に身体が不調なら病院に行くように、心の不調には精神科へと勧めてくれている。彼が星野先生に会えたように自分にとって良い先生を探し当てることが出来たならそれも可能、それが一番難しいよなぁとも思う。とはいえ、そんなに怖い所ではないということは思えた。
この本で印象的だったのは、ネット社会になっての世間の声、例えば自己責任論や社会に有用な人間のみ生きるに値するみたいなことってどーなの?嫌いなのものは認めないとかあまりに退行じゃない(←こんなに簡略で単純な言葉で書いてないけど)というニュアンスのことが2人の対話であった。ハリウッドとかで語られる多様化を認めよは優等生的で多様化でない人を認めないような息苦しさを感じたがこの2人に語られるそれは世間ってありとあらゆる人や物で出来てるのよね〜という柔らかな受け止め方が出来る感じで、少し世間への見方を考えてみようと思えた。
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バックチャネリングという考え方。対話は実はノンバーバルな部分が大切。アグリーしているのに、心がこもってない、と言われることがあったけど、それは私の態度に原因があったのかも、と気づいた。言葉で同意しているのか、心底そう思っているのか。
共感することが、相手を知る第一歩になる。自分と違う考え方をする人はたくさんいて、その人が何を考えているか、どういう考え方をするのかを聞く。
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もっと気楽に精神科を利用して日々の悩みや鬱憤を気軽に晴らせればいいのにということを二人の対談を通して伝えていくという趣旨の本。
内容としては今の自分にはあまり興味のあるものであるとは思えなかったが所々になるほどという内容が含まれていた。
P116自分は人と揉めるのが嫌だから対話を通して解決したいという星野さん。
明確に人ともめるのが嫌だからと表現できることは新鮮で面白い意見だなと思う。
P205人との対話にはユーモアが必要。それがないと対立してしまう。
確かにその通り。いつもユーモアを持って人と接することができる様になりたい。
P222声が大きい人が声が小さい人を支配してしまう。
これもよく思う。声の小さい人の言葉がきける人間に自分はなりたいと思う。
などなどさらっと雑誌感覚で読めるのは手軽でいいかな。
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このあとに読んだ「友だち幻想」にも似た読後感がありました。その本では100パーセントの共感に期待することは他者の個性に気づいていないことに等しい。私と他者の自由を保障するための最低限のルールがあって、極端に言えばそれは私を殺さない、私のものを盗まない代わりに私もあなたを殺さない、あなたのものを盗まないことに等しいという考えを示していました。そうである限り私もあなたも自由であるはずなのにさらにみうらじゅんさんは積極的に他者のために損をする活動を選択していくとは面白い判断です。精神科医の診察室の会話を身近に感じる本でした。
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いとうせいこうさんと音楽仲間でもある精神科医の星野概念さんとの対談。せいこうさんが星野さんのカウンセリングを受けていて、そのいきさつとかどんなふうに治療をすすめるのかみたいなことを話すって内容だけど、わたしはもうちょっと個人的な内面をさぐるような、せいこうさんの精神分析的な、具体的なカウンセリング内容を期待していたんだけど、そういう感じはあまりなくて、精神科とか心理療法とかはこういう感じですっていう入門編のような感じ。気軽に精神科に行きましょうという趣旨は伝わったし、精神科医の星野さんも優しくて、確かに悩んでいる人には医者に行くハードルが少し低くなるのかも。ほんとにこんな医師に会えたらすばらしいと思う。でもやっぱり、いとうせいこうさんみたいに仲間内に精神科医がいるなんてことはないし、自分でさがして、優秀で自分との相性もいい医者に出会うってけっこう難しいのでは。あと、そういう医者に出会えたとしてもお金も時間もかかるよね。。。
今のSNSについての話が興味深かった。監視社会であるとか、「いいね」される承認欲求の問題とか。
そして、今のヘイトとか差別の問題にしても、なににしても、「傾聴と共感」が大切、ということには心底、同意した。
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星野概念(すごいペンネームだが)という新進気鋭?の精神科医にカウンセリングを受けていると言う、いとうせいこうが、診察場面を本にしたいという提案からできた対談本。若い精神科医だが、考え方が合うなと、思ったら巻末の参考文献はほとんど自分が好きな本だった。診察場面の話から、精神医療、そして現代社会について話は広がり、肩肘張らずにあっという間に読めた。共感という、言葉でいうと単純だが、奥が深いテーマで一貫して対話されていた。
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星野概念さん(精神科医)のもとに、いとうせいこうさんが、カウンセリングに通う。
それが本になった。
正直、いとうせいこうさんがカウンセリング?と、ちょっと不思議に思ったけれど、読んでみたら、カウンセリングをうまく使っているなーというのがすごいわかる。
第1章 怪我なら外科、辛い気持ちなら精神科。行ってみよう
第2章 精神科にはどんな医師がいて、どんなことをしてくれるんだろう?
第3章 みんなも辛くないのかな?
傾聴の勉強をしている自分としては、『傾聴って愛だよなと思った。』って言葉に反応した。
つまり、ラブという薬そのもの。
人って、共感されて受容をされることで、自分や自分の問題を客観的に見つめ、考えることができる。
そのきっかけが傾聴なんだよなと。
話の中で、ヘイトがヘイトとしてではなく、当たり前のこととして世の中に溢れて来ている。社会的な精神が退行してきている。など出てくるけど、そんな考え方もあるのか。
でも、確かにそうだなーと納得も。
精神科にハードルを感じている方、読みやすいので読んでみてほしいかな。
そうしたら、精神科やカウンセリングのハードルが下がるとは思う。
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借りたもの。
いとうせいこう氏と星野概念氏の対談形式で、精神科医がどんなカウンセリングを行っているのかを知らない人に伝える本……という形式なのだが、そのままいとうせいこう氏のカウンセリングであり、世の中の様々な問題を、精神科医の視点から紐解いていく本とも解釈できた。
精神科医の問診が中心で、特に薬物に関する処方の話はない。
どちらかというと心療内科的な――心理士の――カウンセリングのようだった。
しかし、MRIを使った話が出てくるあたり、医療行為があるから精神科医の話か。
カウンセリングの内容は、主に認知行動療法と傾聴。(他にもエンプティチェアの話とか)
星野概念氏の、断定やアドバイスをせず、クライアントに気づかせ、前向きにそれを実行することを促す姿勢が、文章中からも見て取れる。そこに信田さよ子『カウンセラーは何を見ているか』( https://booklog.jp/item/1/4260020129 )に書かれていたスタンスを思い出した。
いとうせいこう氏は傾聴され「受け入れられた」という安心感から自問し、世界に必要なものは他者を非難・拒絶するだけではなく「共感する」姿勢であることを実感しているようだった。
こうした経験が、『国境なき医師団を見に行く』( https://booklog.jp/item/1/4062208415 )にも通じているようだった。
……話は飛躍してしまうけれど、ヨーロッパで問題になっている難民・移民問題も、ただ「受け入れる」だけでは実際ダメなんだと思った。
次第に話の内容は社会問題にも発展してゆく。
承認欲求が暴走するSNSとスマホ依存症、いいね!ボタンは結局のところ感情論で何が「いい」のか判らない、リツイートが承認とは限らないこと。
フェイクニュースにオルトファクト(都合のよい事実)……
知的障碍者施設での殺傷事件の話など……
一番印象的だったのは、星野氏が「『多様性は大事』と言われることで、しんどい気持ちになった人たちがいる」という指摘。私は全てを受け入れる大きな器だと思ったそれは、白人至上主義者を取り込むことはできない、支えることはできないのだという。そうした人たちがトランプ氏を大統領にした、と……「多様性を認めない発言は差別だ!」という発想こそが、排他的に働いてしまっていた。
何だか人類史の根本を紐解くような、内容の濃い話がベースに広がっていた。
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もっと気軽に精神科に行ってみようと、診療室での実際のやりとりがどのようなものかを、医師と患者の対談というスタイルでゆるーく語る本。
共感することの大切さ、生きづらい人への温かな視点など、読んでいてほっこりする。
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いとうせいこうさんも精神科に通っていたんだといびっくり
誰でも隠したいはずなのに、このようにオープンにしてくれると精神的病気に対してのハードルが下がる。
このような対談形式のやり取りも気取りがなくて分かりやすい
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いとうせいこうと精神科医の星野概念による対話。
趣旨は、精神科にかかるハードルを低くしようということなのだろう。
日本では、カウンセリングなどあまり浸透していない。
それについて、もっと気楽に医師などに相談することをすすめており、精神科とはどんなところなのかが分かりやすく語られている。
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もう我慢を大切にするのはやめよう。ケガをしたら外科へ行くような単純さで、つらいなら精神科へ行こう。患者・いとうせいこうと、主治医の精神科医・星野概念の、心をめぐる対話。
なかなか読み進めず,返却期限が来たので返す。
なぜ読み進まなかったんだろう・・・?
またそのうち挑戦しよう。
再び借り直してようやく読み終えた。カウンセリング,受けたい。