紙の本
『雲の果』
2018/07/29 19:09
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投稿者:百書繚乱 - この投稿者のレビュー一覧を見る
雑木林に囲まれた仕舞屋が焼け、焼け跡に女の死体が一つ
「続くな」
信次郎のつぶやきが帯の焦げ端を介して清之介につながり
闇の中から真実を引きずり出していく
ねばりつくような文体
ひりひりする心理描写
予期せぬ展開と謎解き
過去を捨て小間物問屋の主人として生きる遠野屋清之介
謎を解くことだけに生きがいを感じる同心小暮信次郎
そして、信次郎の岡っ引きとして生きることが喜びの伊佐治
3人の男を軸に江戸の巷をスリリングに描くあさのあつこの人気時代小説“弥勒シリーズ”の8冊目、2018年5月刊
紙の本
人という毒
2018/08/26 19:07
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投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
今回はごくまっとうな伊佐治親分が「人」中毒に陥っている事に驚いた。市井の人々が抱え込むものを知りたいという衝動、親分も業が深い。木暮様や遠野屋さんと付き合っていけるだけはあるなあ。
大変面白いこのシリーズだが、いつも結末部分が性急に感じられる。もっと余韻に浸らせてほしい。
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遠野屋の番頭、喜之助が病に倒れ、主の清之介が看取った。彼の遺品から不思議な織の帯が見つかる。一方、ある仕舞屋が燃え、焼け跡から女の死体と焼けた帯が見つかる。信次郎と伊佐治は、謎めいた帯の奇妙な繋がりを探る。待望の「弥勒シリーズ」第八弾。
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弥勒シリーズ最新作。
江戸で小間物屋を営んでいる遠野屋清之介、先代から仕えていた大番頭を病で亡くす。同じころ、ある仕舞屋が火事となり、そこから刺殺された女の遺体が見つかった。もう一人の主人公・小暮信次郎はこれを単純な殺しではないと察し、興をそそられている。
暗殺者としての生き方を捨て、商人として生き直そうと商いに精進している清之介、事あるごろに彼を渦中に引きずり込み、『生き直すなんて出来ない』と言い続ける小暮。これまで作品中に重要人物として出てこなかった大番頭・喜之助の遺品から事件解決の糸口となったり、彼の生国が事件にかかわっている事がわかる。清之介と同業、暗殺者で商人が出てきたり、人の本当の姿っていったい・・・と感じた。
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弥勒シリーズ第八弾。
信次郎・清之介・伊佐治。この三人の絶妙な遣り取りは相変わらずです。
今回も焼け残った帯の残骸等々から、三人三様のやり方で真相に近づいていくのですが、台詞の応酬や思考描写が、やや“必要以上”な印象がありまして。そのせいか、クライマックスのはずの終盤があっさりと終わってしまった感じがしました。ま、その応酬が魅力ではあるのですけど。
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弥勒シリーズ第8弾。
清之介・信次郎・伊三次の関係は、相変わらずの安定感。
内容もまさか1本の帯が絡んでくるとは。。
信次郎の生い立ちは今後の展開に絡んでくるのか、次作がまた楽しみなシリーズである。
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容紹介
遠野屋の番頭、喜之助が病に倒れ、主の清之介が看取った。彼の遺品から不思議な織の帯が見つかる。一方、ある仕舞屋が燃え、焼け跡から女の死体と焼けた帯が見つかる。信次郎と伊佐治は、謎めいた帯の奇妙な繋がりを探る。待望の「弥勒シリーズ」第八弾
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内容紹介
遠野屋の番頭、喜之助が病に倒れ、主の清之介が看取った。彼の遺品から不思議な織の帯が見つかる。一方、ある仕舞屋が燃え、焼け跡から女の死体と焼けた帯が見つかる。信次郎と伊佐治は、謎めいた帯の奇妙な繋がりを探る。待望の「弥勒シリーズ」第八弾。
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『弥勒』シリーズは、刊行するや、すぐにも読みたくなるシリーズのひとつ。
今作は、清之介が看取った遠野屋の番頭喜之助の遺品が絡んだ事件。ミステリアスな展開に、忽ち引き込まれる。
このシリーズの魅力は何といっても、清之介、信次郎、伊三次、この三人の組み合わせの妙である。
かつては暗殺者だったが、今は小間物屋の主として商売に己を懸ける遠野屋清之介。
怜悧すぎる頭を持つゆえ、心に虚空を抱え、清之介の闇を引きずり出そうとする同心木暮信次郎。
この二人のやり取りをハラハラしながら見守る老練な岡っ引き伊佐治。
さらにこの作品の魅力を言えば、「人という生き物の深さに触れることができ」「おもしろくてたまらない」(伊佐治の言葉)ということだろう。
伊佐治が、清之介信次郎の危うい二人と共にいることに、かみさんのおふじが独白する。彼らが「衣の下に刃を持つ」男たちであり、「この危うさに焦りながらも、戸惑いながらも引き込まれている」と。
この言葉は、このシリーズに対する読者の心情そのものと言ってもいいかもしれない。
終盤、遠野屋の奥座敷で清之介が、二人の関係の終わり方について「どうしても叶えたい望みがあります」と、伊佐治が咳き込むほどの告白するP251。
さて、このシリーズはどのような終局を迎えるのだろう。もちろん、その楽しみは先にして、まだまだ続いてもらいたいのが一番に望み。
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初出 2017〜18年「小説宝石」の「天雲、奔る」
傑作時代物ミステリー「弥勒シリーズ」第8作
面白すぎて読み終わるのが惜しくなる。
焼けた家で殺されていた女の身元が分からず、焼け残った帯が遠野屋清之介のもとに持ち込まれたが、病死した遠野屋の大番頭喜之助の遺品の中になぜか同じ織りの女物の帯があった。
帯屋の先代主人の教示で、その珍しい帯は今は生産されなくなった山羽繭から織られたもので、ある藩だけの産とわかり、同心木暮信次郎は他の不審な死と併せて探索を進めて命を狙われる。
犯人も犯行の理由も意外過ぎて面白い。
いつもながらの清之介を獲物と見ていたぶる信次郎と斬り返す清之助の張り詰めた神経戦と、それを呆れながら楽しんで見つめる伊佐治親分の3人のやりとりが面白すぎる。
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弥勒シリーズも結構続くものだ。
遠野屋の清之介、同心信次郎二人の腐れ縁が切れない。
伊佐治親分は二人の間で緊張の糸を張ったり緩めたり。
亡くなった遠野屋の子飼いの番頭喜之助が残した不思議な織の帯と、殺されて焼かれた女のそばに残された帯の切れ端とが絡み合って謎が展開する・・・のだが、とにかく清之介と信次郎の心理心情の説明がくどいくどい。
伊佐治の述懐ももういい、と言いたくなるくらい繰り返される。
このシリーズが初めての人には良いが、「常連」読者には丁寧すぎる。
だから三分の二を過ぎてようやく謎解きの端緒が見つかった、と思う間にバタバタと話がたたまれてしまう。とてもバランスの悪い構成だ。
喜之助の来し方をもっと膨らませることもできたはずだし、羽馬藩と阿波屋との関わりも書き込み不足。
長く読みたいからこその苦言だが。
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弥勒の月シリーズ。
遠野屋と同心新次郎、岡っ引きの伊佐治。
この3人のキャラがよい。
中盤でもう犯人はわかるんだけど、その理由が意外だった。
この世で一番怖いのは、人だって。その通り。
あさのさんの時代小説は、好きだ。
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大好きな [弥勒シリーズ]
相変わらず冒頭からゾクゾクしますね
今回も面白く読み進めましたが、結びはなんだかアッサリ
もっと物語を読んでいたかった‼︎
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木暮信次郎は切れ者が過ぎるし、遠野屋清之介はやり手が過ぎるでしょうに。過ぎた者同士の張りつめた空気が漂って惹かれるものの、肝心の謎の方は案外と粗っぽい。羽馬藩なる小藩あげて、そんな盗人団を組織するなんて無茶だ。お芳にせよ、彼女に始末された者たちにせよ、いずれも商才に恵まれた面々であり、そんな優れた民をかかえた藩であるならば、せっせと殖産興業に励めばよいのだ。残念。
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同心の信次郎、岡っ引の伊佐治、小間物屋の主人遠野屋清之助、この3人の関係が面白くはあるのですが、そろそ小間物屋の主人の遠野屋を事件に絡ませることに無理が出てきたように思います。
一介の…遠野屋が一介の人間ではないからこそ信次郎が絡んでくるのでしょうが、市井の者はそうそう事件とは関わらないもの。そこをどうにか絡ませようとして事件の面白みが減じてしまったような気がします。