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あのジキル博士とハイドの娘たち、それにラパチーノの娘、モロー博士の娘、フランケンシュタインの娘たちが協力しあって自分たちの幸せを~などなど
これはもう面白くないわけない!
シャーロック・ホームズ、ワトソンネタも盛り沢山。世の中のシャーロキアンの皆様もこれは手を伸ばさずにはいられないのでは!
19世紀のロンドンの雰囲気も、コミック化したら盛り上がりそうなキャラの面々。
楽しい読書タイムをありがとう。
三部作の一作目とのこと。続きもぜひお願いします。
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図書館で。
ミステリーというかファンタジーというか、名だたる(マッド)サイエンティスト達の娘?が集まって、19世紀(かな)のロンドンを舞台に大暴れする痛快娯楽もの、という感じ。
個人的には要所要所に入る各個人のツッコミがさえわたっていて非常に面白い。それにしても文才があるのが猫娘ってのも面白い。
ミステリーとしては完全に謎解きが終わった訳ではなく、次回に続くという感じなのでぜひ続巻も読みたいところ。ぜひぜひ。彼女たち4人とミセス・プールの関係性が絶妙で面白いし。まだまだ仲間も増えそうなので、続きが楽しみです。
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マッドサイエンティストの娘たちが事件や謎を追う冒険活劇もの。
娘たちの他にもホームズやワトスンも出てくる。
ホームズは随分優しいというか紳士度が増してる気がするけど、そこまでのすごい違和感はなく読むことができた。
地の文の合間に娘たちの、『なんでここはこう書いたの?私そんなんじゃないんだけど』みたいなやり取りがちょこちょこ挟まれてて最初は読みにくい感じもしたけど慣れてくると面白かった。
大きな謎は残ったままだし、新たな娘も入りそうな気配を残して終わったのでシリーズものなんでしょうね。
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原題は"The Strange Case of the Alchemist's Daughter"(錬金術師の娘の奇妙な事件)。
舞台はヴィクトリア朝のロンドン。主人公はメアリ・ジキル。
かの高名なヘンリー・ジキル博士の娘である。
そう、『ジキルとハイド』("The Strange Case of Dr Jekyll and Mr Hyde")のジキル博士だ。
父はとうに亡くなり、さらには母も亡くなって生活に困窮するメアリ。
母がハイドという人物に送金していたことを知り、その謎を解くべく、評判の私立探偵、シャーロック・ホームズを訪ねる。
折しもロンドンでは謎の猟奇的連続殺人事件が起こっていた。いつの間にかホームズに協力してこちらの捜査にも関わっていくメアリ。事件にはどうやら、「錬金術師協会」なるものが関わっているようだった。捜査が進むにつれ、彼女の元に、次々と変わった出自の娘たちが集まってくる。
母が送金していたハイドの娘ダイアナ。
毒を体に帯びたベアトリーチェ(『ラパチーニの娘』ホーソーン)。
猫のような肢体のキャサリン(『モロー博士の島』H.G.ウェルズ)。
女巨人ジュスティーヌ(『フランケンシュタイン』メアリ・シェリー)。
彼女たちには共通点があった。錬金術師協会に関わるそれぞれの「父」により、一風変わった人生を送ることになった点である。メアリとダイアナは父が常人でなく、他の娘たちは自身が「怪物(モンスター)」である。
さて、連続殺人事件と錬金術師協会の関わりやいかに。そして娘たちは事件を解決できるのか。
英文学で博士号を得たという著者らしく、ベースとなっている作品をほどよい匙加減で取り上げて組み合わせている。
巻末の北原尚彦の解説に詳しいが、『ジキルとハイド』、『ラパチーニの娘』、『モロー博士の島』、「シャーロック・ホームズ」シリーズはいずれもほぼ同時代に書かれている。唯一、『フランケンシュタイン』のみ、若干早い時代の作品なのだが、そのタイムラグもうまく処理している。
主人公をメアリとしているのも、ワトソン夫人がメアリだったことを思うと空想を誘う。もっとも本作のメアリはどちらかというとホームズに気がありそうなのだが。
物語はキャサリンが書いている体裁で、内容について、他の娘たちがやかましく口ばしを入れるメタな構成も楽しい。
軸となる事件そのものの展開は大して意外とは言えず、ミステリとしてのおもしろさは薄い。
だが、「父」ゆえに苦労する娘たちが、困難にへこたれず、冒険・活躍する様には快哉を叫びたくなるだろう。
ヴィクトリア朝のロンドンで、実際にこうした境遇の娘たちが本当に生き延びられたのか、若干の疑問は残るが、にぎやかな共同生活が可能であったと想像するのはなかなか楽しい。
父のせいで人生にハンデを負った娘たちが人生に立ち向かうとなれば、ある意味、これはパターナリズムに立ち向かうフェミニズムのお話とも言えるのかもしれない。そう思うと、本作が21世紀のアメリカで書かれ、一定の評価を得たというのは象徴的なことであるようにも思う。
3作シリーズの1作目。2作目以降は邦訳未刊行で、実際出るか���うかは未定のようである。
*以下、雑感です。
原題の「錬金術師」が邦題では「マッド・サイエンティスト」になっているわけですが、著者自身もこの2つを同じ意味として使っていたようです。本作の元になった短編は"The Mad Scientist's Daughter"というタイトルだったようですし。個人的にはここに出てくるような「実験」は「科学」というより「魔術」に近い気がして少々違和感があります。それをサイエンティストというなよ、と。まぁそこに目くじらを立てるべきではないのでしょうが。
錬金術にはニュートンも傾倒していたといいますが、そこから近代科学が発展していく際に、マジカルな部分は切り捨てられていったのではないのかな・・・? 機会があればそのあたりをもう少し追ってみたいところです。
*おそらく著者を動かした執筆の1つの「核」は『フランケンシュタイン』の「ジュスティーヌ」だと思います。彼女の独白は読ませどころ。原典を読んだ人は「ああ、だから”ジュスティーヌ”なのか」と納得するところでしょう。一方で、”アダム”が悪者として描かれ過ぎていて気の毒には感じましたが。
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シオドラ・ゴス『メアリ・ジキルとマッド・サイエンティストの娘たち』読了。19世紀末のロンドンを舞台にジキル博士の娘にハイド氏の娘、そして猫娘に毒吐き娘にフランケンシュタインの花嫁と盛り沢山だけどさらにホームズ&ワトソンまで加わって謎の錬金術師協会を追うスチームパンク風味の冒険小説。キャラクター造形がしっかりしてて本編の幕間に挿入される掛け合い含めて大変生き生きと描かれる。海外文学でこんなにわくわくして読んだのは幼少期以来では。シリーズ3部作の1作目で原版デバイス完結しているようで2作目以降の邦訳が待たれる。ジキルとハイドの姉妹愛醸成の過程がエモい。よい百合。
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『ジキル博士とハイド氏』『モロー博士の島』『フランケンシュタイン』『ドラキュラ』等、かつて胸を躍らせたSF黎明期の傑作群。その登場人物たちに、もしも娘がいたら? しかも、彼女たちがある事件に巻き込まれ、シャーロック・ホームズやワトソンと一緒に事件の解決に乗り出したら?
本書はまさに夢のような企画である。おどろおどろしいタイトルのオマージュではあるが、本書は別にホラーではない。どちらかと言うとライトノベル。幕間に挟まれるモンスター令嬢たちの楽屋話も楽しい。
私の評価がやや辛いのは、ローカス賞作品とあるにも関わらずミステリだと思って読み出したことと、ホームズが好き過ぎるから。これらの傑作に耽溺したかつての子どもは一度手に取ってみてほしい。
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小説の登場人物が、小説の流れに口を挟むスタイル。人によっては、鬱陶しいと感じるかもしれないが、わたしの場合は、キャラの特徴がよくわかるスパイスとして効果的で、かえって楽しめた。
ジキル博士、ハイド氏、フランケンシュタイン、シャーロック・ホームズなどお馴染みメンバー満載のライトな推理小説として楽しんだ。
ゴシック調というほどでもないが、スチームパンクでもない。イメージとしては、昭和のアニメとかアメコミに近いと思う。その辺りが、好きな方には軽く読めて良いと思う。
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読んでいてとても楽しかった。もう、これでもかのてんこ盛り状態、ジギルとハイドやフランケンシュタイン、ドクターモロー…そしてホームズとワトソン。SF好きでもそうでない人でも十分楽しめる。アテナ・クラブのシリーズ2、3はぜひ読みたいです。
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2017年6月刊のThe Strange Case of the Alchemist's Daughterの翻訳を2020年7月新早川SFシリーズから刊行。アテナ・クラブの驚くべき冒険シリーズ1作目。中盤くらいまでの展開はなかなかに面白く、登場するホームズも、ホームズらしくて良い。後半、登場人物が一気に増えて、ドタバタ気味の展開が読み辛かった。人物紹介も一段落したので、次作が楽しみ。
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こういう話は大好物!
ジキル博士の娘メアリの母が亡くなった時からはじまる物語。
ビクトリア朝の女性には相続権がなく、亡くなった母親がかつて父の研究の協力していたハイドに送金していたことを弁護士に教えられる。わずかに残った預金を引き出すことにしたメアリ。
そこで出会ったハイドの娘ダイアナ。
下町で続く女性惨殺事件にも巻き込まれて、彼女はシャーロック・ホームズに相談するのだが。
そこから出会う、マッドサイエンティストの娘達。
彼女達の冒険活劇!
続きが早く読みたいです。
楽しかった(^^)
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これは、高橋留美子作品では?
ジキルとハイドの娘(2名)
Dr.モローの娘(ピューマの獣人)
フランケンシュタインの娘(巨大)
ラパチーニの娘(毒女)
それぞれ暗い過去を背負っていて、ある連続殺人事件がきっかけで集結、更にホームズやワトソンも加わりドタバタと奮闘するお話
嫌な予感がして、途中で解説を読むと…的中。三部作の一作目でした。
この一作目では彼女達がチームとなるきっかけとなった事件と、彼女達が生まれるきっかけとなった謎の研究組織を追う(シリーズを通しての謎)
冒頭にも書いたのですが、この半分モンスター(彼女達の中では控えている表現)という設定が、この本を読んでいる途中に妻が好きで大量に見た「犬夜叉」の半妖や呪われた女性達と重なり、脳内でキャラクターを高橋留美子タッチで想像してしまい。むしろスッと入って来ました。
「副音声」この作品はモローの娘であるキャサリンが執筆(部分的に各キャラクターが執筆)した小説と言う設定で、途中小説の内容に対して、当時何を考えてたか?私はこんなセリフ言ってない!とか文句を言ったりキャラクターの会話が挟み込まれます。コレを不要なものとして捉えてしまうかどうかで評価が分かれます。(最初かなり戸惑いました。話の腰がバキバキ折られるので)
会話の中には"小説では過剰に表現されているだけで"本来はどういう性格なのか?や、キャサリンが要約して本当はもっと混乱してたことを隠していたりする仕掛けがあります。
面白くはあるのだけれど、SFとミステリーという枠で捉えていたので、スチームパンク寄りかと思いきやSF要素も控えめ、ミステリーも控えめ、アクションシーンも乱闘が起こった後に駆けつけるみたいな展開が2回ほどあったためとても中途半端な気がしました。
作者が伝えたかった「女性について」権利が強く無かった時代背景とマッドサイエンティスト達が女性を実験材料にしがちな点についての要素も、わかる部分はあれど、なんかぼんやりとしていたように思います。
どちらかと言うとキャラクター性を楽しむ事がメインなのかな?楽しいけどミステリーの謎も先を読みたくなるモノではなく、アクションも複数名で行動するため文に人物名が並びゴチャゴチャ感が強い。
ホームズは…ヒロインとのロマンスに今後発展させようとしているのかわかりませんが…主人公がお嬢様のため「探偵」という立ち位置の人がいないと捜査が進められない、話が進まないから「装置」として使われていたような…
うーん、なんというか「解決に向かう安定感」が強すぎてドキドキしなかったのかも
ちょっと私には合いませんでした。
キャサリンが作者であることを良いことに自分のアクションシーン等を他の人より数倍カッコよく描写してるのがちょっと面白かったです。
一風変わったワチャワチャした女子会感は良いけど完結しないと知りつつ読むのが辛かったです。
完結する話だったら星一つ増やしたいところ。
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ジキルとハイドにラパチーニ、モロー、フランケンシュタインの娘たち、そこにホームズとワトスンも絡めば楽しいよな。
娘っ子たちの雑談が挟まるのはコミックだとよく付いてたりするオマケ漫画みたいな感じで違和感無かった。
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原題は”The Strange Case of the Alchemist's Daughter"。欧米人だったら”The Strange Case ofのあたりで、ジキル博士とハイド氏を思い出すのだろうが、その方面で不利な日本人のために邦題は「メアリ・ジキルとマッド・サイエンティストの娘たち」になっている。
ジキル博士の娘、ハイドの娘、モロー博士の娘などなどビクトリア朝時代に生まれた物語の娘たちが、ホームズとワトソンの協力を得て、連続殺人犯の謎をおって冒険する話である。物語は基本的にはキャサリン(モロー博士の娘)が書くのだが、途中で娘たちの会話が挟まるのが、最初はちょっと読みにくく感じたけど、それぞれの個性溢れる会話も楽しみになってきた。
背景になる話を読んでいるわけではなく、なんとなく知っているだけなので、楽しみ損ねている部分はあるかもしれないけど、とっても楽しかった。2作目があってもいいかもしれない終わり方なので、ぜひ書いて欲しい。
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早川書房さん、続刊お願いします。 #日本SF読者クラブ 時と所はビクトリア朝のロンドン。メアリ・ジキルが母を亡くしたところから、物語は始まる。メアリ嬢はジキル博士の娘。さらにハイド氏、ドクター・モロー、フランケンシュタイン(科学者の方)、ラパチーニ教授の「娘」たちが次々と登場。「娘」の中には、その出生に由来する常ならざる力を持つ者もいる。そして名探偵ホームズとワトソンも加えての推理劇というか冒険譚だなこれ。
この物語は、ドクター・モローの猫娘キャサリンが書いている小説という設定で、所々で各人のツッコミが入るのが面白い。これだけいわく付きの人物を登場させて1巻で完結させるのは、やはり難しいのだろう。三部作の最初の巻ということで、いろいろ謎が残されたままになっている。そして、いかにも「次巻を乞うご期待」みたいな終わり方になっている。あと原題は"The Strange Case of Dr. Jekyll and Mr. Hyde"からとっている(おそらく)。
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元ネタとなった作品の中に未読の物もありましたが、知らずとも存分に楽しめる作品でした。
なんといっても、マッド・サイエンティストの娘たちの個性溢れるキャラクターがとても魅力的です。
(もちろん脇役として登場するホームズ&ワトスンも)
その娘たちの一人が本作品を執筆しているという設定なのですが、本文中に時折挟まれる娘たちのガヤのようなツッコミのような掛け合いが何より面白いく、本書をテンポよく読みやすくしています。
シリーズ物として続編があと2作あり完結しているという事なので、翻訳されるのを楽しみに待っております。