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- カテゴリ:一般
- 発売日:2019/04/05
- 出版社: 集英社
- サイズ:20cm/230p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-08-771181-3
紙の本
カモフラージュ
著者 松井 玲奈 (著)
メイドになりたい一心で上京した18歳の“いとうちゃん”は、メイド喫茶で働き始めるものの、ストレスから体重が増加して…。恋愛からホラーまで、松井玲奈のデビュー短編集。『小説...
カモフラージュ
【電子特別版】カモフラージュ(松井玲奈 刊行記念インタビュー付)
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商品説明
メイドになりたい一心で上京した18歳の“いとうちゃん”は、メイド喫茶で働き始めるものの、ストレスから体重が増加して…。恋愛からホラーまで、松井玲奈のデビュー短編集。『小説すばる』掲載に書き下ろしを加え書籍化。【「TRC MARC」の商品解説】
油断していると、次々予想を裏切るメニューが出てくるような短編集。 ――島本理生(作家)
明太子スパゲティをこのうえなくおいしそうに書ける人。信頼せざるを得ないのである。 ――森見登美彦(作家)
あなたは、本当の自分を他人に見せられますか――。
恋愛からホラーまで、松井玲奈が覗く“人間模様”。鮮烈なデビュー短編集。
・「ハンドメイド」
いつもよりカバンの重い日が好きだ。お昼の弁当に加えてもう二つ、
に彼と食べる用の弁当を作る。食べる場所は決まって“ホテル”で――。
・「ジャム」
僕のお父さんは一人じゃない。お父さんの後ろには、真っ白な顔のお父さんたちが並んでいる――。悪夢的奇想、ホラー怪作!
・「いとうちゃん」
メイドになりたい。その一心で上京した十八歳の“いとうちゃん”は、メイド喫茶で働き始めるものの、ストレスから体重が増加してしまう。痩せ方がわからず、周囲にも疎まれ不安を募らせていくが――。
・「完熟」
何もない退屈な田舎での夏休み。年上の雰囲気を身にまとう女に僕は出会う。彼女は水辺で一心不乱に桃を食べていて……。そんな昔の記憶が、大人になった僕のフェティシズムを刺激する――。
・「リアルタイム・インテンション」
巷で人気の仲良しYouTuber三人組。本音を吐露してしまうという“本音ダシ鍋”を食す企画の生配信で、事件は起きる。
・「拭っても、拭っても」
広告代理店に勤めるアラサーのゆりは、半年ほど前まである癖(へき)を持つ男性と付き合っていた。その彼に理不尽にフラれたことが心の傷になっていて――。失恋と再生の物語。
【本の内容】
収録作品一覧
ハンドメイド | 5−44 | |
---|---|---|
ジャム | 45−71 | |
いとうちゃん | 73−112 |
著者紹介
松井 玲奈
- 略歴
- 松井 玲奈(まつい れな)
女優。1991年7月27日生まれ。愛知県豊橋市出身。
NHK連続テレビ小説「まんぷく」にレギュラー出演中。
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書店員レビュー
誰かに擬態するのは明日のため
ジュンク堂書店福岡店スタッフさん
元AKBの人気メンバーとして活動され、現在は役者をされている松井玲奈さんのデビュー短編集です。
どの話を読んでも満遍なく怖いです。秋本グループといえば、乃木坂48のメンバー高山一実さんが執筆した『トラペジウム』がヒットし、「表紙の女の子はどこか私に似ている」と、乃木坂48の西野七瀬さんが発言したことでも話題になりました。しかし、松井さんのこの短編集、絶対にモデルにはなりたくありません。なぜなら、全ての作品に縦横に張り巡らされた、松井さんの観察眼が鋭すぎて、自分や他者の身体に感じる違和感を否応なく何度も突きつけられるからです。このような方がかつて歌い、踊り、握手会でファンと触れ合っていたのかと思うと唖然とします。
傷を隠すための絆創膏。恋人と逢う前に行う歯磨きの儀式。眠っている夫の身体に見つけた桃の様な形状。他人と囲む鍋、メイドとして生きていくために食べなければならない人型のクッキー。誰が考案したのかわからないベーコンエッグおにぎり。私たちの毎日は誰かと触れ合わずには生きていくことはできなくて、しかしそれによって生まれる肉体と肉体の摩擦の一番いやな点を松井さんは正面から描いています。しかし、その摩擦によって生まれるのは絶望ではなく、未来です。
「いとうちゃん」という、メイドカフェで働く女の子の話があります。彼女は地方から、メイドになることを夢見て上京しました。彼女の頭の中には常に、「不思議の国のアリス」が憧れの世界としてありました。しかし「アリス」という名のメイドになることは叶わず、「いとうちゃん」というニックネームをつけられ、彼女はストレスからカロリーの高い賄いやお菓子を食べてどんどん肥えてゆきます。アリスのように別の世界に行きたい。しかし叶わない。太ったことで彼女はメイド喫茶での立場をあやうくしてゆきます。痩せればいいではないか、そう思う人がほとんどでしょう。しかし、結果彼女はそうしませんでした。彼女はアリスが不思議の国、知らない世界へと落下していったように、自分の身体ではなく、考え方を変えることで「違った世界の」アリスになることに成功します。これは、ショービジネスの世界を知っている松井さんだからこそ描けた、唯一無二のアリス論なのではないかと思います。
「好きじゃなくなった時間が長くなったら、私はきっとこの体に新しい好きとか嫌いを重ねて生きていくんだ。」というせりふもあります(「拭っても、拭っても」)。いきものが身近な誰か、憧れの誰かに擬態するのは、決して自分を消しているわけではありません。工夫することで明日の自分を作りだし、生きてゆこうとしているのです。それは姑息な手段ではありません。そのことを思い出させてくれる短編集です。
紙の本
拍手
2019/05/13 21:41
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:玉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
もともと、玲奈ちゃんのファンだから。
不順な動機から、買いました。
岩波の図書のエッセイが高く評価されたのは知っていましたし、
女優としての幅の広さ、アドリブのコントもこなせる器用さなどは、
心得ていたつもりでしたが、
本書の6篇にはしてやられました。
最近、芥川賞や直木賞の受賞作品を読んでも、
なんで?という作品がけっこうあるのと比べても、
玲奈ちゃんに、参りました、と言ってしまいます。
ネタバレ的なことは書きませんが、
だまされたと思って、お読みください。
想像力がかきたてられますよ。
紙の本
ちゃんと面白い
2019/11/23 06:21
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:りー - この投稿者のレビュー一覧を見る
おお、面白い!びっくりするのも失礼なんだけど、どうしてもアイドルっていう色眼鏡で見てしまっていたので意外性を感じてしまう完成度の高さだった。食べ物だとか人との距離感だとか、そういう読者の皮膚感覚に訴えかける小技がよく利いていて、それを多面的に使ってきているあたりが小憎い演出で良い。デビュー作で書き慣れていない風を感じさせながらこのクオリティーなので今後またこんな風に小説を書いてくれたらいいなと思う。文章もシンプルで読みやすいので本を読みなれない人にもおススメ
紙の本
著者を知りませんでしたが、よかった
2019/04/22 22:09
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:southday - この投稿者のレビュー一覧を見る
有名なアイドルのデビュー作ということで、ご本人のことは知らなかったのですが島本理生さんと森見登美彦さんが帯推薦文を書いているので読みました。小説6章からなる短編集で、のっけから不倫テーマの話だったので驚きましたが他の話は20代アイドルの視点からみたかわいい視点の創作ものです。とはいえ、油断すると「ジャム」、書き下ろしの「完熟」のように独特なユーモアセンスにびっくりさせられると思います。「拭っても、拭っても」はさながら「ダルちゃん」(小学館)のような女性から支持を得そうな内容でいいですね。次回作も楽しみです。
紙の本
次作に期待
2019/07/25 12:46
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぷりしら - この投稿者のレビュー一覧を見る
描かれているテーマと言うか、世界はあまり合わなかった。
ただ、この人が「書ける人」であることは確か。
今後の作品を読んで評価をしたい。