紙の本
前作に比べれば、怖さはマイルド
2019/09/29 09:59
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ねこまるた - この投稿者のレビュー一覧を見る
古い城下町を舞台にしたホラーです。建物にまつわる大きな事件では無いかれど、ジワ~と怖くなる話が連なっています。
前作に比べると、「怖くて一人で読む事が出来ない」「物音にびびって後ろを振り返る」とう事にはならなかったですが、途中で「早く営繕屋出てくれ、怖い」と思う事は何度かありました。
あくまで怖さがマイルドなのは前作比ですので、ホラーが苦手な方は注意して下さい。
紙の本
そこにある怖さ
2020/01/12 12:33
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投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
まかり間違えば自分に降りかかるかもしれない恐ろしさのある連作短編集。
今回は「魂やどりて」が印象的。育の傲慢さ、身勝手さがものに残る思いを怒らせる過程はいかにもありそう。
ものの歴史を受け入れるつもりがない人間は古道具に手を出す資格が無いのだな。
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営繕かるかや怪異譚第二弾。「芙蓉忌」はどうなるんでしょう?あいにきて下さいの手紙は怖かった。「関守」に出てくる通りゃんせの唄は子どもの時恐かったことを思い出した。「まつとし聞かば」で尾端のしなやかな対応にほっとした。「魂やどりて」は道具の本来の姿を考えてから使うべきだと思った。「水の声」は幼なじみが必死に訴えていたのが届いてよかった。「まさくに」でも住んでいる人に伝えたかったということだった。ホラーは好きじゃなく読まないんだけど小野さんは別。怖いだけじゃなく優しさがあふれているから。このシリーズは夏の夜にぴったり。
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営繕とは、建造物の新築と修繕、また模様替なども含む。
「かるかや」とは、山野に自生するススキに似た多年草。
屋根を葺 (ふ) くために刈り取る草
優しさと哀しみと恐怖に満ちた全6篇。
古い町や建物が連なる場所に現れる、
日常に紛れ込んできた怪異。
その原因を営繕屋・尾端が建物を修繕したり、
アドバイスしたりして解決していくお話ですが、
尾端の登場は少ないです。
そこがまた、ひかえめでいいんですけどね。
「芙蓉忌」「関守」「まつとし聞かば」
「魂やどりて」「水の声」「まさくに」
恐怖だけでいうなら、前作の方が怖かったと思いますが
今作の方が自然な感じで入って来たので、
これはこれで好きです。
カバーイラストから、本作で尾端さんの関わる怪異がわかる。
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「営繕かるかや怪異譚(その弐)」小野不由美著、角川書店、2019.07.31
323p ¥1,728 C0093 (2020.06.17読了)(2020.06.10借入)
【目次】
芙蓉忌(ふようき)
関守(せきもり)
まつとし聞かば
魂(たま)やどりて
水の声
まさくに
☆関連図書(既読)
「残穢」小野不由美著、新潮社、2012.07.20
「鬼談百景」小野不由美著、メディアファクトリー、2012.07.24
「営繕かるかや怪異譚」小野不由美著、角川書店、2014.12.05
「丕緒の鳥」小野不由美著、新潮文庫、2013.07.01
「白銀の墟 玄の月(一)」小野不由美著、新潮文庫、2019.10.12
「白銀の墟 玄の月(二)」小野不由美著、新潮文庫、2019.10.12
「白銀の墟 玄の月(三)」小野不由美著、新潮文庫、2019.11.09
「白銀の墟 玄の月(四)」小野不由美著、新潮文庫、2019.11.09
(「BOOK」データベースより)amazon
かつて花街だった古い町の実家に戻ってきた貴樹。書斎として定めた部屋の鏡を何気なくずらしてみると、芸妓のような女が見えた。徐々にその女から目が離せなくなり…。(「芙蓉忌」より)。佐代は『通りゃんせ』の歌が嫌だ。子供のころ、夕暮れの闇が迫る中、怖いのを我慢して神社への石畳の道を走っていると、袴を穿いた鬼に出会い―。(「関守」より)。三毛猫の小春は交通事故で死んでしまった。あるとき息子が裏の古い空家から小春の声がするという。得体の知れない「何か」は徐々に迫ってきて―。(「まつとし聞かば」より)。住居にまつわる怪異や障りを、営繕屋・尾端が、いとも鮮やかに修繕し、解決へと導く―極上のエンターテインメント。
【内容情報】(出版社より)
両親と弟が鬼籍に入り、かつて花街だったという古い町並みにある町屋の実家に戻ってきた貴樹。貴樹が書斎として定めた部屋の書棚に立てかけられた鏡をずらしてみると、柱と壁に深い隙間があった。そしてその向こうに芸妓のような三味線を抱えて座るはかなげな着物姿の人影が見えた。やがて貴樹がその女を見ずにはいられなくなり……。(「芙蓉忌」より)
佐代が生まれた家の町の一郭に神社があった。その神社の脇に背戸があり、夕暮れになると暗くて怖い細道だった。まるで『通りゃんせ』の歌のように。あるとき時間を忘れて遊びすぎ、忘れ物を取りにさらに遅くなり、夕暮れの闇が迫る中、怖いけれど急いで背戸に向かって走っていると、瀬戸に豪華な模様の入った袴を着た鬼が立っていた。その鬼は逃げようとする佐代の肩を掴みーー。(「関守」より)
離婚して実家に帰ってきた俊宏の母親が飼っていた三毛猫の小春。半月前に家を出て、そのまま交通事故にあって死んでしまった。母親は2か月前に倒れて意識もなく病院で寝たきりの状態だ。そのいずれも息子の航に告げることができないまま日々が過ぎていくのだが、あるとき航が「小春がいると思うんだ」という。裏の古い空き家から声がするという。さらに「布団に来た」ともいう。布団を調べると僅かな汚れと激しい異臭がする。その得体のしれない「何か」は徐々に迫ってきてーー(「まつとし聞かば」)
古い民家をリフォームして住むことに憧れをもっていた育は、築50年以上のこの物件を暇を見つけて���手を加えてきた。ある夜零時過ぎ、風呂上りにドライヤーで髪を乾かしていると女の呼ぶ声がする。しかも何かを責めるような強い語調だった。このところ続けて見る、暗闇に人影が座り込んで何かを責めている夢と煩い隣人との関係はーー。その答えは意外なところにあった。(「魂やどりて」)
恋人に結婚を切り出すと「僕には結婚する資格がないんだ」「たぶん僕はもうじき死んでしまうから」と。その理由は小学校五年生夏休みにさかのぼる。広い川の大きな堰の先にあるブロックで遊ぶ幼馴染のリュウちゃんを見殺しにしたも同然だった。亡くなった翌年から、背後からふっと淀んだ水の臭いが漂うようになる。臭いはどこかくるのかーー。(「水の声」)
祖母の家に引っ越してきてから、両親の不仲から逃れるために押し入れに寝場所を作ると、天井に屋根裏へ通じる隙間を見つけた。上がってみると、誰かが作った屋根裏部屋だった。その脇にゆらりと揺れる影ーー項垂れた人の黒い影だった。それは片眼のない片脚もないお腹も血だらけだったーー。(「まさくに」)
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待ってました、営繕かるかや第2弾vしかし相変わらずすぐには登場しない尾端氏(笑) 壁の穴からこの世ならぬ芸妓を覗いたり、異界の入り口で神様に遭遇したりと、今回もしっとり怖い話が満載で面白かったです。『水の声』とか『まさくに』なんか当事者にしてみたらホント怖すぎる話だと思うけど、話のオチとしてはほっこりさせられるというか優しい話だし、『まつとし聞かば』も『魂やどりて』も切ないお話でした。さらなる続編希望v
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この手の不思議話好きだわ。
実際には体験したくないけどね。こういう問題に対処してくれる人がいるなら心強いんだけど。
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今回もやっぱり怖いけれど面白かったです。
残酷なシーンや悲しい場面も多いのですが、納得のいく終わり方です。
最後の「まさくに」。
家のピンチを伝えるために、ここまでするなんて!
1番怖い話だったので、この結末に驚きました。
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実家を離れているうちに両親、そして弟を自殺で失った主人公は仕事を失い、行くあてもなく無人だった実家に帰った。静かに暮らす日々だったが、やがて弟の部屋からある女の生活が覗き見えることに気付き……。
十二国記も嬉しいけどかるかやの続きが読めるのも嬉しい。ホラーというより怪異の話。相変わらず尾端くんは派手な動きはしないけどいい仕事する。一話目が一番ホラーな感じで、これに関しては直して良かったのか…?となる終わりなのが良い。水の中のやつと通りゃんせのやつはゴーストハントっぽくて好き。古長屋のやつは主人公の自意識の厄介さが嫌らしくて良かった。総じて好き。
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家にまつわる怪異譚。
どうしても「長屋」の雰囲気がイメージ掴めきれないので、見取り図ほしいなぁ…。
通りゃんせの歌にまつわる話が個人的には好き。
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読んでたのにレビューを書き忘れていた。
1作目と比べると直接的に営繕屋さんとの関わりが出てくると言うよりかは間接的に出てくると言うテイストに変わっていて、その家に纏わる怪異とそこに住む人達の事情がより一層深く書かれている気がした。
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シリーズ二作目。今回も怖い! ひっそりと夜中に読んでいるとぞくぞくが止まらなくって要注意です。だけれど、読み終えた後はどこかしら温かく穏やかな気分になれる、優しい物語ばかり。恐怖があとを引くことはない……かな?(あ、でも「芙蓉忌」だけはずっと怖いかも)
お気に入りは「まつとし聞かば」。猫好きならやはりこれでしょう。正直言うと怪異はとんでもなく恐ろしかったし、おそらく実害があるとして一番怖かったのもこれ。けれどだんだん変化していく怪異にはなんだかほろりとさせられてしまったのでした。たとえ異形のものであったとしても、こういう形であったとしても、来てほしいと願ってしまいそうです。
「水の声」も怖かったけれど、うわあ、これはミステリだったのか! という心境。手掛かりと伏線はいろいろあったのですねえ。
「まさくに」もかなり怖かったのだけれど、結末のほっこり度もかなり高くて。わかってみればほんの少しだけユーモラスでもある、のかもしれません。
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小野不由美先生の新作が五年ぶりに出ました!
子供の頃から一番好きな作家さん。
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やっぱり…面白い!!!
読み始めると、惹きこまれて一気に本の中に入ってしまえるのです。
本の世界に入れる時って、しんっとした空間にいる感じになる。
それが最近味わえて無かったんだけど、久々にその感覚になった。
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小野先生お得意の怪談で、暑い夏にもピッタリ。
「通りゃんせ」の歌が題材のお話があるんだけど、あの歌私も怖かったなぁ…。
子供の頃も怖かったし、最近あんまりないのに偶に流れてくる横断歩道に遭遇すると、ちょっと気になってしまう。
どうして、あれが採用されたのかしら?
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そして、一巻の時も書いたかもだけど家で心霊現象起きてる描写読んでると、「あぁ〜、SPRに相談しに行って〜!」ってなっちゃう 笑
ちゃんと尾端さんが解決してくれるんだけどね。
でも、SPRのみんなにまた会いたいのよ〜!
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10月には十二国記の新作が発売だね!
待ちに待った、戴国のお話〜!
今から、ワクワクが止まらない!
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一話目の営繕屋さんの登場の仕方があまりに自然すぎて、どんなシリーズだったか思い出せなかった。怖いけど、この営繕屋さんにおまかせすれば安心できる。猫用のドアから違うものが入ってきちゃったらそりゃ怖いわ。
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尋常ならざるものを見せるその家には、どんな想いが潜んでいるのだろうか。
ひたひたと静かなおそろしさの霧の中から、ふと血の通った人間の情や絆が立ち昇ってくる。するとおぞましさは影を潜め、哀切な思いが生きているほうにも生まれてくる。生者と死者の絶対的な距離はどうしようもないけれども、モノがその残滓を伝えてくれることがある。
そうした、目には見えないものに対する、かつてそこにあったはずの温かみを感じさせてくれるお話でした。とはいえ、しっかりとホラーでもありますし、ハッピーとは言い切れない結末のお話もあるので、うそ寒い感覚は残ります。
けれど、家や建物が修繕されつづて長らえさせようとしているのは、かつていた人々のさまざまな思いを受け継ぐことでもあるのでは、などと改めて思えました。
そう考えるとやはり、時や理屈を超えた、人の連綿とつながる絆を描いた、やさしい物語とも言えるのではないかと、私は思いました。