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商品説明
文学を志した若き日々、愛おしい故郷、懐かしき師と友。遙かなる歳月を心に抱き、あらたな一歩を踏みしめる人生の旅路…。全41篇のエッセイを収録。『オール讀物』『季刊文科』ほか掲載を単行本化。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
津村節子
- 略歴
- 〈津村節子〉1928年福井県生まれ。学習院短期大学部卒業。「玩具」で芥川賞、「流星雨」で女流文学賞、「異郷」で川端康成文学賞を受賞。
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紙の本
津村節子さんはエッセイの妙手でもあります
2018/09/08 12:41
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
随筆とエッセイの違いは結構難しい。同じという人もいるぐらいだし。
一説によれば、随筆は「本当にあった出来事の見聞や感想を自由に描いたもの」で、エッセイは「出来事の描写ではなく、書き手のパーソナルな心の様子を描いたもの」だという。
これだと全く違うジャンルのような感じがする。
津村節子さんのこの本の場合はどうだろう。
出版社の広告文をみると、先に出版された『夫婦の散歩道』には「エッセイ」と入っているが、この本には「感動の41篇」とあるが、「随筆」とか「エッセイ」とかという表記はない。ただ津村さんの手による「あとがき」には「エッセイ」を匂わせる表現はある。
しかし、やはりこの本に収められている文章の多くは「随筆」のような気がする。
津村さんがきちんと保管されている夫である吉村昭さんからの手紙から当時のことを思い出す文章の、静かでしっとりとした感じは「随筆」と漢字表記する方が似合っている。
津村さんは自分や吉村昭は「夫婦ともども文筆で身を立てるまでに十五年間もかかった」と、この本に収められているいくつかの文章に書いている。
昔は文学賞の数も少なく、現代のように受賞すれば作家への道が開けることもなく、同人雑誌に必死になって書いていたという。そして、文芸誌の編集者の目にとまって、やがて一人立ちしていく。
津村さんには今更ながらに夫婦そろってそうやってよく作家として生きてきたという思いがあるのであろう。
吉村昭が亡くなって十年以上経つが、津村さんの文章を読むと、吉村を想う気持ちに変わりはない。
美しい夫婦で、今もある。