第６の大絶滅は起こるのか 生物大絶滅の科学と人類の未来

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　やっと読み終わった。まず、主に地質学と古生物学の話だとは思わなかった。古生物学、とりわけ恐竜にはもともと興味はあったけど、古生代のカンブリア紀の前の時代がエディアカラン紀と呼ぶようになっていることをこの本で知った。私の子供の頃は「先カンブリア代」だったのに！
　絶滅といえば恐竜だ。私は地球上で生物が一度に滅んだのは恐竜とその時代、すなわち中生代だけだと思っていた。ところが、５億年の間に地球上の種の9割がたが絶滅するという大量絶滅は恐竜を含めて５回あったのだ。その他のちょっとした絶滅を踏めるともっとあるらしい。とにかく、人類が生まれるまでに、地球は試行錯誤を繰り返していたらしい。恐竜が地上を支配していた１億6500万年という時間は最長不倒記録らしいが、それにくらべると人間が誕生してから今現在の時間なんて、屁みたいなものだ。ところが、人間が太古の生物のなれの果てである化石燃料を燃やし続けて地球の大気を二酸化炭素でいっぱいにして、地球温暖化を加速させる危機的状況（←いまココ）に至る時間の短さよ。人間とはいったい何なのか、文化とは、文明とは、人間が地球に生まれた意味とは？とまで考えさせられる第７章は、正直ページをめくる手が何度も止まりそうになる。だが、それまでの幾たびかの大量絶滅の物語は時空を超えた冒険そのもので私たちは神の視点で目まぐるしく入れ替わる地球の支配者たちの栄枯盛衰を眺めることになる。
　白眉は大絶滅の中の大スター、恐竜の絶滅だが、メキシコのチュクシュブールに落ちた隕石が絶滅の引き金になったという説が最終結論ではなかったということに驚いた。詳しくは本書第6章で！しかし、それ以前の種の絶滅の様子もドラマティックだ。というか、そのころの地球は私たちが知っている地球とは全く違う。たとえタイムマシンでその時代に行けたとしても、防護服（少なくとも断熱と酸素ボンベは必要。宇宙服？）なしでは生きていられないのではないか？ほかの星からやってきた異星人が通りすがりに５億年前の地球を見たとしても、「なんか生き物らしいものがいる」くらいにしか思わなかった違いない。少なくとも今の人類が暮らせる環境ではない。
　生物が生まれて数億年のあいだ、地球は幾度となくその姿を変えてきた。大陸は移動し、火山の爆発で溶岩が何十キロという高さで地上を覆ったかと思えば、氷河期が訪れ海は凍り付き海水面は下がる。大絶滅はそんな地球そのものの変化で引き起こされたケースの方が多いのだ。生物は幾度となく訪れた大絶滅の中を細々と生き残った連中が、次の時代へまた次の時代へと命を繋いできた。この本を読むと、地球が未だに生命で溢れた（人間が800種余りの生物種を絶滅させたとはいえ）惑星であることが、宇宙の奇跡としか思えなくなる。今我々のいる状況はギリギリの危機的状況なのだ。第７章以降は何度も打ちのめされる。もちろん、ささやかな希望はある。だが、それももう手遅れのような気もする。我々はいったい何のために存在しているのか、そんな気にさえさせられる。
　たとえ、現代の諸問題が解決して差し迫った滅亡の危機が回避されたとしても、何億年か先には地球はまた別の姿���して、しれっと別の生き物たちが闊歩しているだろう。そのころ人類がどうなっているのかは、わからない。とっくの昔に別の惑星に移住しているかもしれないし。
　「第６の大絶滅」は来るのか、来ないのか？実はもう始まっているのかもしれないし、かろうじて先送りにされているだけかもしれない。ただ一つ言えることは、私自身は、今この星に生まれて生きていることに感謝して、もう少し丁寧に生きていこうと、きわめてベタな感想を持ったということです。

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これまでの大絶滅を知るにつれ第六の大絶滅が起きない訳がないと思えるし、ただ今大絶滅進行中なのでは？とも思える。果たしてまだ間に合うのか？もう既にギリギリの所だろう。地球に似た環境の星が見つかったというニュースが嬉しく響く。

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地球上に生命が誕生してから５億年ほど
過ぎています。

その間にほとんどの生き物が死んでしま
う大量絶滅がなんと５回もありました。

地殻変動などが原因とされているそうで
すが、最もよく知られているのが、恐竜
を滅ぼしたと言われる隕石の衝突です。

これが直近の大絶滅であり、6600万年
前です。

果たして次の大絶滅はあるのか？

「いやいや、5万年前に人類が誕生して
から、どれだけの動植物が絶滅している
のか。すでに大絶滅時代に入っているの
では？」

などという皮肉を込めた記述もあります
が、二酸化炭素の増え過ぎは、明らかに
地球環境に悪影響を与えているという
事実を知る一冊です。

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地球誕生以来、動物の命の殆どが失われる大量絶滅が5回あった(半数を超える種が100万年の間に絶滅)。その要因を色んな研究者にヒアリングする形で、様々な要因を紐解いた本。

最も有名な大絶滅は、２億年もの間隆盛を誇った恐竜が絶滅した2.5億年前の白亜紀でしょう。しかしその要因として最有力の隕石の衝突も、実は火山の噴火の引き金であり、これによる火山ガス（二酸化炭素）の増加がベルム紀の大絶滅同様直接の要因ではということも言及されています。すなわち炭素循環の激変は、大絶滅を引き起こしてきた可能性が高く、歴史に学べば人類が地球史という時間軸で見て極めて短期間で二酸化炭素を大量に放出しているのは大絶滅を引き起こしかねないとする見方につながります。これは二酸化炭素により気温は大きく上昇し、酸性になった海は酸素欠乏状態に陥ります。

地球史という時間軸で見ると、二酸化炭素の濃度は誕生からずっと減り続けており、これは光合成による炭素固定によるものなわけですが、8億年後にはわずか10ppmになり、植物さえも生存できなくなります。これは実質的には生物の絶滅になるでしょう。そう考えるとこの8億年後には少なくても起こりうることをどれだけ後ろ倒しにできるかという話にもなり、必死にその期間を伸ばすことに一体どんな意味があるのか、と考えてしまいます。地球観点でみれば、人間活動により地球が人間が住めない星になり、人類が滅亡したとしても、かつてそうであったように時間をかけて生物は復活してきます。もしかしたらそこに人類も一部残るのかもしれない。そう考えると、それはそれでいいのではないか、と思ってしまう自分もいます。その過程ではおそらく土地や水をめぐる悲惨な戦争になると思いますが。環境問題は未来をどう描くか、哲学的な世界になってきたと感じます。



以下メモ、ネタバレ

◯炭素固定について
・山脈の岩石は二酸化炭素を含んだ雨で侵食され、海の中でカルシウムと反応して炭素を固定していく。その効果を抑える程度に火山活動による二酸化炭素供給があったが、これが止まり一気に寒冷化が進んだ。
・玄武岩は二酸化炭素と急速に反応して石灰岩を作る。二酸化炭素の処理方法として有力ではないか
・メタンハイドレートに含まれる10%のメタンが大気中に放出されると現在の二酸化炭素濃度は10倍になる。


◯5.4億年前のカンブリア爆発
・多種多様な生物が唐突に出現した。エイリアンのような想像もむずかしい生き物が多数いた。
・海中ではエラひき動物がネバネバした炭素を根こそぎ海底に沈め、開催中の酸素量を増加させた。それまで存在したシダの葉に似た生き物が大量絶滅。

◯オルドビス紀末の大絶滅 4.9-4.4億年前
・魚はほとんどいなかった。無脊椎な地を這う動物がたくさんいた。
・1000万年で生物種が3倍になった
・大噴火がアメリカ、ヨーロッパで起き、大量の火山灰を撒き散らしたが、生命には影響を及ぼさなかった。大災害で85%の生物が絶滅し幕を閉じた。
・CO2は現在の8倍ほどの濃度があり、最後数百万年かけてゆっくり冷えて行き、最後に一気���冷えて海水面が100m下がった。

◯デボン紀後期の大絶滅 3.7〜3.6億年前
・3.7億年前の最初の打撃で現在の10倍800万km2あったサンゴ礁の99%が破壊された。これがカナダとオーストラリアに今に至る大量の石油を供給
・不毛の大陸を始めて森に変え、二酸化炭素濃度を90%以上も下げ、植物の発達した土壌から供給された栄養塩により藻類が大量発生、海から大量の酸素を奪って海の生物が大絶滅に至る
・パンゲアが閉じ始め、陸が接続されていくことで生物の侵入が起こった。これは生物多様性を損なう方向へ導き、環境変化を生き延びる生物数を減らすことになった。
・現代も外来種による古来種の駆逐が起こっているが、多様性が失われると環境変化による絶滅の規模が大きくなる

◯ベルム紀の大絶滅 2.5億年前
・シベリアで大地がひっくり返るほどの大噴火がおき、二酸化炭素が大量に放出された。通称great dying
・大陸洪水玄武岩と呼ばれる溶岩の洪水が埋め尽くす現象でロシア500万km2のエリアを数千メートルの高さで覆った。
・大地に眠る化石燃料を燃やした。その量1万〜4.8万ギガトン、8000ppmと見込まれている。最大で16度気温が上昇
・現在40ギガトンの二酸化炭素を年間に放出しているが、全て燃やすと5000になる。
・ハロゲン化ブタン、臭化メチル、塩化メチル等の物質が生成され、オゾン層を破壊し、紫外線が追い討ちをかけた。
・海水の酸性化によって海の生き物のほぼ全てを死滅させた。現代では産業革命以降海洋の酸性度は３割下がっている。
・10万年単位で見れば、二酸化炭素は海に固定化されて石灰岩を増やすことにつながるが、短期では水蒸気の増加、酸性雨により腐食、と酸性化の加速につながる
・現在の二酸化炭素の増加ペースはベルム紀の10倍ほど

◯三畳紀末の大絶滅　2億年前
・内陸に水がなく炭素循環機能が奪われて二酸化炭素濃度が高い状態がキープされた高温状態が続いた。不毛な期間。
・2千万年後、恵みの雨が降り少しずつ回復、爬虫類の時代
・絶滅を引き起こしたのはアメリカ北東部の噴火による火山ガス、二酸化炭素の増加。ベルムほどではないが3/4の生き物を死に追いやった。

◯白亜紀末の大絶滅　6600万年前
・恐竜は2億年以上いた。人類含む哺乳類より遥かに長い
・過去5億年で最大級の小惑星の衝突、イリジウムが大量に含まれる層の発見が、地球外物質の到達を知らせる。
・直径10kmを超える隕石が秒速20〜40で落下し、大気を押し付けてとてつもない圧力をかけることで海を吹き飛ばした。飛行機の巡航高度から0.3秒でエベレストよりデカい岩が到達。200kmほどのクレーターを作り、深さ32kmの穴を開けるをこれはマントルまで到達、ミルククラウンのイメージ
・クレーターから数千キロ以内は数秒で焼かれて死に、1時間以内に地球全体に噴出物が飛ぶ、これは10kw/m2ほどのエネルギーがあり、グリルで焼かれるイメージ、その後マグニチュード12の大地震、そして衝撃波。エアロゾルが大量に大気に放出され、何ヶ月もの間太陽を遮った。
・他の準ずる規模の隕石衝突が絶滅を引き起こさなかった例もあり、隕石の衝突による地震により噴火が誘発され、絶滅自体は噴火によるものだという説もあり、どちらが主因かははっきりしていない。ほぼ同時期の過去最大級の噴火でインドの一部が3000m超えの溶岩で埋め尽くされた。
・差し当たり今後1000年はこのような隕石の衝突はない
・マヤ文明の都市はクレーターの縁に弧を描くように位置しており、そこは真水が手に入るセノーテが位置する、石灰質こ陥没穴があるところである。

◯更新世末の大絶滅　現在
・高温時代から、アジア大陸への到着を機にインドからの二酸化炭素放出が収まりしだいに濃度低下、氷河期へ入っていく
・数億年かけて石炭のジャングル、海底プランクトンの吹雪のなかに大量の炭素を蓄積してきた。それを数世紀で人間は燃やし尽くそうとしている
・窒素循環も変えている、植物の成長には窒素が必要で肥料に大量に含まれている。ハーバーボッシュ法によるアンモニアの合成の賜物。流れ出る肥料が海で植物性プランクトンの大発生を起こし、海から酸素を奪っている。
・陸上動物のうち野生動物は3%しかいない。それでも、人類が絶滅させた種は800(0.1%)しかない。
・化石記録は不安定で全ての種のうちら0.01%程度しか発見できてない。大半は海の無脊椎動物で、腕足動物や二枚貝など、地理的に広く分布しら骨格が残りやすいもの。
・湿球温度35度を超えると、人間は熱を逃せなくなり、オーブンのようになり死ぬ。
・過去の大量絶滅はたくさんのことがみんな悪い方向に向かって起きた結果ではないか。
・直近260万年は氷河期で、現在は何十回のその中で繰り返される間氷期にあたる。これは数千年におよぶ温暖な期間。本来であればそろそろ間氷期は終わり再び寒くなるのだが、このわずかな期間で人間が繁栄し環境が変化したためすぐに寒くなる見込みはない。

◯未来
・より長いスパンで見れば二酸化炭素はどんどん減少している。8億年後には10ppmにまで減り植物は生きられなくなる。

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地球上で起きた過去5回の大絶滅の事象はとてもよくまとまっていますが、結論が楽観的すぎる印象があります。

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