個が立つ組織 平和酒造４代目が考える幸福度倍増の低成長モデル

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企業経営の在り方に関する本です。自らが成し遂げた、市場が縮小する中での会社の成長事例を紹介しています。人口減少社会の中で、どうすれば会社が成長していくのか、変えるべきことと変えるべきでないことのヒントを与えてくれる1冊ではないでしょうか。

【特に印象に残ったフレーズ】
「自らの強みを理解し、勝てるところで一つ一つ小さな勝ちを重ねていくことで、大きな勝ちにつながっていく。」
→焦ることなく、自己分析を行い、勝てる可能性のある領域で実績を積み重ねていく必要があります。
「歴史が変わっても、自分も含めて人のためになるという働くことの意義は変わらない。働くことの価値も出てくる可能性がある。社会が豊かになった今、働くことは自己表現の手段でもある。今後、その価値を社会全体が認識していく。」
「人口減少で全ての市場が縮小するわけでではないと思われる。人は時代が進めば進むほど、暮らしの質の要求度が上がっていく。一度上がった生活水準はなかなか下がらない。付加価値の高いものに対してはお金をかけたいと考えているので、人口が減っても、拡大する市場がある。」
→環境が変わっても、変わらないものがあるということです。それを見極め、生き残っていく必要があります。

【本のハイライト】

・どんなものを作れば売れるのか。暗中模索で経営するには、経営者1人の感性ではなく、社員一人一人の感性を生かすことが重要。多様な見方があればあるほど、方向性の選択肢が増え、正しいかじ取りができる可能性が高まる。
・過去の成功事例は、もはや明日の成功を約束するものではない。過去と同じことをやっていては、会社はつぶれる。個が立つ経営に変えるのが、企業の絶対条件。

〇縮小市場で成功するモデル
・自らの強みを理解し、勝てるところで一つ一つ小さな勝ちを重ねていくことで、大きな勝ちにつながっていく。
・「こだわり商品」をつくるときに犯しがちなのは、中身へのこだわりがパッケージにまで現れてしまうこと。その結果、消費者の感覚とずれれば、ターゲットを遠ざけてしまう。こだわりは表に出さない。
・右肩下がりの市場では、大量生産・大量消費時代の施策は役に立たない。必要なのは、商品の価値を理解した顧客に、買い続けてもらうこと。長く愛される商品をつくるためには、メーカーと小売店の相互の繁栄と持続性に配慮したビジネスモデルが不可欠である。

〇企業の人づくり
・社員の成長を優先する。社員が自分の成長を感じ、業績が上がり、そして社員がまたやる気を出し、業績が上がる。人の成長と会社の成長がいい順番で回り出す。
・採用の条件は、会社の取組に強く共感できるか、新商品開発・販売・社内でのコミュニケーションに必要な地頭の柔らかさ、歯車にならず自発的に動けるチャレンジ精神の旺盛な人か、の３つ。
・幹部の役割を明確にする。本来、幹部は現場のリーダーであると同時に、会社と社員の間に立ち、働きやすい環境をつくって会社の業績を支える立場だが、その役割が明確になっていないことは多い。

〇個が支える新���い組織
・知識や技術を全員で共有したほうが、得るものは大きい。共有だけでは変わらない。その情報が一人一人の成長に関わってくる。技術継承だけではなく、自分が担当する作業の意味や目的を理解し、「よく考える」ようにする目的もある。
・現場の風通しをよくする。意識してコミュニケーションをとるようになると、作業が非常にスムーズになる。
・今の若い世代は、数多くの情報を入手しながら、自分が歩む人生を模索してきた世代。入社後の仕事に対する思い入れも強い。企業側の受け入れ姿勢が問われている。早い段階で、その人の自己実現の方向性を出してあげられないと、人材は残っていかない。一方で、経験値が少なく価値観が狭いことも多いので、ただ希望どおりの仕事をさせるだけではなく、視野を広げてあげるのも重要。
・リーダーは理念を表明し、メンバーのモチベーションを高めながら進む。孤立することを恐れてはいけない。個の暴走を抑えることにもなる。

〇個が輝くための秘策
・人は表面上で言っていることと、自分が本質的に思っていることが違うことがある。できる限り、自分自身を把握してもらうことが大事。自己認識を高めたうえで、自分のやりたい仕事へとつなげたい。納得して進められるかがモチベーション維持のためになる。
・社員が挑戦するには、「誰からも攻撃されない」という安全な環境が必要。失敗しても評価が下がらず、むしろ多少の失敗は称賛されるくらいの環境の方が、社員の挑戦を促す。新たな取組を続けられることが、将来の社員と会社の成長につながる。成長の実感が、社員の幸福度を高める。
・今の時代は、SNS等があり、アンテナの立っている人同士が結びつくスピードが非常に早くなっている。このつながりを束ねていくと、新しい事業をはじめよう、ということになりやすい時代。大企業が社会的なインパクトがあることを率先してやっていく役割は、小さな会社の役割へと変わるかもしれない。

〇日本の未来
・歴史が変わっても、自分も含めて人のためになるという働くことの意義は変わらない。働くことの価値も出てくる可能性がある。社会が豊かになった今、働くことは自己表現の手段でもある。今後、その価値を社会全体が認識していく。
・人口減少で全ての市場が縮小するわけでではないと思われる。人は時代が進めば進むほど、暮らしの質の要求度が上がっていく。一度上がった生活水準はなかなか下がらない。付加価値の高いものに対してはお金をかけたいと考えているので、人口が減っても、拡大する市場がある。