紙の本
愛の縫い糸
2018/06/25 20:10
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投稿者:真太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
読み始めは服飾つくりの話かと思ってました。でもある夫婦の結婚して、夫が亡くなり、その後妻が自殺を考えている。その準備のため寄った店に「終末の洋裁教室」の張り紙を見つけてから、そこで死装束=エンディングドレスを作る過程の服にまつわる想いでをたどりながら、人々の優しさを改めて感じ再び生きようとする妻。1着1着に思い入れのある服、着るたびに考えてしまいそうです。
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テーマがすごく素敵だった。夫を亡くし、自分も死ぬと決めた麻緒が終末の洋裁教室に出会い、20歳の時にいちばん気に入っていた服、15歳の頃に憧れていた服、思い出の服をリメイク、自分以外の誰かのための服、自己紹介代わりの服、つぎの季節のための服を作ることで心を取り戻してく様が、とにかく泣ける。
死装束を作る教室なので年配者が多い中、32歳の麻緒の健気な立ち振る舞いと、周りのパワフルなおばあちゃんたち。そして誰かのための服で92歳の千代子さんが麻緒のためにつくった、麻緒が眠れるようにと作ったパジャマのエピソードから涙腺崩壊した。
辛く苦しいこと、たくさんあるなかで、人との別れは必ずしも生死問わずに訪れること。そのなかで自分がどのように生きるか、どうするかを考えさせられた。
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夫が亡くなり、生きる希望を無くした主人公が自殺しようとしていた時、死装束を手作りする裁縫教室の案内を見つけ、通う。
そこで出会うおばあさんたちとの交流や変わりゆく日常を描くストーリー。
最近よく夜明け近い夜中に目が覚めてしまい、なかなか寝られないことがある。そんなときになかなか手をつけられずにまだ読んでいない小説に目を通し始めるのだが、この小説はあまりに面白くて一気に読んでしまい朝を迎えることに。
多分普段だったらまず手に取らない一冊だが、ゲラの配信サービスがあって読んだ。ストーリーが気持ちよく展開して行く様は、まるで連続ドラマを見ているよう。なかなかの巧み振りだ。
絶望の主人公の気持ちが変わって行く様に心掴まれてしまう。そしてページをめくる手が止まらない。
後半はややストーリーが走っているが、とにかく気持ちよく読書という時間を楽しめた作品。
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夫の死後、自殺を考える麻緒。それがひょんなことから、「終末の洋裁教室」に通うことになる。このくだりも自然でした。自殺を考えているのにそんなに暗くない始まりなのは蛭田さんの文章の明るさによるものなのかもしれません。
同じ「終末の洋裁教室」に通う3人のおばあさんたちとエンディング・ドレスに向けて課題である服を作っていく。
初心者がこんなに簡単に作れるかはさておき、斜に構えながらも、まじめに教室に通い作品を作っていく様子は、読みながら応援したくなります。
先生の、「教室で教えているのは、外側ではなく内側に踏み込んでいくものづくりなの」という言葉は心に沁みました。
全ての人に、特に心が弱っているかなと思った人に特にお勧めの一冊です。
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愛する人を失い、生きる気力を失った麻緒は死装束を縫う洋裁教室へ通う事にする。
今にも命を絶ってしまいそうな麻緒が洋裁教室へ通う様子をハラハラと見守る。
自分が着るデザインを考え、採寸をし、型紙に起こし、選んだ布を裁断、仮縫い、ミシンで縫う…
自分の体と向き合って無心になれる作業は、確かに服作りは合っているのかもしれない。
すぐに死装束を縫う訳ではなく、教室では課題が出され、それが章のタイトルとなっていて、読む手を止めて自分でも思い返してみる。
久しぶりに洋服を作りたくなった。
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本のデザインがすごく可愛くて
まさかこんなに重いテーマが含まれているお話だとは夢にも思いませんでした。
さらさら読めますが、胸が痛くて目をそらしたくなる場面も…
人生はミシンの縫い目のように規則正しくは進まないけれど、自分の人生が終わる時、自分の歩んできた道を振り返って、きれいな模様だなぁ、と思えたら ー
という文章がすごく好きでした。
病気でもそうでなくても、生と死は常に隣り合わせであり、無駄な日なんて1日もない。
主人公のアサオが、また前を向いてくれて本当に良かった。
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死装束、エンディングドレスを作りませんか?という広告を見たのは、ちょうどいい縄を買いにいった手芸店だった。
エンディングドレスを作るために集まったのは4人の女性。
常に黒衣を身にまとう先生の指導のもと、不思議な課題をこなしていく。
はたちの時にいちばん気に入っていた服
十五歳の時に憧れていた服
自分以外のだれかのための服
自己紹介代わりの一着
死ぬためには生きるしかないんだなぁ……としみじみした。
今、私は生きているんだけれど、生きたいと思った。
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自殺を決意した女性がひょんなことから洋裁教室に通い始め、死装束を縫うための課題をこなしながらそこで出会った人々との交流…とか言ったらもうどんな展開になるかはわかりきってるけれど、で実際にその通りになるんだけど、なんか泣いちゃった
憂鬱で沈んだ物語が段々と前向きな雰囲気になっていく様子に素直に良かったねと思えた
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20180808 M 予約
ありきたりな展開だけど、よかったねと思える、そんな本。高校生の頃、自己流洋裁にハマった時期があったので思い出しながら読んだ。
装苑、見ながら作ってた…
雰囲気が寺地はるなに似てると感じました。
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表紙を開いた時のデザインや
しおりのリボンも素敵なかわいい本なのに
結構深い、重いものを背負っている主人公。
主人公が死に向かって生きていて
自堕落な生活を送っていたのが
洋服を作るたび少しずつ前向きになっていくのも
分かるほど、何かを作りだすことって
そういう力をもっているのかもしれない。
裁縫の描写は気持ちよく
学生時代の家庭科の授業を思い出し
なんだか懐かしい気分。手作業って癒しだわ。
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自殺しようと思って準備しかけていた麻緒.死装束を縫うという募集に惹かれて,裁縫教室に通うことになる.1枚また1枚と縫うごとに自分を振り返り,少しずつ生きる力を取り戻していく.読みながら私も20才の頃,15才の頃とどんな服が欲しかったのか考えたりしながら読み進められて意義深かった.生徒仲間のおばあさん達の個性が魅力的だった.
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死に装束を縫う洋裁教室を舞台にした物語。
赤ちゃんの生命力が、その誕生と存在自体がこんなにも周りを無条件に幸せにして、力を与えてくれる。
洋裁教室のおばあさん達それぞれ魅力があり、作る服もそれぞれの個性と辿ってきた人生が感じられて良かったな。
千代子さんがパジャマを主人公に渡す場面にはウルウル。なんて粋な事をするんだろう。出来ればその後そのパジャマを着てる描写が欲しかったかな。千代子さんの気持ちがこもってるものなわけだし。あと甥っ子に作ったベビー服の後日談も。
亡き夫の「前に進んでほしい」っていう彼なりの妻への思いはわかるけども、いくらなんでもスクラップブックはやりすぎじゃないかと。
二人の写真を見返して思い出に浸りたい日だってあるよ。それを切り取っちゃうのはあんまりだよ。
針と糸で綴られたページ数の数字がおしゃれで、細かいところまで素敵だと思った。
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タイトルが気になり読んでみました。
麻緒に何があったんだろう?とドンドン引き込まれました。
最初は切なかったけど麻緒の気持ちの変化と共に私も前向きになれました。
読み終えた今とても清清しい気持ちです。
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縫い物が好きなのでどんどん読み進めていけました。
手芸屋さんでの布地選びをしている時や
洋服を縫い進めて行く過程も
暖かな空気感を含んだ映像がはっきりと
浮かんでくるようでまるで映画を見ているようでした。
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最近ベビー用品を縫うようになり、
久々に大人ものを縫いたくなった。
死んじゃうのげんちゃんだし…涙
だけど死にたい気持ちの時には
こんな事はじめらんないよ!