千年図書館 （講談社ノベルス）

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者：usa_0814　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

優しさと怖さが同居した、最後の一行で持っていく独特の読後感がある短編集。
　どの作品も意外性を含めた構成力が見事で、中でも「見返り谷から呼ぶ声」と「終末硝子」が飛び抜けていて、他もそれに劣らぬ作品ですが、少しでも説明しようとするとすぐにネタバレになってしまうのは感想を書く人にはツライところでしょうか。
　SF的だったりファンタジー的だったりもする舞台の中で、ミステリとして謎が明かされていく展開を見せながら、登場人物たちの強さや弱さが物語を動かしていく、人間の描写に最後の読後感を合わせて引き込まれてしまいます。

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不思議な短編集だった。
最後の１行がポイントと最初に書いてあって、なるほど…と思いながら全編読みました。

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久々の北山さんです。

本の後ろに書いてある『全てはラストで覆る！』がすべて。
なので、「この短編あと何ページくらいかな？」ってうっかり最後のページ見ちゃうともれなく後悔します。

SFちっくなものや青春小説みたいなものもあり多彩で読みやすく、しかも最後におぅ！と唸る工夫がある素敵な本です。

楽しんで読めました。

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5編からなる短編集。「終末硝子」が好みでした。「見返り谷から呼ぶ声」も切なくて良い。
「千年図書館」はオチが分からなくて調べました。
「さかさま少女のためのピアノソナタ」はそんなに上手くいくのかという思いが強かった。「今夜の月はしましま模様？」はちょっと駆け足なのが残念。

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短編集。見た瞬間ネタバレするのでP84(2話めのラスト)は先に見ない方がいいです。「さかさま少女のためのピアノソナタ」は「世にも奇妙な物語」の原作。

・見返り谷から呼ぶ声
何人もの人が行方不明になっているという「見返り谷」。そこで後ろを振り返った者は死ぬ。
クラスに馴染んでいない少女・クロネをそこに連れて行こうと画策するクラスメイト。クロネの身を案ずる主人公。
見返り谷で人が消える秘密は底なし沼。上を急いで駆け抜けないと、どんどん沈んでしまう。振り返った者が行方不明になったのは立ち止まったから。
実は、語り手は底なし沼に沈んで命を落とした少年。クロネはそこへ連れて行かれるが、霊体となった少年に励まされたのと、足元が凍り付いていたたために助かる。

・千年図書館
離れ小島に大昔から建っている千年図書館。
主人公のベルは、村の掟でくじ引きによって選ばれ、その千年図書館に司書として送りこまれることになる。実質生贄のようなもので、生きることを諦めかけるが、図書館には先住民・ヴィサスがいた。
ヴィサスの導きで、あるものを棚に戻すという作業をするペル。
しばらくして、もともと村にいた者たちが図書館に忍び込み、中にあったものを外に持ち出し始める。
が。その者たちは次々に命を落としてしまう。
最後のページに辿り着くと、この施設の謎が解ける。千年図書館は長いこと放置された放射能施設。
村人が持ち出していたのは放射能に汚染された物質と思われる。
同じ作者の傑作「妖精の学校」と雰囲気が似ている感じ。

・今夜の月はしましま模様？
月面が謎のしましま模様で覆い尽くされていく。
しましま化が進む中、地球上の者たちはイヤーワーム(同じ音楽が耳の中で鳴り続ける)を感じたりする。
そして主人公の前に、不思議な宇宙生命体が現れる。彼らは音を支配すると言う。ラジオを乗っ取った生命体・ラジーは主人公と行動を共にする。
そのうち、閂が掛かった部屋で人が死ぬ事件が発生。死者は謎のメッセージを残していた。ラジーは閂を閉めたのは音の力だと見破り、仲間の仕業だと見抜く。
そして残った謎のメッセージは、また別の生命体のものだった。
その生命体は言語を支配し、小説という形で人の前に存在している。

・終末硝子
医師のエドワードが10年ぶりに故郷に帰ると、底は奇妙な塔で埋め尽くされていた。一人の男爵が塔葬なるものをはじめ、それが浸透したらしい。
エドワードはやがて、その男爵が前妻の遺体を塔の上に安置して観察しているのに気付く。そして男爵の現妻が。エドワードに自らの身の危険を訴える。
もと船乗りだったという男爵の正体、そして謎の塔の意味とは……。
男爵は船乗り時代に嵐に巻き込まれたことがあり、ストームグラスと遺体に浮かぶ死斑で、嵐の予測をしていた。
そして大嵐が目前に迫った日に、助からないと思って命を絶ってしまう。
嵐は実際にやってきた。しかし村人たちはある場所に避難して難を逃れる。みんなが避難したのは、男爵が村中に建てさせた塔の上だった。

・さかさま少女のためのピアノソナタ
幼い頃からピアノを弾いていたが、己の才能に限界を感じていた主人公。
ある日古書店で不思議な楽譜を見つける。その楽譜に書かれている曲を弾く際、間違えたら演者の両腕が飛ぶという。自暴自棄になってその曲を弾き始めた主人公だが、演奏中は時が止まっていることに気が付く。
何度かその曲を弾く主人公。卒業式の日、窓の外を落ちて行く少女と目が合う。少女は屋上から身を投げようとしていた。その時主人公が曲を弾いたので、落ちて行く途中で止まっていた。
主人公は少女を死なせたくないため、何度も曲を弾いて時を止める。
最後は、楽譜を上下さかさまにして弾き、時間を戻す。主人公はピアノを弾くから聞いてくれと少女に告げる。

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・ぼくにとっては初見の著者だが、この人は星新一の後継者だと思う。あれほど短くもないし、おかしみもなく、あっさりもしてなく、そしてより物語になっているが、それでも。
・5編の短編集。
・神隠しが頻発している土地の子どもたちが謎を探る。「ぼく」もそれにつきあっているが・・・
・「千年図書館」は何を保管している？
・知り合った思いがけないタイプの異星人によると地球は彼の同胞らに侵略されつつあった。
・死者を塔に安置する塔葬が広まっている村で出会った男爵は何を考えているのか。
・弾いてはいけないピアノ曲の楽譜を手にいれとうとう弾いてしまった男子高校生の出遭ったものは・・・。ラスト意味はわかるけどどことなく釈然としない。この場合、こうしてもこうはならないよね、たぶん。

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短編集５編
SF，ホラー，ミステリーといったそれぞれ味わいの違う物語．「今月の月はしましま模様？」はミギーのようなラジーが出てきてかわいかったし，「さかさま少女のためのピアノソナタ」が良かった．

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2019年6冊目。どんでん返しミステリ短編集再び。⌈見返り谷から呼ぶ声｣一番ミステリ度も高いし、伏線も上手く張られてる。最後に明かされる驚愕の事実とその理由には泣かされますよ。⌈千年図書館｣圧倒的終末感。雰囲気作りが上手いからこそブラックなオチがより色濃く見えてくる。⌈週末硝子｣最後に全てが繋がる、どんでん返しのお手本のような作品。⌈さかさま少女のためのピアノソナタ｣とてもシンプルなのにしっかり意表を突かれた。この結末に思い至れなかったのは、逼迫した状況にすっかり浸っていたからだろう。

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【収録作品】見返り谷から呼ぶ声／千年図書館／今夜の月はしましま模様?／終末硝子／さかさま少女のためのピアノソナタ　
　意外なおちが面白く、また、風刺が効いた作品集。
　

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短編集。ラストまで何が起こるかわからないという意味ではミステリだが、ファンタジー、SFなどの要素も入っていて不思議な読後感の物語が多かった。それぞれ世界観というか雰囲気がうまいので短編でも充実感がある。
ミステリ的には表題作、SF的には「今夜の月はしましま模様？」がよかった。

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きちんと最初から読むこと、
チラ見さえもしてはいけない！という
読友さんの教えを守り読了。
守ってよかった。

最後の一撃をまともにくらう喜びを堪能。

５編の短編はすべて「最後の一行は、物語の折り返し地点。」

「見返り谷から呼ぶ声」
――死後の世界と禁忌の谷に心を囚われた少女の物語

「千年図書館」
――村で凶兆があるたび若者が捧げられる図書館の秘密

「今月の月はしましま模様？」
――地球侵略中の異星人に遭遇した大学生の奇妙な日々

「終末硝子（ストームグラス）」
――大きく奇怪な墓を村のあちこちに建てる男爵の謎

「さかさま少女のためのピアノソナタ」
――呪われた曲を奏でた傷心の高校生におこる不可思議


特に
「千年図書館」「さかさま少女のためのピアノソナタ」がお気に入り。
「千年図書館」で、本当の暴力を知る。
「さかさま少女のためのピアノソナタ」の
ボーイミーツガールな感じが好きだなぁ。うふふ♡

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「全てはラストで覆る」と銘打たれた、表題作を含む5編の中短編。確かに全作ラストでそれまでとの色合いを変えるが、覆すための構成に寄ってしまった感のある作品があったり、カタルシスと言えるほどの驚きが薄かったな、というのが正直なところ。

とはいえそこに強くこだわらなければ、各作品テイストを変えつつ、様々な世界観の物語が描かれていて、寓話集的な作品として面白い。青春小説風味の「さかさま少女のためのピアノソナタ」が好み。

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優しく、そして切ない５つの物語。ラスト１行まで何がおこるか分からない！大ヒット“どんでん返し”ミステリ『私たちが星座を盗んだ理由』の衝撃、再び！（e-honより）

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面白かった！「私たちが星座を盗んだ理由」のどんでん返しが好きで、あの感動を再び期待して…と否応なくハードルは上がっていたにも関わらず、今回も負けず劣らずの素晴らしい短編集だった。

「見返り谷から呼ぶ声」は、最後の一文で鳥肌が立ちすぐに再読してしまった。
表題作「千年図書館」はあの最後の１ページの驚愕。分からない場合は文中の○○計画がヒント。
「終末硝子」の世界観も大好きで、イングランドの寂れた村にいくつも佇む塔の異様さが脳裏に浮かぶ。
そして呪われた楽譜を巡る「さかさま少女のためのピアノソナタ」、これがまた秀逸。

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『見返り谷から呼ぶ声』
最後の一文まで読み終わって、ぞわっとした。
読み返して納得した。
オチに気づかずに違和感なく読めるのに、オチに気づいてから読むとちゃんとわかる。
ぞわっとするけど、切なくて、感動する。