紙の本
盛岡に行きたくなる
2020/04/30 09:32
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投稿者:Chii - この投稿者のレビュー一覧を見る
読んでるだけで盛岡の空気の気持ちよさを感じられる。とくに、
おじいちゃんというあり方が、
美緒の優しい且つ厳格のあるおじいちゃんと、ホームスパンの職人としてのおじいちゃんの二面性にひきよせられたり、
美緒の想いをなかなか言葉にできないもどかしむところだったり、人の性質が鮮明に見れる作品。
美緒はまさに将来や自分の気持ちにどう向き合うかという
葛藤の中にある時期なのだけど、ホームスパンを通して
その葛藤に逃げずに向き合っていく姿に懐かしさを覚えた。
紙の本
素敵な祖父と少女の物語
2023/03/12 13:53
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投稿者:わかめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
学校に行けなくなった高校生が、両親とのいさかいをきっかけに、ずっと疎遠になっていた盛岡の祖父の所へ行く。そこで暮らす中で、いろんな人に支えられて意思のある人に成長していく。ハラハラする場面もあり、いろいろ考えさせられる。亡くなった祖母の心が出てきて、最後はホロッとした。
電子書籍
盛岡愛を感じる作品です
2021/04/05 05:18
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投稿者:future4227 - この投稿者のレビュー一覧を見る
今年の都立高校をはじめ、本郷中、渋渋中などの入試で出題された本。仕事が上手く行かない夫婦と不登校になった娘。家族内の意思疎通もままならず、崩壊寸前の家族。そんな中、娘が家出した先は疎遠だった羊毛の染め物職人の祖父の所。祖父と孫娘の心の通い合いに心が洗われる。祖父の一言一言に含蓄と深い愛が込められている。ガラムを吸ってる所も渋い。石川啄木の歌や宮沢賢治の物語を背景に、盛岡の自然が人々の荒んだ心をゆっくりとほぐしてくれる。糸は切れてもまた紡ぐことができる。人と人との繋がりもまた糸のように紡ぐことができるのだ。
紙の本
心があたたかくなる物語
2021/02/11 08:02
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投稿者:うえありひろ - この投稿者のレビュー一覧を見る
登場人物それぞれの想いに涙がにじむ、あったかい物語でした。
メインは家族の物語だけど、でもそれだけじゃないんです。
宮沢賢治の作品を読みたくなり、鉱物やホームスパン、機織りについて興味がわき、岩手県に行ってみたくなる。
フワフワの毛布にくるまりたくなる。
家族について見つめ返したくなる。
一冊の中に色んな魅力がギュギュッと詰まっている本でした。
紙の本
逃げ場所
2022/04/10 10:55
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投稿者:hid - この投稿者のレビュー一覧を見る
ありがちなパターン。
心が弱ってる人が田舎に逃げて、そこで再生する。
逃げ場所があってよかったよね。
あと、その逃げ場所が、たまたま一般家庭じゃなくて。
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壊れかけた家族は、もう一度、ひとつになれるのか?羊毛を手仕事で染め、紡ぎ、織りあげられた「時を越える布」ホームスパンをめぐる親子三代の心の糸の物語。
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互いの心のなかを慮ることができず、言葉に現れたものだけでしか判断することができなくなっていた父と母と娘。互いに様子を窺うような家族に、もはや安らぎはない。しかも――だからこそなのかもしれないが――、職場や学校も、安らげる場所ではなくなり、次第に逃げ場がなくなっていく。そんな折、高校生の娘・美緒は、ふとしたきっかけで、父方の祖父がホームスパンの工房を持っている岩手に家出同然にやってくるのである。そこで、糸を紡ぐことのすばらしさに出会って、自分の心の赴くままに何かをやることの楽しさを知り、ほんの少しずつだが、凝っていたものが柔らかくなって、一歩ずつ前へ進める糸口を見つけられそうな気持になるのだった。何ものでもなかった一本の糸が、織られてなにかになっていくように、人と人も、撚り合わされることで強くなれるのかもしれないと、心強く思える一冊だった。
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伊吹さんの小説は四十九日のレシピぶり。読んでいて裏切られない安心感がある。
宮沢賢治好きとしては岩手が舞台なのもあり、物語の随所に賢治の話が出てくるのも良かった。
一度でいいから羊の毛にダイブしてみたい…!
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学校に行けない主人公。
お宮参りの時に、父方の祖父母から贈られた、ホームスパンという名前の赤いおくるみにくるまっている時がとっても落ち着くので、部屋に引きこもってくるまっています。
しかし、それを不安視した母親が、そのおくるみを隠してしまい、主人公は、疎遠になっていた父方の祖父の家へ。
母と娘の物語と言われるだけあり、主人公と母親。母親と母親の母親(主人公の母方の祖母)のかかわりというか、軋轢があります。
それも乗り越えつつ、主人公は自分の生き方を決めていきます。
父方の祖父が厳しいと思いきや、優しい人でした。
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雲を防ぐ
著作者:伊吹有喜
文藝春秋
タイムライン
https://booklog.jp/timeline/users/collabo39698
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久しぶりにどっぷり物語の世界に浸かって1日で読了。
自粛続きで鬱屈した心に盛岡の自然に彩られた風が吹き抜けたよう。
お涙頂戴の話では決してないのに、何度も温かな涙が流れて涙活になって読後はスッキリ。
作中にある盛岡いいところマップ片手に盛岡の街を旅してみたくなった。
読後あのはいからさんが通るの世界のような「彼方の友へ」の著者だと知って納得。
2冊ともオススメ!
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あー!カーチャン、それムスメに絶対言っちゃいけないヤツー!
なんだろうな、全くもって詳しくないけど「投影性同一視」ってやつなんでしょうきっと。私も身に覚えがありすぎる。自分の母親、自分、自分の娘。その関係性には振り回されたし、振り回した。傷つけたし傷ついた。今漸く、彼女たちが別個の人格であることを認めつつある自分がいる。成長ではなく老化なんだろうけど。
そしてトーチャン、それ奥さんに絶対言っちゃいけないヤツー!
無頓着にも程があるな。それでも見捨てられずに済んでるんだから、大反省しなさいよおおおお!とイラつくのは我が夫にも共通する匂いがするからなんだろうな。
というわけで他人事とは思えない家族のお話でした。
名作と呼ばれる本のタイトルがばんばん出てくるので、全てを読み返したくなる。そしてホームスパンが家業として出てくるので、ベスコフの絵本「ペレのあたらしいふく」を読みたくなった。出てくる本も一緒に展示したいと思わせる本。
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内容(「BOOK」データベースより)
壊れかけた家族は、もう一度、ひとつになれるのか?羊毛を手仕事で染め、紡ぎ、織りあげられた「時を越える布」ホームスパンをめぐる親子三代の心の糸の物語。
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自分の表情、振る舞い、言葉、その選択がいつもうまくできない。共感する力が強くて、相手のちょっとした表情から自分のネガティブな気持ちをすぐ拾う。で、またがんばる。その場の空気下げないために。積もり積もってパンクする。心がきしんで涙した。「せがなくていい」「大事なもののための我慢は自分を磨く。ただ、つらいだけの我慢は命が削られていくだけだ」「右と左の糸を握手させて、よりをかければ必ずつながる」おじいちゃんの言葉に心が打たれ岩手の温かい言葉と情景が浮かびまた涙した。雲を紡ぐ。光を染めて、風を織る。
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不登校になった高校生が一人、疎遠だった祖父の元へ。
そこで出会った人たちと、見つけた生きがいとは。
高校生の美緒は、いじめにあって電車にも乗れなくなってしまう。
母と母方の祖母は二人とも教師で、不登校に理解を示さない。正論をふりかざして、美緒に学校へ行くよう迫ってくるのです。
母は私立中学の教師で、校内のトラブルがネットで取り沙汰されているため、悩んでもいました。
美緒は大切にしていた赤いショールを母に捨てたと言われ、家を飛び出す。
そのショールは美緒が生まれた時に盛岡の祖父母が手ずから作ってくれたものだった…
父方の祖父は眼光鋭い大男で口数が少ないが、穏やかに孫娘を受け入れました。
染織をする山崎工藝舎を主催しており、美緒はそこで作っているホームスパンの手触りと美しさに魅せられます。
工藝舎の手伝いをすることになり、生き生きと作業をする日々。その生き返るような心地よさが伝わってきます。
大人しい美緒は内心は素直だが人付き合いが苦手で、母親とは全く違うタイプ。大勢の中で生きるよりも、忍耐強く作業に打ち込む方が似合っているようですね。
祖母は離婚後に亡くなっており、父は誤解から祖父と絶縁していた。そういう事情も少しずつ明らかになっていきます。祖父には後悔していることもあるのでした。
一方、東京の父と母には、離婚話が持ち上がり‥
後に話し合いの席で母が感情的になり、美緒にひどい言葉を放ちます。母方の祖母がさすがに驚いて「娘に言うことじゃない」とすぐに言ったほど。
母もその頃ずっと苦しんで追い詰められていたので普通ではないのだが、どこか狭量なところがあるのですかね。
このあたりの印象が「わかり合えない母と娘」という紹介文になっているのでしょう。
ただ、美緒の母のことはそれほど詳しく書かれていないので、母娘のことははっきり判断できるほどでもない。
この話のテーマはもう少し広いと思います。
親子三代にわたる家族の絆、その危うさと一筋の希望。
取り返しがつかないように思える危機も、必ずしもそうではないのです。
苦しんだ後だからこそ、心が通い合うこともある。
昔ながらの丁寧な仕事のありよう、作品の出来栄えをもたらす熱意、そのイメージと生命力にも支えられている物語。
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主人公の母親の存在が辛い、、、
母娘の相性が悪すぎることもあるのだろうが、
これでは娘が辛すぎる。
教育者なのに、子どもに言ってはいけないこともわからないのだろうか。
娘の人生を支配しようとする母にも、やはり同じように支配する母がいる。
支配の連鎖を断ち切って、それぞれの未来に進もうとする親子の姿に希望が見えました。
盛岡、素敵なところだなぁ。。。行ってみたい♪