紙の本
無政府主義万歳!
2021/07/06 16:19
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nkybgs - この投稿者のレビュー一覧を見る
大杉栄の奥さんで、甘粕大尉に殺されてしまったかわいそうなアナーキスト・・・伊藤野絵という名前にはそんな印象しか持ってなかった。しかし軽妙でとぼけた文体で語る本書によって、野絵像に生き生きとした命が吹き込まれる。あの時代に、女性で、破天荒な人がいたもんだ。閉塞した時代状況は現在に似ているが、野絵も大杉も底抜けに明るい。権力者の虚像をはぎ取り戦うことこそ肝要だ。
紙の本
そういうことか
2023/09/17 20:43
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投稿者:飛行白秋男 - この投稿者のレビュー一覧を見る
書名と写真が気になって(というか少し怖い)以前から読みたかった本です。
丸善日本橋店で関東大震災の特集をしてて、そこで再び本書を見つけ(出会ってしまった)ついに購入し読了。
私は知らなかったのですが、知識のある人たちには有名な方のようでした。
信念を曲げない、妥協しない、すごい方でしたね。
一方で国家権力の恐ろしさと、後藤新平氏の素晴らしさを感じました。
紙の本
明治、大正に生きた女性
2023/09/07 15:54
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投稿者:バベル - この投稿者のレビュー一覧を見る
伊藤野枝さんのことは存じていましたが、吉村昭氏の「関東大震災」を読んでより詳しく知りたくて本書を購入しました。女性の活躍が世間に認められず、自らの生き方を貫き通そうとしたのが、よくわかった。少し残念なのが、野枝さんの最後の描写があっけない書き方だと思いました。
紙の本
魅力的で主観的な文体がステキ
2023/08/16 23:41
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投稿者:じゅんべぇ - この投稿者のレビュー一覧を見る
野枝の勝ち!とか最低だ!とか、あくまで主観的に書かれている文体が異彩を放つ。客観が重視されている現在の社会ではひと際・・・それとも私がそういう文体を読みすぎているだけか。
らいてうをこきおろしている下りは名文。自分が家事をしないくせに、野枝の料理に文句を言うらいてう、最低だ笑
中毒性のある文体で、騙されたと思って読んでみてほしい。
社会の秩序、ルール、仕組み、道徳などを鵜呑みにせず、時に、いやほとんどの場合に食って掛かる野枝。考え方が正しいかは人それぞれに判断があると思いますが、その考え方は忘れてはいけないと思います。世間や政府に騙されないためにも。
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評伝というか、伊藤野枝をテーマにした随筆集? 「おじさん構文」っぽい文章。野枝たちのことを語ったあと、「つまり○○だ」と断ずる、そのつまりは本当にそうなのか? なんとなく無責任な書きっぷりで好きになれなかった。
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<目次>
はじめに
第1章 貧乏に徹し、わがままに生きろ
第2章 夜逃げの哲学
第3章 ひとのセックスを笑うな
第4章 ひとつになっても、ひとつになれないよ
第5章 無政府は事実だ
あとがき
<内容>
現代のアナキストである栗原康による、大正期のアナキスト、伊藤野枝の伝記。う~む、聞きしに勝る人生だな。そして、常識人からすると、やはりついていけないところがある。それは「わがまま」となるかな?でも、資本主義が衰退した昨今、彼女の主張は納得できるところが多い。みんなで協力し、助け合っていけば、最低限の生活はできる、ということ。資本主義では、「買え!買え!」と消費を煽るが、その結果良いことがそれほど起こるわけではない。帰って、借金(ローン)地獄に落ちるだけだ。それほど見栄を張っても人生高が知れている。「自分らしく生きる」ことは難しいけど、「やりたいこと」をコツコツやっていくことが、幸せな気がする。野枝はかなり過激だが、それを若くして悟っていた分、偉大なのかな⁈
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伊藤野枝の評伝。伊藤野枝を完全肯定した内容。著者、伊藤野枝好きすぎるだろう。伊藤野枝は毀誉褒貶の多い人で好きな人は好きというタイプだけどここまで肯定する人というのも珍しいんじゃなかろうか。ただ、山川菊栄を「メガネザル」と形容するのはいただけないな。
読んでて一番驚いたのは「はじめに」のところで、伊藤野枝の故郷である今宿での嫌われっぷりとたたりの話。著者は墓石変わりの自然石にしか興味ないみたいだけど、分骨された遺骨は今どこにあるんだろう?
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「はたらかないでたらふく食べたい」がオモシロかったし、伊藤野枝が朝ドラになるらしいので予習として読んだ。こんな人が明治、大正の時代にいたのか!という驚きの連続と著者の軽快な語り口調で一気に読めてオモシロかった。
生い立ちから最後陸軍に殺されてしまうまでの生涯を当時の資料に基づいて説明してくれている。表紙とかタイトルから重たそうな内容に見えるけど、実際読んでみるとかなり軽妙。いわゆる伝記と異なるのは語り手である著者の気持ちが乗ってきている点。評伝の場合、なるべく客観性を出すために著者が前に出ないと思うけど、本著では著者が独特の文体で「いやーマジで伊藤野枝やべえっす」とひたすら言い続けていてそこが最高にオモシロい。
女性の権利を明治、大正の時代に声高に唱えるだけで相当弾圧されていたという話は怖いなと思う一方で、この時代の延長線上に我々は生きている。彼女やこれまでたくさんの人々がストラグルした結果、社会が一歩でも男女平等に近づいているのか?と頭の中で問いが駆け巡った。方向としては平等実現に進んでいると思うし性差別をよくないよね、という社会的コンサセンサスも昔に比べたら取れてると思うけど、たまにギョッとするようなニュースがあるのも事実。(医学部入試の件とかマジでキモ過ぎてゲロ吐くレベル)得られつつあるコンセンサスを社会に具現化していくためには伊藤野枝のような強い意思と行動力が必要だと感じた。
なにかを我慢する必要はなくて自分の思うままに生きるべし、というのを生涯通じてやり抜いた、その生き様がめちゃくちゃかっこよくて今で言えば完全にヒップホップだと思う。繰り返し出てくる「生を拡充する」ことは人生で大事な指標だと感じた。
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金子文子の本が面白かったため、同じような境遇を辿った伊藤野枝にも興味を持ち読み始めた。
本人の波瀾万丈の人生と著者の独特な表現も相まって特殊な本だなという印象。
しかしそのクセが自分にはダメだった。
結婚制度を否定し女性の権利のために戦った主張はとても先進的で戦前にこのような人がいたのかと思うと時代感覚がおかしくなる。
160ページくらいの野枝の思想についてはおもしろかった。
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読書ブログさんで、表紙にピンときて借りた本。
まず、タイトルがいい。
一言でいうと、めちゃくちゃな人だ、人生だ!
当たり前だ、大杉栄と暮らし、拷問の末殺されてしまった大正のアナキストなんだもの。
でも、自分の欲に正直だ。
本も、男も、金も、全部自分の強欲を燃やす薪でしかない。
とても人間らしい人間だ。
著者の口調がうつっちゃうけど、この人はフェミニズムなんてお上品なんてものじゃない。
夫に、家族に、イエに、社会に飼われることを鼻で笑い、本を読み意思を持つ獣たる人間を野に放つためならなんでもやっただろう。
破天荒という言葉すらお上品なこの人をみると、自分の人生はなんてお上品なんだろうと思ってしまう。
著者と一緒に、欲望大爆発できな臭い時代を疾走する野枝にちょっと引きながら、同時にちょっと憧れてしまう。気持ちいいのだ。絶対に自分は関わりたくない人だけど。
それは、その獣のがまだ私たちのなかに眠っているからであり、同時に野枝が冗談じゃ無いと踏み荒らして行ってしまった檻がまだ、私たちの外にもなかにも幾重にも錆びて下されたまま、残されているから、なんだろう。
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オードリー若林さんの「ご本、出しときますね?」で猜疑心が主題になっているような本というテーマで窪美澄さんが紹介されていたので読んだ。大正時代のアナキストであり、フェミニストである伊藤野枝さんの一生を綴った本。
タイトルがかなり攻めているし、伊藤野枝さんの知識もなく、長いこと近代史に触れてこなかったので理解できるのかなと心配だったけれど、噛み砕いて書かれているためかなり読みやすい。
そして毎度タイトルに度肝を抜かれる。まず「淫乱女!淫乱女!」からはじまり、「ひとのセックスを笑うな」「ひとつになっても、ひとつになれないよ」とパンチライン炸裂。
自由恋愛をうたい、婚約破棄、はれて一緒になった男と子どもを捨て、また新たな男の元にはしり、28歳で国家に惨殺される。
子どもを捨てて新しい男にはしるのは理解できないけれど、彼女が確固たる信念をもって活動し、情熱をもって生きていたことが伝わる。どんな逆境にもめげず、女性だからといってあきらめない。欲しいものは欲しいだけ手に入れる。ものすごいバイタリティーあふれる女性だ。
考え方に共感できるかできないかは別として、100年も前にこんな女性がいたなんて、なんか凄いものを見てしまった感がある。
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まず、タイトルがいい。
14歳で上京、結婚制度や社会道徳と対峙し、大杉栄と出会い、28歳で国家に惨殺された大正のアナーキスト/伊藤野枝。
おしとやかなフェミニスト、なんてもんじゃない。波乱万丈の人生を駆け抜けたすごい人。
「ああ、習俗打破!習俗打破!」
こんな女性がつい100年前に日本にいたのだ。
なんか、元気が出る!
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大杉栄の恋人でアナーキストの伊藤野枝(いとうのえ)の伝記。関東大震災のどさくさにまぎれて、大杉栄とともに憲兵に殺された人物。
文章はわかりやすく、というより突き抜けていて面白い。
当時の女性は、職場では安い賃金で働かされ、家庭では良い妻でいるよう諭され、それらが社会の常識とされていた。女性は、結婚制度、家族制度により財産、商品として扱われていた。野枝はこれらの制度をぶっ壊そうとする。恋愛に関しても「ひとつになっても、ひとつになれないよ」として、自由きままに相手を好きになり、人数等も関係なく自分の思うまま生きていく。
社会制度によって自分の生を制限されることの問題を突きつけられたような気がする。現代社会の生きづらさにも通じるものがあると思う。
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驚くような文章を書く。褒めてはいない。
1910年代に婦人解放を論じ23年に甘粕事件で惨殺された伊藤野枝を書いた本。
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伊藤野枝についてきちんと知らなかったので、この本で得た情報は多いのだが、著者の書き方のスタイルが好きになれない。説明の中に、短い言葉で著者の感想が入るのだが、それが揶揄しているように感じてしまう。著者は野枝の大ファンと書いているので、共感していることを示そうとしているのだろうが逆効果だと思う。女性解放や労働者問題に真剣に向き合った野枝だが、この本では自由奔放さが強調され、面白おかしく描かれてしまっているのが残念だ。