「honto 本の通販ストア」サービス終了及び外部通販ストア連携開始のお知らせ
詳細はこちらをご確認ください。
紙の本
つくられた卑弥呼 〈女〉の創出と国家 (ちくま学芸文庫)
著者 義江明子 (著)
邪馬台国の女王卑弥呼は「神秘的な巫女」だったのか? 近代に創られたこのイメージを覆し、卑弥呼を政治的実権をもった王として位置づけなおし、さらには卑弥呼に象徴される古代の女...
つくられた卑弥呼 〈女〉の創出と国家 (ちくま学芸文庫)
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
商品説明
邪馬台国の女王卑弥呼は「神秘的な巫女」だったのか? 近代に創られたこのイメージを覆し、卑弥呼を政治的実権をもった王として位置づけなおし、さらには卑弥呼に象徴される古代の女性首長たちの実像を明らかにする。【「TRC MARC」の商品解説】
邪馬台国の卑弥呼は「神秘的な巫女」だった? 明治以降に創られたイメージを覆し、古代の女性支配者達を政治的実権を持つ王として位置づけなおす。【商品解説】
著者紹介
義江明子
- 略歴
- 1948年大阪府生まれ。71年、東京教育大学文学部史学科卒業。79年、東京都立大学大学院人文科学研究科修士課程修了。現在、帝京大学名誉教授、文学博士。主要著書に『日本古代の氏の構造』『日本古代の祭祀と女性』『日本古代系譜様式論』『古代女性史への招待』『日本古代女性史論』『県犬養橘三千代』(以上、吉川弘文館)、『古代王権論』(岩波書店)、『天武天皇と持統天皇』(山川出版社)、『日本古代女帝論』(塙書房)、共編著に『日本家族史論集』全13巻(同)、『日本古代史研究事典』『平安時代儀式年中行事事典』(以上、東京堂出版)がある。
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
卑弥呼の実際に迫った画期的な一冊です!
2019/01/24 15:10
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、誰もが歴史で習った邪馬台国の卑弥呼についてその真の姿を考察した一冊です。卑弥呼は、神秘的な巫女であったと多くの人々に信じられていますが、実は、これは明治以降に創られたイメージであったことが同書によって明らかにされます。では、卑弥呼は一体、どういう人物だったのか?同書は、『魏志倭人伝』、『風土記』、『古事記』、『日本書紀』などを注意深く読み直し、その真の姿に迫っていく貴重な一冊です。
紙の本
明治期につくられた卑弥呼に関する概念に対峙する狗奴国と戦う卑弥呼論が展開されていますが・・・
2019/10/25 18:45
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:多摩のおじさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「魏志倭人伝」の卑弥呼に関し、「卑弥呼だけを特別視しない」という基本姿勢(p.11)で、まず弥生から古墳時代の古墳からの出土や713年の
勅による風土記のヤマト朝廷と戦った首長「土蜘蛛」の記述や「続日本紀」の隼人に焦点をあて、女性首長の存在を検証しており、特に首肯させ
られた点は以下のとおりです。
・鉄剣、槍等の武具や鉄斧といった軍事、生産に関わる出土品を伴う30代後半の女性首長の宇土市の向野田古墳(4世紀末~5世紀初)
・鉄剣、鉄斧が副葬された河川流域を支配したと見られる京丹後市の竹野川上流の丘にある熟年女性の大谷古墳(5世紀前半)
・瀬戸内を見下ろす山にある銅鏡、鉄刀を副葬した熟年女性の神戸市の得能山古墳(4世紀頃)
・首長の久津媛、速津媛に密告された男の土蜘蛛(豊後国風土記)
・抵抗し滅ぼされた女首長の海末橿姫、浮穴沫姫(備前国風土記)
・2人の女首長を含む8人の土蜘蛛の大和武尊との戦い(陸奥国風土記逸文)
・男神と水争いした女神・石竜比売命、国堺を争った播磨刀売と丹波刀売(播磨国風土記)
・隼人の女首長と思われる薩摩比売、久売、波豆および3人の男首長の覓国使を武器で脅す(700年・続日本紀)
それに続く「魏志倭人伝」の卑弥呼に関する検証では、「男弟」が全面的に国政を担ったのではなく、実際に政治を行う卑弥呼の傍らに「男弟」を
筆頭とする補佐役(佐治)がいたと推定し、「少有見者」を王は外国からの使者とは対面しないという倭国の伝統に照らし、卑弥呼は外国使者から
みて「見えない王」に過ぎないとし、飲食という奉仕を通じて日常的に側におり、宮殿に自由に出入りし、その言葉を外部に伝え政治的力を行使し
たかもしれない「男子一人」を夫と推定(p.105-108)し、公然化できない夫の例として、記紀に記述の清寧天皇の死後を継いだ5世紀末の飯豊
青尊を引き合いに出し、夫を持ったことを含め実質的執政者として無視しえない伝承であり、ヤマトの王が男女の区別なく、身近な鳥、魚、器物の
名を名乗り、それと一体化する呪術的・即物的観念が支配的だった時代の女の王の伝承としています。(p.110-119,126)
終章では、「魏志倭人伝」の卑弥呼が「鬼道」つまり巫術に優れ、女王国に属さない狗奴国との対立、魏への支援要請(p.95-96)を改めて考えれ
ば、明治43(1910)年の内籐虎次郎や白鳥庫吉の卑弥呼の宗教的君主、国政(特に軍事)は男帝とした理論に矛盾を感じぜざるを得ない著者
の思いと本書の上梓の理由(p.189-197)が明らかになります。
一方、「卑弥呼だけを特別視しない」という基本姿勢は、男女首長の区別や「ヒコヒメ制」の否定を伺わせる(p.168-169)等のやや強引な展開と
なり、以下疑問も浮かびました。
・御贄献上し服従した土蜘蛛のとして大耳、垂耳を挙げるが女首長の記述みられず(p.23-24)
・土着勢力「賊」(国栖)であった女首長の寸津毘売が天皇に降伏した常陸国風土記の記事(p.25)は、いつの話か
・「無夫婿」の記述(p.88)を否定してまで「男子一人」で夫と推定(p.105-108)する必要があるのか
・「魏志倭人伝」の「倭王は天を以って兄となし、日を以って弟となす」の天と日に全く言及しないのは何故か(p.157)
・推古、崇峻天皇が鳥獣の名を持つ呪術的支配者から支配機構の頂点への転換点で崇峻天皇の「長谷部若雀」は示唆的と
しているが、鳥獣の名を持つ例として、雀も挙げており明らかに矛盾(p.158-159)
・推古天皇の和風謚号にある姫は皇后にあった大王を示す称号(p.162-163)とするが他の女帝(例えば、舒明天皇の皇后の
皇極天皇の謚号)も挙げるべきでは・・・