紙の本
こんな本屋さんいいな
2021/04/16 07:24
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本を読むきっかけはさまざまだ。
大阪にあるわずか13坪の本屋の姿を描いたこの本を読むきっかけは、2021年3月27日の朝日新聞土曜日の別刷り「be」の「フロントランナー」で取り上げられていた記事を読んだからだ。
隆祥館書店店主二村知子さん。61歳。
記事の見出しに「心を渡し、支える最強の本屋」とある。
二村さんは元シンクロナイズドスイミングの日本代表選手。泣き虫であったという彼女はその当時の井村雅代コーチに厳しい教えを受ける。
やがて、父の経営する街の小さな本屋の店主になる。
なんといっても、父である二村善明さんの本屋としての心意気がいい。
「本を読むことで地域の人たちのリテラシーが高まる、本を読んでもらいたい」というのが創業以来の志だという。
知子さんもその志をしっかり受け継いでいる。
この本では町の書店が抱える経営上の問題点であるランク配本(これによって小さな書店には話題本が入ってこないこともある)、見計らい配本(取次から一方的に送られてくるとか)、同日入帳問題といった、善明さんや知子さんが取り組んできたことも記されているが、何よりも知子さんたちが本屋さんに来るお客さんに本だけでなく作者などとの集いを開く姿勢など興味をひく。
「なにかお探しですか」、知子さんがかける一声が本を読むきっかけになることもある。
本書ではすでに300回を超えたという作者との集いから、井村雅代さんや鎌田實さんなど4名の方の回の講演会の様子も収録されている。
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町の本屋が廃業する本当のワケ
2021/03/28 17:26
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投稿者:ひでくん - この投稿者のレビュー一覧を見る
雑誌や書籍でも牧歌的ともいえる「本屋本(本屋特集)」がある種のブームで、それは決して悪いことではないです(わたしもよく買います)が、そんな「いい感じ」ばかりなら、こんなに本屋が減ったワケはなにかと訝しく思っていたのも事実です。
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『13坪の本屋の奇跡 「闘い、そしてつながる」隆祥館書店の70年』
2020/07/12 20:04
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投稿者:百書繚乱 - この投稿者のレビュー一覧を見る
大阪谷町で70年続く13坪の本屋「隆祥堂書店」
出版社3000社、書店8000軒に対して取次は大手2社の寡占状態という出版業界にあって、小さな書店がいかに闘い、読者とつながってきたかを『オシムの言葉』のノンフィクションライターが描き出す
同日入帳、ランク配本、見計らい配本……第1部は小規模書店を苦しめる取次の理不尽な制度に闘いを挑んだ書店主 二村善明 の気骨の生涯を描く
後半は経営を受け継いで営業を続ける現店主、長女の 二村知子 の挑戦の記録
町の本屋の生き残りをかけて東日本大震災以降9年で242回、月平均2.5回にわたって開催されている「作家と読者の集い」から、藤岡陽子、小出裕章、井村雅代、鎌田實の講演録を収録
版元は取次を通さない直取引の出版社「ころから」
(だからこそ書けた出版流通のタブーの数々)
絵本作家の降矢なながカバーと扉のイラストを描いている
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2019.12.5. 「本が好き!」の献本に当選!
以前、早川義夫さんが本屋を経営されていた頃の著作を読み、取次からの配本が思い通りにはいかないという実態は知っていた。
本書においても、売り上げ実績より店の規模を優先する「ランク配本」や、書籍や雑誌が勝手に送られてくる「見計らい配本」について詳細に説明されている。見計らい配本については、特に売り上げ的にも内容的にも話題となっているヘイト本などはその対象になりやすい。
更には、配本分の支払いには余裕が無いのに、返品分の支払いはタイムラグがあるという本屋ファーストではない問題点も上げられている。その上、ネット買いやキンドルの普及などで「町の本屋」の廃業が増え、出版界全体が不況に陥っている現状があぶり出されている。
本書は、大阪にある70年の伝統を持つ「町の本屋」隆祥館書店の奮闘の記録である。常連客との対話を第一義に、上記した問題点に果敢に立ち向かう姿勢は、隆祥館の存続の為というより、本を読む事、その素晴らしさを語る事で創られる「文化」を守りたい一心から生まれている。
出版不況や流通の問題点といったマクロな視点も本書の重点ではあるが、それに加えて、とにかく、登場人物が素晴らしい。著者の丁寧な筆致に気持ちが集中し、何度も目頭が熱くなった。
創業者とその妻、二代目を継いだ長女と妹、長女の娘、各々が各々の立場で考え努力し行動するその姿勢に度々感動する。創業者と二代目ではそのスタンスも微妙に違う。ただ、創業者の、顧客の為、本屋全体の存続の為、出版文化の為というポリシーは受け継がれている。
必ずしも本屋側の人間だけでなく、出版社側の危機感を持つ人物、イベント「作家と読者の集い」で共鳴する作家などの温かみも伝わり、優れたヒューマン・ドキュメンタリーとなっている。
著者は大手取次の「天皇」と呼ばれる人物にも取材。根本的には、出版不況や取次・書店間の制度を問題視はしているのだが、現状果たしてどうなのか。本屋好きの一人としては、気になるところである。
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大阪で親子2代で本屋をつないでいる隆祥館書店。
その歴史の重み、苦労、苦悩、闘いの厳しさ、貫く思いが伝わってくる。
13坪の狭小とも言える規模、日々本当に厳しい闘いのはず。でもどんな大型店より熱い売り場なんだろう。
こういう本屋が苦しんでいる現状がおかしいんじゃないか?
その熱意、努力で未来を切り開いていける業界じゃなきゃいけないんじゃないかと、思う。
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まさに書店受難時代。ただでさえ本が売れないのに、売れそうな本ほど小さい本屋には入って来ない。そして数年前のムックを勝手に送ってきて、すぐに金を払えと言われる。けれど返品しても直ぐにお金は入って来ない。これで良く経営成り立っているなと逆に感心します。
大阪の隆祥館書店はわずか13坪にもかかわらず、全国的に有名な書店です。本へ顧客へ愛情を注ぎ、先代は本書で有るように書店の権利を勝ち取る為に立ちあがった、義に生きた男。そして二代目の二村知子さんは父の意思を受け継ぎつつも、著者を招聘しての講演会を200回以上続けるという偉業を継続しています。
小さな書店でも人を呼ぶことは出来るという証明のような書店であります。実直にいい本を勧めつづけてきた信頼と、企画力と実行力。それを兼ね備えた2代目の知子さん。本とは関係無いので小さい声でいいますが(すごい美人)です。
色々な本系ムックで見かけた超美人が一人いましたが、この書店の経営者だったんですね。うーんびっくり。
話逸れましたが、一途に勤勉に書店を経営してきた親子の一代記としても素晴らしいし、いかに書店という商売が成り立たず、特殊な企業努力をしないとジリ貧になってしまうかという現実を知るためにもいい本です。
誰も彼もアイディア出して実行したり交渉したり出来る訳ではないので、真っ当に物を売って真っ当に生活が出来る商売にならないものでしょうか。このままでは小さな本屋さん本当に無くなってしまうと思います。
微力ながら月5000円は新刊書籍をリアル書店、それも出来れば個人書店で買うように心がけています。
この本屋さんは大阪なのでなかなか行く機会無いですが、近くの書店を応援しながらエールを送りたいと思います。
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これは文句なくおすすめ本です。小さな本屋、大阪の隆祥館の志が引き起こす奇跡に胸が熱くなります。学ぶことが多くある良書でした。まず利用している図書館の職員に紹介しました。
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大手流通業の跋扈に加えてそもそも本が売れない今。小さな本屋・隆祥館の,街の本屋としての矜持をかけた闘いを描くルポ。本流通の実情(同日入帳問題,ランク配本,見計らい配本)も詳述。
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大阪・谷町六丁目にある小さな(13坪の)本屋から見える現在の出版業界の問題点、また、
その書店がこれまで240回以上(!)開いてきた「作家と読者の集い」と呼ばれる講演会の記録。この2部で構成されているエッセイ。
舞台である「隆祥館書店」の店主・二村知子さんは、かつて井村雅代コーチに指導を受けたシンクロナイズドスイミングの日本代表選手だという。
その父であり創業者でもある義明さんは、日販とトーハンという取次2強が支配する出版流通の問題を改善するために闘った人である。
(1)入帳問題・・・書店から取次へ返品した商品の返金が、先送りにされている。
(2)ランク配本・・・小さな書店には、売れている・売りたい本が配本されない。
(3)見計らい配本・・・取次店が、書店の注文していない本を勝手に見計らって送ってくる。
Amazon、Kindleの上陸により町の書店が次々につぶれていく状況は危機的であるけれど、そんな中でお客さん1,500人すべての顔と本の嗜好を覚えている「日本一お客を知る店員」二村さんの努力がすばらしいと思った。
第2部に登場するのは、『いつまでも白い羽根』『手のひらの音符』『トライアウト』などの著作がある作家の藤岡陽子さん、原子力の危険性を訴え続ける科学者の小出裕章さん、シンクロのコーチ・井村雅代さん、『○に近い△を生きる』を著した医師の鎌田實さん、の4人。
僕が一番興味を持ったのは、小出さんのお話。
自分も、「原子力はまあいいんじゃないかぐらいに思って」(p.129)いたから。
「今はエネルギーを使わないで、どうやって私たちが幸せに生きられるかということを考えなければいけない」(p.136)との言。
人間は、原子力とは共生できないということを痛烈に思い知らされた。
NHKの『朽ちていった命』(新潮文庫)にすごく興味が湧いた。
作家とお客さんを直接つないでくれるこういう取り組み、有名な方のお話が聴けるという点で、また本の中身を深く知れるという点でも、とても面白いなと思った。
「人を動かすのはお金ではなく、そこに傾ける情熱だ」(p.131)
こういう本屋がいつまでも残ってほしいな。いつか必ず行く!
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お薦めの本です。
隆祥館書店、この本で初めて知りました。こんな本屋さんが近くにあれば、毎日通いたくなるかも。
それにしても、本の取次配本システムはなんとかならないのか。町の本屋さんを窮地に追い込んでいるのは、amazonだと思っていたけど、このシステムも大きな要因だと思う。
出版元もこういうシステムの改善に乗り出すべきだと思った。
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書店等への取次経由の際の、ランク配本と、見計らい配本の問題。うっすらと問題が存在するということは知っていたけれど、現状、弱い者いじめのような制度がまかり通っていて、なすすべもなく町の書店が廃業に追い込まれてきた現実が分かった。
電子書籍化やAmazonの台頭などで優遇されている大手書店でさえ、撤退が進んでいるというのに客に商品を届ける末端の個人書店を大切にしていない。たとえ販売実績があったとしても、だ。
自分自身ベストセラー作家の本の発売日に近所の書店を回ったがどこにもなく、週末に大都市の大型書店にこれでもかと複数の場所に山積みされているのを見て、もはや買う気が失せてしまい、図書館で借りて済ませてしまったことがある。欲しい人と売りたい店があるのに、そこに卸さない。取次会社の、本や雑誌が売れなくなったという嘆きは聞くけれど、こんなことをいつまでも続けていていいのだろうか。
トーハンの天皇として君臨されていた方は問題を認めている。書店とやり取りをする現場担当者も状況を改善すべく、奔走してくれている、トップと現場が問題と感じているのに現実が変わらない、じゃあどうすればいいのだろう。
この本を読んで感じたことはいろいろあるけれど、これがすべてではなく、立場を変えれば違った主張もあるのだろう。いろんな情報、視点を仕入れて自分の頭で考えていくことが必要だと思った。
第2部の本屋がつなぐの隆祥館書店の「作家と読者のつどい」の講演録も読みごたえがあり、読みたい本が増えた。
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町から本屋が消えていく。実際、最近は出先の大型書店やAmazonで書籍を買うことが増えた。Kindleの電子書籍も利用している。買いたくても近場に本屋がないのだ。
かつてお小遣いを握って、雑誌や本を買いに走った個人書店も今はない。これは文化の衰退ではなかろうか。
本書は大阪は谷六の小さな本屋・隆祥館さんが、不公平な配本制度に苦しみながら、地元に根づいた商いを続ける闘いの記録である。一応出版界の端くれにいながら、流通の細かい話、特に見計らい配本制度は知らなかった。恥ずかしい。
はっきり言って出版は斜陽産業だと思う。エンタメ系はもちろん、必要不可欠な教科書や専門書ですら売れない時代である。セレクトショップ的な変わった書店も出てきてはいるが、それはやはり変化球である。身近に隆祥館さんのような本屋さんがあるなら、応援したいなと思う。
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大阪の伝説の本屋さん「隆祥館書店」の70年。
13坪の本屋さんはいかにドン・キホーテになったか。
同日入帳問題、ランク配本、見計らい配本など、書店の慣習に、親子二代で戦ったこと、勉強したこと。
丁寧な接客、広告、作家さんと読者の集い。
出版社さんや作家さんとも、書店は引き離されているのではないか。
あらためて、本屋さんで本を買おうと思った。
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読んだのは初版。
2刷になっているようなので、修正されているとよいが、『朝鮮と日本に生きる』等の著者、詩人のキムシジョンさんのお名前が、金[詩]鐘となっているのが(しかも数か所ぜんぶ)めっちゃ気になった。お名前の字は、金時鐘さん。
https://www.iwanami.co.jp/book/b226319.html
*p.86、p.87
金[詩]鐘→金時鐘
ほかに読んでて気づいたところ:
*p.42 『大阪人』の発行元
大[坂]都市協会→大阪都市協会
https://ci.nii.ac.jp/ncid/AN10186751
*p.89
70年に及[び]店の歴史→70年に及ぶ店の歴史 ?
*p.92
固有の思いを持って表現をすると[]意味では紛れもなく作家である
→固有の思いを持って表現をするという意味では紛れもなく作家である ?
*p.189
(55)津村記久子 [ボ]ースケ → ポースケ
https://www.chuko.co.jp/bunko/2018/01/206516.html
(82)石[倉]文信 → 石蔵文信
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000213412
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取次のシステムをなんとしても変えていきたい。
というのは本当にそう思う。書店の問題も原発の問題も日本という残念な国の有り様をまざまざと見せつけられる思いがした。私たちは本を読む事は大事だけれど、そこに書かれている事が真実かどうかを見極める力も大事だと思う。本当のことを知るために本が必要で本当に良い本を教えてくれる町の本屋は無くしてはならない。