紙の本
耽美的で退廃的
2020/09/07 23:36
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
社会的に高い地位にいながら、満たされない男たちの気だるさが伝わってきます。虚しさを埋めるかのような情事と、一向に出口が見えない虚無感に吸い込まれそうでした。
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内容(「BOOK」データベースより)
大手医薬品メーカー九代目、久坂隆之は53歳。副会長という役職と途方もない額の資産を与えられた素性正しい大金持ちで、シンガポールと東京を行き来し、偏愛する古今東西の書物を愛でるように女と情事を重ねる。スタンフォード留学中に知り合った友人、田口靖彦は老舗製糖会社の三男。子会社社長という飼い殺しの身が、急逝した妻の莫大な遺産により一変。家の軛から自由になるために、女からの愛を求め、京都で運命の出逢いを果たす。時代の波に流されず、優雅で退嬰的な人生をたゆたう男たちが辿り着いたのは―。
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久々の真理子節。
きっと彼女の周りにいる取り巻きの方々はこんななのかなぁ?
都会の上流階級の話。
オンナも名誉もカネも手に入れても、死への不安は取り除けない、ってことだな。
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日経新聞に連載されていた新聞小説・・・とくれば
真っ先に思い出すのがあの「失楽園」
いい御歳のおじ様があんなことやこんなことをしてしまうという共通点はあるものの、
「こんな都合のいい女」どこにいるのよ!と叫びたくなった失楽園に対して、
こちらは登場してくる女性たちが実にリアルです。
男たちに遊ばれているようで、
実は男たちを遊ばせてあげている女たちの
計算高さやずる賢さがジワジワと透けて見えてきて
ダンディで遊び慣れたはずのオジ様たちが、なんだか滑稽に思えてしまうのでした。
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何なん?この話。
老舗会社ボンボン、50代おっさん達の官能小説?
ひとりは金と体力に飽かせて女性を次々渡り歩き、もうひとりは男やもめで根がまじめなゆえに女性に振り回されるマザコンもて男。まぁどうでもいい話なんですけどね。林真理子の日ごろの芸(作品)の肥やしを効かせて、京都の芸妓の裏話、ITバブルの若者の夜の遊び、能に歌舞伎に茶道にオペラ、金持ちが投資する音楽や食そして女…いやはや贅沢できらびやかな世界をこれでもかと披露してくれる。さすがだ。
しかし、本棚に並べるにはちょっと勇気がいる。
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いくらモテるからってね〜。嫌な感じだな。相手のことを都合よく利用してるだけだよね。こちらも利用しているならお互いさまなんだけど。
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この本はどんどん読めるもののこんな世界をよく知っているという自慢話を読んでいるようで実に不愉快。読後感イヤーな感じ。でも林真理子さんは好きです。
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初出 2017〜18年の日経新聞
現代版源氏物語なんだろうな。
上流階級の50代の男性二人の情事のはなし。
久坂隆之53歳。製薬会社の創業家御曹司で、弟に社長をやらせ、自分はシンガポールに15億円のマンションを買って、そこで駐在員の妻たち、外資の会社に勤める女性たちとの情事を愉しみ、CAもものにする。IT社長たちと遊んでいた若い美人とも遊ぶが、最後はガンを疑われ、死を意識する。
田口靖彦55歳。同様の御曹司だが三男で子会社の社長。妻を亡くしその莫大な遺産を受け継ぎ京都の芸妓を囲うが、才色兼備の中国人学者ファリンと恋に陥る。これには中国語ができ漢詩にも造詣の深い久坂の助けがあった。
久坂もファリンを誘うが断られ、田口も夫の難病を口実に連絡を断たれる。この辺りの展開は宇治十帖的かな。
でも、あっけなく田口が結婚相談所で再婚相手を見つけた結末には驚いた。
結構な男目線の濡れ場があるが、女性作家さんが書けるのが不思議。
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さすがに文章は読ませるけれど、
内容はないような…
これって、男の人は読んでて楽しいのでしょうか?
…よかったね。。。
としか言えない。
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途中から、私は渡辺淳一を読んでるのか、って錯覚した。女の作家が男の主人公を描くってどんな感じなんだろう。失楽園の凛子は、女性の目から見るとなんともアンドロイドっぽくて、現実感が足りなかった。男は、こんな女性を求めているのか、と思っただけ。どちらの作品にも共通するのは、並外れた文章力と構成力と魅力的な表現で、全く飽きることなく一気に読んでしまうこと。それこそが、もしかしたら本のテーマ以上に大事なんじゃないかと、この頃思う。その意味では大満足。読後に、何かが残っていれば、それでもう、その作品はいいのだから。本書は、最後に男の寂寥が残った。地位も、お金もある不自由ない人生の男たちに、だ。多分、それこそが、人生の真実であると感じさせるだけの筆力を維持したまま、のラスト。
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大手医薬品メーカー九代目、久坂隆之は53歳。
素性正しい大金持ちで、シンガポールと東京を行き来し、偏愛する古今東西の書物を愛でるように女と情事を重ねる。
時代の波に流されず、優雅で退嬰的な人生をたゆたう男たちが辿り着いたのは―。
小説を読むときに、ストーリーを楽しむのも1つですが、知らない世界を垣間見る、という楽しみがあります。
私の知っているシンガポールと、久坂さんの目を通して映るシンガポールは全くの別物です。地名は知っているものだけに、その差異というのがとても楽しい。
富裕層の人が生きているのは私にとって、別世界です。それは、ファンタジーの世界と変わらないくらい。遊び方も、しきたりも、何もかもがおもしろい。
私にとってこの本は、知らない世界の空気感を楽しむものでした。登場人物の多くは40代から50代。驚くほどに「男」であり、「女」でした。
有り余るほどのお金があれば、こんな余裕とゆとりのある暮らしができるんでしょうか。とはいえ、どんなにお金があって、家柄がよくて、すべて兼ね備えているようでも苦悩はあるのだから、人間はままならない生き物ですね。
重たくても買いたいと思えて、わくわくしながらページを捲ることができる本があるのは幸せなことだな、と改めて感じたところです。
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一回、新聞連載で読んだ記憶があり、本を買ってもう一度読み直しましたが、普通の人が体験できないすごい世界を覗けることができ、なかなか面白かった。
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小説家林真理子、そのデビューのエッセイ、初の小説から読んでいる。途中抜けているのも何作があるが小説は8割くらいカバーしていると思う。(エッセイはもうほとん読んでません、ごめん)
近年ではお金持ちの描写へフォーカスを定めているようだが、これはお金もちのインテリがいかにして遊ぶかを庶民に知らしめようとした一作か?思いました。プラス中年の性描写かな?
物語の主人公が二人いるため、なんともちぐはぐ。主人公らが交差することもあるが、おのおの勝手に行動し、しかも中途半端、おちがない。唐突にあらわれる病気。
う~む。お金持ちの描写と性描写でよかった。これに食べ物の描写が入ったら自分的にはきつかったかも。
好きな林真理子の小説なので、ぼかして書きました。
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マリコさんのファンなので読んでみました。
が、なーんかイマイチでした。
(っていうか、ファンと言っておきながら確認したら記録を付け始めてから20冊の本を読んでいたけど、☆5を付けたものは一冊も無かった。自分でもビックリ)
本書もね、部分的にはとても面白いんです。
レビューで他の人も書いているけど、現代版宇治十条的なお話といえば分かりやすいでしょうか。
家柄の良い超お金持ちのおじさん二人が主役のお話で、東京や京都や外国暮らし中での遊び方とか庶民には想像できない生活っぷりが興味深く、それに伴って思考回路もやっぱりちょっと普通ではないのだけど、あー、こういう人いるだろうなとすんなり受け入れられる人物像のつくり方はとてもうまいし、中盤で登場する若手IT長者達の、合理的で草食系な今どきの遊び方もとてもリアル。
語学はもちろん漢詩や能の造詣も深く、一朝一夕には身につかない教養がいかにも何代も続くお金持ちだなあ、と、そしてそれを描き切るマリコさんもさすがね、と思ったりして。
でも結局は、興味の大半がイイ女をどうやってモノにしていくかということに落ち着くという・・・それが人間のサガと言いたいのでしょうけど(苦笑)
そして、どんなにお金があって教養があって家柄がよくても、儘にならないのが老い・病だという現実を突きつけながらの唐突なエンディング。
テーマや主題は伝わるし、愛人たちのしたたかさやねちっこさもみごとに表現されていて面白かったけど、濡れ場が多すぎるのと、唐突な終わり方が私には尻切れトンボに思えて☆は減らしてしまいました。
新聞小説の運命なんですかね。しかも日経だし。おじさんの要望にも応えなきゃいけないのかしら。
たまには手放しで面白かった!といえる作品が読みたいよ~マリコさん。
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会社経営者の血筋、数十億の資産を持つが経営より学問や風流に傾倒するアラフィフのおじさんたち。能や音楽家のタニマチ、京都のお茶や芸奴遊び。さりげに贅沢な生活、周りの女たち。
リッチなおじさんたちのダンディーでリッチな暮らし。東京も京都も、一般人向けとは違う顔を持つ。日経新聞に連載もなるほど、でした。