紙の本
久しぶりに痛快
2020/02/06 23:02
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投稿者:しゅんじ - この投稿者のレビュー一覧を見る
久しぶりに気楽に読めて楽しいお話。お話は古典的すぎて安心して読める(これはあんまり褒めてない)が、ガジェットやキャラクターがとてもいい。コミュ障のロボットが引きこもってドラマばっかり見てるとか、ツンデレの宇宙船とか。特にARTがいいな。弊機は人見知りの草薙素子みたいだし、ARTは『敵は海賊』のラジェンドラみたい。弊機に性の要素がないのが意外に効いてるような。
紙の本
ジャケ買い!
2020/02/05 14:51
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投稿者:れいあ - この投稿者のレビュー一覧を見る
SFの各賞総どり。でも日本語訳の「幣機」が出色のむしろ古典的なSF。
ロボット3原則はここにも生きている。ロビンのロボットを思い出す。
秒単位で敵と戦いながらナノ単位でドラマ見て癒される。
自分が暴走兵器なのではないかと疑うゆえに、コントロールをハックして外す。
C-3POが、帝国語を訳すために、制御コードを外す。あのシーンがダブってしまった。
惜しいのは、タイトルが「ダイアリーズ」じゃないこと。ズに大きな意味があるのに・・・
このあと、なぜか積読だった「機功のイヴ」を手に取っていた・・・
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いやに人間くさいけど、機械以上人間未満な自律的な人型機械である主人公が面白い。人間不信気味なのに徹底して顧客である人を守ろうとし、それでいて隙あらば逃避気味にドラマに耽溺する。ちょっと見たことない主人公象です。
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人間を殺す役割の機械「弊機」
制御するシステムをハッキングし、自由行動が可能な状態。
人間を殺す機械なのに人間が大の苦手
なるべくはひっそりと
調査船の警備担当として暮らし、映像メディア(テレビドラマ)を大量に見て心を落ち着かせたりしながら生活をしている。
長編の上下巻かと思いきや、中編2つずつと言う構成で、話ごとに変わるサブキャラも今の所良い感じです。
感想は下巻で
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小気味良く、設定も面白いSF。寝ずに読むまではいかずとも、翻訳も読みやすいおかげで結構なスピードで読了してしまいました。
当然、下巻も読む予定です。
いつかもわからない相当な未来で、主人公は「人型警備ユニット」の"弊機"(しょーもない指摘ですが、この翻訳は"兵器"とかけているんでしょうか…)が星々を股にかけた活躍?をするというもの。
軽めの謎を交えたストーリーと漂うユーモア感は、どことなくアニメ「カウボーイビバップ」を思い起こしました。(主人公の設定等、全然違うのですが)
上下巻になってはいますが、上巻は大きく2編に分かれていて、割ととっつきやすい感じです。
「ダイアリー」と題するだけに、呟き手の”弊機”のキャラと語り口が面白いというのが第一ですが、この点は文句なし。
機械にしては、連続ドラマに耽溺するなど人間臭く、そのくせ対人恐怖症というギャップ。文中に「運用信頼性」なんて表現がちょくちょく出るのですが、ちょっとしたコミュニケーションのストレスで何%か低下するあたりはお約束ギャグの香りすらします。
そして舞台設定。本著内では詳しく解説されずチラ見せレベルで触れられていくのですが、これも面白い。
政治形態はもはや企業が中心のよう。人間、強化人間、ボットがそれぞれ存在し、共存しつつも独特の距離感を保っている。危険な惑星開発には保険会社が保険を提供し、それには人型警備ユニットが監視役を兼ねてついてくる…等。
ベースには、水面下の氷山のように膨大な設定が眠っているのかなと思わせる見せ方は非常に上手く、これも本著の魅力です。
延々と続けられそうな舞台設定なのですが、下巻で終わっちゃうんでしょうか。とりあえずは下巻も楽しみです。
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#日本SF読者クラブ 東京創元社の近刊案内で、本作を知った。これは面白そうとSF者の嗅覚に反応。やはり面白かった。自分のこと(一人称)を、「弊機」と訳したのは妙訳だ。連作ものだが、ミステリーの要素もある。下巻を読み始めたところ。
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これは愛おしい。
わたし的オールタイムでベスト10入りかも。
ずっと"弊機"を見守っていたい。。
早く読み終えたくないので、下巻はちょっと時間を置いて読みます。(なんて珍しい気持ち!)
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〈弊機〉って読めますか?意味はわかりますか?
これは、本書の主人公が自身を呼ぶときの一人称です。僕でも俺でも私でもない「弊機(へいき)」。
クローンの皮膚という有機的部分と、機械という非有機的部分の複合体=〈構成機体〉である主人公「弊機」は、保険会社の所有する人型警備ユニットで、会社の顧客の警備を業務としています。
会社が部品代をケチったことによる不具合とも言われていますが、「弊機」には大量の顧客を殺してしまったという過去があるようで、会社からその時の記憶を消去されています。
記憶消去後に起動する際に、再び殺人ロボットになってしまうのではという自身への恐れと会社への不信から、体内の「統制モジュール(人間に従うよう行動を制御する部分)」を自分自身でハッキングすることで、思考と行動の自由を手に入れ、会社や周囲にはそれをひた隠しに隠して、変わらず仕事を続けています。
「弊機」という一人称から想像がつくかもですが、この「弊機」、生真面目で気難しく、周囲(特に人間)とのつき合いが苦手で、孤独な場所に閉じこもってネットワークからダウンロードする連続ドラマを延々と観ているのが大好きという、なかなかに拗れたキャラです。
そういった可笑しみの反面、「弊機」が遭遇する事件は、なかなかタフで危険で血生臭いときもあります。
SFでありながら、個人的な感想としてはハードボイルドが色濃く出ているように思います。
保険会社の警備ユニットということで、「保険の調査員=オプ=私立探偵」を掛けてるのかなっと思ってしまうほど。
現在に起こる事件や、自らが犯したとされる顧客の大量殺人事件の真相を探るシリアスな部分、拗らせキャラのコミカルな部分、人間が苦手と言いつつも、人間を守るという自らの役割には頑ななまでに忠実で、危険をものともしない姿にホロっとさせられる部分など、誰もがどこかに惹かれるポイントがある、そんな魅力的な小説です。
形式は長編ではなく、ノヴェラ(中長編)が各巻二編ずつ納められた連作集。
特に上巻収録の第一話はヒューゴー、ネビュラ、ローカスの各賞を同時受賞するというトリプル・クラウン、第二話は、第一話に続き2年連続でのヒューゴー、ネビュラ賞のダブル・クラウン受賞など、実績もお墨付きのスグレものです。
作者のマーサ自身が、つい先日Twitterで、「日本語版の写真をゲットしたけど、むっちゃクール!」←(意訳ですw)と呟いた安倍吉俊さんのカバー絵も素敵です。
続編の翻訳を首長くして楽しみにしてます!
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保険会社所有の人型警備ユニット“弊機”は、統制モジュールの指示に従って顧客を守るためだけに作られた、有機体と機械を合成した機体。
かつて暴走して大量殺人を犯したとされているが、その時の記憶は消され、引き続き使用されている。
しかし実は、殺人を犯して以来自らを“殺人ボット”と呼んでいる“弊機”は、自らを縛る統制モジュールをハッキングしてプログラムから自由になっており、その秘密が露見しないようにふるまいながら、“弊社”の契約した業務を続けているのだ。
今回の業務は、ある惑星に派遣された資源調査隊の一行を守ることなのだが…
魚雷屋の読書録さんの本棚で、表紙イラストに目を惹かれて見てみれば、ヒューゴー賞・ネビュラ賞・ローカス賞の三冠ですと?どひゃあ!
そして、もうそりゃ三冠も納得のSFっぷり。
マーサ・ウェルズ、初読。
人間が苦手で気まずい思いをしつつ、危険に身をさらしてまで顧客を守ろうとし、非論理的な自分に混乱しては娯楽メディアの連続ドラマを見て心を落ち着かせるという、何ともアンバランスでどこまでもクールな“弊機“。
そして、ふたつ目の物語で出会った超高性能な処理能力を備えた調査船・ART(不愉快千万な調査船)とのコンビも最高。
ARTとのやりとりは、大昔に読んだ『歌う船』シリーズを思わせ、もしかしてこのままふたり(?)して旅に出るのかと思ったけど、そうではなかった。
“弊機”の次の旅は、何処を目指すのか。
下巻も楽しみ!
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すごく…面白くて、今年の本ベストに入るんですけど、(語彙が足りなくて讃えられない)と悔しがっています…
表紙の警護ボットが主人公で、一人称「弊機」のオムニバスです。この警護ボットはシステムが暴走して50何人殺してしまった黒歴史があり、なのでシステムをハッキングして命令を無視できる自由の身になったんですが、何をしているかといえば、仕事の傍ら連続ドラマを延々と見ています。完全なロボットではなくてクローンを用いた有機体である(強化人間は別に出てくる)ので、感情も自由意志もあるんですけど、それで何をするかというとドラマに嵌り倒している。対人関係がめんどくさくて、すぐにドラマに逃げ込もうとする…コミュ症というか…すごいかわいいところがある…外面は無表情を貫こうとしているのに、地の文では「ぜったいにいや」とかいう おまえ おまえ どの口が かわいいね、わたしは さくらんした
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最新のSFなのに
何だか懐かしいテイスト。
ちょっとクセのある一人称なので
慣れるまで助走が必要だったけども
全体としては読みやすくて
おもしろかった!
なんといっても主役の"弊機"が愛しい…。
全4話からなる連作短編集ですが
その時々に知り合った人間たちとの
関係の築き方が独特。
なぜならお手本がダウンロードした
映像メディアの連ドラだから(笑)
そもそも人間と関わり持つのもめんどう
…とか言って、少しずつ変化するし。
しかし、女子率の高いSFだ。
どうやら弊機も女性タイプみたいだし
弊機の変化のきっかけを作った
メンサー博士もカッコよかった!
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【収録作品】システムの危殆/人工的なあり方
「弊機」やいくつかのロボットが思ったよりも人間的・感情的で意外。二話目はバディものに近く、助け手の存在が都合よすぎる気がするが、面白いのはまちがいない。
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「弊機」がかわいい…!
SFは苦手なはずだったのに、続きが気になってスイスイ読んでしまった。緊迫のシーンが、目の前に情景が浮かぶようで楽しかった。映画化してほしいな〜。
登場人物が多くて、付箋に名前と特徴書いて壁に貼りながら読みました。
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暴走した警備ロボットが主人公。こいつがまた自分を弊機と自称しており屈折している。統制ユニットをハッキングしているため自我があり娯楽ドラマを好んで観ている。
SFとして描かれるロボットにしてはハードボイルドでもなく熱血でもなくニヒルでも無い。極めて冷静でクールな判断を下すがトラブルには巻き込まれる。
中編2篇が連作で掲載されている。どちらも面白い。
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記録は削除されていますが古巣で殺戮を行った可能性のある警備ユニット“弊機”を主人公に物語が進む、様々な人間模様と状況の変化が絡むハードSF小説の上巻です。
行動を制限する“統制モジュール”をハッキングし自らを奴隷状態から解放した自称マーダーボットの弊機は、人間が作り出す娯楽作品を楽しむ自由を謳歌しながらも慎重な立ち居振る舞いに余念がありません。
平凡な警備ユニットとして顧客と契約し、自分が自由意思を持つロボットであることを隠し続ける生活を続けています。
しかしこの弊機、人間以上に人間らしい考え方と感情を持っておりそれが非常に可愛らしく面白いのです。
娯楽作品をフィード(この世界のインターネットのようなもの)で観すぎたのでしょうね。
それに加えて多くの人間や人工知能との交流により、弊機の内面が人間らしく成長していく過程が描かれています。
性別が無いので彼とも彼女とも代名詞で呼べないのですが、“弊機”の今後が気になる終わり方でした。
下巻にも期待します。