紙の本
現代アート
2021/01/12 10:54
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:怪人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
現代アートを説明する内容の本だと理解した。カタカナ語が頻出し、耳慣れない用語もある。浮世絵は好きだが、現代アートなるものにあまり接する機会がほとんどない者からすると、わからないと言えばわからない。
デザイン思考とアート思考を対比させて、アート思考の必要性を説く。デザイン思考はデザインを通じて人間の困難な課題を扱うものとし、アート思考はジェームズ・タレルの「アーチストとは答えを示すのではなく問いを発する人である」というところから問題提起するものと説明する。著者は、現代アートについて、現在の人間像について多角的に考えて未来に向けて、さらなる可能性を持つ新たな人間像を求め、人間の概念を拡大することに挑戦する試みであると言う。問題解決型から課題発見、問題提起の重要性は本書で指摘されなくても夙に議論され、叫ばれている事である。
現代アートは文章だけで表現するのは難しい部分があるのではないか。文字表現を脱出したところに多くの現代アートがあるのかもしれない。そんな思いだけが残る。
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スペキュラティブ・デザイン
現代アートの3要素
インパクト 視覚的にある強いもの
コンセプト 思考的な要素
レイヤー 重層的 いい作品はいくつもの解釈が可能
ヨゼフ・ボイス アクション
社会彫刻
リクリット・ティラヴァーニャ
リレーショナルアート
アートとは、何かと何かをつなぐもの
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2020.03.05 キュレーターによるアートのお話。少し、ビジネスのお話が語られているがそれほど具体的な話があるわけでは無い。ハウツーでも無い。感じることが大切な本だと思う。
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アート思考って結局、何だ?
常識にとらわれずに考えること?(それだけ?)
どのようにビジネスに活かしていくのだ?
この辺りの疑問が自分の理解不足もあってか、
完全には晴れていかなかった。
本の内容も、途中からアートの概要の説明になっている気がする。
「あれれ」って感じ。
(ただし、それはそれで面白い。)
しかし、本の中で一番残念なのは、
色々な興味深いアーティストや作品が紹介されているのですが、
その写真などが本の中に全くないこと。
おそらく著作権などの問題があるのでしょうが、
毎回、グーグルイメージなどを使って検索するのも、
読みにくくて仕方がないですね。
(ただし、作品を見ながら、絶対に本を読んだ方がいいです。)
ちょっと「読み進める」という観点からは、不満が残る本ではありますが、
普段、アートに接したことのないような私のような人間(と大多数の方々)にとっては、
知的好奇心が刺激され、とても有意義な本だと思います。
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借りたもの。
冒頭から突然、「アートとビジネスはまったく異なる」と身も蓋もないことが書かれ、「今まで読んだアート思考の本で得たものは何だったんだ!?」と条件反射的にがっかりするも、読み進めれば何を言わんとするか分かる。
それは他のアート思考(たとえば山口周『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 』( https://booklog.jp/item/1/4334039960 ))に関する本が言わんとしていた事と共通する。ただし実利に直接結びつかないことを念押しするため、先に断言したのだろう。
それはMBA(経営学修士)がMFA(芸術学修士)にとって代わられるという意味ではなく、補うものであると解釈した。
ロジック一辺倒だった世界に感性を取り入れる……
文中では「直観」、原始的な感覚――アイデアのひらめき――を研ぎ澄ますことを指している。
それが導き出す、全く異なるアートとビジネスの交差点……
それは「現代アートの問題を提起する(している)ところ」だった。
現代アートを「ゼロベースで考える」と言われれば、スティーヴン・レヴィット『0ベース思考』( https://booklog.jp/item/1/4478029067 )を思い出し、アートのお値段(価値)を決めるものはブロックチェーンであると指摘する。
現代アートが「今」を映していることがよくわかる。
それは「売れるもの」を作っているのではない。アーティストが時代に敏感に反応し、その中で自己内省を極め、制作したものだ。
アートビジネスは直接的な関係はないとは言うものの、資本主義経済との関係は切り離せない。
水野和夫『コレクションと資本主義』( https://booklog.jp/item/1/404082184X )も参照。
アート鑑賞の要点もきっちり押さえている。
後半は近代から現代美術の流れと用語解説。
世界、日本における現代美術の主要なアーティスト解説。
彼らの作品の大まかな分類をしていることが興味深い。
「何でもあり」な現代美術でも、時を経て振り返ればその傾向が見えてくる。
その足掛かりであり、今後、どの様なアートが注目されるか(この中から新たに派生するかもしれないもの)を考えるひとつの指標となり得るだろう。
バンクシーは丁度、展覧会を観に行った後だったので、挙げられていた作品を思い出しながら読み進める。
社会への反逆か。バッドジョークの天才か。
将来ゴヤのような画家と見なされるよりも、チャップリンの変化系のような画家かも知れない。
私が気になっていたのは、「あいちトリエンナーレ2019」の中止問題についての言及。
著者は「あいトリ2019」における、金運成、金曙ギョン《平和の少女像》嶋田美子《焼かれるべき絵》などショッキングで論争を生む展示をしたことを、ヨーゼフ・ボイスのパフォーマンスアートの延長として言及。
……しかし、個々の作品についての言及はなかった。
私には《平和の少女像》は先入観もあって「プロパガンダ」にしか見えなかったし(あの像に韓国のアイデンティティはあるの?)、《焼かれるべき絵》は昭和天皇という個人の肖像を超えた独自性は見いだせなかった。
そこに著者は何を見いだしている��、意見を聞きたかったのだが……
右だの左だの反日だの韓嫌だの中傷合戦して辟易してしまい、はたしてこれは「アート」なのか疑問のままだ。
著者は‘自分だけが信じる主観的な世界を世の中に問いかけていく問題提起型のアーティストの時代に変わろうとしている(p.63)’と言っていた。答えはこれかも知れない。
そうだとしたら、上記2つの作品は、被害者意識と恨みつらみからくるアンチが作者らのアイデンティティであるとしか、私には見えない。
flier紹介。( https://www.flierinc.com/summary/1801 )
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現代アートとはなんぞや?を知るにはそれなりに良いかも。でも,アート思考の訓練やその方法として体系的な記述になっているとは言えないと思う。概ね,見開き2ページの記述になっていて,読みやすいような言葉足らずのような…。
「13歳からのアート思考」を読んだ後だと,本書は不親切とも感じられ,レンタルで収めておこうと思う。
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アートとビジネスは違うが、アートの思考法をビジネスにも取り入れていくために、アートとは何か、ビジネスにも効くアートの鑑賞法、注目のアーティストが紹介されている。アーティストについては大変豊富に掲載されていて、アート鑑賞のきっかけにもなる。
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冒頭に
「どんな角度から考えても『アートとビジネスはまったく異なる』。これが正直な感想です。」
とある。えっ、と思わされるだろう。しかし本書は
「アートは、直接、ビジネスのヒントになるかどうかはわかりません、はなはだ心もとないというところではあるのですが、今の社会を考えるにあたって、これまでの視点では得られなかった考え方やものの見方を得るきっかけになるのではないかと思います。ビジネスもアートも人の暮らしの上にある以上、どこかで共有すべきものがあるでしょう。」
と結ばれている。
この間にあるもの探しながら読んでいくと、いろいろと見えてくるものがあるだろう。
それは簡単ではない。わかりやすくもない。僕も十分に理解できたとは言えない。
しかし、簡単にわかった気になれるものは既知のものであり、そこかれは新しい考え方や視点は生まれない。
腰を据えて読むべき本。速読向きじゃない。
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「アートとビジネスは決定的に異なる」、「問いを立てる」、「アートの紐解き方」などから構成される本である。
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13歳からのアート思考を読んで、アート思考をもっと勉強しようと思い、手に取る。
こちらはどちらかというとビジネスパーソン向け。
アート思考を実際のビジネスに活かす方法が実際のアート作品を解説しながら、述べられており、分かりやすかった。
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問いが既成概念を破壊する。
作品が発する問いを共有する。わからないからといって考えることをすぐに止めない。
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アートに求められるのは、経済的・社会的成功ではなく、やむことなき自己探究をし続けることです。社会に対する問題提起、つまり新たな価値を提案し、歴史に残るような価値を残していけるかどうかという姿勢を極限まで追求することが、アーティストの願望なのです。(p.23)
新たな価値の創造ということでいえば、まさしく香川県における「直島」がそうでした。直島は三菱マテリアルの製錬所以外とりたてて特徴のない島でしたが、アーティストたちはそれまで価値がないといわれてきた島の風景や町並みに価値を見いだし、それを現代アートの力で前面に押し出すことでさらに価値を高めていったのです。直島が海外から受け入れられている評価のポイントは、まさに美的・文化的価値を生み出した点にあり、海外の文化人はそのオリジナリティと創造性を評価しているのです。(p.38)
「(ユクスキュル「環世界」)すべての生物は自分自身が持つ地殻によってのみ世界を理解しているので、すべての生物にとって世界は客観的な環境ではなく、生物各々が主体的に構築する独自の世界である」(p.50)
私たちは「わからないもの」に接することで思考が、促されるのではないでしょうか。
「アート思考」の本質とは、この「わからないもの」に対して、自分なりに粘り強く考え続ける態度のことを指しているのです。(p.81)
それをわかろうとするプロセスの楽しさが、現代アートの魅力ともいえます。「わからないから、つまらない」ではなく、「わからないから、面白い」のです。(p.89)
多くの宗教が「大きな思想」にのみ注意を向ける傾向があるのに対して、禅は「大きな思想」と「小さな日常」のギャップを埋め、両者の両立を目指して日々の修行=生活を送る実践の宗教です。一つのドグマ(教義)にとらわれずに、いかに高い次元の生活ができるか、固定化された教義よりも生き方を問います。(p.110)
「多くの産業の生み出すものは、デジタル領域によって革新されていき、デジタル・テクノロジーの塊のようなものになっていく。その後の話として、すべてはアートとしてじゃないと生き残れない時代になる。多くの産業、もしくは企業は、生み出す製品やサービス、そして存在自体が、“人がアート的だと感じるようなもの”でないと生き残れない社会になっていく(G Q Japan 猪子)」(p.163)
「今を最優先して、『時代』をテーマにしていること」、それに「眼の前のモノとそれが指し示す意味ないようには、ある距離、あるいは断絶があり、そこに様々な意味が流れ込んでいるということ」という二つを覚えておくだけで、現代アートへの理解が進みます。そのための“ちゃぶ台返し”のゼロベース思考です。(p.217)
「人が美術作品として買うなら、それは美術作品だ」
つまり芸術家どうかは、鑑賞する側が決めることだと彼は言うのです。デュシャンは既存の芸術を否定しましたが、ウォーホルは、芸術品とそうでないものの境界を破壊してしまいました。
ウォーホルは、マリリン・モンローがどんな人間で、どんな内面を持っているかといったことにまったく関心を��しません。表面的なイメージだけを量産します。大衆が望むステレオタイプなモンローのイメージをただ増幅し、皆がみたいと望むものを作品化しました。目に見えない、しかし世界に渦巻いている人間の欲望こそが現代社会を動かしているものだというのが、ウォーホルの“考え”です。メディアで量産され消費される人々の欲望。それをはじめて見える形で作品化したのがウォーホルでした。(p.235)
アートはまるで社会のトリックスターのように振る舞い、社会の内と外を行ったり来たりして、一定の距離をとりながら今の社会を相対化する役割を演じてきました。アートは人間に道徳を語り、ときに悪を語るのです。役立ちつつ、毒になるというのがアートです。うまく使いこなせるかどうかは、我々の社会の成熟度にかかっています。そこでは人間的な成熟が鍵なのです。(p.245)
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アート側の著者が書いたアートとビジネスの本。
アートそのものとは何か。それに対してビジネスとはどういう立ち位置のものか。なんかを考えるのにピッタリ。
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デザイン思考とアート思考は異なる
デザイン思考は、自分がどうしたいかではなく、顧客のベネフィットのためにはどうすれば良いかをロジカルに考えるもの
アート思考は、「何が問題なのか」という問いから始める
自然界には線も丸も遠近法もない。人間が世界を視覚認識で、捉えるために生み出した方法にすぎない。
問いを見つけるセンスは、まずは自分の曇った眼を取り除くこと。
視覚機関は教育されやすく、文化的な影響を受けやすい
現代アートの鑑賞の基本は、感じるとともに考えろ
「今を最優先して時代をテーマにしていること」
「目の前のモノとそれが指し示す意味内容には、ある距離、あるいは断絶があり、そこに様々な意味が流れ込んでいるということ」
インパクト
コンセプト
レイヤー
アンディウォーホル
「人が美術品として買うなら、それは美術品だ」
デュシャンは既存の芸を否定し、ウォーホルはその境界を破壊した
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第1章 すべては遠いから始まる
p62 現代アートは現在の人間像について多角的に考えて未来に向けてさらなる可能性を持つ新たな人間像を求め人間の概念を拡大することに挑戦する試みである
第2章 アートとビジネスの交差点
p86 言葉以外の感覚も総動員して理解を深めていく事はどんなに便利な世の中になっても必要なこと。言葉と感覚からなる美術が現代アート
第3章 イノベーションを実現する発想法
p144 アートは大量生産のプロダクトではなく誰もが必要とするものでもない。指向性が強く人を選ぶものである。
第4章 アートと資本主義
p153 作品に込められた作者の思いや哲学が人々から「価値がある」、つまり芸術として認められれば、その希少性ゆえに交換価値がぐっと高くなり、お金と同じように使用価値と交換価値の乖離が起こってきます。
第5章 現代アート鑑賞法
p218 視覚的にある強いものが存在し、その中に思考的な要素が重層的に入っていることが大事。「インパクト」「コンセプト」「レイヤー」
付録 注目すべき現代アーティストたち