紙の本
残念な作品
2022/11/23 09:26
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投稿者:えんぴつ - この投稿者のレビュー一覧を見る
残念な作品だった。
何を書きたいのか、中途半端に終わってしまった感がある。
主人公の男女、その家族等、人物像の書き込みが薄い。
学生運動を引きずっている、フェミニズムに翻弄された、大学アカデミズムとの確執等々、それら全てが中途半端ではないか。
3.11を持ってきたことにも無理がある。鎮魂とお遍路は一見必然のようにも見えるが、小手先の薄っぺらな構築に終わっている。安易に3.11を題材に持ってきてほしくない。3.11を経験した痛みをわかっていない・・・と思う。
文章はうまいかもしれないが、書くことに狎れてしまってはいないか。残念な作品である。
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うーん、
気持ちの悪い小説だった。紘子が嫌な女というか魅力が全くわからない。
青臭い正義ばかり振りかざしてる感じがする。
康宏も最低だったし。
お遍路で知り合う莉緒がもう気持ち悪い。
そんな女相手にする康宏も気持ち悪い。康宏の若い時分の話もイマイチ、中途半端で物語に惹かれず「気持ち悪さ」ばかりが印象に残ってしまった。
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62歳で亡くなったサラリーマンが主人公の小説。娘が父親である主人公の足跡をたどる形で四国八十八カ所を巡るが、先入観や予断が繰り返し裏切られ、篠田節子の小説を読む喜びを感じる。主人公の大学時代の恋人が、人生の節目節目で現れ、彼女に接する主人公の価値観の変化がわかり興味深い。バブル崩壊や東日本大震災などの取り込み方に共感するところもあり、複雑で実に面白い。
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ぶ厚い本であるが、字が大きので、読み易い。
最初の出だしから、殺気を感じさせる描写!!!
第1章で、企業戦士で、家庭でも恵まれた人生を送るはずだった父が、四国遍路を終えた後に大型フェリーから自殺したとの通報で、遺体確認へと、娘の碧が、向かう。
父母の別居生活になった過程も書かれている。
第2章の鬼火では、父親が、学生時代に憧れ多女性 紘子との関係が、描かれるのだが、、、、長々と、不倫の話に、少し辟易してしまう。
描かれている2人は、恋焦がれ、引いたり、近づいたりの関係が、ずーと、年代を経ても、繋がっている事に、読んでいても憂鬱である。
第3章 男尊女卑、セクハラ、パワハラ、労災問題、、、の事も描かれているのだが、、、、
紘子も、少しワンマン的であって、子育てもしたことが無いから、理想と現実の違いが、理解せずに、発言をしている所なんかは、素敵な女性に感じられない。
第4章では、娘碧が、父の道をたどっている。
遍路とは、寺を回って参拝することでなく、「無財七施の修行」と、、、佐藤医院の医師が、述べる。
バラモン教の遊行期の男の姿に、人生を4つに時期に分けて、考えると、最後には、子供を妻に託して、今までの築いてきたもの全てを置いて、森に入ると、、、、
家庭も文明をも捨てる・・・・
断捨離以上の教えである。
遍路の白装束は、死に装束。金剛杖は、墓標を意味するとは、、、初めて知った。
第5章では、父親が、お遍路の道での遭遇した女梨緒との関係。
ここでも、不貞としか言いようがない。
そして、お遍路と、言いつつ、各札での献灯、普請、拝殿、仏像建立への寄付や 札所に群がる商魂たくましさが、少しづつ、真摯な態度で巡礼している者の姿も、新興宗教団体とも同じではという違和感に、康宏は、陥る。
第6章 碧が、フェリーで、帰路に向かうのだが、、、
父親が、フェリーから転落した場所は、昔家族が、クリスマスを楽しんだホテルのイルミネーションであった。
父が、転落前に、20万寄付をした男性の話では、父の死は、事故死だったのだと、、、確信するのだった。
結末は、冬の光で、見てたものは、、、、バブル期の良き思い出の場所のイルミネーションだが、父の自殺が、事故死だったと、結論付けている。
でも、よく読んでみているうちに、家族から疎外され、学生時代から憧れ、愛し続けた女性の死、誰からにも、愛されないし、自分を必要とされていない事を自覚してしまっている。
バラモン教の教えの如く、森へ返れ!でなく、海の上で感じたことは、懐かしむイルミネーションが、見えても、誰もこの場所を思い出す事も無く、そして、又ここへ皆で、来たいと、思わない事に気付いたのかもしれない。
自ら、海へと向かったのかもしれないとも、考えられるのでは、、、、と、思いながら読み終えた。
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人は人を理解できない、家族においても。
ミステリータッチの、人間存在の危うさを問う小説。
四国遍路を終えた後、海から死体で見つかった父は自殺なのか、それとも事故なのか。
次女が真実を求め、父の足跡を辿り、遍路の旅に出る。
1章、4章、6章は、次女の視点で。2章、3章、5章は父の視点で。
読者は両方を俯瞰することで、表層でしか自分以外の人間を見ていないことに気づかされる。
解説からの孫々引きになるが、「現代社会における文学の役割は・・・”自分の主張のみが正しい”とする狂信主義へと人々が傾くのを阻止することだ」には、同感の意を強くする。
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8月-6。3.0点。
震災後、四国遍路をして、帰宅途中で自ら命を絶った父親。
長年の浮気の果て、家族からは放置される存在に。
本人の視点と、父親の足跡をたどる次女の視点で進む。
うーん、父親の行動にイマイチ共感できない。
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ザックリに言うと、団塊の世代に生きた男性の過去の恋愛や結婚、男の性を書いた1冊。
正直この手の話は少し苦手で。
学生運動だ、バブルだと言われても今一ピンとこない。
余り期待せず読んだのだけれど、意外にも楽しめた。
主人公の男性目線で読み進めると哀愁を伴う切なさがあるけれど、
妻、家族側にピントを合わせるとやはり男の身勝手さが目につく。
特に意識して選んでいる訳ではないのだけれど、ここの所
東日本大震災、お遍路にまつわる本が続いている気がする。
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四国遍路を終え、フェリーで自宅に戻る途中に自殺したと思われる父親と、真実を求めて彼の遍路の足跡をたどる次女との二人の視点から書かれた小説。
次女から見た彼の人物像、そして妻や長女から見た人物像は、彼の本当の人物像とは大きくかけ離れている。
彼は長年にわたり、同じ女性と浮気関をしており、妻や娘たちを裏切ってきた。浮気相手の女性が亡くなったこともあり、家族の元へ心は戻ってくるのだが、なんとも自己中心的だと思う。
読み終わっても、モヤモヤ感が残る。
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一人の男の終わりを、本人から、娘の目からたどる。浮気を繰り返し、お遍路の帰りにフェリーから身を投げて死んだ男。
娘がたどり着いた父の死の真実。
バラモン教の教えには人生には四つの時期に分けられる。学びの時、子育ての時、一人で生きる時、そして最後は全て捨て死に向かう時。
子育てや家族を養う時を終えた時期、人は何をすべきか、自分の年齢を重ねて考えさせられた。
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ひと昔前の時代、男に媚びず縋らずに社会と闘って死んだ女の話を、その元彼の娘の視点から書いた話。
唐突に死んだ父の死の理由を探すため、最後の足跡を娘が辿る形で話が進むのだが、作者が書きたかったのは父の浮気相手であった昔の女のことだと思われる。
父の実像は只々尻軽で、最愛の女とは別の女と結婚して家庭を持ち、その後も最愛の女に特別な情を抱いて関係を続け、60過ぎて行きずりのメンヘラ女と関係を持ち、怒りが〜とか言い訳しながらも、車内でしこたま快楽を貪った下衆男であった。
最後に明かされた死の真実に関しても、あれこれ勝手した挙句、今度は家族の温かさに帰ろうなんてオマエ、それは都合良すぎるのでは?
父の味方になろうと思えば、まぁ、そんな人生もあるわな…なんだけど、とりあえず浮気してた父親の話ですから、わたしはこの話好きになれないです。
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日本によくありそうな家族の物語。人と人は触れ合って前向きになったり後ろ向きになったりするんだと改めて感じた。
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ひとつの出来事に対して、割り切れない想い、他様々な想いがあり、自分の人生と比べたり点検しながら読んだ一冊。
描写などがリアルで、共感しながら読む部分が多々あった。
康宏は、最終的にあのような形になったが、個人的には幸せな人生だったのだと思う。それぞれの居場所、それぞれの康宏がいて時には虚無感などあったかもしれないが、きっと最後は穏やかな気持ちだったのでは。
読みながら、染み入るような、一言で表せない感情や感覚をこの本は味合わせてくれた。
また歳を重ねて、10年後とかに読むと読後感も変わるのかもしれない。
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近くの書店で読得の一冊として紹介されており、期待して読み進めました。結論から言うと私にとっては読得の一冊とはなりませんでした。
あらすじとしては妻子のある身でありながら大学時代の同志とも言える恋人・紘子との関係を家族により断ち切られた富岡康弘の視点と、次女碧の二つの視点で描かれています。
この評価となった理由は大きく2つあります。
1. 康弘の行動に共感・理解できない点が多い
人間ってそういうもんだよねと言われればそうかもしれませんが、行動が衝動的すぎると感じました。紘子と一緒になりたいのか、なりたくないのかよく分からないし、それでいて娘のことは気にかけているけど妻のことはどうでもいいのかと思いました。判断の軸が揺れている印象がして読んでいて好ましく感じませんでした。
2.碧の視点からの印象が弱く感じた
次女から見ての父の姿や、思い出に残っている父の姿に関する描写が少なく、娘からの視点を無理に物語に取り入れた感じを受けました。父の四国お遍路巡りを追うにしても、次女である必要があったのかと読み終えて感じました。家族にも見えない姿が父にもあると伝えたいなら特別なエピソードがあった方がすんなり受け入れられたと思います。
男女関係の書き方は上手いと感じました。人には言葉では説明できない行動があるってことが本作で一番言いたいことなのかも知れません。
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他人のことなんてわからない
自分が見ているのは一面に過ぎず、その人には色々な面がある
目の前の幸せが当たり前ではないこと、
人がいついなくなるか分からないこと、
人生をかけたいものに出会えることは幸せなこと、
を感じた
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人生の全ては自分だけのものであって、他人と分かち合ったり、他人に委ねられる物ではない。
康宏の歴史を理解していくにつれ、家族にとっての康宏がズレているのが歯痒く、人間なんてそんなもの、という寂しさを覚える。
自分が歩いてきた道を振り返り、また、これから進む道をどう行くべきか、考えさせられた。