紙の本
本屋という「物語」の登場人物の一人ぐらいにはなれるだろうか
2018/07/26 16:19
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本屋さんが好きな人であれば、岩手県盛岡にある「さわや書店」の名前は聞いたことがあるだろう。
そのブックカバーにはこんな言葉が印刷されているという。
「わたしは、わたしの住むまちを愛したい 手あかにまみれた一冊の本のように」。
この言葉からわかるように、「さわや書店」は全国チェーンの書店ではない。
盛岡に根差した地方書店である。
しかし、その「さわや書店」発信して全国で有名になった本がいくつもある。
そのひとつが「文庫X」だし、この本の著者である松本大介氏が関わった外山滋比古氏の『思考の整理学』だ。後者の文庫本には今も「もっと若い時に読んでいれば」という松本氏が考えたコピーがついているはずだ。
さらに「さわや書店」には田口幹人という伝説の店長もいる。
その田口氏が書いた『まちの本屋』、そして「文庫X」の仕掛け人長江貴士氏が書いた『書店員X』、そして松本氏のこの本。
三作とも出版社が違うが、著者はいずれも「さわや書店」の人たち。
松本氏はこの本を「さわや書店三部作 完結編」として読んでもらえればと書いているが、「さわや書店」という「物語」は終わりそうにない。
実際この本も、途中グダグダ感がないわけではないが、新店立ち上げ時の苦労話など書店関係者にとっては涙なしには読めないかもしれないし、松本氏のどっちに向かうのかよくわからない性格から一気に先輩書店員としての目覚めなど、これはこれで面白い。
きっと「さわや書店」という磁場の力なんだろう。
それだけでも行ってみたくなる、本屋さんだ。
紙の本
『本屋という「物語」を終わらせるわけにはいかない』
2018/05/31 19:53
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投稿者:百書繚乱 - この投稿者のレビュー一覧を見る
『思考の整理学』『文庫X』『慈雨』...
ベストセラーを連発する盛岡の「さわや書店」
東北地方の本屋からヒットが生まれつづける舞台裏を
屋台骨をささえる書店員=現フェザン店店長が語りつくす
田口幹人『まちの本屋』(ポプラ社)
長江貴士『書店員X』(中公新書ラクレ)
につづく“さわや書店三部作”の完結編として
2016年7月から2017年7月まで月2回「Webちくま」に連載した記事を再構成し加筆・修正した、「本屋」の未来のための一冊
本の目利きが《自分の中の「心のベストテン」最上位》に藤谷治『船に乗れ!』をあげているのも興味深い
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さわや書店さんの、大切にしている事。
これまで、今、これからが、書かれている。
どれも、具体的で分かり易い。
こういう、文化、風土がしっかりした本屋さんがそばにある地域の人たちは幸せだなぁと思う。
こういう本屋にならないと。
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雨宿りするくらいなら、晴れてる街に駆けて行くさ…でお馴染み、さわや書店の悩める哲学者松本大介。
バイプレイヤー不在の同店において、彼の立ち位置が読みすすめるうちに明らかになってくる。
ある時はフィクサー田口氏の圧迫を全身で受け止め、ある時は病める天才竹内氏のぶっ飛んだ思考を共有し、そして宴会部長栗澤氏と盃を重ねる。
そのクセしかない面々と、それぞれの場面でしっかりとシンクロし、最後はキレイに丸投げされる。
そして、彼らの予想を超えた結果をだしニヤリと笑うのが彼の真骨頂。
松本大介は「影武者」だ。
漕ぐとわりと進む影武者だ。
いつ何時、どのタイプにでも変身できる影武者。どのウイッグにも瞬時に対応できるヘアスタイルがそれを物語る。
いやはや、たいした男だ。
Shadow warrior松本大介とさわや書店の今後がめちゃくちゃ楽しみだ。
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『思考の整理学』、『文庫X』、さわベス…東北、盛岡の地からベストセラーを連発、出版業界屈指のこだわり書店「さわや書店」。熱い情熱と日々の努力、そして激しい危機感、さわや書店で学んだ“本屋”の仕事と日常。その裏側を語り尽くす初の著作。
ところどころ挟まれるギャグには目をつぶるとして。いつか売り場を訪れてみたいと、強く思った一冊。
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本の未来は暗い。これだけ本が売られているのに、出版業界のこれからで明るい話題なんて皆無なのではないでしょうか。出版不況と言われますがどちらかというと紙媒体に終焉が迫っているようにしか思えません。本を普段手に取らない人にとっては、音楽が売れないとか映画が流行らないとかと同じような文脈で語られる事かもしれませんが、どう考えても周囲の人で本が趣味なんて人殆ど見かけません。誰が本買っているのか本当に疑問です。秘密組織がひっそりと本を買って出版を支えているんじゃないかと思う位見ないです。
電車で周りを見回してください、みんな携帯を見て何やら指を上下させていますよ。中には電子書籍読んでいる人もいるかもしれませんが、ほぼゲームかSNSです。
さて、そんな本の業界でもトップランナーと言える本屋さんがいくつかあります。東京はもちろん一番パイも大きいので売れて当然。しかし地方で本の文化を残すべく奮闘して結果を出しているさわや書店という存在は地方の書店の中でも燦然と輝く存在です。
この10年ほど「本屋大賞」で出版業界は盛り上がり、そこに取り上げられた本は大いに評価されて売れていきます。某大手賞と違って書店員が本当に面白いと思う本を、投票で選ぶという民主制が賞の信頼度を高めていると思います。
当然さわや書店も一書店ではあるのですが、「さわベス」という独自の年間ランキングを発表してこれまた信用度の高いものとなっています。
そんなさわや書店の名物書店員の一人である松本氏は、田口店長に比べるとシニカルで斜に構えていて、その実誰にも負けないくらいの本への愛情が有ります。シニカルではあるけれどペシミストではない。恥ずかしがり屋の情熱家と見ました。
岩手はなかなか行く機会は無いのだけれど、いつか立ち寄ってみたい書店です。
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2018.6.20
面白かった!
元々は違う本で登場した作者の松本さんに興味を持ったのがきっかけだけど、タイトルにも惹かれて。本屋さん大好きの私からすると、本当にそう願うばかりだから。
売り場の本の構成比をコンビニでみたプリンのカラメルの比率と考えてみたり、「書店員は根暗だ」と言い切ってみたり、くすっと笑えて、でもそのあとに続く内容はとても明瞭で説得力があった。
特に後半は、うんうんと頷くところが本当に多く、そしてまた、書店のあり方を真剣に問う松本さんの気概が伝わってきた。手元に残した文章がたくさん。
松本さんの言葉を借りれば、私も本に生き方の答えを求め、読み続けることで人生に折り合いをつけてきた人間の1人。だからぜひ本屋さんには、「敷居の低さ」を維持してほしいし、独りの人が集う場所をなくさないでほしい。
ボランティアじゃないから収益は必ず必要だけど、「本を買う日常」がなくなってほしくない。
読者としては、大型書店ばかりでなく(行くのは好きだけど)地元の本屋さんで本を買ったり、そういう小さな行動を続けていきたいと思う。
持ち運びの軽さから電子書籍にも若干興味を持ちかけているこの頃だけど、著者や編集者、校閲者等いろんな人の手をわたって出来上がった美しい装丁の本は、やっぱり今後も残っていってほしいと切に願う。
書店員さんってすごいな。
いつかさわや書店に行ってみたい!
名久井直子さんの装丁はほんとに素敵。
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私も書店員なので、仕事への取り組み方についてとても刺激を受けました!私の職場ほどの大型書店になったら、集客こそが命だと思うけれど、どうすれば良いのかほんとうにわからない。自分の中の何かを変えないとならないんだけれど・・。
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久しぶりの盛岡出張で初めて「さわや書店」を知りました。店頭のPOPに書かれた「只今お買い上げの方に特別付録として未編集のボツ原稿を差し上げています」に惹かれてゲット。そのボツ原稿も自分の今の仕事の状況と重なって見えてジーンと来たけど、本編は、人から趣味は?と聞かれて「読書」以外に答えられない自分にとって、本屋さんがなくなるなんて、己の存在を脅かすような事だなって気付かせてくれました。久しぶりに付箋貼りながら読んだ(笑)
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「文庫X」で話題になった盛岡の本屋・さわや書店の店員が書いたさわやのはなし。最初に本人が自分の日常を書こうと思うので「振り幅がある」ので「ご容赦願いたい」と書いているが、本当に書きようがあるがままで、なんと言おうか…。
ちなみに、「文庫X」を企画したのは著者の後輩です。
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「さわや書店」関係者の本を他にも読んだけど、これも面白かった。と同時に私たちは町の本屋さんを大切にしないといけないと思った。
「さわや書店」のようにこだわりをもっている本屋さんはそうそうないと思うが、本屋さんは大切な存在だと思う。
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図書館と本屋。根本は異なるが、本が置いてあること、本を読み手に届けることは共通している。
本屋があるから図書館も成り立つ。
図書館があるから本屋に行く人もいる。
ネット書店、電子書籍がメジャーになっても、本屋がなくなることはないだろうな。
なくなってほしくない。
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・人と人とが繋がるターミナルとしての本屋
・受け継ぐ その身の内に残ったもの
・本に「呼ばれる」
・本屋で体験を売る。
・未来の本屋は、総合イベント会社へと変貌すべき。
・本屋と不動産は相性が良い。
・「人」と「本」は切り離せない。「体」
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盛岡のさわや書店シリーズらしい。
そういえば前に読んだな『まちの本屋』。
本屋に勤めることになった経緯から、日々の本屋としての仕事、
新しい店を立ち上げる苦労など、本屋の日常が平温で語られる。
一人の書店員が、いいと思った本を、ポップを経緯に広めていく醍醐味。
多面的な展開で生き残っていこうとする本屋が増えていく中で、
アイディアとしての不動産+本屋の組み合わせは、
突飛なようでいて、案外相性がいいのかなと思った。
膨大な仕事に埋もれる中で、
こういう本を丁寧に書いているのがありがたい。
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初めにこちらの本を読んだが、先に2冊あったようだ。でも、こちらの本を先に読んで良かったかもしれない。素直に面白かった。
少し、分かりにくい文章もあるような気がするが本屋の裏側を知ることができる。
本屋が危機。本が売れない。
少し前から、問題視されていて昔からある地元の本屋は潰れ尽くしてしまった。今残っている本屋を大切にしたい。
と、できるだけ本屋を利用しているが、田舎ではネットに敵わない所も正直ある。コミック以外は発売日に手に入れる事ができない本も多い。
本は日用品だと思っている。無くなっては困るので頑張ってもらいたい。
十分頑張っていると思うが。