紙の本
謎の独立国家ソマリランドの後日談的続編
2023/11/30 13:29
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投稿者:ブラウン - この投稿者のレビュー一覧を見る
前作でソマリ文化の洗礼を受けた著者。コミュニケーションは圧を感じるほど外交的ながら、実はシャイなくらい内向的な生活様式という、温度差で風邪を貰いそうな不可思議民族にノックアウトされた結果、メロメロになってしまった! 本編完成前なのに続編のネタ探しと見せかけて、愛しのソマリアへちょくちょく足を運びたくなっているのだから、その入れ込みようは大したものである。
今回はもっと庶民の生活に寄り添った内容。氏族≒住所な彼らは遊牧民らしく、土地も職も一所にじっとしてられない。例外はカートをキめることだけ。一見はちゃめちゃで実在を疑うような精神文化を持つ彼らだが、本書を読んでいけば彼らなりの論理が通されていること、その一端がわかることだろう。世界にはいろんな人がいるもんだ!
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最近はクレイジージャーニーでおなじみ高野秀行氏の、『謎の独立国家ソマリランド』に続く第二弾。前作で色々とお世話になった、地元TV局のワイヤップやハムディも登場する珍道中である。
今回も北部のソマリランドや南部ソマリアへ渡航しているのだが、前作とは違い一般の家庭を訪問したり、TV局の職員にソマリアの家庭料理を習うなど、高野氏のソマリア愛がどんどん深まって行く様子が非常に面白かった。
ソマリアといえば戦争と海賊のイメージしかなかったが、このシリーズ作品のおかげですっかり身近な存在になってしまった、今後もぜひ定期的にレポートしていただきたい。
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出てくる人みんな愛おしくなる
全然遠い国、地域の話なのになんだか似てるなぁとか楽しそうと思える
ソマリの家庭料理を教わってる時が一番好きだった
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2018年に読んだ本BEST10
(発行年が2018年というわけではない)
第10位 : 『恋するソマリア / 高野秀行』
・ジャーナリスト高野秀行氏による、アフリカ大陸東部の国「ソマリア」を取材したノンフィクション。
・ソマリアという国は、内戦状態の「南部ソマリア」と、平和な地域「ソマリランド」(国際的には未承認でソマリア連邦共和国の一部)など、独立した地域から構成される。描かれるのは、民主化のために言論で戦うジャーナリストたち、南部ソマリアで命の危険にさらされながらも平然と暮らす市民、それとは対照的に、ソマリランドの平和な家族の食卓など。混乱と平和の隣り合わせ、そのギャップに読み手側の想像力がなかなか追いつかない。そして、過去の民族・国境の歴史的経緯を知ると、今の状況を変えることの難しさに、やるせない気持ちになる。
・世界各国を飛び回る著者曰く、民族・国民を理解するためには人間集団を形作る三大要素「言語」「料理」「音楽(+踊り)」を身に付けること。納得。
・とにかく著者の「謎の国ソマリアを知りたい」「ソマリ人と触れ合いたい」という、知的好奇心・行動力には驚かされる。ただし、ソマリ人たちは彼にそんなに興味ないので、一方通行な片思いなのが切ない。それ程までに著者が恋い焦がれるソマリア。でも、この本を読んでも、ソマリアに行きたいとは一切思わないけど、、、
・この手の海外ルポルタージュを読むと、「我々日本人が理解できない世界の存在」を意識させられる。そして、こちらとあちら、どちらが幸せで、どちらが人間として正しい姿なのか、みたいな俯瞰した視点を持つことが出来る(ような気がする)。
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まずい。まずいぞ!と思っている。恋をしてしまいそうだ。高野さんの本に。私はお気に入りの作家が出来ると、その人の作品を半分以上は読まないと気が済まなくなる。高野さんのホントの姿、素の人物を知りたい。出来ないけど、高野さんのような旅をしたい。ここに私の理想の旅がある。いや、そこまで美化しないと、ここまで入れ込んでいる自分を正当化出来ないのかもしれない。高野さんが魅力的だから好きなのか、好きだから魅力的に見えてしまうのか、それすらわからない。
納豆の本(「謎のアジア納豆」)と並んで、これで2冊目の高野本。集英社文庫だけで17冊も出ているのだから、そうでなくても読みたい本が山のようにあり、人生は短いのに、目の前にそんな風に積まれると、つい禁断の恋をしてしまいそうだ。でも、こう書いた時点で恋は始まっている。高野さんのソマリアへの恋のように。
冷静に分析すると、高野本の魅力は(1)韓国台湾などアジアぶらぶら旅をしてきた私の旅スタイルと、規模こそ違え、似ている(2)素人人類学学者、素人考古学者の視点を持つ(3)常に庶民の視点を大切にする(4)よって政治的な立場は鮮明にしないが、結果リベラルになる。(5)何よりも「好奇心」を大切にする。というところだろうか。
幾つか面白い箇所をピックアップ。
・初対面の人間に先ず氏族を聞くのは、韓国で私が先ず「出身地」を聞かれたのと似ている。いや、韓国以上にシステム化している。
・ソマリの知識人は、漱石のように「近代的自我」に悩まない。どこにいても氏族社会に生きていて、「自分とは何者か」と問わない。
・民族を何をもって「理解した」と見るか。人間社会を形つくる三大要素は「言語」「料理」「音楽(踊りを含む)」と思う。
・ソマリ人の男は詩を吟じないと好きな女の心を掴むことができなかった。女子が男子に歌い返すこともあった。←つまり、これだけ普遍性があれば、平安時代の習慣ではなく、弥生時代にあってもおかしくはない。
・ソマリ人が客を招待するときは、盛大なもてなしを用意しなくてはいけない。
・国を愛すれば愛するほど、政府と国民(の1部)から嫌われる。ここにも片想いがある。
2018年7月読了
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前作のソマリランド読んでソマリアのことけっこうわかったつもりでいたけどまだまだ驚きの新事実が出てくるね。
めちゃくちゃソマリ人たちに振り回されてるけど、こういう気性の人たちなんだからしょうがない、って受け入れられる高野さんすごいな。
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台風13号が接近し、通過しようとする日に読み終えた。既刊『謎の独立国家ソマリランド』は、本書で何回目かのソマリ旅の間も完成してはいなかったのだ。と言うことは、もしもモガディショからアル・シャバーブが潜む最前線で命を落としていたら……本書と合わせて無事出版、文庫化されて良かった! ソマリアへの恋心全開で執筆されて、ちょっと引いてしまう面も否めないが、著者の辺境での活動には脱帽だ。
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前作を知らなくても十分に面白いと思うが、前作を知っているとより楽しめる本。僕は前作よりも楽しく読んだ。
こういう本にのめりこんじゃうと、僕までソマリアに恋している気分になる。
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謎の独立国家ソマリランドの続編。
ソマリ語の通訳として府中刑務所に行くわ、ハムディはノルウェーに行くわ、相変わらず面白い。
また、続編書くのかな。
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読書の魅力のひとつというのが、様々な考え方の人間がいることを知ること、と思っているが、まさにこの本はその魅力を煌々と放っている。
教科書的な異文化理解でなく、そこにいる人たちに密に関わり、筆者が学びながら綴ったこの本は、まさに異文化恋慕とでもいうべきものである。筆者の努力、苦心が感じられ、ソマリの日常に触れられたときには、その苦労が報われたな、と感動すら覚えた。そうして汗をかき、実際に体験しながら書かれた内容なので、生の感想が伝わってきて面白い。
しかし、自分が行ってみるのはどうか?と言われれば、やはり怖いので遠慮させていただきたい(笑)
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ソマリアへの恋から生まれる体を張った取材力は圧巻。とにかく面白いのに、ソマリアに対する不幸な先入観が払拭される(もちろんそれもソマリアの事実ではあるが。)。人はこんなにも逞しくて強いのだと清々しい勇気をもらえる。
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最高に面白い本だった
世界的に破滅国家として認識されているソマリア。その北部にある自力で政府樹立を果たすも未だ国際社会に認められないソマリランド。筆者がその生活に深く立ち入り、得られた貴重な経験がまとめられている。
ニュースは悪いことしか取り上げない。そのため、我々はアフリカ、その中でもソマリアなどはついついこの世の地獄であるかのような想像をしてしまう。しかし、日本のように衛生的で快適ではないものの、そこには幸せな生活があり、小粋なジョークを飛ばす人々がいる。そんな当たり前なことを深く再認識させてくれる。
また、欧米諸国の力によらず、自力で政府樹立の大きな1つの要因となった氏族文化も非常に興味深い。一見、日本の戦国時代のようであるが、うまく現代社会に適応させている。(ただ、国際社会にそれを認知させられてはいないが…)
現代の日本とは大きく異なった社会制度を、筆者が自ら社会に飛び込むことで解き明かしていく様はまるで冒険小説のようだった。
「その国の人々のことを知るために必要なのは、言葉、料理、音楽である」
これから、旅をする時はこの言葉を胸に刻んでいきたい。
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『謎の独立国家ソマリランド』の続編、ということになるだろうか。前作では手始めにソマリアの現状について書かれていたが、本書では更に踏み込んで著者の見たソマリア人ならではのものの考え方や文化について触れている。
面白い点の一つとして、日本と比較したソマリの人々の気質に関する著者の解釈。国の気質、文化の違いがどうやって形成されてゆくのか、それを鏡として自分達のそれはどうやって形成されてゆくのかが見えてきて面白い。
「――ソマリの知識人は、漱石や鷗外とは異なり「近代的自我」などには全然悩んでいない。――「イスラム教徒は自分がヨーロッパ人より上だと思っているところがあるからね」とのことだ。イスラムの規範がしっかりしているので、個人がアイデンティティに苦しむ必要がなかったのだ。ましてや、伝統的な氏族社会に生きているソマリ人は「自分とは何者か?」などと問う余地はさらに少ないのだろう。」(p.59)・・・などなど。
また、後半ではきわめて治安の悪い場所にも赴いており、牧歌的な雰囲気が消し飛ぶところもあるし、新たな時代の波が良くも悪くもこれまでのソマリ世界を破壊してゆく様も見られる。政治的腐敗なども書かれており、こうした異文化が日本から出たらごまんとあるんだろうなと思うと、今こうしてのほほんとキーボードを叩いている日常が、いざとなったら簡単に吹き飛んでしまうんだろうなという気持ちになる。
好きな小説を読んでいると自分の価値観がどんどん洗練されていくようで、実は単に凝り固まっているだけなのではと思うことがあるので、こうした本はそれをほぐしてくれる素敵な存在。
そして何より、「本当に何でもあり、ないのは政府くらい」(p.146)と言わしめる場所がこの世界にある、そんな「だからどうした」な事実にワクワクしっぱなしだった。
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『謎の独立国家ソマリランド』を読んでおくのが前提、だと思う。後日談であり、もっと人間ドラマがあった、イメージ。
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異文化に出会うと自分の思ってる普通が普通じゃないことに気づかされる。この本は衝撃の連続。未知の世界を体験できる。