紙の本
プロジェクトX
2021/11/24 16:48
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投稿者:dsukesan - この投稿者のレビュー一覧を見る
江戸時代、当たり前と思っていた西廻り航路、東廻り航路も、その創成にはこれだけのドラマがあったのかと気付かされる。
河村屋七兵衛(河村瑞賢)の生涯を辿り、航路開発のみならず、様々な治水や銀山開発へ取り組むドラマが描かれる。
プロジェクト管理、ミクロ経済学、人生訓、様々な視点からも気づきと刺激のある小説。江戸時代の行政、公共事業がどの様になされたか、プロジェクトXの様に読めた。
紙の本
江戸時代の主役の一人と言える男の物語
2018/12/22 18:28
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投稿者:とりこま - この投稿者のレビュー一覧を見る
河村瑞賢の名前は教科書で知っていたが、航路開拓、新田開発、治水に銀山開発、これだけのことを成し遂げた人物とは知らなかった。
まさに、江戸時代の繁栄と安定を造った男、と言える。
さらに、壮年から老年に掛けて次々と行っていったことにも驚き、商人ながら自己の利益よりも世のためになることを行う生きざまに感動した。
壁にぶつかっても駄目、無理と言わず、諦めずに考えれば道は開ける、という信念を見習いたい。
多くの人に読んでほしい快作である。
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「何か新しいことをやろうとすれば、問題が次々と出てくるのは当然のことだ。それを地道に片付けていく根気があるかどうかが、成功者と失敗者を分けるのだ。」七兵衛のこの言葉が心に響く。気持ちが萎えたとき、何度も思い出したい言葉。著者らしいマッチョな世界観で構成されているが、挫けそうなときに気持ちを奮い立たせてくれる一冊。
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冒頭の方で、木曽を訪ねた七兵衛が出くわした地元の子ども達に「一寸した玩具」として、子ども達が珍しがった銭をあげる場面が在る…七兵衛が大物になって行く前の、「明暦の大火」というようなことで江戸が大変な騒ぎだったような時代…「全国津々浦々で銭が幅を利かせていたのでもない」という状況が反映されている…七兵衛が手掛ける航路のような、全国各地を結ぶ輸送ルートが拓かれ、定着して発展する中、全国津々浦々で“貨幣経済”ということになって行く…或いはそれが「江戸時代の社会変化」な訳で…正しく七兵衛は「“江戸時代”と呼ばれるモノの礎を造った」ということにもなる訳だ…
或いは…「“ビジネス書”的な“時代小説”」という感じがしないでもないが…“ビジネス”ということではなく、「驕り高ぶらずに、正直に仕事を続けようとした男」の物語、息子達に先立たれるというような不幸も在りながら、それを乗り越えて精力的に仕事に邁進する生き様…そういうようなモノが活写され、夢中になってしまった…
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以前、伊東さんがTwitterで「何かを学ぼうとする読書は、もう古い。教養としての読書。」というようなことをおっしゃっていた。確かに今までは何かを学ぼうと思って、読書をしていたところがある……。
河村屋という材木商がいた。彼は急増する江戸に米を運ぶため、海の道を作り、治水をし、大阪の治水までし、銀山まで開いた。晩年は、瑞賢と号した。
ほほぅ、そんな人が、いたのか。で、良いのかもしれない。
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初伊東。ブラック企業の経営者、人に教えを説く方々に読んで頂きたい作品。こんな上司の元、働きたいものですね、ホント…(^^;; 「新井白石」名前だけは知ってはいたが、こうして物語として血肉が与えられると歴史上の人物としての白石にも興味が沸き、少し親近感(?)すら感じますね。小説を通して歴史を学ぶ、良いものです。大変良い作品でした!星五つ。
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伊勢の貧農に生まれた七兵衛(後の河村瑞賢)は江戸に出て、苦労の末に材木屋を営むようになり、明暦3(1657)年、明暦の大火の折に材木を買い占めて莫大な利益を得る。
やがて幕府老中の知遇をえて幕府の公共事業に関わっていく。
日本列島の東廻航路・西廻航路の整備や全国各地で治水・灌漑・鉱山採掘などの事業を手がけ、その知恵と胆力で次々と難題を解決していく。
新井白石をして、「天下に並ぶ者がない富商」と賞賛された男の波瀾万丈の一代記。
2018年は河村瑞賢生誕400年。
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河村屋七兵衛(河村瑞賢)の生涯を描いた作品。
七兵衛の人や仕事に対するスタンスにひたすら感銘をうける。なんといってもその柔軟さがはんぱない。こうありたいものだ。
漬物屋から漆喰屋、人材派遣、材木問屋という商人として大成をするまでが序章という恐ろしさ。その後明歴の大火をきっかけにとし、江戸のインフラ整備に携わっていく…
「今、自分が何をすべきかを常に考えていろ」という五郎八の教えが好き。
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河村瑞賢が主人公。
恥ずかしながら、そのような人物が存在したことさえ、
まったく知らず、本書を読んで把握するに至った。
タイトルから想起するものとは異なっていたけれども、
江戸商人のひとつのモデルケースとして捉えるとなかなか興味深いものだった。
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河村屋七兵衛(河村瑞賢)の携わった数多くのプロジェクトをまとめた内容だが、それぞれの事業で優秀な助太刀を的確に見つけ出して、彼らと心を通じてお互いに仕事を完遂させる手腕は素晴らしい.冒頭の木材調達での山村三郎九郎、東北の米の輸送での武者惣右衛門、西廻り航路の開発での船大工清九郎、大阪平野の河川改修での甚兵衛、銀山の開発での粂八や宗甫などなど.苦労を跳ね除けて事業を完成させる馬力には感心する.凄い人物だ.
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河村瑞賢の物語でイメージが明確でなかった
東廻り航路の開発とか教科書で習っていても
意味わかりません(原野の開発と違うからね)
堀田稲葉の江戸城内暗殺事件も上手く描かれ
やはり作家さんの物語内の心理描写はうまい
甘利にも聖人君子に描かれているのは別にし
て、現在の企業と異なり商人は世の中から生
かしてもらってる感謝の気持ちが必要なのか
大概社会貢献的な行動を行っている
江戸初期のインフラ作りを独りで請け負う運
命が今見ると奇妙であるが事実は重いものだ
さて、角倉了以にはどんな物語があるのかな
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江戸を造った男ということで、興味が湧いた。
江戸時代は200年以上続いた統制の世だが、合戦がなかったので、日本史を学んでいた当時、さほど興味が湧かなかった。
しかし、年を経るごとにこの統治の勘所が何かを知りたかったが、なかなかとっかかりがない。
そういう意味で本書は非常に良かった。
本書の主人公は河村屋七兵衛という名の商人。
明暦の大火によって、息子の一人を失い、そこから立身出世を奉公によってなしていくストーリーが非常に良かった。
多くの事業を興した七兵衛だったが、西回り、東回りの廻米航路や機内の治水事業、そして鉱山開発など、特に50代以降の晩年にこういった大きな事業をやり遂げた。
途中、鉱山では息子を亡くしてしまい、最終的に4男以外は親よりも早く逝去することになるが、そうした家族のストーリーも七兵衛の人間味あふれる事業家のストーリーに華を添える。
結果、江戸時代には鎖国を実施し、各国の公共事業を整備していたため、長らく反映していったのだという事実がわかった。
特に経済的な安定がもたらしたことが大きい。
私は導入の明暦の大火から、江戸の材木復興によって再建したのかと思っていたが、浅はかだったなと感じた。
こうしたなかなか歴史の表舞台に立ちにくいい人物のストーリー、もう少し幅広く読んでいきたいと思う一冊だった。
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解説には「河村屋七兵衛の名を知る人は多い」と書かれていたが、私は、この作品で初めて知った。物流、防災、食料増産、資源開発。経済の大本となる大きな事業を、これほど多く手掛け成功させた人がいたとは。しかもそれが、江戸時代の一商人が成し遂げたことだとは。まるで、天下取りの一代記のような壮大な一生は、実に面白かった。
もちろん、七兵衛こそが、面白い一生だったと心から満足していることだろう。
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江戸時代の商人ながら治水、灌漑、鉱山採掘などの大型プロジェクトを主導した河村屋七兵衛の物語。その目覚ましい活躍は今の時代からは想像を絶するものだったのだろう。小説としてはやや武勇伝すぎる、また歴史の文献的な感じもあるが、それが七兵衛の姿を現しているのかもしれない。
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江戸時代、当たり前と思っていた西廻り航路、東廻り航路も、その創成にはこれだけのドラマがあったのかと気付かされる。
河村屋七兵衛(河村瑞賢)の生涯を辿り、航路開発のみならず、様々な治水や銀山開発へ取り組むドラマが描かれる。
プロジェクト管理、ミクロ経済学、人生訓、様々な視点からも気づきと刺激のある小説。江戸時代の行政、公共事業がどの様になされたか、プロジェクトXの様に読めた。