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Google MAP、そしてGoogle EARTHの誕生、そしてナイアンテックの起業までの話。IT起業におけるビジョナリーはこういう人なんだろうな、というのがよく分かりました。
Googleはインターネット、そして物理世界を検索可能にし、それは社会に大きなインパクトを与えます。この振幅の大きさを感じ取っていただきたいです。
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Google Map創造の物語。彼らのGoogle Earthを最初に見たときは、まるで魔法を使っているようでとても驚いた。Google Mapは、AJAXという技術を使っているということだったが、それまでのWeb体験を一変するものであった。技術がブレークスルーを起こしている瞬間を見た体験だった。それ以上に、Google Mapの存在が世の中をいかに便利に変えたかはここでは(どこであっても)書ききれない。Google Mapは、いまやあって当たり前、ないと困るプラットフォームになっている。
その技術はキーホールというベンチャー企業が作ったものだというのは、もしかしたらすでに聞いていたことかもしれない。本書はそのキーホールという会社の創業と発展に、創業者であるジョン・ハンケとともに最も近い人の一人としてかかわった著者が、会社誕生からGoogleによる買収、そしてGoogle Map/Google Earthを世に出す苦難と成功の物語となっている。
幾多のベンチャー企業の例に漏れず、一時期はキーホールも資金調達に非常に苦労することとなった。従業員の給与カットにまで手を付けたので、よほどのことだったろう。著者は次のように書く -
「それでもキーホールが生き延びられたことが信じられない。失敗への道は無数にあった。私たちはとてつもなくラッキーで、あらゆることが奇跡的にうまく運んだ」
一方で続いて、「キーホールで働いた人たちのことも私はよく知っている、今思えば、失敗する可能性なんてなかったのかもしれない。どんな障害があろうと、どれだけ道を間違えようと、私たちはきっと最後には正しい道に出られたのだ」
キーホールがそれほど期待せずにCNNに使ってもらうときに、キーホールのクレジットをテレビに出すことにした契約は同社の飛躍に役に立った。CNNがイラク侵攻のニュースレポートでキーホールの地図を使い続けたからだ。それはある意味では偶然のきっかけだったかもしれないが、その幸運がほほ笑むためには日々の限界までの努力が必要だったのだ。
Googleに買収された後は、ラリー・ペイジの「君たちは、それよりもっと大きく考えた方がいい」という言葉と、マリッサ・メイヤーらとの社内政治に翻弄された。いずれにせよ、キーホールがGoogleに買収されたのは、今では必然であったように思えるが、少なくとも世界にとっても大きなできごとになった。
Google Mapは、米国以外では初めて日本で2005年にサービスリリースされたという。そのときにケイ・カワイ(河合圭一)が「日本の東北地域にいた根性あるプロダクトマネージャー」として主導したと書かれている。今は本社でプロダクトマネージャーとして活躍されているそうだが、著者にとってもその活躍は相当印象的だったようだ。「データ契約を取り付けるため、たゆみなく働いた」と書かれているが、ゼンリン社との交渉だったのだろうか。「東北地域にいた」とわざわざ書かれているが、東日本大震災の際にもたゆみなく働くことになる。
なお、Google Map APIは当初無料だったが、数年後に有料化された。これはロケーションベースサービスを提供する側の企業が求めたことだったという。無料でも、Googleの都合でサービス内容を変更できるようなAPIを重要なビジネスで使うことはできないからだ。そのようにして、Map APIは企業家とデベロッパーを惹きつけ、Google Mapは社会のインフラとなっていった。Map APIを活用するデベロッパーのためのイベントとして開催されたGoogle Geo Developer Dayが今のGoogle I/Oになったという。こういうところに歴史が潜んでいるのだ。
最後に「この冒険で私が最も面白いと思うこと」として、Google MapとGoogle EarthがGoogleに利益をもたらしたかどうかわからない、ということを挙げている。「君たちは、それよりもっと大きく考えた方がいい」という経営者のいる会社では、お金を稼ぐこと自体、優先事項のトップ10にすら入っていなかったという。Google Mapのプロジェクトに対して、誰も投資対効果や投資回収期間について聞かなかったという。「Google MapとGoogle Earthは世界への贈り物」であるらしい。これについては、著者ならずも、ひどく方向音痴な自分も含めて多くの人がその贈り物に感謝するべきだろう。
キーホールの創業者兼元CEOのジョン・ハンケは、Google Mapの大成功を導いた後、Googleを出てNIANTICという会社を興し、ポケモンGOを大ヒットさせている。ハリーポッターのゲームをリリースするそうだ。ポケモンGoでは、日本人の名前もたくさん出てくる。Google Street Viewの進化、ARゲームの進化、Google Mapの物語はまだ終わらない。
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今、なくなったら一番困るアプリはGoogleMapかもしれない。
ジョン・ハンケ(この本では最後にちょっと出てくるだけだけど、彼はこの後、ポケモンGoでさらなる大ヒットを飛ばす)がキーホールというソフトウェアを作った当初は衛星写真を表示するだけであったが、これだけでも世の中からは熱狂的に迎え入れられた。スマホに搭載され、GPSと連動するようになった今はもう、これなしでは外が歩けない。海外を含め、旅先などでは本当に重宝する。
さらにGoogleの検索機能とリンクしているので新しく出来た店などの情報もアップデートされている。現在ではストリートビューの画像が加わり、道路標識や住所などの情報が直接抽出されるようになっている。道路のどちら側も同じ方向に車が走っていたらその道は一方通行だとソフトウェアが判断するようになっている。
衛星写真は1キロ平方あたり1ドルで購入していた(世界全体で800万キロ平方)とか、地図ならではの問題(日本海、という呼称に韓国が怒っているような事例が世界中にある)を避けるため、ユーザーがどこからアクセスしているかによって表記を変えているとか、いろいろ面白い話も多い。
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ジョン・ハンケ本人ではなく、その側にいたいた人による著作。
『Google アース』や『ストリートビュー』が公開された時のことを思い出しました。いやー驚愕しましたよね。地図が好きなのもありますが、これまでの常識を覆すようなすごいプロダクトで、衝撃を受けたことを今でも思い出されます。
思わず図にしてみました。
http://takanoridayo.blog.shinobi.jp/Entry/570/
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一気に読んだ。デジタル地図を作成するベンチャー企業キーホールがグーグルに買収され、グーグルマップやグーグルアースを生み出す過程を詳細に紹介している。ジョン・ハンケの生み出したデジタル地図の世界は現在のナイアンティックに引き継がれているのだろう。一読をお薦めしたい。
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ちょうどGoogle マップの劣化問題が話題になっていたこともありタイムリーな内容で非常に面白かったです。本の中でもGoogleは自社データに切り替えていくことが書かれており、日本でのリニューアルについても必然の流れだったと思います。
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エキサイティングな起業家のサクセスストーリー。マーク・ザッカーバーグを扱った映画の原作『フェイスブック』に似た読後感。
主人公はジョン・ハンケ(Googleマップ&Googleアースの前身となる製品を産み出したキーホールのファウンダーであり、Googleに買収された後もGoogleマップチームを率いていた人物。更にその後はポケモンGOを生み出すナイアンティックのファウンダーとなる)。著書は、そのジョンとすべてを共にしたマーケティング担当のビル・キルディ。
すべての始まりであるキーホールの起業から、Googleに買収され、世界中の人たちの生活を激変させるところまで、が本著では描かれてる。(更にポケモンGOが世界を席巻するところも少しだけ書かれてる)
初めては小さな規模で始まった、キーホールのアースビューワーも後にCNNがニュースで使うようになって爆発的にトラフィックが増える、みたいな話も、Google買収後と比べるととてつもなく小さなスケールに感じてしまうくらい、ぐんぐん話がデカくなる。
みんなが使ってるGoogleのキラーサービスのひとつGoogleマップも、Googleの中から生まれたのではなく、キーホールというベンチャーの革新的なアイデアとテクノロジーを買収したところから始まっているが、だからと言って、Googleは金にモノを言わせて、自分では何もしないのかというとそうではなく、明らかにGoogleのおかげでキーホールのアースビューワーはGoogleマップ・Googleアースとして、世界的なモンスターサービスに生まれ変わったことがよくわかる。
Googler(特にラリー、セルゲイ)が物事をどう考えて、どのようにアクションを取って事業を拡大しているのか、そのスケールの大きさが本著の中で一番面白い。
今やGoogleは自前で撮影用衛星を持ってて、災害が起きたらすぐそこを撮影し直して、レスキュー隊がGoogleアースを見ながら、人命救助ができるようにする…、もはや誰にも越えられないほど先を行ってる。
同時にGoogleの中でも政治的な権力争いがあって、その辺りも面白い。
当事者が書いているだけあって、リアリティがあり、とにかく面白いが、この手のサクセスストーリーは、同じことをやったところで同じことが実現できる訳ではないという意味で、学びというより、娯楽として、あるいは仕事に対するモチベーションの材料として読むようにしてる。
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グーグルアース、グーグルマップ、Ingress、ポケモンGOを作った、元キーホール、現Nianticのジョン・ハンケ率いる技術チームの話。もっと開発のワクワク話とかがたくさんあるのかと思ったら、Google内での政治抗争話が結構多く、巨大資本の会社の中で外様は大変ということを思い知らされた。ハンケさんがGoogleやめるのも納得。技術と全然関係ないところで疲弊するのは辛い。グーグルマップがグーグルローカルって名前にならなくてほんとに良かった。これからのNianticのますますのご発展をお祈りしております。
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確かにグーグルマップについてではあるけど、どちらかというとグーグルアースの開発に近い人たちの話。著者はそのコア開発者というより、コア開発者の友人という立ち位置。この本を読んでグーグル創業者のビジョナリー感はわかるが、読後に得られたものはそれほどなかった。ユーモアがあって読みやすい物語、という感じ。
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要点
1
キーホールは資金繰りに苦しんだものの、CNNの放送でアースビュアーが使われたのをきっかけに業績を伸ばしていく。
要点
2
グーグルはキーホールの技術を「グーグルのコアになるかもしれないもの」と考えており、すぐに買収を決断した。
要点
3
キーホールを含めたグーグル内の3つのチームが、最新鋭の地図サービスを作るべく力をあわせた。こうして最終的にできたのが「グーグルマップ」と「グーグルアース」である。
要点
4
この2つのプロダクトは、グーグルがローンチしたもののなかでも最も大きな成功を収めた。
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今や4社で資産の時価総額が3兆ドルに達し、ドイツの国民総生産に迫る勢いのGAFA。この巨大IT企業たちを称して「Googleは神、Appleはセックス、Facebookは愛、amazonは死」という比喩を聞いたことがありますが、確かにGoogleの神話はラリー・ペイジ、セルゲイ・ブリンという二人の神の出会いから始まったことは知っていました。しかし、今に至る途中にキーホールという明日にも潰れそうなベンチャーとの出会いもGoogle神話にとっては欠かすことの出来ないものであったのです。Googlemap、Googl eEarth、導入のキーマン、ジョン・ハンケも神でありました。本書は、あまり知られざる地図ビジネスの神と並走していたマーケティングディレクターが描く地図を巡る冒険の記録です。いや、最初は地図ビジネスだったけど、Google以降はビジネスでもなくなった奇跡の神話。買収直後の著者の「1年後の成功が、1000万人のユーザーの獲得か、売上を1000万ドルに上げることか、どちらが望ましいことですか?」という問いかけに対して、ラリーとセルゲイのチームが(…ラリーが代表して)「君たちは、それよりもっと物事を考えた方がいいよ」との答え。すげぇ、Googleの神様たち!だって、それが、今の自動運転技術につながっているのだから。グーグルを離れた地図の神が、ポケモンGOに繋がるのも、すげぇ!ITカンブリア紀の勝者の歴史でした。ただ、これから神話が自動運転やフィンテック、データビジネスという形でもっともっと地上に降りて来た時、今までとは違う物語にもなりそうな予感かします。
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2019年12月16日読了
その名の通り、グーグルマップを作った人の話。
外国人の名前がたくさん出てくるので、名前を覚えるのが苦手な人は大変かもしれませんが、皆さんが何も考えずに「便利~!」と使っているグーグルマップはこうしてできたという話です。
帯の通り、スタートアップ企業の方や、IT系で企業を考えている人にはお勧めでしょう。
驚いたのは、Google社内で各プロジェクトなどの決定事項は、マネージャ(時にはCEO)の許可を得ないと「絶対」先には進めないということです。
終身雇用ではなく、人の出入りやヘッドハントも頻繁な海外企業では「権限」と「権限移譲」がはっきりしていることに驚かされました。
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スマホのキラーアプリであり、多くのアプリのテクノロジーを支えるグーグルマップ誕生の物語。ムーンショットから火星を目指すストーリーは痛快。彼らのイノベーションに最大の賛辞を贈りたい。
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グーグルマップの誕生から現在までの物語。文字通り世界を変えたスタートアップ企業のサクセスストーリーなわけだが、筋書き無しのドラマとして最高に面白い!歴史の転換点となった第18章はじめ登場人物の顔ぶれとその先見性は庶民からするともう凄いとしか。ナイアンティック創業に当たっての著者とジョン・ハンケの友情にもグッと来る。と同時に第13章の承認会議など大企業病とも受け取れる描写は興味深かった。
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Googleマップが出来るまでのスタートアップ時代からの苦労、Googleに買収されてからのGoogleマップ、Googleアース、ナビ機能、そして新しいスタートアップ(それがポケモンGOに繋がっている)。
ジョンの学生時代からの友人であり、ともに歩んできた著書によるGoogleマップの誕生ストーリー。
スタートアップ起業が目指す「ムーンショット」の考え方の大事さを感じられる。
お金よりも多くの人に使われるサービスにする意義、もっと大きな視野で言うGoogleのエグゼクティブ。今こうしたサービスを受けられる恩恵を感じた作品。