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投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
地方自治体の成立過程や現状を網羅した本。統計なども活用しているが今一つ理解が進みにくい。課題を挙げているが個々の事情にどういう対応するかは市民次第のようだ。
紙の本
地方自治の現状と課題について手堅くまとまっている。
2019/04/26 09:35
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投稿者:ぴんさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
地方公務員志望の学生にとっても、基礎知識として必読。統一的な視点から極めて見通しよく「日本の地方政府」について整理し、問題を析出されている。こういうかたちで議論を組み立てる俯瞰的な目線が本当にすごい。20年くらい前から曽我先生がリードしてきた研究が、20年後に回収されるとこんな感じになるんだ、という感慨を持ちつつ読んだ。教科書とは違うが、地方の研究する多くの若い人が初めの方で読む一冊になる。かなり長く地方政治研究を規定するものになるだろう。新しい研究の助けになるだけでなく、析出された問題についての議論を呼ぶものにもなると思われる。
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本書は、現代日本の地方政府の実態を、政治制度、中央との関係、地域社会・経済との関係から、戦後70年の間に生じた変化と連続性、他国の地方政府との間に見られる共通性と異質性にも留意しつつ、描き出している。なお、「地方政府」とは、いわゆる「地方自治体」のことであるが、本書では、地方にも政治があるのであり、地方における代表と統治の全体を理解するために、あえて「地方政府」という言葉を用いているとのことである。
政治学、行政学、財政学、社会学などの最新の研究成果もふんだんに盛り込みつつ、平易簡明な構成と文章で、日本の地方政府の実像を構造的かつ多面的に明らかにしている良書であり、地方自治関係者には必読の内容であると思う。
本書を読んで、1)現行の地方議会の選挙制度の帰結として日本の地方政治に政党制が根付いてこなかったこと、2)これまで日本の地方政府においては、政策目標として人口が過剰に重視されてきた一方で住民の質への関心が薄かったこと、3)福祉としての住宅政策が欠落してきたこと、4)地方分権改革において地域間再分配の問題が正面から取り上げられてこなかったことなど、いろいろな気づきがあった。
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地方公共団体に関係する仕事なのにあまり勉強してこなかったのでとりあえず購入。
タイトルにある「地方政府」は地方にも政治はあり、立法活動もあるのでそれら全体を理解するために本書では「地方政府」という言葉を使っている。
日本の地方政府の実態とその根底や歴史を解説した図書。表や参考文献が多く、面白かった。首長と議会の関係、行政と住民の関係、政策の考え方、地方政府間の関係、中央政府との関係が論じられる。言われてなるほどと思ったのが人口による呪縛。昼間人口など人口は流動的であるにも関わらず、人口によって地方政府は議会定数、予算、交付税、政策などを決定し、公共サービスを質的面から見てこなかった。地方政府は大事だと思う…
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都道府県、市区町村など、1700を超える地方自治体。近代以降の歴史を繙きつつ、20世紀末の地方分権改革後の実態、課題を描く。
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日本の地方自治体の仕組みとそれを取り巻き関係者との力学、そしてその歴史的な経緯をコンパクトにまとめてくれている一冊です。エピソードベースで個別の事象を解説するというよりは、統計や法律をベースに日本の自治体がいまのような形となっている原因を構造的に解説しています。
中央との関係の変化や人口偏重、横との繋がりの強さなど、言われてみるとなんとなくそうだなと感じていたところをしっかり解説してくれるのがありがたいです。
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日本の地方政府を、鳥の目と虫の目から、また歴史的な発展も加えて、今ある姿とその背景を解説している。
統計データに基づいた解説なので説得力がある。また、諸外国との比較で地方政府を世界の中で客観的に評価しているので、世界の中での位置付けや特徴、ひいては今後どのようにすべきかの示唆が示されていて、とても勉強になる。
以下は、共感したところ。
地方公務員では、ジェネラリストを志向するのか、スペシャリストを志向するのか明確ではない。
地方政府では、多くの場合で総合計画が成功しているとは言えない。企画部門はホチキス部門と揶揄され、各部門が出す計画を束ねる存在に終わることも。
日本の行政機構では、人事、予算、評価、企画、法務の最大5つのマネジメント部門があり、過剰。
政策アウトカムの測定は容易でない。
移動する人としない人の双方から構成される住民の特性を踏まえて、政治、行政のあり方が考えられるべき。
都道府県の存在意義は、警察と教育という地域間再分配、リスクへの対応。
日本での政策の普及は、S字つまりロジスティック曲線を描く。
地方政府どうしは相互参照で政策を補完するため、総体として高い政策形成能力が実現する可能性はある。
地方政府は、その財源確保を国に保障してもらうことと引き換えに、地方税制の税目や税率、地方債の発行の自由度という歳入の自治、責任と権限を放棄した。
地域と都市の調整が国政で論じられていないことが問題。この解消には、地域で政党政治により争点を中央に上げることが必要。
日本の組織は内輪には安心するが、距離をとった関係構築が苦手。試行錯誤を嫌い、明確な組織原理に沿った組織再編が行われない。
人口という尺度だけで政策を行うことは、住民の他の活動を見落としている。
どれだけの負担を背負ってどれだけのサービスを受けるのかをセットで考えることが、民主主義の基本。
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【人口という基準、画一的な政治と行政の制度、大規模な財政調整制度という三点セットは強固だ。一九九〇年代以降の改革の時代により、さまざまな変化が生じたが、それでも根幹は変わっていない。しかし、これがどこまで維持できるのか】(文中より引用)
身近な存在でありながら、複雑さと多様性でなかなか理解が難しい地方政府のシステム。理解のための第一歩として地方政府がどのように成立し運営されているかを概説した作品です。著者は、父親が市役所の職員であったことから地方政府に関心を持つようになったと語る曽我謙悟。
教科書的な記述が続くために正直なところ読みづらさを感じる部分もありましたが、網羅的に地方政府についてまとめられており、学習のためには適した一冊かと。現在の地方政府が抱える問題を端的に示した部分は特に読み応えがありました。
あまり普段読まないタイプの作品でしたが☆5つ
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日本の地方政府がかかえるかだいなど、明快に論じている。高校生レベルではやや難しいかもしれないが発展的学習の手引きとして有効か。
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非常に勉強になった。今の地方政府が、どうしてこのような形・制度なのかわかった。縦割りも平素の行政サービスには最も効率的。事態対処のたびに、横断的業務に発展がみられればいいなあ、と思う。
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地方自治体の歴史や政治制度、諸外国との比較などコンパクトにまとまっている。あんまり注目してこなかった分野だが、結構面白かった。特に都市計画や地方活性化などに直結するため、ビジネス的な視点で見てみても面白そう。
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・本書は、1700自治体のそれぞれの状況や課題を綴った軽い新書だと思っていたが、そうではなかった。地方政府の行政学入門書(選挙・政党制度の扱いもあり)とでもいうべき内容となっていた。なかには抽象的・理論的な議論もあり、なかなか読みごたえがある。
・思ったこといろいろ
地方議会では政党制が確立していないことが問題だという。地方では議員が個人バラバラに動き、政党による議員教育や政策提案、拒否権発動が起こりにくいため。普段地元の様子を見ていると、確かにその通りだ。
地方行政では、NPM(民間の手法導入)が興味深かった。日本は他国に比して民間事業者の活用が委託という形で進んでいたらしいが、1990年代以降、実施のみを任せる委託だけでなく、立案・資金調達から任せるNPOの活用が始まっていったという。個人的に興味のある指定管理者制度では、有名なツタヤ図書館の事例が出てきた。他にも、金融機関が事業収益性を統制しようとするPFIの仕組みも面白かった。これらの分野はぜひ勉強してみたい。
広域自治体は教育・警察、基礎自治体は福祉が予算的にメインとなるという話も面白かった。予算だけでなく各分野における職員数の分析もされている。開発政策、福祉、まちづくりの3分野の話も興味深く読んだ。
第四章の地方政府間関係では、国別の自治体の形態(数や何層性かなど)、広域連携(ゴミ処理の連携と紛争による分裂)、合併の分析などが触れられている。あまりタイムリーではないが興味深い。自治体は、横並び的性質があるというのも分かる気がして面白かった。地方自治体は、近隣自治体の動向を伺い自分だけ過度に飛び抜けないように政策を進めていく傾向があるというのだ。もし「飛び抜けた」政策を行った自治体があれば、水平的にその斬新的な政策が広まっていくともいう。地方行政版のインクリメンタリズムとでもいうべきなのか。
第五章は中央・地方関係の記述。
・終章では各章の内容がまとめてあり、ここを読むだけで本書の要旨が分かるようになっている。本の構成として非常に優れている。
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M+1原則
市町村議会の票割りのとこ面白い。選挙見るの楽しくなりそう
何かと話題になる「ツタヤ図書館」、指定管理者制度とかでやってるのね
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研究アイデアが湧きそうな本。たまにこの本に戻って来たい。
・首相公選制は議院内閣制の拡張とも大統領制の拡張とも見れる
・現行の市議会選挙は当選者の得票に死票を多く抱えているという意味で非効率
・知事の党派の変遷