紙の本
海とジイ
2020/06/29 11:47
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投稿者:kotep - この投稿者のレビュー一覧を見る
瀬戸内の島々を舞台に海神・夕凪・波光の3作からなる。
・海神は95歳の末期ガンのジイといじめが原因で不登校になった優生との少しだけの交流を描く。そしてジイの死に間際のベッドでの約束とは。
・夕凪は70台後半の医師が病院を閉院すると決めた後、なぜか失踪する。失踪場所は恩師がいる瀬戸内の島であった。永年病院に勤めていた看護師・志木は医師の後を追い、瀬戸内の島へ行く。医師の今後の覚悟と、看護師の医師に対する情の行方は。
・波光は澪二は瀬戸内の島に住む石の博物館を運営する祖父の様子を見に行く。怪我のために陸上ができず、大学の推薦も取り消されてしまい落ち込む澪二は祖父の昔話を聞く。青春時代、学生時代から祖母との出会い等、澪二は知らなかった祖父の一面を垣間見る。そして祖父が語った後悔とは。
3作とも個々のジイの人間性や、強い意志を持ったジイ達、過去に苦労してきたことで人の痛みや弱みを理解するジイ達の生き方が羨ましいとも思いました。
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3人のおじいさんと、瀬戸内海にある島と海が舞台の物語です。
3人のおじいさんの横の繋がりもまた良かったです。
最後の話が1番印象に残りました。
確かに、周りに対して見下した態度をとっていると、いつの間にか自分の周りに人はいなくなります。
孫にあたる男の子も、周りに対して同じ態度をとっていたのだなぁと、思うと同時に、おじいさんも、孫のそういう状況によく気がついたなぁと思いました。
長く生きた分、ちゃんと経験値というのか、そういうものが3人とも備わっていました。
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海神(わだつみ)、夕凪(ゆうなぎ)、波光(はこう)の中編3作品。
海神は、心に傷を負わされた小学4年生の男の子とひいおじいさんの話。
夕凪は、東京で開業医をしていた医師が瀬戸内の島へ。
波光では、進路に悩む高3の少年が、突発的にじいちゃんちに行き…祖父の話を聞く。
3つの話の登場人物は少しづつ関係もあります。
どのお話も海の景色、お祖父さんと呼ばれる年代の人が語る人生観、いいお話でした。
この作家さん、好きかもです。
タイミングをみて、ほかの作品も読んでみようと思います。
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瀬戸内海の海を舞台にした3人の老人の連作短編集。
不登校の小学4年生優生とその祖父清じいの『海神』。
診療所を閉めると決めた医師月島とその診療所で21年務めた看護師志木の『夕凪』。
怪我で駅伝を諦めることになった澪二と島で私設博物館の館長をしている祖父城山の『波光』。
年長者の話には、その経験に基づく力強さがあります。
それぞれのジイにも歴史があり、その話を聞いた各人が、そのつまづきから立ち上がる気持ちになれる展開で、読後感はとても良いです。
最後の話は書き下ろしということなので、前編ふたつとの関連させる流れで一冊の本になっているんですね。
良い出会いでした。
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瀬戸内海を舞台にした連作3編。
様々な経験を重ねてきたジイたちのことばは、海のように広く、そして深く悩む者の心を受け止める。
もう少し頑張ってみようかなという気にさせられる。
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最後、読み終わって、
無性に「うぉー!」って叫びたくなった。
3人のジイが、
自分より若い人にエールを送る。
生きてくことは辛いことも多いけど、
そのエールを真摯に受け止めたい。
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タイトルどおり、海を舞台に、3人の「ジイ」と孫などの若い世代との交流の物語を描いている。
どれも読後に心が温かくなるような物語であったが、最後の「波光」が、自然と涙があふれてくるほど、非常に心に染みた。人生に思いをはせさせてくれた。それぞれの物語が絶妙に交錯するところも面白い。
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3つの物語が最後に繋がるので、一気に読むことおススメです。
家族とか、友人とかいろんな繋がりが続いていくことの素晴らしさ、尊さ。
泣ける1冊。
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まさしくジイの3編。
瀬戸内海の島に生きるジイ達。
人生を最後まで生き抜く。
孫の視線は心地よい反面、弱味は見せられないという思いもあるのだろう。
そんなジイ達の気持ちにポロリとする。
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大好きな藤岡さんの新作。
読むのを楽しみにしてました。
3編の中・短編小説。
瀬戸内の島の3人のジイ(おじいちゃん)の姿と思いが
年月を越える。
というお話。
『海神~わだつみ』
不登校になってしまった小学四年生の孫のため
瀬戸内の島に暮らす曾祖父が話したことは何か。
2人だけの約束とは。
『夕凪~ゆうなぎ』
老医師とそのクリニックに勤め、支え続けてきた48歳看護師の女性。
ある日、クリニックを閉院すると宣言した後老医師が失踪する。
老医師を探す看護師は瀬戸内の島に行きつく。
生きること、死ぬこと、老いてそれが身近になること。
迷いと強さに心が揺さぶられる。
『波光~はこう』
怪我で陸上競技に挫折した澪二。センター試験を前に
子供の頃訪れていた島にある祖父の家へ。
そこで知るジイの若い頃の話、親友の話。孫の澪二が受け取るものは・・
最後に緩やかに3編が繋がる。
ジイは凄い。ホント凄い。
必ず人は歳をとるけれど、3人のジイのように歳を重ねられるだろうか。
ただ立派ということでなく、迷い、戸惑い、そして力強くて、優しい。
人間らしく人間臭くてとても泣かされた。
「人生は短い 今日を限界まで生きろ」と表紙の折り返しに書いてある。
あー、もう無駄な一日過ごしてるよと思わず恥じる。
新年1冊目。いいのいただきました。
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藤岡陽子さん、初めて読みました。
大きな出来事が起こるわけではないけれど、心にジワーッと感動が広がりました。
3編の短編小説からなる一冊。『その日のまえに』のような感じで、3編、それぞれの登場人物が結果としては繋がっています。
一篇目の「海神(わだつみ)」で涙し、二篇目の「夕凪」で温かいものを感じ、三篇目の「波光」で再び涙。
舞台は瀬戸内海にある香川県のある島。
「夕凪」以外は、その島で生きるジイの元に、何らかの事情を抱えた孫がやってきて、ジイと話すうちに、立ち直っていきます。そのジイ達の語る言葉が心に響きます。
この作家の他の本も読みたくなりました。
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「海神」、「夕凪」、「波光」の三篇所収。このうち、「夕凪」は「海路」の改編とのこと。そういえば、「海路」の主人公の行先は沖縄の島だったはずだが、瀬戸内海の島に変わっていたが、久し振りに読んだので、あらすじは覚えているものの再読して新鮮だった。「海路」と同様、ギリシア哲学に出てくるような「良く生きる」ことを分かりやすく小説にしたようなところがある。
「海神」も「波光」も、強い爺さんと、久し振りに会った孫・ひ孫のやり取りが感動的で印象に残る。藤岡陽子は、こういう仕立てが抜群にうまいと思う。すでにほとんどの作品は読んでしまっているが、さらに新作を期待してしまう。
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3つの連作。瀬戸内海を舞台にした3人のジイ。
キラキラの海が目に浮かぶ、優しい物語。
読み終えると登場人物がちょっとずつ繋がっている。
心が弱ってる人、体が弱ってる人、人はだれでも完全ではなくて、でも少しだけ勇気を出して、強くなれる。
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とても、素敵な3人のジイ。
年老いて来たら、自分の最後をどこで暮らそうか?
「海神」(わたつみ)、「夕凪」「波光」(はこう)
どれも、素晴らしい生き方をしている。
海神のジイは、孫へ自分の力を与えて、引きこもりの孫の成長を後押しして、天国へ!
夕凪のジイも、老後一人。診療所を閉院して、瀬戸内の島で、自分の能力を発揮させる。
波光もジイも大学受験の孫に、会社の社長を退職して、石の博物館を運営し、島の皆に愛されている事を示す。
そして、その三人は、話の中で、つながっている。
色んな人生を歩んで来た事で、小学生の孫、アラフォーの看護婦、そして受験生の孫へ、自分が、過ごしてきた背中を見せるのである。
人生は短い、
今日一日を限界まで生きろ。
いい小説であった。
孫への接し方も考えさせられた。
そう、孫の成長は、最後まで見る事が出来ないから、余計に愛しいと、・・・
自分は、何を残せるだろうか???と、問う小説であった。
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私は、藤岡陽子先生が大好き。どの本を読んでも読み終わった後に心にほんわかした余韻が残る。
今回も3人のじいが出て来たが、その3人の話が繋がっているのに驚き、感動した。
「人生は短い 今日一日を限界まで生きろ」文中に載っていた言葉だ、心に沁みると思ったら、本のカバーの後ろに載っていた。
何時自分の人生が終わるか分からない、やりたい事は先延ばしでは無く、今、やりたいと思う。