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紙の本
ベルリン1933 壁を背にして 上 (岩波少年文庫)
著者 クラウス・コルドン (著),酒寄進一 (訳)
【銀の石筆賞】1932年、世界恐慌のあおりでベルリンにも失業者があふれるなか、ナチは急速に勢力を拡大していた。ヘレの弟ハンスは悩みながらも社会に足を踏み入れていくが…。2...
ベルリン1933 壁を背にして 上 (岩波少年文庫)
ベルリン1933(上)
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- 税込価格:2,640円(24pt)
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商品説明
【銀の石筆賞】1932年、世界恐慌のあおりでベルリンにも失業者があふれるなか、ナチは急速に勢力を拡大していた。ヘレの弟ハンスは悩みながらも社会に足を踏み入れていくが…。20世紀前半、時代の「転換期」を描く3部作、第2部。【「TRC MARC」の商品解説】
一九三二年、夏。世界恐慌のあおりでベルリンの街にも失業者があふれるなか、「よりよき未来」を約束するナチは急速に勢力を拡大していた。ヘレの弟ハンスは、悩みながらも社会に足を踏み入れていくが、やがて否応なく不穏な時代の流れに巻き込まれ……。ヒトラー政権奪取までのわずか数か月を、十五歳の視点で描く第二作。【商品解説】
目次
- 第一章 石と鉄の街
- 第二章 ここはだれの通りだ?
- 原 注
- 訳 注
- 【下巻目次】
- 第三章 夜のたいまつ行列
- 第四章 炎 上
著者紹介
クラウス・コルドン
- 略歴
- 〈クラウス・コルドン〉1943年ベルリン生まれ。ドイツの作家。77年「タダキ」でデビュー。以来、数多くの児童書やYA作品を発表する。「ベルリン1933」で銀の石筆賞受賞。
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紙の本
ゲープハルト一家の家族の分断
2020/10/28 10:56
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kapa - この投稿者のレビュー一覧を見る
前作で革命の挫折を目の当たりにして、ハンスの父親が、希望は明日や明後日じゃない、ずっと先につないでいる、自分たちが始めたことは、数週間や数か月で片づくものではない、何年も、いや、何十年もかかるかもしれない、未来に賭ける、と決意を話すが、歴史を知っている我々には、そのような「希望」はなかったことを知っている。皮肉なことに「よりよき未来」を約束し、希望を与えるナチが急速に勢力を拡大していた。
「ベルリン三部作」第二部は、1932年7月ナチスが第一党となった国会選挙から1933年1月ヒトラー政権誕生、そして独裁体制確立までの期間を描く。主人公は、第一部主人公ヘレにおむつを交換してもらったり、あやされたりされていた「ハンス坊や」。栄養失調や肺炎の危機にさらされながらも15歳の体操が得意な少年に成長し、当時ドイツの大企業の一つAEGで働くようになる。
第一部から15年後のドイツ、その間は激動の連続であった。ヴェルサイユ条約締結と巨額の賠償金負担、ハイパーインフレーション、シュトレーゼマン外交による平和実現と国際連盟加盟、政治的には社民党を中心とするワイマール連合による「相対的安定期」、「世界都市」ベルリンの繁栄と退廃…。そして1929年世界大恐慌と破局Zusammenbruchと混沌に向かう政治・経済・社会という周知のドイツ史は描かれない。相変わらず困窮を極めるゲープハルト一家、ヘレは結婚するもAEGを解雇され失業の身、政治的には妻ユッタとともに共産党を支持、一方当時の憧れの事務職となったマルタは、貧困から抜け出したいと上昇志向が強く、かつての子供時代の雰囲気のままやや蓮っ葉な性格で生真面目なハンスとはそりが合わない、また、一人家族ハインツ(ムルケル)も増え、ハンスから「坊や」は代替わり。こういった家族の変化と突撃隊が住むようになった集合住宅の変化に15年の変化は投影されている。
子供の目で見て、感覚で感じた激動の政治社会の物語であるが、前作と比べると、ハンスがヘレより大人である。家のために働きに出かけ、現実社会と否応なく向かい合っているし、周りには、父兄など革命・政治経験豊富な大人がいるから当然であろう。ハンスは、悩みながらも社会に足を踏み入れていく。前作のヘレの初恋は、本作でその続きはなく、短いエピソードで終わったが、ハンスのミーツェとの初恋は、出会った初日から絶好調で展開する。彼女がユダヤ出自であると聞けば、読者はその運命を心配せざるを得ない。しかし、未来を知らない彼女は、ハンスと手をたずさえ、時にはハンスを励ましながら、ともに困難な時代を生きていこうとする。第二部はこの二人が主人公である。
第二部では、前作の市街戦に代わり、突撃隊と共産党・社民党との街頭テロルの応酬が殺伐とした時代の背景。ハンスの周りの人の中にも、ナチスに飲み込まれていく。同じ集合住宅の住人、いい年になって仕事にもつかず、ぶらぶらしていた「ちびのルツ」が、突撃隊に入隊、そして「制服の魔力」により急に威張り散らすようになる。極めつけは前作で、ヘレの同級生でクラスから尊敬されていた、歯に衣を着せぬ体制批判をするフレヒジヒ先生を敬愛していたギュンター・ブレームがなんと突撃隊に入隊、しかもマルタの恋人となって、婚約・結婚、「赤い家族」ゲープハルト家の一員となってしまうのである。赤が黒・褐色に、黒・褐色が赤に、と鞍替えするのは当時よくあった話。しかし、それが家族の中に入ってくると、亀裂が生まれ、当時の社会と同様「分断」が始まる。「ドイツを分断する裂け目が、うちの家族にも入ったってことね。しかも、裂け目は日毎に深くなってる」
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ドイツの小説家クラウス・コルドン氏によるナチスの台頭前後のドイツを描いた傑作です!
2020/04/29 10:36
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、チューリッヒ児童文学賞やオランダ児童文学賞をはじめとした数多くの賞に輝いたドイツの小説家クラウス・コルドン氏による大著です。同書には、ドイツでナチスが台頭し、アドルフ・ヒトラーが首相になる前後の社会状況及びベルリンの町の様子、そこで暮らしている人々の貧しい状況などが詳細に描かれ、また主人公である15歳の少年の日常も見事に描き切られています。例えば、ナチスの党員となった友人との確執、ユダヤ人の女の子との恋愛、人生における考え方が違う姉との対立といったことなどで、そこに主人公の少年の成長が読者には感じられます。岩波少年文庫では、上下2巻シリーズとして刊行されており、同巻はその上巻です。「第1章 石と鉄の街」、「第2章 ここはだれの通りだ?」からなり、下巻へ続いていきます。
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時代の流れに翻弄
2020/07/16 16:56
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
前作「ベルリン1919」では生まれ立てだったハンスが、15歳の少年へ成長しています。ナチスの政権掌握に抗いながらも、押し流されていくような当時の空気感がリアルです。