紙の本
おもしろい
2018/11/16 14:39
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投稿者:ぽぽ - この投稿者のレビュー一覧を見る
一緒に登山していた友人がクレパスに落ちてしまい、その後友人を回収に向かったが友人は年をとって亡くなっていた。
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個人的には久々に☆5のヒット作品!
面白くて引き込まれて一気に読み終わってしまいました。
途中何度も「えぇ!どういう事?」と休む暇を与えてくれませんでした。笑
主人公と親友樋口が一緒に山を目指すシーンが楽しくってワクワクした。
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青臭くて、そして熱い男たちの絆と友情の山岳ミステリー。下村敦史さんの作品を読むのはこれで三作目ですが、『闇に香る嘘』が中国残留孤児、『叛徒』が通訳捜査官と外国人の労働問題。
そしてこの『失踪者』が山岳ものと、作風のバリエーションの幅広さに驚きます。そしてどの作品も確実に芯を突いてくる。その筆力と構成力も本当にスゴい。
十年前の転落事故で親友の樋口を、クレバスに置き去りにしてしまった真山。彼の遺体を回収するため、再びシウラ・グランデ峰に挑み、遺体を発見した真山だったが、樋口の遺体は数年分年を取っていて……
秘密裏に生還し、そして姿を消した樋口を追う現在パートと、真山と樋口の関係性が描かれる過去パートが交互に展開していきます。
現在パートのミステリとしての面白さはもちろんだけど、過去パートで描かれる、真山と樋口の関係性が、先に書いたように青臭くも、熱くそして爽やか。
団体としての和が問われる山岳の競技大会。常人離れした才能と実力を持ちながらも、チームにまったく馴染もうとしない樋口に、別チームに所属していた真山は徐々に興味を持つように。
そして競技大会で受けた恩を返すため、真山は一人、樋口がトレーニングしている山へ挑みます。そこで徐々に見えてくる孤高の天才、樋口の底知れない実力と野望、そして孤独。それに強く惹かれた真山は、樋口の夢に付き合う決心を固め……
何者も寄せ付けなかった樋口が見せる意外な顔と、真山が樋口の才能と登りっぷりにとことん惚れ込む様子が、どんどんと読んでいる自分を引き込んでいきました。
このときの二人は大学4回生だけど、それを感じさせない青さと爽やかさ。青春真っ只中という感じがして、読んでいて爽快感すら感じさせます。
そして、物語の骨組みを支えるのが、登山に関しての知識と、圧巻の登山の場面。いずれの描写や説明も丁寧かつ迫力に溢れていて、山と男たちの物語がより真に迫ってきます。
大学卒業後も二人の絆はますます深まり、ついに樋口の悲願だった標高8000メートルを超えるK2と呼ばれる山脈に挑むことに。しかしそのタイミングで、真山の身辺に思わぬ事態が起こり……
K2へ挑む二人のワクワク感から、二人の決裂。それは一つの時代が終わったような寂しさを、読んでいる自分も感じました。そしてそれぞれの道へ袂を分かった二人を、忘れられぬ山への思いと、絆が再び結びつける。この男臭さも熱さも本当にたまらない!
過去パートが10年前の事件に追いつき、そして描かれる現在パートの真実。消えたはずの樋口と同じ登山スタイルの謎のクライマーの正体。そして、最後に真山がシウラ・グランデ峰で見つけたものと、たどり着いた樋口の想い。
死んでしまった登場人物はもう戻ってはこない。その登場人物が魅力的であればあるほど、物語とは分かっていながらも残念に感じてしまいます。しかしこの『失踪者』のエピローグは、その残念な気持ちを凌駕し、心に何か熱いものを残してくれました。
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真山道弘が友人だった樋口友一の遺体を遭難現場で確認した場面から始まる物語だが、過去と現在の事象が交錯しながら謎を明らかにしていく展開が楽しめた.遺体の樋口が年を取っていたことを発見した真山は、彼の生存を確認しその理由を探る.榊智輝や宮崎洋介などクライマーが登場するが、真山の探究に多くのヒントを与えてくれている.謎の人物 谷本勇一の存在を探ることで、樋口の思いを確認した真山.感動的な終結だ.
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山岳ミステリー。10年前に滑落して失踪した相棒の遺体を回収しに行くと、明らかに年を取っていた。なぜか?相棒の足取りを追うと、別名で8000m峰を登りまくる謎の日本人にたどり着く。しかし相棒は5年前に死んでいた、では今の謎の登山家は誰なのか?
登山の描写はまあまあのリアリティ。ストーリーの展開も早く読みやすい。
主人公のがっかりを払うために8000m峰に登って強さを証明し、最後は病気で死ぬ前に、クレパスに自ら戻って死ぬという、主人公と相棒の友情が、というか樋口の主人公ラブ度がすごすぎ。あと、宮崎というキャラの性格がくそ過ぎて逆にすがすがしいほど。
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友人、と言うには軽すぎる友と過ごした登山。その相棒が登山途中の事故で自分たち達を助けるために、ザイルをみずから切って死亡したと思っていた。その亡骸を見つけ連れ帰って弔おうとしたのだか、事故を起こした時よりも明らかに歳を重ねていた。
彼はいつどうして、同じ場所で亡くなることになったのか!
山男の友情に溢れる物語。
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山岳ミステリーもの。
ミステリーであり山岳家たちの青春や競技のことも。
厳しい自然と向き合う山岳家たちの過酷な状況やスポンサーを得なければならない難しい環境なども含めた人間ドラマでもあり。
あのときにこうすればあすればという後悔のエピソードは青春ものとも言える。
メインは何故遺体は死んだはずの年齢よりも年を重ねているのかという謎。
失踪した者と彼を追う者。二人の間にあった葛藤と絆に泣きそうになる。
どれだけお互い好きなのか。山を登るときにザイルをつなぐ。
二人の間に命をつなぐ絆の深さや思いやりを感じる。
生きて二人でK2を制覇する現実もあったのだろうか。たらればだけれど二人で幸せになって欲しかったなぁと思ったりする。
著者には幸せな山岳小説を書いて欲しくなる。
切ないし悲しい。やりきれない気持ち。
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10年前転落事故で死亡した友の遺体を収容しに、主人公は南アンデスのシラウ・グランデ峰に向かう。しかし、その事故現場で見つけたのは、数年分歳を取っていた友の遺体だった。
その理由(わけ)は?
さらに死んだはずの友と同じ登攀スタイルの人物が現れ、オカルト的な謎がさらに深まる。
そして小説は、2016年の現代と事故当時の06年、大学時代の1991年や92年、さらには99年、03年、04年と、目まぐるしく過去と現代を行き来する。
著者の巧みな手法に翻弄されながら、読者は頁を捲らざるを得なくなる。
随所に記される登山シーンは、その場に臨場しなければ描けないほど見事な迫力がある。
しかし、著者に本格的な登山経験は無いという。
作家の想像力、畏るべし。。
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ストイックに山と向き合う真っ直ぐな山男同士の友情は静かな情熱を帯び、ひしひしと胸に迫る。氷の底で二度命を落とした真実が明らかになった時、涙が滲み心が震えた。
孤高の頂にいたミステリアスな樋口も魅力的だったが、真山との絆に溶かされ、悲しみや埋めようのない空白を知って弱さを垣間見せる彼の姿もまた人間らしい魅力が尽きない。時代が前後する読みにくさを除けば脇役も善悪明解でスッキリ。
山に魅せられた男たちの間に女の入り込む余地がない一抹の寂しさを感じながら、一切湿っぽさのないカラッとした晴天のような読後だった。
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雪山で亡くなったはずの親友を迎えに行くが、氷河の底にある遺体は、当時よりも年老いていた。
あの時死んだのではなかったか??
あらすじにひかれて読んでみた。
ミステリー要素を楽しみに読んだけど、過去の話が長すぎて、ミステリー部分はほとんどなかった。だんだん真実が明らかになる様子を楽しみたかったけど、過去の登山家たちの確執などが出てくるだけで、真実は最後の最後にちょっぴり出てくるだけ。
専門用語が多すぎて、感情移入できなかった。
残念。
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途中までなかなか物語に入り込めず、もどかしかったが、大満足のエンディング!自分自身も登山は好きだが雪山に登る勇気は出ず、夏山止まり。
なのでもちろん八千メートル級なんて想像もできないけど、物語としてその過酷さを読み、また山頂への道のりにロマンがありとても面白かった。
ミステリーの構成としても、登場人物の心の動きがとてもリアルで最後まで納得のいくストーリー。頑張って読み切って良かった!
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山の壮大さや自然の美しさと恐怖が存分に感じられる。命をかけて雪山に登る意味。一匹狼だった樋口が相棒を得て、一人が寂しいと語る場面が印象的。登山の苦しみ、辛さ、そして何ものにも代えがたい喜びが伝わってくる。樋口が一度は生還したのにまた雪山で、同じ場所で死んだのはなぜか。謎めいたものがあり、一人の人間の過去を追う。取り戻すことのできない時間や後悔はあるけれど希望も感じられる真相でよかった。
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生還者 に続く下村さんの 山岳ミステリー
10年前の転落事故でクレバスに置き去りになっている親友樋口を迎えに行く真山…が氷漬けの遺体が何故か年老いていた!? 樋口はあの時亡くなったはず!それとも?
この謎を軸に真山と樋口の出会いまで遡り、そこからぐいぐい話に引き込まれます。
さすが下村さん。今回もほぼ一気読み!
下村さんのおかげで、自然に魅せられ、生死をかけた熱い登山家達の生き様に興味が湧きました。
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辛い
読み終わっても涙が止まらない
なぜ会社を辞めてくれなかったんだ
なぜ一緒にK2をのぼらないんだ
樋口さんの方に感情移入してしまい、読むのがつらかった
もしあそこで真山が会社を辞めていたら?そのルートも読みたいなぁと思った。
最期は自分の意思でクレバスの中で息絶えたと思うと…
シウラグランデをおとして、K2に登る二人を読みたかった
山はいい
体力なくて登れないから山岳小説は大変ありがたい
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3日前に読み終えた著者の山岳ミステリー「生還者」からの続け読みとなりましたが、しっかりと完成度が上がってますねぇ〜(^^)
同じ山岳ミステリーですが、登場人物も含めて全く別の作品で決して前作の続編ではありません。
主人公は真山道弘、助演が真山の親友である樋口。
10年前の転落事故でクレバスに置き去りにした樋口を真山が迎えに行くシーンから物語は始まります。
クレバスの底で発見した樋口の遺体は10年前より歳を重ねていた。
これが本作最大のミステリー。
その謎を解き明かす為、真山は樋口の過去を追うことを決意する。
そして、2人が山岳部に所属していた過去へと物語は遡り、過去と現在を行き来しながら進んでいきます。
前作「生還者」では少し物足りなく感じた山岳シーンも登山なんて縁もゆかりもない私にも本作ではリアルに伝わってきました。
何より胸を打つ熱き友情。
孤高の天才クライマー樋口が唯一ザイルを繋いだ真山道弘(樋口はヤマミチと呼ぶ)、出会い、別れ、死別...
決してハッピーエンドな物語ではありません。
しかし、それ以上に熱いものを感じさせてくれました。
説明
内容紹介
2016年、ペルーはブランカ山群。山岳カメラマンの真山道弘は単身シウラ・グランデ峰を登っていた。10年前、クレバスに置き去りにしてしまった親友・樋口友一を迎えにきたのだ。クレバスの底に降り立ち、樋口を見つけ出した真山だったが、遺体の顔を覆う氷雪を落として驚愕する。極寒のクレバスに閉じ込められた遺体は、歳を取ることなく凍りついてしまうはず。しかし、樋口の顔は明らかに10年前より老いていたのだ!
ありえない、そんなはずはない。
10年前、あいつは死んだはずだった――
極寒の氷雪峰に置き去りにされ、
“時”とともに氷漬けになったはずの友。
しかし、対面した遺体は明らかに歳をとっていた……
2016年、ペルーはブランカ山群。山岳カメラマンの真山道弘は単身シウラ・グランデ峰を登っていた。10年前、クレバスに置き去りにしてしまった親友・樋口友一を迎えにきたのだ。ずいぶん待たせて悪かったな――クレバスの底に降り立ち、樋口を見つけ出した真山だったが、遺体の顔を覆う氷雪を落として驚愕する。極寒のクレバスに閉じ込められた遺体は、歳を取ることなく凍りついてしまうはず。しかし、樋口の顔は明らかに10年前より老いていたのだ。なぜだ、ありえない。まさか、樋口はあの時生還していたのか?ならばなぜ連絡をよこさなかった?そしてなぜ同じ場所で命を落としている?樋口、お前は一体何をしていたんだ?
親友が過ごした、謎に包まれし“歳月”。
真相にたどり着いたとき、あなたはきっと胸を熱くする。
注目の乱歩賞作家が仕掛ける、哀しき罪と罰。
『生還者』につぐ感涙必至の山岳ミステリー!
内容(「BOOK」データベースより)
十年前の転落事故でクレバスに置き去りにしてしまった親友・樋口を迎えに、シウラ・グランデ峰を登る真山道弘。しかし、氷河の底の遺体を見て絶���する。氷漬けになっているはずの樋口は年老いていたのだ!親友に何があったのか。真山は樋口の過去を追う。秘められた友の思いが胸を打つ傑作山岳ミステリー。
著者について
下村 敦史
1981年京都府生まれ。2014年に『闇に香る嘘』で第60回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。同作は「週刊文春ミステリーベスト10 2014年」国内部門2位、「このミステリーがすごい! 2015年版」国内編3位と高い評価を受ける。同年に発表した短編「死は朝、羽ばたく」が第68回日本推理作家協会賞短編部門候補に、『生還者』が第69回日本推理作家協会賞の長編及び連作短編集部門の候補となった。他の作品に『難民調査官』『サイレント・マイノリティ 難民調査官』の「難民調査官」シリーズ、『真実の檻』『失踪者』『告白の余白』『緑の窓口 樹木トラブル解決します』『サハラの薔薇』『黙過』がある。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
下村/敦史
1981年京都府生まれ。2014年に『闇に香る嘘』で第60回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。同作は「週刊文春ミステリーベスト10 2014年」国内部門2位、「このミステリーがすごい!2015年版」国内編3位と高い評価を受ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)