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商品説明
1969年、原点に立ち返る思いでスタジオに入った4人。ビートルズが揺れた22日間を追いかけて、あらゆるブートレグ、史料、記事を徹底検証。そこで彼らは何を話し、バンドはどこへ向かっていたのか。〔牛若丸 2016年刊の増補新版〕【「TRC MARC」の商品解説】
1969年、ビートルズが揺れた22日間の全貌!
1969年1月2日、ビートルズの4人は、ロンドン郊外のトゥイッケナム・フィルム・スタジオに集まった。無精髯を生やしたポール・マッカートニー、スタジオを立ち去るジョージ・ハリスン。伝説のルーフトップ・コンサート。そして残された未発表音源――。ビートルズが揺れた22日間を追いかけて、現在入手可能なあらゆるブートレグ音源、記事、証言を徹底検証。幻のゲット・バック・セッションの全貌を再構築する。
「やってることを楽しめるようになるための作業だ。またやり直すための。次に僕らがやりたいのは何だろう? 僕はライヴ・ショーがやりたい。君たちは?」(1969年1月3日、ポール・マッカートニー)【商品解説】
著者紹介
藤本国彦
- 略歴
- 〈藤本国彦〉ビートルズ研究家。(株)音楽出版社に入社し、CDジャーナル編集部に所属。退社後フリーとなり、ビートルズ関連書籍の編集・執筆・イベントなどを手掛ける。
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紙の本
Why Don't We Do It In The “Rooftop”?
2020/07/23 16:05
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kapa - この投稿者のレビュー一覧を見る
今年はビートルズ結成50周年、解散70周年記念の年である(ついでにリンゴ・スターが、その詩がいいね、といったベートーヴェンの生誕250年【BTHVN】2020の年)。今年はビートルズがいないパラレルワードの映画《イェスタディ》の公開(かわぐちかいじ氏『僕はビートルズ』2010~2012年のパロディ作品?)NHK-FMでの大河ドラマ風のビートルズ・アルバム紹介Discover Beatlesなど記念イベント目白押し。
ビートルズを知ったのは中学生の時。映画『Let It Be』公開前後の頃。東京から親の転勤で田舎都市に転向してきた同級生の家で初めてビートルズの音楽を聴いた。しかも、田舎ではなかなか入手困難な輸入盤!中でも驚いたのが、録音風景の豪華写真集付きのアルバムLet It Be。同級生の兄の蒐集であったが、中には海賊盤のようなLPもあった。東京ではすごいもんが手に入るのだ、と田吾作は思った次第。LPを借りてオープンリール・テープに録音し、よく聴いたものである。
映画『Let It Be』は映画館で見た。アルバム写真集の光景もあった。前半はポールとジョンが口論したり、まとまりない演奏が断片的にだらだら続いたり、と何で暗い雰囲気の映画なんだ、と退屈であったが、後半のルーフトップ・コンサートとスタジオのライブ演奏映像はよかったな~と満足した記憶がある。昨年1月に解散50年記念プロジェクトとして、残された膨大な映像・録音を使って『Let It Be』を再編集することが発表された。今年公開の予定であったが、コロナ禍で延期されると聞いた。
この本は、この映画とアルバムに使われた1969年1月2日から31日まで、ビートルズ解散を決定づけた22日間のいわゆる幻の「ゲット・バック・セッション」をあらゆる音源、記事、証言を使って再構築した労作である。ジョージがポールと口論するシーン、ジョンの演奏の時にポールがあくびをするシーン、ルーフトップ・ライヴでジョンが「歌詞を忘れた」といってスタッフが演奏中手にもって見せていたシーン、最後にジョンが「オーディションに受かるかな?」とジョークをいうシーン等々読み進めていくと、暗くて退屈な前半も含め、生き生きと記憶が蘇ってきた。また、ライブ演奏をやめ、スタジオ・ミュージシャンとして、数々の名曲や名アルバムを次々と作成し、解散するまでLong and Winding Loadと思っていたが、わずか2年そこそこの短い期間であったのだ。
「労作」と書いたが、私は「ビートルマニア」ではないので、「オタク」的情報には関心はないほうだ。例えば「Girl」のジョンの「ス~」という声は、吐いているか吸っているか、という小ネタ論争レベルであった。本書後半あとがきを読むと、アルバム作成の時系列的に細かなテイク情報がトレースされていることに驚いた。名曲の生まれる貴重なドキュメントであり、海賊版を含め、入手可能なあらゆる音源、記事、証言を徹底検証した、あたかも歴史学者による「史実」の発掘のようである。ビートルズの活動と作品は、もう「歴史書」レベルになっているのだと思った。当時は「暗い」「退屈」と見えた四人の会話シーンなども全く別の見方もあるのだとわかった。
本のカバーは「ルーフトップ・コンサート」の写真である。周辺ビルの屋上に上がってきた観客も写されており、当時のゲリラ的なライブの雰囲気がわかる。カバー下の表紙写真の右側のビルを見ると、映画でも登場するが、英国紳士然とした老人が、非常用階段をエッチラオッチラ昇ってきたところが写されているところが、当時の雰囲気満載で嬉しい。再編集される新『Let It Be』にもこの老英国紳士は登場することを期待したい。