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商品説明
国家と住民の対立、政策と現場のズレ、保護か利用か…。フィリピンの一農山村を舞台に、二項対立では説明できない多様な森林管理の実態を見つめ、現場レベルで独自に立ち現れる政策実践の可能性を考察する。【「TRC MARC」の商品解説】
★「朝日新聞」2018年9月22日書評掲載
間宮陽介氏評「人為的にコモンズを創る試み」
「……今日、コモンズは衰退の危機にある。このような流れの中で、コモンズを時代に即応させ、コモンズの原理を活かしていこうとする機運も高まっている。フィリピンの森林政策に特化した本書は、その特殊性を超えて、コモンズの再生と活用にも重要なヒントを与えるのではないだろうか。」
〈森を守るとはどういうことか。〉
「国家 vs 住民」「政策と現場のズレ」「保護 vs 利用」「住民間の利害対立」……。
国際機関の援助のもと、途上国で進められている住民参加型資源管理政策をめぐって指摘される問題群。
森と農地が一体的に利用されているルソン島中部の村落で、二項対立では説明できない多様な森林管理の実態を見つめ、現場レベルで独自に立ち現れる政策実践の可能性を考える。
「フィリピンは1970年代から住民参加型森林政策を開始し、東南アジアのなかでも制度化が進む国の一つである。森林回復や地域住民の生活向上などの評価がある一方で、国家が住民に森林の権利を与えることは、住民や森林に対する国家統治の継続をより見えにくくし、森をめぐる国家と住民の対立構図も不可視化しているという批判がある。
途上国の森林保全に関して、各国政府、援助機関、研究者は、有効な参加型資源管理のあり方を模索してきた。住民参加を進めるための制度の枠組みは検討が重ねられてきたが、政策の意図と異なる現場レベルでの森林管理の実践は問題とみなされ、現場で独自の制度が生み出される仕組みについてはあまり議論されてこなかった。
本書の目的は、現場における制度生成の仕組みを分析する概念枠組みを提示し、住民参加型政策が地域社会に及ぼす影響について新たな論点を提示することである。」…………著者【商品解説】
目次
- 序章 森林政策をめぐる「対立」を問い直す
- 1 森は誰のもの?
- 2 住民が森を取り戻す?
- 3 本書の課題と構成
- 第1章 フィリピンの森林政策と地域住民
- 1 フィリピンの森林政策史
- 2 フィリピンの森を守るのは住民
- 3 なぜうまくいかないのか
- 第2章 森をめぐる現場の制度を捉える視点
- 1 制度とは何か
著者紹介
椙本 歩美
- 略歴
- 〈椙本歩美〉1982年東京都生まれ。東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程単位取得退学。国際教養大学助教、バッキンガム大学客員研究員、マーガレット・サッチャー財団特別研究奨励生。
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