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商品説明
悲しみ、憎しみ、恐怖。すべて見た。こみあげる怒り。それでも信じたい人間の強さ−。イラク、シリア、パレスチナなど紛争地を中心に、これまで17回の派遣に応じてきた、「国境なき医師団」看護師が生と死の極限を綴る。【「TRC MARC」の商品解説】
世界の悲しみから眼を背けてはならない!
シリア、イラク、イエメン、パレスチナ、南スーダンほかに8年間で17回派遣。砲弾が飛び交うなか、市民に寄り添い続けた「国境なき医師団」看護師による生と死のドキュメント。
戦場の外科室、小柄でたおやかな彼女の仕事場だ。
――久米宏氏推薦
朝日新聞(9月22日・書評)
読売新聞(9月22日・夕刊)
TBSラジオ「久米宏 ラジオなんですけど」(8月1日)
文化放送「大竹まこと ゴールデンラジオ」(7月11日)
――ほか、各メディアで大注目!
◎目次
第一章 「イスラム国」の現場から ─モスル&ラッカ編─
第二章 看護師になる ─日本&オーストラリア編─
第三章 病院は戦場だった ─シリア前編─
第四章 医療では戦争を止められない ─シリア後編─
第五章15万人が難民となった瞬間 ─南スーダン編─
第六章 現場復帰と失恋と ─イエメン編─
第七章 世界一巨大な監獄で考えたこと ─パレスチナ&イスラエル編─
最終章 戦争に生きる子供たち
【編集担当からのおすすめ情報】
「国境なき医師団」手術室看護師である筆者は、本書が初の著書になります。全編書き下ろしです。彼女の筆に滲むのは「静かな怒り」でした。淡々と、紛争地のありのままを描きつつ、一方でそうした現状からいつになっても脱却できない現実に思いを馳せます。
一握りの指導者たちによって始められた戦争の犠牲者は無辜の市民たちです。筆者の仕事は、その市民たちに医療活動を施すことです。絶望のなかに一筋の希望を見出す活動に従事しながら筆者が考えるのは、いつになったら戦争は終わるのか、市民たちはいつ救われるのか、というもの。現実を知ろうとしない世界に諦念すら覚えます。
新聞・テレビによって「イスラム国」支配から解放、と報じられた地に実際に赴き、その地がいかに「何も終わっていない(始まっていない)」かを筆者はその目で確かめます。ジャーナリストが立ち入れない「現場」では一体何が起こっているのか。それは本書で確かめていただきたいですが、その世界を知った読者は、決して戦場の風景を人ごとだとは思えないはずです。【商品解説】
目次
- 第一章 「イスラム国」の現場から ─モスル&ラッカ編─
- 第二章 看護師になる ─日本&オーストラリア編─
- 第三章 病院は戦場だった ─シリア前編─
- 第四章 医療では戦争を止められない ─シリア後編─
- 第五章15万人が難民となった瞬間 ─南スーダン編─
- 第六章 現場復帰と失恋と ─イエメン編─
- 第七章 世界一巨大な監獄で考えたこと ─パレスチナ&イスラエル編─
- 最終章 戦争に生きる子供たち
著者紹介
白川 優子
- 略歴
- 〈白川優子〉1973年生まれ。埼玉県出身。日本とオーストラリアで看護師の経験を積み、2010年に「国境なき医師団」に初参加。シリア、イエメン、イラクなどの派遣に応じてきた。
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紙の本
紛争地の医療の現実を知ることの意味
2018/09/15 11:00
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くりくり - この投稿者のレビュー一覧を見る
国境なき医師団の手術室看護師として、数々の紛争地を訪れた白川優子さんが紛争地の医療の現実を書き下ろしたもの。
2010年に国境なき医師団に参加登録し、8年間に活動した紛争地は9カ国、特に難民を大量に出しているシリア・イエメン・イラクなど中東への派遣回数が多い。運び込まれる患者達の被害状況がすさまじい、病院すら爆撃の危機に遭う。手術中にチームリーダーから「撤退」の命令があっても、次から次に手術をしなければならい患者を見捨てることが出来ずに手術は続行される。
イエメンの山岳地帯では空爆により診療所が崩壊し医療器具の使い回しさえ行われている。「どう改善したらよいのか」途方に暮れる中同僚から「だから私たちが来たんだよ」といわれる
パレスチナでは、パレスチナ民の封じ込め作戦の中行き場の亡くなった若者達が、自らイスラエル兵に打たれに行く現実を知る。
医療という人の命を助けなければならない、もっとも根源的な人道支援の現場から見えてくる紛争地の様は私たちに戦争の無益・無意味さを伝えてくる。
この現実を知らせたい思いで、白川さんにジャーナリストの道へ進むことも考えさせる。
その道は諦め、再び被災地・紛争地で看護師として活躍されている。
命がけの仕事を著わした白川さん。おそらく執筆という労力は、平時に行われ、本来であれば、激務を癒やさなければならない時期に執筆されたのだろう。帰国後の紛争地のフラッシュバック、PTSDに悩まされたことも告白している。しかし、あえて白川さんはつらい作業である本書を著わした。白川さんの問いかけを私たちは受け止める事が必要だ。
紛争はなぜ起こるのか、紛争や戦争をこの地球上からなくしていこう。無関心は加担だ。
紙の本
誰が読んでも必ず得るところのある1冊
2019/02/16 09:05
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あられ - この投稿者のレビュー一覧を見る
国際医療NGO「国境なき医師団(MSF)」で、手術室看護師として外傷を負った人々の医療に携わる著者、白川優子さんが、その体験を広くシェアするためにお書きになった1冊。心の揺れや迷いも率直に綴られていて、MSFの看護師さんはきっと人間として例外的と言えるほどタフで強い方なのだろうなという先入観が、よい意味で吹き飛ばされました。普通の人が努力し、「職人」と言える手術室看護師となり、そしてイエメンやシリアなどで紛争に巻き込まれた普通の人々の命を救う活動に従事し、そして接した人間の世界の現実を、私たち普通の日本人に伝えてくれる1冊です。
子どものころにMSFの活動を知り、憧れを抱いていたものの、憧れは憧れで終わっていて、高校までは将来の目標も特になく過ごしていた白川さんが、自分は看護師になりたいのだと気付いた、というところから書かれています。
看護師の資格をとるため努力を重ね、晴れて資格を手にして日本で仕事をしてきた白川さんは、MSFの説明会をきっかけに、30歳を目前にオーストラリアに留学し、MSFで必要とされる「英語で仕事をする能力」をつけるためのさらに努力を重ねます。オーストラリアで看護師として7年間働いたあと、30代後半でMSFに入り、内戦終結直後のスリランカが初派遣。
続いて、ウサマ・ビン・ラディン殺害(白川さんは「暗殺」と書いています)直後のパキスタン、内戦状態にあるイエメンへと派遣され、さらにシリア、南スーダン、パレスチナでも看護師として第一線で活動します。
国際メディアを見れば、シリアはかなりたくさん報道されていますし、イエメンも(あれでも)報道が多いほうで、自衛隊の派遣先でもあった南スーダンがこんなにもひどい状態とは、この本で初めて知りました(「自衛隊の日報」問題は日本でも大きなニュースになりましたが、現地で本当に何が起きていたかは、どれほど伝えられていたでしょうか)。
「体験記」の形式でまとめられ、文章はとても読みやすく、中学生以上ならほぼ問題なく読み進められると思います。これから将来の進路を考えていく世代だけでなく、大人でも、誰が読んでも必ず得るところのある1冊です。
電子書籍
戦争で苦しむ人々の現状
2020/05/10 22:55
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ももも - この投稿者のレビュー一覧を見る
読み進めるほどに身体が震えるほど衝撃を受けた。
医療者に関わらず、あらゆる年代の方や職業の方にぜひ読んで欲しいと思う。
紙の本
人は何のために生きているのか
2018/10/15 13:22
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:怪人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
シリア、スーダン、パレスチナ、イエメンなど名だたる紛争地での医療活動。携わられている人々への畏敬の念を禁じ得ない。
一般的に言えば、ノンフィクションにも嘘や推測が混在しているが、この本の内容は著者の目を通して派遣された地域の生情報が記されているほぼ事実であろうと思う。何とも言いようがないが、悲しいことだ。
著者の書きたい、伝えたいという気持ちが十分伝わる本だと思う。
電子書籍
医療
2019/09/16 18:54
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぽぽ - この投稿者のレビュー一覧を見る
紛争地で働く医療関係者は、強い精神力がないと務まらないんだなということを改めて感じました。素晴らしいです。