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中学時代の自分に貸したい、そんな1冊
2020/03/19 10:20
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀雪 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本が20年前にあればよかったのに。
ただただ、そう思えて仕方がありませんでした。中高生時代の自分に貸したい1冊。
この本は若い世代向けの、広義の「社会運動」の入門書。実際に中高生に向けた講演で盛り上がった内容だそうです。2020年のセンター試験に使われたことでも評判になりましたね。
「廊下が寒いのでエアコンをつけて欲しい」「売店のパンを増やして」など、卑近な「わがまま」を扱っていて平易な書き口であるものの、しっかりとポイントは押さえてある良書。「わがままを言う」ことを、困りごとを抑圧しない、ポジティブなこととして扱っていることもとても良い。
「わがまま」までいかないような「モヤモヤ」についての受け止め方も良かったです。
例えば、「『浪人にならないために』というメッセージを出している学習塾の広告にモヤッとする」という学生さんの意見に対し、著者が「『ふつう』のキャリアを理想視してそのコースを進ませようとすることに対してモヤモヤするというのは、すばらしく社会的な着眼点。それは『大企業に勤めたほうがいい』とか『結婚して一人前』という社会規範に対する疑問とも繋がってくる」と述べていたくだりは、とても印象的でした。
近年は、ともすると「そんなの単なる『お気持ち』案件だろう」「私企業がどのようなメッセージを打ち出そうが自由では」と一蹴されがちな中、わだかまりを社会問題として解きほぐしていくアプローチには心強さを覚えました。
広義の「ダイバーシティ」や多様性、ポリコレ的な言動についても平易な言葉で触れられていて、若い世代だけでなく、多くの人におすすめできる本です。「ツンデレ」や「保育園落ちた日本死ね」など、漫画やネットスラングの引用も多く、気軽に読み進めやすい内容となっています。
とはいえ「わがまま」を言うことに抵抗がある、デモも怖い、炎上もしたくない、田舎だからできることが少ない、お金もない……という人でもできることも具体的に書いてあり、一歩踏み出す勇気をもらえる1冊。
社会問題との向き合い方に関しても「ブレていい、途中でやめてもいい」ということが書いてあり、とても励まされました。
「社会運動やデモとか、政治的なことはなんだか怖そうなイメージ」という人でも、世の中や学校・職場での不満や困りごとがあるひとは多いはず。些細な困りごとをどう解決していけばいいか、異なる他者とどのようにすり合わせを行えばいいか、広義の「コミュニケーション」の本とも言えると思います。
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:おどおどさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
子供の頃は、わがままだ!と注意されたことがあるが、今はどうなんだろう。
自分では気を使っているつもりだけれど、割と自由奔放に生きているので、わがままだと思われているかもしれない。だけど、別にいいじゃないか!笑
こういう本が出版されて、本当にうれしい!!
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社会に対して声を上げること(社会運動)を「わがまま」と表現し、忌避される理由、意義、やり方を説く。
今の若者に伝わることを意識して書かれているのが特徴的。言葉の言い換えも多用しわかりやすい。
さあ、わがままを言いおせっかいをしよう。
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自分の権利や不満を主張すると「わがまま」と思われる。そういう「わがまま」をいいやすくするにための本。「わがまま」や「おっせっかい」が、人の権利を認め、ゆくゆくは社会を変えることにつながる。
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「わがまま」という言葉を使って、社会運動に対する拒否感がどこからくるのか、「わがまま」の意義や言いやすくなる心構え、およびその方法を述べてます。
社会運動を研究するという著者が学生向けに講義する形式で、もやもや感やイライラ感を感じたら声を上げてみようよと語りかけ、さらに、それが続かなくてもいいし、結果的に改善されなくてもいいとも。社会運動を身近にしたい、という想いの本です。
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社会運動を「わがまま」という観点から広く捉え直して、敷居の高さや間口の狭さを緩和する試みは読んてて目から鱗が落ちる所が多かった。ワークショップや具体例も面白そうだと思った。しかし尚意識高い感じがしたのは何だろうか…俺の感性の問題か…。でも総じて面白かった。
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「デモ」や「署名活動」、社会問題に関する「学習会」や「シンポジウム」
これらの社会活動に参加することに対して、「なんとなく、嫌」と感じてしまうことがある。
「なんとなく、嫌」と感じている人の中には、社会活動に対して「怖い」「自己満足」「クレーマーじゃないか」などとネガティブな言葉を口にする人もいる。
社会運動をしていると、他人から「みんな我慢しているのに」「お門違いじゃないか」・・・「あなたの、わがままだ」と言われてしまうことがある。直接、言われなくても、そういう空気を読み取ってしまうことがある。
それは、一体、なぜ?なのか。
本書は、「社会に対して自分の意見を発すること(社会運動)」=「わがまま」と位置づけ、なぜ、この「わがまま」は、なぜ、ネガティブに捉えられるのか?
理由を解きほぐして説明しています。
不安を感じて、言いたいことを言うのを辞めてしまったり
言いたいのに言えない自分に苦しむことを解消するための手がかりを与えてくれます。
本書での「わがまま」は、あらゆる場面で、自分の好き勝手にふるまる広義のわがままとは異なります。
タイトルだけで判断して購入してしまうと、私の思っていた「わがまま」とは違う!と違和感を感じてしまうかもしれませんが、政治や社会問題について自分の意見を発したことがない人こそ、じっくりと読んでみてほしい。
噛みしめながら読み進め、途中で提案されている思考のエクササイズに挑戦してみると、
自分がどのようなことにとらわれているのか。
考えることになります。
本当に言いたかったことを言わずにいることを良しとするように、
いつのまにか枷をはめられていたのかもしれない。
そんな気づきもある一冊だと思います。
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中高生向けに書かれたものなのでとてもわかりやすい。
多くの人が社会運動を忌避してしまうのは何故かがわかる。
みんな多様化し個人化してそれぞれ違っている。「ふつう」なんてないのに「ふつう幻想」を持ち続けている。
若い人に読んでほしいな。
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多様化しておりわがままの共有が難しい
でもわがままの背後にはそれなりに理由がある
などなるほどと思える
一貫して社会運動あるいはその手前について中学生ぐらいにもわかるよう書かれており新たな世界観を見せてもらえた
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若い人向けに書くことが外に向けて説明することになっているという入れ子構造が楽しい。
わがままを直接言わない、自分のことじゃないから参加するもあり、ちょっとやって辞めていい、すごく納得感がある。というか、私の実感に近い。
ときどき、もどってこよう。
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これは中高生向けに書かれた本だが、大人の私にもかなり学びがたくさんある本だった。
とくにぐっときたのはこのあたり。
多様化したことで、簡単に痛みをわかちあえない、
提案なら良いけど批判だけならダメという考えが強い国民性がある、
中立や隔たりにこだわりすぎない(どんな人も自分の観点から物事を切り取って解釈しているにすぎない)、
自分や私の人をカテゴライズしすぎない、
初志貫徹にこだわらなくても良い(興味を持った社会問題にずっと関わり続けなくても変わっても良い)、
途中エクササイズが入っていて、それもわかりやすかった。
確かに、10年前の働きマンとか読むと、少しずつ社会が変化しているのがわかる。
この本に紹介されていた「レッド」も面白い!
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あとがきの言葉使いに 作者の感情がすごく籠もった言葉の連続に、作者が渾身の思いを込めて書いた一冊なのだと感じた。
学者の研究にまつわる本としては私情が挟まりすぎているのかもしれないが、それも「わがまま」として許容したいと思った
すごく沢山の高校生や中学生に届いてほしいなあ、、
社会運動をする意味
→世の中を変えることが出来なくても、自分自身を変えることは出来る
フェミニズムの運動に参加して、政策が変わらなかったとしても、男女平等という考え方を知ることで、その人が生きやすくなることがある
活動に参加することが継続できなくても、一度参加することで視野が広がる
犯罪者にも背景があり、自分がいつ犯罪者になってもおかしくないと、知ることが大切
過ちを犯すことを非難するばかりでは、過ちを恐れてだれも何も出来ない
スティグマ(烙印)は実は、私自身が私に押しているものだった
私はこんな人間だから こう捉えられる人間だからと自分で自分をカテゴライズしてしまっていた
まずは、自分のカテゴライズと烙印を取り払う。私は自由だと思ってみようと思います
そもそも人間は違いすぎている
だからコミュニケーションしやすくするために、カテゴライズして共通言語を見つけようとする
すると、今度はその共通言語を話していた人以外を敵に思ってしまう
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みんなの「わがまま」入門 単行本。富永京子先生の著書。自己中、自己チュー、自己中心的、身勝手という悪口や批判は気にしない。自己中、自己チュー、自己中心的、身勝手という悪口や批判をするのはわがままを正しく理解していない人。自己中、自己チュー、自己中心的、身勝手という悪口や批判をおそれずにわがままでいい。学校での人間関係に悩んでいる子たちに読んでほしいわがまま肯定本。
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"社会運動に参加することで、それまで自分がセクハラを受けているのは個人的な問題だ、お給料が低いのは自分の努力不足だ、と考えていたことが、じつは女性が共通に抱えている悩みやつらさなんだとわかる。さらに、そうしたつらさをつくり出す構造が社会にある、と知ることによって、新しいものの見方を獲得できる。それ自体が社会運動の成果なんだ、とこの理論では解釈します。"(p.97)
"なんで政治家との交渉とか選挙での投票じゃなくてデモをやっているのかというと、それまで冷静に話しても聞いてもらえなかったからですよね。聞いてもらえないから激しい表現になる。"
"あえて強い批判の言葉を使わざるをえない場面、あるいは、使わざるをえない人々のことを知っておくと、「相手が何を言っているのかさっぱりわからない」と感じたときに、視点を変えてその背後にある構造的な問題を考えることができます。"(p.133)
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タイトルにある「わがまま」は社会運動における主張のことですが、社会運動といっても(著者の主張に反するかもしれませんが)やっぱり非常に縁遠いものですので、自分としては日常における自らの意思表明をいかにおこなうか、という点に引き付けて読みました。言わなきゃ始まらない、まずは意思表明してみるってことに尽きるかな、というのが読了後の感想です。著者も書かれていましたが、とくに日本人こういった自らの意思表明に及び腰な部分がありますし、いい意味で「察する」文化がありそれはそれで有効なシーンも多々あるのですが、必要以上に相手を忖度しすぎてしまう結果にもつながっているように思います。意思表明する側、それを受け止める側、どちらもアサーティブな態度でいることが肝要であると改めて感じました。