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商品説明
スノッブな女として生きた作家・森瑤子は、何のために書き続けたのか。五木寛之、山田詠美ら数多の証言から、成功を手にした女の煌めきと孤独、彼女が駆け抜けたバブル時代を照射する。『小説幻冬』連載に書き下ろしを追加。【「TRC MARC」の商品解説】
1978年、一人の主婦が「情事」を書いて、三十八歳で作家になった。妻であり、三人の娘の母であること以外に何者でもない自分に苛立ち、充足できないでいた伊藤雅代にとって、森瑤子という自身で名付けた名前と自分で手にした収入は、どれほどの解放感をもたらし、自尊心を回復させたことだろう。名声と経済力は、魔法の杖のように彼女の人生を生き生きとしたきらびやかなものへ変えていった。そうして、母娘の葛藤、主婦の自立、セクシュアリティといった「女のテーマ」を誰よりも早く日本で小説にしたのであるーー
『安井かずみがいた時代』の著者が、五木寛之、大宅映子、北方謙三、近藤正臣、山田詠美ほか数多の証言から、成功を手にした女の煌めきと孤独、そして彼女が駆け抜けた日本のバブル時代を照射する渾身のノンフィクション。【本の内容】
著者紹介
島﨑今日子
- 略歴
- 〈島崎今日子〉1954年京都市生まれ。ジャーナリスト。ジェンダーをテーマに幅広い分野で執筆活動を行う。著書に「安井かずみがいた時代」「この国で女であるということ」など。
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紙の本
アイランド
2019/11/20 16:48
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:にしかわ - この投稿者のレビュー一覧を見る
森瑶子という小説家の名前は知っていても、テーマについていけるほどまだその年齢に達していなかったため、遠い存在だった。
とんねるずが女子大生に扮し、ふたりのコントの中で出てきたのが「森瑶子の『アイランド』」。どんな内容なのか気になっていたけれどついに読まないまま森瑶子は死去してしまった。突然の訃報に驚愕した記憶がある。
本書を購入したきっかけはふとアイランドを思い出したからだ。著書の主題となった島を所有した経緯を読み進めて行くうちに哀切感が深まってきて、森瑶子という人物を全く知らなかった自分にはちょっと重々しく、暫く読むことができなかった。
森瑶子は、思うと即行動に移しじつに充実した人生を全うしたかのように感じた。しかし、こんなに派手に散財して、一体何を考えているのか人格的に疑問も感じた。旅行・会食、衣服や宝飾品、全部が経費として処理できるものばかりではないだろうし、夫は事業の失敗続きであっても当時は連結決算制度はなく損益通算はできるはずもなく、個人会社や個人に掛かる税額を払った後は手元には残らないんじゃないのかと予想はできた。
わたしのようなそんな野暮な発想しかない市井人とは当然違う訳で、当時多くの女性に支持され、あまたの読者に夢を与えた芸術家の必要経費なんだろう。だから、友人やスタッフも森瑶子の人柄を心から信頼し許し応援していたのだろうと思えた。
散財した分は印税収入で取り戻すように次々と新作を上梓し、パワフルに活躍し続ける森瑶子が病に倒れる。自分の病気がわかり死期を知ったあと、如何にして家族に遺すか考え始めた時の森瑶子の気持ちを考えるととても辛く悲しくなった。
秘書に対する未払金がまだ残っていることが終盤に書かれてあった。
紙の本
森瑤子がいた時代に私もいた
2019/05/28 15:36
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
作家森瑤子のことをどれだけの人が覚えているだろうか。
覚えている?
そう、森が胃がんで52歳の若さで亡くなったのが1993年7月のことだから、すでに20年以上の歳月が過ぎたことになる。
人は亡くなって作品は残ると言われても、実際には多くの作品も時の彼方へと過ぎ去っていくものだ。
森瑤子は芥川賞直木賞とそれぞれ候補にはあがったものの受賞には至らず、もしかしたら1978年に第2回すばる文学賞を受賞した、デビュー作『情事』が鮮烈すぎて、その印象を越えることはなかったかもしれない。
もちろん、森は短い作家生活でその著作が100冊を越えたというからその人気度は抜群であった。
そんな森瑤子のことを記憶している人たちもまた過ぎた歳月を顧みる、そんな世代になっているのかもしれない。
森瑤子がどんな人であったか、森瑤子が生きた時代はどんな時代であったか、それを問うことはあの時代を生きた人々もまた、自身を顧みることになるのではないだろうか。
このノンフィクションを書いた島崎今日子さんは1954年生まれのジャーナリストである。
おそらく森が新人賞を受賞した『情事』を目にしたのは二十歳を過ぎた頃だろう。
そのタイトルから鮮烈で当時の人々の眼を釘付けにしたのは間違いない。
時代はまさにバブル。そして、女性たちも自立を志向していく。
島崎は書く。「真っ赤なルージュと大きな帽子の森瑤子は、彗星のようにバブルの時代の日本に強烈な光を放ち、明るく笑って消えていった。」
そんな森瑤子を追体験することで、きっと誰もが自分の時間もまた追体験することにならないか。
電子書籍
森瑤子の時代
2020/08/08 14:03
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:うみしま - この投稿者のレビュー一覧を見る
あの頃生意気な女学生だった私たちは、挙って森瑤子を読んで、早く30歳になって、真っ赤な口紅を塗って、森瑤子の描く世界に飛び込みたいと話していた。結婚につながる恋愛ではなく、純粋な恋愛「サルトルとヴォーボワールのように」を謳歌したいと願っていた。しかし、いつしか、森瑤子の著作を読まなくなり、忘れかけたころ、森瑤子は突然去っていった。51歳あまりに早い逝去に驚いたが、そのころはすでに、目の前の生活に追われていて、森瑤子に熱中していたことさえ忘れていた。本作を読み、森瑤子は作家本人にとっても、我々読者にとっても、一つの時代だったのだと思った。作家本人の切実な現実を知り、それでも書かずにはいられなかったその人を想うと切ない。文学も消費されるのだと実感した。しかし、我々世代は今でも、どこかで森瑤子の世界へのあこがれをいだいているのかもしれない。
紙の本
虚像と実像
2020/03/22 20:34
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ピーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
森瑶子を著者が、多方面からの取材と彼女の作品の言葉の数々から彼女の本質を掘り下げる本。
森瑶子の本は昔沢山読んだ。
フィクションのはずが、勝手にノンフィクションではと思わされる作品だったように思う。
そこで勝手にイケイケな感じの作家を想像していた。
が、今回の本を読んだら、彼女に惹かれる女友達も沢山居ることを知り、人間的に魅力的な方だったのだと私の勝手に懐いていたイメージと実像の差を感じた。
それにしても本当に早くに亡くなられたものだ。 残念だ。