紙の本
人間の領域
2019/10/31 18:39
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ただの人間 - この投稿者のレビュー一覧を見る
データやその収集ではなく、それらをどのように活かす際に人文科学的な観点や手法が役立つのではないかということが論じられる。哲学者の著作なども引用しつつ、いわゆる名人芸やひらめきといった領域を言語化しようとしていた。機械に代替されない領域という視点からも読むことができる。
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【237冊目】AIが人間の知性を凌駕し、人間を「疎外」するという警句を受けて、「テクノロジー至上主義時代を生き抜く審美眼を磨け」という帯の言葉に惹かれて買いました。はっきり言って、期待はずれ。
センスメイキングの五原則というのが書いてあるのだが、そもそもセンスメイキングが何なのか、定義が曖昧。AIには出来ない技術らしいけど、内容は???である。
まだ、五原則も、順不同ながら、個人ではなく文化を、薄いデータより厚いデータを、動物園よりサバンナを、生産性より創造性を、GPSより北極星を、というもの。しかし、筆者の説明は往々にして後者を肯定するものであり、前者を劣後させるべき理由はほとんど説明されていないか、説明不足。
知の技法としてのアブダクションや、定性的分析の技法たる文化・社会の観察と探索、個々のデータのみ見るのではなく文脈への位置付けと解釈が大事などなど、言いたいことは分かるんだけど、どうにも説得力がない。筆者の言いたいことは僕も同感するところがあるから本書を購入したのに、それを上手く言語化・理論化・根拠付け出来てない。
すなわち、新しい視点を提供・提唱することを主眼とし過ぎていて、その視点の内容や理由をうまく説明できていない。そのため、すでにその視点を持っていた僕が求めるところには応えていない。
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人間科学を基盤とした戦略コンサルタントである著者が、STEMやビッグデータといった自然科学に基づく「理系の知識」全盛の時代へのアンチテーゼとして、人文科学や社会科学の重要性を説き、より人間的な文化や感性への回帰を提唱した一冊。
センスメイキングとは、人間本来の知を生かして「意味のある違い」に対する感受性を高めることであり、物事に対する深い洞察は、数値化・抽象化された「薄いデータ」の分析だけでなく、人々の相互の関係によって生まれる「社会的文脈」のようなAIでは認識できない「厚いデータ」を把握することが必要になる。そのためには新たな技術に盲目的に頼るのではなく、自らの経験や感性を主体的に活用して「本当に重要なものを見極める」ことが重要と説く。
ハイデガーやフッサールといった哲学者の思想を巧みに引用し、「独創性あふれる洞察やアイディアは、『我々の中から』ではなく、我々が暮らす社会の中から、『我々を通じて』出てくる」という著者の主張は一定の説得力がある一方で、著者が「AIには不可能」と断じているハイタッチな能力がこの先も人間の専売特許であり続けるのかは疑問が残る。むしろ本書のいう「センスメイキング」をこれまで以上に高めなければ人間としての将来は危ういのではないかと思う。
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大事なところを突っ込んでて偉い
今、こういう向きの発言が大事
でも、言ってることは、簡単
センスメイキング、意味形成
意味は数学からは見出せないぞ、と
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STEM教育への系統と人文科学の軽視、
データドリブンへの信奉とコンテクストへの無知。
こうした近年の趨勢に警鐘を鳴らし、人文科学をベースとした「センスメイキング」の重要性を説いている。
大量のデータから表層をなぞるのではなく
現象学的に本質を抉ろう、という主張にはなるほどと思わされる。
つまみ食い程度でわかった気になることはできても
本質を捉えることは対象の内側に没入することでしか達成しえない。
しかし、STEMの欠点を徹底的に晒しつつも、結局なぜセンスメイキングが望ましいのかがいまいち伝わらない。
そもそも言語化・論理化が難しいものであるので性質上難しいというのはあるだろうが、
変に「本当の高給取りは人文科学を専攻している」「あなたの上司も人文科学出身だったりするだろう」と給与や地位から人文科学を持ち上げているがために心に響いてこない。
人文科学とそうでないものとに壁を作り二元論に陥っている点が残念ではあるが、人文科学とSTEMを比較した稀有な本として一読の価値はある。
ちなみに筆者はどうやら大のデザイン思考嫌いらしく、敵意剥き出しでコキおろしている。
一種清々しさすら感じるが、そういった壁を作らずに多様性を認め、異なる意見を重ね合わせアウフヘーベンしていくことが重要なのではなかろうか。
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ビッグデータはじめ、行き過ぎたSTEM信仰にアンチとしとの人文科学を提案。
6章での「デザイン思考」批判がコミカルかつ痛烈で読んでいて気持ち良い一冊。
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デザイン思考に対する攻撃的な姿勢には全く共感することはできないが、AI等のテクノロジー主導による世界観の危うさを訴える書として共感。
人文科学がどういうものなのか、私自身は理解していると思っていないが、今日の経営学でもそれは融合、活かされつつあるようには感じている。
この作品から得たと思える事は、全体に対する完全さというものは、そもそも有り得ないもので、もしそのような唱え方をしている人や理論は疑ってかかった方が良いということ。
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普通のビジネス書のように、スキルやテクニックの重要性を啓発する本ではない。現在の世界が薄っぺらな「技術」に乗っ取られそうになっており、観察も判断も機械に任せるようになっていることに危惧をいだき、人文知を重視せよ、というスタンスの本。ハイデッガーやフッサール(現象学)に言及されるのもむべなるかな。テクニックや数学を磨くのではなく、全体観や感性や歴史を勉強せよということだ。
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技術の進歩によってデータ重視の経営や戦略になっている世の中に対して、事例を交えながら人間の人生、体験という文脈に紐づいた観点が必要であることを主張した本。
事例は豊富でわかりやすく、読みやすいものが溢れている。特にソロスの事例や研修での事例、ナパバレーの事例など、興味深いものが多い。
ただ、センスメイキングという言葉が散見されているので、一見主張が濁っている所があるのは勿体無い気がしている。(原著を読んでいないので、意図して残されているのか不明だが)
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ちょっと長くて読みにくかった印象。
STEMよりも人文科学の方が大切なんじゃないのっていう内容。
自分なりの解釈として、現状STEMで抑えられる範囲は定常状態における統計的性質のみである一方、人間や経済のような多重度の複雑系は非定常状態こそ意味があるよね。そこを見るには現在のSTEMに頼りきるより、人文的な価値観、経験や勘を古典から学べる人文科学にこそ重きを置きましょうっていうストーリー。
それはそうだなっていう一方、STEMも大事で、文理の枠にとらわれない柔軟な思想を持つ必要があると感じた。
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私は、理系人間で数学や論理が大好きだった学生時代。
いまは、システム関連の会社にいる完全に自然科学の
範疇にいますが。この年になって哲学や文学、歴史、芸術
などが面白くなってきています。
また、息子は文系で、人文科学系(心理学や社会学)のほうに歩もうとしているようです。
そこで、書店で目に入った、AIをはじめとしてのSTEM(科学、技術、工学、数学)よりも人文科学(文学・歴史・哲学・芸術)が大事であるとの記載が気に入って読みました。
一言でいうと面白かったです。
文脈を把握する大事さが改めて感じる内容です。
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題名に興味を持った。
なんとなく感覚はわかるが、定義するのが難しい。
だから、センスメイキングなのか。
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STEAMというフレーズは出てこないけど、STEAM本でしょうね。センスメイキング=さらなる情報収集 という印象になって読了しました。
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ビジネスにおいては、定量情報(STEM=科学・技術・工学・数学)だけでなく定性情報(=人文系学問)も必要、いやむしろ定性情報の方が大事だと言うことを主張した本。
ユヴァル・ノア・ハラリの「ホモ・デウス」で話題になっている通り、人間は全てビッグデータの蓄積によって人間個々のアルゴリズムが解明され、ホモ・デウスとなるといった説の正反対の内容。人間のあらゆる行動や思考は、先の読めない変化ががつきもの。したがって数値化できないことの方が、ビジネスに限らず人間には重要だという説。
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著者が北欧の戦略ファームで働いていると知り、興味を持って読んでみた。結論から言うと、とても示唆に富む良書だが、センスメイキングのアプローチをこの本だけで理解することは難しいと思う。シリコンバレーやデザイン思考を叩いている箇所は痛快