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  • 発売日:1969/11/03
  • 出版社: 新潮社
  • レーベル: 新潮文庫
  • サイズ:151×106mm/480ページ
  • ISBN:978-4-10-211403-2

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文庫

紙の本

ペスト (新潮文庫)

著者 カミュ (著),宮崎 嶺雄 (訳)

アルジェリアのオラン市で、ある朝、医師のリウーは鼠の死体をいくつか発見する。ついで原因不明の熱病者が続出、ペストの発生である。外部と遮断された孤立状態のなかで、必死に「悪...

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ペスト(新潮文庫)

税込 825 7pt

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商品説明

アルジェリアのオラン市で、ある朝、医師のリウーは鼠の死体をいくつか発見する。ついで原因不明の熱病者が続出、ペストの発生である。外部と遮断された孤立状態のなかで、必死に「悪」と闘う市民たちの姿を年代記風に淡々と描くことで、人間性を蝕む「不条理」と直面した時に示される人間の諸相や、過ぎ去ったばかりの対ナチス闘争での体験を寓意的に描き込み圧倒的共感を呼んだ長編。【商品解説】

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みんなのレビュー116件

みんなの評価4.1

評価内訳

紙の本

新型コロナウイルスが拡大している今こそ読むべき名作

2020/03/06 07:37

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る

この長編小説は、44歳という若さで1957年にノーベル文学賞を受賞したアルベール・カミュが1947年に発表し、不条理小説として世界中の読書を惹きつけた作品である。
 カミュは1913年に生まれたフランス文学者だが1960年不慮の自動車事故で47歳で亡くなっている。
 個人的な思い出として、私は1955年生まれだが、この長編小説が新潮文庫のラインナップにはいったのが1969年、つまり私が14歳の頃で、当時新潮文庫版のカミュ作品は銀色の素敵な装幀(麹谷宏)でそれでカミュの作品を揃えるのがたまらなくうれしかったものだ。
 その頃読んだ作品の何ほども記憶していないのだが、ずっと残っていたのはいい作品だったという獏とした、けれど作品の評価としては侮れない、印象である。

 そんな作品をほぼ半世紀近く経って読み返すことになったきっかけは、2020年になって日本だけでなく世界中に広がった新型コロナウイルスだ。
 カミュが書いた「ペスト」という感染病は「黒死病」とも呼ばれ、世界史の中でも数度最近よく耳にするパンデミック(全地球規模の流行)を引きおこしている。
 そのペストに襲われ、外部と遮断された街にあって奮闘する人々を描いた作品ともいえるし、ペストを描くことで死んでゆく恐怖と対抗するも敗れていく人間の哀れを描いたともいえる。

 主人公として果敢にペストと戦う医師がいるが、長編小説であるからさまざまな人間が、彼らは一様な人生を歩んできたわけでも、また死の感染病に向かう姿勢もまちまちであるから、読者によっては医師以外で気になる人物も出て来る。
 この長編小説は決して読みやすい訳ではない。しかし、最後の最後に医師が直面する友人の死妻の死など劇的な構成の巧みさは読ませる。

 ペストはある日突然広がり、ある日収束を迎える。その期間はほとんど半年。医師たちの努力はあったが、その収束の理由はよくわからない。
 人間が勝ったのではない。
 長い物語の最後にこう記されている。
 「人間に不幸と教訓をもたらすために、(中略)どこかの幸福な都市に彼らを死なせに差向ける日が来るであろうということを。」

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紙の本

隙のない作品

2005/02/18 22:05

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ひつじ - この投稿者のレビュー一覧を見る

ペストの災禍に見舞われたアルジェリア郊外、オラン市。そこに偶然居合わせた新聞記者のランベール、医師のベルナール・リウー、作家志望の小役人ジョゼフ・グラン。閉鎖された市門の中、彼らはそれぞれの静かな闘いに身を投じる……。
緻密な文章が描き出す小説世界もさることながら、そのじわじわと迫り来る心理的な閉塞感が見事に描出されている。
果たしてこの作品を超える小説が21世紀中に現れるのかどうか、私には分からない。

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紙の本

不条理に立ち向かう人々

2019/10/12 01:22

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る

読者は『ペスト』という題から、この町の人々にペストの災いが襲い掛かることを事前知っているわけだが、それを踏まえたうえで、徐々に町に病が侵攻していく様子を描いた序盤の描写がすごかった。幼い子どもにも容赦なく襲い掛かる不条理に人々が立ち向かうさまもよく描かれている。

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紙の本

自分だけの言葉を見つけてください

2015/08/23 16:31

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:しろくま - この投稿者のレビュー一覧を見る

これほど深い感動を味わった小説はありません。カミュを独特の難解さというものはありますが、不条理といかに戦うべきか、その術を身をもって教えてくれます。それは戦い続けるカミュ自身に重なっても見えます。決してはぐらかすことはせず、正々堂々、正面突破。カミュの肉声が詰まっている、そんな印象を受けます。
「異邦人」よりも本作を薦めたほうがファンが増えると思うのですが…。もっとカミュの長編を読んでみたかった。

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紙の本

テーマ性はもちろん、娯楽作としても

2018/07/15 14:28

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:M77 - この投稿者のレビュー一覧を見る

これは単なる娯楽作品ではないと言われますが、僕はやっぱり娯楽作品としても優れていると思います。
一つの町が伝染病によって封鎖される恐怖や、囚われた人々の苦しみや足掻き、そして地道な戦いの末の解放。
感染パニック作品が溢れている現代の目で見ると多少読みにくい文章ではありますが、当時は殆ど初めてのジャンルだったんじゃないでしょうか。
一人のヒーローの話ではなく、それぞれが出来ることで戦う群像劇。
逃げ出そうとする者、上手く立ち回ろうとする者、戦いの先の見えなさ敵の大きさに壊れてしまいそうな者たちにすらも寛容な視線が注がれていて、語り手のくぐり抜けて来た戦いの厳しさを感じさせます。

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紙の本

勝者のいない死闘劇

2005/10/01 16:49

10人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:佐伯シリル - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ある夏の日、アルジェリアの架空の都市オランをペストの猛威が襲う。街は軍隊と警察によって世界から遮断され、誰にとっても平等な死の恐怖が舞い降りる。
 主人公(語り手)は町医者のリウー。彼はただ黙々と医師としての仕事を繰り返し、ペストという名の殺戮者に反抗する。
 リウーは英雄ではない。そもそもこの物語に英雄は登場しない。キリスト者であるオランの司祭はペストの災禍を神の審判だと説く。しかし司祭自身、自らの教説がゆるぎないものという確信はない。たまたまこの街に滞在した新聞記者はパリに残した恋人と逢うために戒厳令下のオランの街から不法な脱出を試みる。しかしその直前になって、いかなる災禍も愛にかなわないと信じていたはずの彼は街にとどまることを選ぶ。ヒロイズムもキリスト思想もロマンチックラブもニヒリズムも楽観主義も悲観主義も、あらゆる思想や感情がペストの前で試され、無力さを露呈し、そうしてペストはあたかも禍々しい季節風のように、ある期間、思うがままに殺戮した挙げ句、ふいに姿を消して小説は終わる。

 繰り返すが、この物語に英雄はいない。勝者もいない。いかにもカミュ好みの不条理人である医師リウーは、ペストに勝てる見込みなど万が一にもないのを承知の上で、患者に血清を注射し、手厚く看護し、予測どおりの死を待ち、臨終を確かめ、泣きすがる遺族を威圧して、感染防止のために死者を特設墓地へ運び去る。彼には希望はない。絶望もない。悲哀も憐憫もない。ただひとえに、息を抜けない仕事があるだけで、そのせいで人並みな感情を抱く余裕がないのだ。
 私の手元にあるのは薄墨枠と朱色の二重枠の、昔ながらのデザインのガリマール叢書版の『ペスト』である。学生時代の仏語のテキストであり、何度再読したか知れず、日本語版の翻訳に飽き足らず自分で完訳した初めての原書でもあり、影響を受けたと言っていい数少ない小説のひとつでもある。

 カミュはこの小説を構想するにあたって、メルヴィルの『白鯨』を念頭に置いたことを手記で語っている。
 メルヴィルはキリスト教の異端宗派であるソフィア派の信奉者だった。この宗派によれば、地球に君臨している神は「狂える神」であり、生きとし生けるものに災禍をまき散らすのを喜びとし、そのあまりの暴虐を見かねて、この神の母であるソフィアは、狂える我が息子に対抗するための武器を人間に与える。武器とはすなわち知恵であり、それを人間に手渡す使者とは蛇である。しかしこの武器で神を倒すことはできない。勝利は不可能であり、せいぜい抵抗しかできない。
 以上がソフィア派の思想の骨子なのだが、メルヴィルの『白鯨』は、狂える神であるモビーディックと、それに反抗するエイハブ船長との死闘を描いた物語だ。カミュはモビーディックを「ペスト菌」に置き換えた。世界の不条理性を描いた文学の歴史は古いが、この書はそのジャンルにおける二十世紀の傑作と言えよう。

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紙の本

2、3日「放置」して、後半は一気に

2010/11/25 11:40

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:K・I - この投稿者のレビュー一覧を見る

辺見庸さんが推薦したのを目にしたので読んでみた。
アルジェリアのオランという市がペストに見舞われる話。
正直に言って、途中までなかなか読み進めるのに苦労した。
文章は多くが報告の文体になっていて、書き手は最後に明かされるのだが、そのために、なかなか読みづらい文章になっていると思う。
それから翻訳が若干古くなっている部分もあると個人的には感じた。

だが、2、3日、読まずに放っておいて、
「さて、腰を据えて読むか」
と残り半分を開いたら、一気に読んでしまった。

この小説はペストという病疫に閉ざされた町において、
人びとがどんなふうに変わったのか、あるいは変わらなかったのかという物語だ。
で僕としては登場人物が変わっていく方に心を動かされ、
そして、ある登場人物の長い独白などに心を揺り動かされた。

つまり、ペストが町を覆い、人々に変化をもたらしてから、
物語に吸い込まれていったという感じだった。

この小説が発表されたとき、
人びとの頭にあったのは対ナチスの闘いだったようだ。

たしかに読みやすい文体ではないのだが、
読了後には深い充実感をもたらした小説だった。

カミュは哲学論文も書いていて、
僕にはそれはさっぱりよくわからないのだが、
そういう形而上学的な部分がこの小説にも出ていると思う。

でもそれだけでなく人間模様も描かれているので、
興味のある人は読んでみることをおすすめする。

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紙の本

圧倒的な理不尽

2018/07/30 19:16

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:藤和 - この投稿者のレビュー一覧を見る

ペストという抗い難い、突然の災難に対し人々はどう対抗し、または受け入れ、生き延びようとするのか。
その理不尽さは現代でも他の病気であったり、戦争であったり、そう言った物に通じる物が有ると思う。
理不尽の中生きる登場人物達の様々な行動は、自分がどの様な信念を持つかを考えるのにヒントを与えてくれるかも知れない。

深く考えずに読み物として読むのも勿論お勧めだけども、とにかくテーマが重いので気軽の読むのは難しいと思う。

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紙の本

人は無力だ

2019/02/12 17:25

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

ペストが猛威を振るうアルジェリア郊外、オラン市。そこに居合わせた新聞記者のランベール、医師のリウー、作家志望のグラン。閉鎖された街の中、彼らはそれぞれに静かにペストと闘っていく。ペストは好き放題に街中を暴れまくり、どこかにさっていった。人は無力だ

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紙の本

カミュの代表作。

2002/04/18 00:59

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Eni - この投稿者のレビュー一覧を見る

『異邦人』と並ぶカミュの傑作。
ペストによって閉鎖された市の様子が飽くまで客観的に書かれる。その中で、住民の危機感や宣告された死の恐怖はまるで身近なもののように感じられる。

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紙の本

淡々と

2019/01/12 20:21

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ケロン - この投稿者のレビュー一覧を見る

ペストに襲われた町の様子をたんたんと描いているところが逆にリアルでした。
日常が崩壊しても、いつかはその崩壊に慣れていくのでしょうね。

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紙の本

不条理小説の傑作

2001/03/08 19:39

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:55555 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 カミュの傑作。ペストの発生により閉じ込められた町。次々と発症していく市民。不条理小説の傑作。

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紙の本

破滅と人間

2011/03/21 21:54

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る

ペストの流行に見舞われてしまったアルジェリアの都市。ヨーロッパと同じではないにしろ現代医学の恩恵を受けてはいるが、しかし毎日100人が死んで行く。町は閉鎖され、出ることも入ることも叶わず、市民たちはじっと息をひそめて耐えるしかない。中世のようなパニックに取り憑かれることはなく、その惨禍が科学と組織の力で収まることは期待できる。たしかに「ペスト」という言葉に我々は原初的な恐怖を感じはするし、親しい者の死、いとおしい人たちの死といったものが避けられるわけではないが、この世の終わりではない。
そんな中で人々が実感したこととは、暮らしていく中では、時に自由を謳歌し、愛を得ることもあれば、また自由を失ったり、愛を失ったりする。時には他人の自由を奪い、愛を奪う。そうして最後に何を得られるでも、ただ記憶が積み重なっていって、そしてすべてを失う。
そのことを自覚してしまった上で、これから生きていけるのだろうかと思う。耐えられるのかもしれないし、耐えられないのかもしれない。空虚な抜け殻になるになるのかもしれない。
そうした空虚への恐怖は、天変地異でも、日常の些細な事件でも予感されるだろう。
もっと直接的には、ナチス支配下のフランスの閉塞感が、作者にも、当時の読者にもイメージされていたろうと思う。
オランの町とパリを結びつけられるように、たぶん時代や場所を問わない読者にも同じ痛みが伝わる。
物語を形作る人々、客観的第三者となろうとする者、危機に立ち向かう者、共感して集まる同志、逃走を企てる者、傍観してやり過ごそうとする者、初めから埒外に置かれている者、徐々に立場が変わっていく人達、そういう類型には日常的なリアリティを越えて、鮮烈な印象を持つ。
「ペスト」という言葉は、懐古的でもありファンタスティックでもある。その意味が持つ恐怖を今では誰も知らないのだから。自然の反乱に人類が勝てるかどうかといった世界的視点である必要は無いが、人生の中で出会う障壁としては絶望的に巨大なもので、しかしたぶんナチスよりは等身大に近いものだろう。この規模感は作者の意図なのかかどうか。そして経済活動は徐々に縮小してゆく。
自分を投影するのは勇気ある英雄か、おびえの中でラジオ放送に一喜一憂する一市民か、諦観する人か。いずれ恐怖の中にいることは変わらないし、襲ってくる悲しみもそんなに違うわけではなく、ただそれに対処するための、自分の持つ行動パターンやこだわりの性質だけが異なっているだけのような気がする。そして違う道を辿ったとしても、やってくる喪失感もまた共通なことを確認することが、人間を共同体として結びつけるのではないだろうか。

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2005/02/09 01:49

投稿元:ブクログ

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2005/05/07 23:13

投稿元:ブクログ

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