紙の本
もっと他の哲学書にも展開を!
2019/02/23 20:51
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:岩波文庫愛好家 - この投稿者のレビュー一覧を見る
偶、以前放送していたのを見て、著者の國分氏を知りました。その放送での判り易さと言ったら、比類ありませんでした。
スピノザに関しては、エチカよりも知性改善論を注目していました(本の薄さから)。立ち読みでパラパラ見た所、どうも今一つ判りにくい。よって購入を逡巡していました。
ところが、です。國分氏のエチカの解説に仰天(著者と同い年な点にも)し、更に本書の存在を知り、即刻購入。一気呵成に読了。本書は例えや日常の具体内容への置き換えが絶妙です。
スピノザって、なんと言うか、素晴らしい主張をしているなぁ、と感じました。
エチカのみならず、知性改善論まで読破したいと思います。
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「スピノザ『エチカ』」國分功一郎著、NHK出版、2018.12.01
115p ¥566 C9410 (2019.03.04読了)(2018.11.27購入)
【目次】
【はじめに】ありえたかもしれない、もうひとつの近代
第1回 善悪
第2回 本質
第3回 自由
第4回 真理
☆関連図書(既読)
「方法序説」デカルト著・小場瀬卓三訳、角川文庫、1963.11.10
「精神指導の規則」デカルト著・野田又夫訳、岩波文庫、1950.08.10
「デカルト」野田又夫著、岩波新書、1966.07.20
内容紹介(amazon)
思考のOSを入れかえる
17世紀を生きた哲学者・スピノザの主著『エチカ』。タイトルは日本語で「倫理学」であり、人間が正しく生きる方法を説く内容だが、発行当初は無神論者による冒涜の書として禁書となった。あまりに革新的で、それゆえ難解なスピノザの思考法とはどのようなものだったのか? 気鋭の哲学者が読み解く!
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十七世紀にこんな考え方をした人がいたなんて!
えらく感心する。が、たぶん解説してもらわないとわからなかったと思う。
自由とは、意志とは、真理とは、神とは。
周囲とは違ったOSの考え方はいかがでしょうか。
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18/11/27。
12/7読了。著者がスピノザを今読むべきだと訴える気持ちがひしひしと伝わってきました。
【追記】
Twitter情報によると、すでに50,000部売れたそうな。捨てたもんじゃないぞ、Nippon人(^^)
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哲学は難しいイメージがあるが、中でもスピノザは(翻訳のせいもあって?)難解なイメージが強い。それが少しだけ溶けていったような感覚になっている。「神≒自然」とすると、仏教の説く「山川草木悉有仏性」に近づく。自由意志はない。すべてに原因がある、との考えは、因・縁・果で捉える仏教に近い。同じ訳はないが仏教を援用すると『エチカ』の理解がさらに進むような気がした。何より、何でも自己責任という風潮に釘を刺し、善悪は組合わせだと考えられると、いまよりずっと生きやすくなると思った。来年は『エチカ』原典にチャレンジしたい。
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デカルトからの近代ではない、もう1つのあり得た今というSFにも近い捉え方が魅力的。なるほど民主主義にせよ人権にせよそれらの矛盾点が現実の問題として表出している現在、OS自体の交換すら検討すべきなのかもしれない。
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國分氏の解説が素晴らしい。スピノザの現代的なことが、私自身の考えをまとめるためにも有効なことがよくわかった。原典に実際挑戦したいのだが、むずかしいだろうな…
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番組が面白かったので読んだ本。スピノザのことは汎神論というキーワードで知っている状態で読んだ。この本を読んで「善悪」は組み合わせという考え方と活動が増える組み合わせを知ることが大切という考え方が印象に残った。解説がわかりやすかったが元になった原文は難しい本だと思った。
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スピノザのエチカを読み始める前に解説書の認識で読んだ一冊。
歴史的に名著と言われるものは、読むのに難しい事が多い。どうしても意味がわからないまま読み進めて、途中で断念してしまうのだ。
NHKがやっている100分de名著は、その課題を解決してくれる。専門家が分かりやすく解説してくれるから、難解な本がとても分かりやすくなるのだ。
エチカのエッセンスを学んだ上でエチカに望む方が間違いなく読破できるだろう。
エチカの概論を知りたい人にもオススメの一冊。
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天皇や宗教、政治権力…
「なぜ民衆はこんなにも頑迷で理を悟ることができないのだろう、なぜ彼らは自身の隷属を誇りとするのだろう…」。
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哲学自体が全くのど素人だったので、正直理解するところまでいっていないのですが、平易な文章で、読むこと自体にストレスを感じずに済みました(國分先生の文章力?噛み砕く力?にただただ感服……)
普段、自然科学の分野にどっぷり浸かってる人間にはただただ真新しくて新鮮な世界……この手の本でこんなに楽しんで読めたのは初かもしれません。
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スピノザ『エティカ』を数年前に通読したときは理解できなかった。だが、國分「エチカ」なら理解できる。善悪、本質、自由、真理。哲学とは概念を体得し、使いこなすこと。できれば、スピノザの心身並行論をじっくり教えてほしかった。
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100分で読むにはなかなか骨のある本でした。
が、丁寧に辿っていけば、十分理解できる内容で、これまで読んだスピノザの入門書としては、一番、しっくりくる説明だったかな。
また、自分がこれまでもってきたスピノザへの疑問とか、そもそものところ自分が考えていた課題について考えるのにすごくヒントをもらったかな。
ついに「エチカ」を読んでみようかなという気になってきた。
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そうだ、スピノザだ!『エチカ』を読んでみよう!と思いたち、岩波文庫で出ている同書を読み始めた。どこかで國分先生が「『エチカ』は下巻から読むといいよ」と言っておられたのを知っていたので、下巻から読み始めた。
ところが、冒頭からいきなり「一、善とは、それが我々に有益であることを我々が確知するもの、と解する。二、これに反して、悪とは、我々がある善を所有するのに妨げとなることを我々が確知するもの、と解する。云々」と始まってしまい、必死に櫂を漕ぎ漕ぎ読み進めたものの、次々と現れる「定理」と「証明」の大波にさらわれ、大海原を漂流していた。
はっとさせられるところ、しみじみと考えさせられるところもあったがしかし青息吐息、息も絶え絶えになっていたところに、大きな救助船が現れた。このNHKテキストである。國分功一郎教授の解説は、具体例が多く盛り込まれており、中心的なテーマごとに章立てがされており、とてもわかりやすい。具体的な記述に加え『エチカ』が書かれた背景や時代性、スピノザの人となり、さらにはデカルトとの対比など、『エチカ』のみでは知ることのできないトピックスも豊富で、また國分先生のスピノザ愛を感じる筆致で、『エチカ』の理解を大きく助けている。こうした記述によって、『エチカ』が、さらには哲学者スピノザが立体的に立ち現れてきている。
このテキストを船首の女神像よろしく舳先に据えて、再び大海原に乗り出そうと思う。今度は先ほどとは違い、見晴かす海は美しく、風も心地よい。気力も十分にみなぎっている。スピノザの珠玉の言葉がきらきらと波上を光らせ、真理の旅に導いてくれているような気がする。
國分先生は最後のところで「概念を使いこなせるようになることこそ、哲学を学び、哲学を身につけることなのです。」と述べておられる。『エチカ』を通して、活きた哲学を身につけていきたいと思っている。
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本質は「力」である。力が増大する時、人は喜びに満たされる。活動能力が増大する。
何が自分の力を増大させるか、それはあらかじめわからない。精神と身体がなにをなしうるかよくわかってないから。だから「実験」する。
「自由」であるとは能動的になること。自らの力がより表現されること。自分の行為であっても、自分でない人の力をより表現してしまう状況はよくある。
自分がどんな力を持っているのか知るために、実験が必要。実験して自由に向かう。ただし、完全な自由はありえない。私たちは外部から刺激を受けつづけるから。
もうちょっとずつ自由になることはできる。