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商品説明
【芥川賞(159(2018上半期))】東京から山間の町に引越した中学3年生の歩。級友とも、うまくやってきたはずだった。あの夏、河へ火を流す日までは…。自然は沈黙し、少年たちは血の遊戯に熱狂する! 『文學界』掲載を単行本化。【「TRC MARC」の商品解説】
第159回芥川賞受賞作!
春休み、東京から山間の町に引っ越した中学3年生の少年・歩。
新しい中学校は、クラスの人数も少なく、来年には統合されてしまうのだ。
クラスの中心にいる晃は、花札を使って物事を決め、いつも負けてみんなのコーラを買ってくるのは稔の役割だ。転校を繰り返した歩は、この土地でも、場所に馴染み、学級に溶け込み、小さな集団に属することができた、と信じていた。
夏休み、歩は家族でねぶた祭りを見に行った。晃からは、河へ火を流す地元の習わしにも誘われる。
「河へ火を流す、急流の中を、集落の若衆が三艘の葦船を引いていく。葦船の帆柱には、火が灯されている」
しかし、晃との約束の場所にいたのは、数人のクラスメートと、見知らぬ作業着の男だった。やがて始まる、上級生からの伝統といういじめの遊戯。
歩にはもう、目の前の光景が暴力にも見えない。黄色い眩暈の中で、ただよく分からない人間たちが蠢き、よく分からない遊戯に熱狂し、辺りが血液で汚れていく。
豊かな自然の中で、すくすくと成長していくはずだった
少年たちは、暴力の果てに何を見たのか――
「圧倒的な文章力がある」「完成度の高い作品」と高く評価された中篇小説。【商品解説】
著者紹介
高橋弘希
- 略歴
- 〈高橋弘希〉「指の骨」で新潮新人賞、「日曜日の人々(サンデー・ピープル)」で野間文芸新人賞を受賞。
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紙の本
田舎の悪
2020/01/28 02:29
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:象太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
田舎にある悪を描いた作品。規模が小さな社会集団では、人間の悪は目に見えやすい。学校や村社会でこそ、いじめは露骨である。
主人公の歩は、都会でも地方でも暮らした転勤族の子で、中学生らしからぬ豊富な社会知識と論理的な思考力を持つ。でも、田舎の悪とその恐怖については物語の最後の最後まで気づかない。事態の傍観者でいるつもりでいて、実は鈍感であり、殺意を抱かれるに至る。読者も歩の視点で話を辿るので、結末の急激な展開に驚かされてしまう。
非常によく組み立てられた作品だと思いました。
紙の本
解決しない
2018/09/15 15:20
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:やましお - この投稿者のレビュー一覧を見る
どろどろと濃い。濃いなあ。
そして何事かは起きるのだけれど、結局何も変わらない。それは絶望でもあるし、まあそんなもの、と言ってみればそなんものである。そのへんのリアリティがこわい。クライマックスはさすがに大きく動く感じもあるけれど、解決はしない。そこがいい。
紙の本
他の人の感想が気になる
2019/03/21 21:36
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:十楽水 - この投稿者のレビュー一覧を見る
意味の分からない暴力の描写が続き、舞台となる田舎の描写が、牧歌的なものから呪術的ともいえる不吉さを漂わせるものに変化していきます。読者はこれから何か良くないことが起きる予感を居心地の悪さとともに覚えるでしょう。よく分からないけど続きが気になる。ストーリーを読ませる力が文章にはあります。そして突き放されるようなラスト。これはどう理解していいのか、正直分かりませんでした。
単なる嗜虐と言ってもいい暴力について、ある登場人物は「娯楽」と述べます。小説では暴力の主体は比較的語りますが、辺境とも言える地に根差して生きる人々に心理をあまり語らせません(ちょっと強引な線引きかもしれませんが)。暴力の背景に閉塞感を想定することはできるでしょう。ただ、それが周縁としての宿命か、個人的な背景が影響しているのかはなんとも言えません。ついつい、都会と田舎を対置して読みがちですが、主人公以外の一人ひとりに立ってみれば、また違った見方が広がるように感じます。著者が語っていないことが多く、感想を言い合い「穴埋め」を楽しみたい作品です。
紙の本
勧めないが、よい
2019/02/28 23:32
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:千那 - この投稿者のレビュー一覧を見る
第三者視点ゆえに少し読みづらさがある。いじめの描写があり、決して快くは読めな
いし、後味は悪い。しかしそれだけに、今の世の中を考えさせられる。ただ人には勧
めない。
紙の本
私はこの作品の読み方を間違っていないか
2018/10/12 06:22
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
第159回芥川賞受賞作。
芥川賞受賞作を読み終わったあと、選考委員の選評を読むようにしている。
自分の読後感と選考委員のそれを比較しようというのはおこがましいが、どの選考委員のそれが自分と近いかを確かめる程度のことだ。
今回の受賞作の場合、高樹のぶ子委員の読後感に近いものがあった。
すなわち、「こんな人間の醜悪な姿をなぜ、と不愉快だった」のである。
そんな批判がありながらも「すんなり受賞が決まった」(奥泉光委員の選評)というのもいささか合点がいかない。
この作品は父親の転勤で津軽地方の小さな集落に引っ越してきた中学三年生の少年がそこで体験する暴力を描いたもので、高樹委員の選評は先の引用に続き、「文学が読者を不快にしても構わない。その必要が在るか無いかだ」とある。
ひとつの文学作品にすべての読者が同じ評価を下す必要はないだろうが、高樹委員の言うような必要性は果たしてこの作品にあったのだろうか、私にはほとんどわからなかった。
高樹委員の選評には「青春と暴力」というタイトルがつけられていて、高樹委員は「暴力」が青春小説のひとつの魅力にもなりうると理解された上での批判とすれば、この作品を「すんなり受賞」とした他の委員とのやりとりが聞きたくなる。
読書とは「不愉快さ」と付き合う必要のない行為だと思う。
もちろん何故「不愉快」なのか、自身に問うことは必要だとしても。
紙の本
指の骨とは・・・
2018/08/09 15:31
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:玉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
芥川賞の候補となって、評判だった時、「指の骨」を読みました。衝撃というか、こういう描き方もあるのか、と、すごく印象に残りました。今回、彼が芥川賞を受賞と聞き、すぐに、本書を買い求めました。期待しました。文章はなめらかで、情景がすぐに浮かびます。しかし、ネタバレはしませんが、読後感が非常に悪いです。映画化とかドラマ化とかしてほしくないなぁと勝手に思ってしまいました。すみません。終わり方がイヤですねぇ。