紙の本
時代の空気そのままの本
2020/09/01 16:02
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ら君 - この投稿者のレビュー一覧を見る
2020年春の日本を現す本だと思いました。
自分と身近な人たちが感じていたことを言葉にしてもらえた思いです。
続編も読みたいです。
紙の本
皆の思いはどうか
2020/09/22 09:41
2人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:怪人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
20数名の有識者達の新型コロナについて意見をとりまとめたもの。文系の人が多いようだが、医師や看護職も参画している。夫々の意見は納得し、賛同できるものが多い。全体としては政府の対策について批判的であり、危機におけるトップのリーダーシップに疑問を投げかけている。そう思っている国民も多いだろう。
このような状況を生み出した様々な要因について各専門分野から意見・提言がある。その中で、興味深いのは藻谷浩介の見解である。日本のそもそもの伝統の中の一つに、小さく弱い中央政府があり、政治に何も期待しないという伝統への回帰の動きに出るだろうというのがある。無難なリーダーを据えて機能しないのは日本ではむしろ歴史的な状態だ。誰も期待していないがゆえに、いくら機能不全でもよほどの危機でもない限り、倒されることもないと言う。
医療従事者や普段の生活を支えるエッセンシャルワーカー、さらには一生懸命職務を遂行しているであろう自治体の職員、評判のよくない政府職員(特に厚労省や経産省など)にも意見・提言を承ってみたい。
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各界の著名人によるコロナに関する論評。様々な考え、思いがあることがよくわかり、自分自身の考えの整理につながった。
政治のダメさ加減に関する論評が多かったのも印象的。
藻谷浩介さんの、「コロナで日本は変わらない」の意見は斬新。
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外人の持論中心だった中公新書のコロナ本に比べ、真摯にコロナと向き合う日本人学者などのエッセイ集。コロナについて解釈が分かれるところ(ステイホームの実効性)もそのまま乗せている。結局日本人(もしくはアジア人)の死者が少なかった理由はよくわからないんだな。
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もちろん、村上先生の名があったからすぐに購入した。先生がいまの状況をどう考えていらっしゃるかが知りたかった。しかし、まあそれは本書のほんの一部で、編者として他の論考に影響しているとはあまり感じなかった。本書はいわゆる文系の論者ばかりで、まあそういう考え方もあるのかな、というくらいにしか受けとめられていない。その中で、貧困についての阿部彩さんの文章には説得力があった。ふだん貧困層へのライフラインの援助を申し出てもなんら対応してもらえない。それが今回の緊急事態ということで対応されるようになった。そのことを、さもすごいことをしているかのように言う政治家に対し、「それ、あなたが言う?」と感じている筆者の気持ちはよく分かる。さて、アベノマスクはボランティア団体に送ってしまったが、給付金は家族あわせて40万円ありがたく受け取った。我が家は大きな収入源はないので(賞与は減ったが)せっせと余分な消費に回している。お金はなければ刷ってばらまけばよいのにと安易なことを考えている。国家権力による監視体制はどうか。これも、見られて困ることはしていないから、勝手にいつでも見ていて、なんて思ってしまう。これって、あまりにも世間知らずということなのでしょうか。何が問題なのかうまく呑み込めていない。私も今回のことでいくらかは世の中のことを考えてみるが、考えたところでどうなるわけでもなく、ふつうに日々の生活を送っている。変わったのは、帰宅後、食事をしてお風呂、という順番を逆にしたということ、それから、あれほど苦手だったマスク(花粉症の季節だけはがまんしてつけていた)が平気になったこと、といったところだ。まだあった。電車の中ではつり革・手すりは持たない。エレベーターなどのボタンは指の背側で押す。そして、電車の中でマスクをしていない人、スーツケースを持ち運んでいる人、などを避ける。マスクなしで大声で会話している人など見ると腹立たしい。「寛容」でなければいけないけれど。
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『コロナ後の世界を生きる』というタイトルとは裏腹に、終息が見えない状況の中で書かれている「私たちの提言」は、ポストコロナなどという、ある意味では楽観的でシニカルな新語とは裏腹な、今を考える、「すなわちコロナ真っ只中」をどう生きるかについての、様々な立場からの言葉が多い。編者の意図に沿ったものとなったかはさておき、である。
立場を越えて、とは言うが、各人が選びとった物語の核は多様でありながらも共通項も見え、誰の言葉が自分にとって一番近いだろうかと頭を整理するのには打ってつけの本である。そのうえで、多和田葉子が書いているように「パンデミックによって世界が変わってしまったというよりも、パンデミックのおかげで把握しやすくなった今の世界をわたしたちがこれからどうしたいのか、」ということなのだと思う。
隈研吾の言葉に幻滅(反動ではあるが)し、生保会社の創業者や地域エコノミストの論考には呆れつつ、一方で内橋克人の話に胸をなでおろす、というのが読後の感想なのだけど、さておき、エビデンスの暴力性の中で、それではどう生きるのかを考える一助としたい。
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イマココで起きている問題、少し未来のパースペクティブ、大きな円環の中での位置づけ。
コロナ禍においての雑多なコラムには、頷けるものも眉を顰めたくなるものもある。驚くような視点や、執筆から数カ月しか経過していないのに陳腐化したものもある。
ここになにか一つの正解があるわけではなく、共感できるできないにも差異がある。だが、近い将来にはわからないがイマココでは読む意義のある一冊だ。
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日本人を中心とした24人の著名人の方の、新型コロナウイルスについての世界や国の在り方を各執筆者の仕事の専門性、住んでいる地域性などからの意見が述べられています。
本書の発売は2020年7月17日ですが、執筆時期は5月前後のものが多くやや古い情報もありました。
日本の安倍政権は近いうちに解散総選挙するだろうという意見もありました。
安部首相退陣の理由は、述べられていたことと違い健康上の理由でしたが、私は政治のことは全く無知ではありますが、大事な時期なので、安易に次期首相が決まってしまうのは納得がいかない気がします。
以下、読んで自分が個人的に重要と思った文章をランダムにメモしました。
・東京オリンピックを7月に実施したいと足掻いていた人たちが、日本の社会に根拠のない楽観主義をもたらした。
・延期が決定するやいなや首都では感染者の数が急速に増え続けている。
・参考にすべき歴史的事件は「スペイン風邪」百年前のパンデミック
・感染者の流行は一回で終わらない可能性がある。
・日本のPCR検査数は、他の国と比べると圧倒的に少ない。
・アベノマスクは数十億円。
・一般的に社会政策としてのワクチン接種は、その安全性は十分に確保されたうえで始められるか、それでも、個人差もあって、必ず何パーセントかの確率で、何らかの不幸な例を生み出す。
・ドイツではメルケル首相がコロナ危機への対応によっていつも以上に国民の信頼を得ている。なぜどういう政策をとるのかと明白にその都度わかりやすく落ち着いて説明してくれるからだろう。彼女の演説には、物理学者としての冷静さと、子供たちを守るためなら何でもしようというお母さん的な強さと温かさが感じられる。
・この災害はただちに終わらず、今後もだらだらと続いて、第二波、第三波の流行が襲うかもしれず、鎮圧するのはなかなか難しい。
・戦後政治史の中でもこれだけ知事がいろいろなことを言ったり、やっていることを見せようとして頑張ったことは稀である。(東京の小池百合子、大阪府吉村洋文、北海道鈴木直道各知事ら)そういう知事のような人を首相に選出すべき。
・今回のコロナの影響による困窮はせいぜい1,2カ月で収まると思っているから公共料金補助や家賃補助、一人当たり10万円といった「平時」では考えられないような政策が打ち出されているが、これが長期化すれば人の考え方も変わるであろう。今回の緊急政策において、コロナウイルスの影響とか厳しい経済状況といった枕言葉が述べられているが、そういったことは関係ない困窮そのものだけを見て、国民の権利である「健康で文化的な最低限度の生活」を淡々と保障して欲しい。
・ロックダウンする都市が増える状況の中、スポーツ関係者は「(五輪)開催に向けて努力する」という強硬な姿勢を見せ続けた。おそらく一般人から見れば「現実が見えているのか」「この状態でできると思うのはおかしい」と映ったに違いない。オリンピックメダリストは著名人であるが、文化人・教養人としては少し危うい。
・ステイ・ホーム以外の方策は���い。
・エッセンシャル・ワーカーが働いてくれるからこそステイ・ホームができるのだということをみんなが知る。
・収入減になる社会的弱者への所得の再分配。
・過去三度のパンデミックは全てグローバリゼーションを加速し、国際協調を生み出している。
・人類が全盛期を過ぎて衰退期に入ったのではないかという可能性。コロナウイルスだけでなく、この10年ほどの間に襲った大災害や温暖化をはじめとする環境の悪化は著しい。そもそもウイルスの蔓延は環境破壊に由来すると訪れる。
・今回の新型コロナウイルス蔓延では、一面では国家や一部の人たちのエゴの突出が顕著に見られるが、他面ではグローバル化した状況の中で、国境を超えてその危機感を共有することで、相互に情報を公開し、共同して対処できる道も開かれつつある。その危機感を今回だけの特殊事例として終わらせるのではなく、それはあくまでも総体的な危機の一部に過ぎないものとして、一層共同して対処できなければ、終末は事実となってしまうだろう。
最後になりましたが、今、国内に今までにない大型の台風がきて避難されている方もいらっしゃるかと思います。どうぞ全国の、皆さまが安全に過ごされますようにお祈りいたします。
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コロナ後の世界が不安でたまらない。世界的な知識人の本も刊行されているが、私の住んでいる日本の未来について考えたくて本書を紐解いた。
まとまりのない、日本らしい雑多な文書集である。24名もの人たちが、5月末ぐらいの情勢を鑑みて感想を述べている。
意外だったのは、あまり悲観的な意見がなかったことである。私は、権力に国民を制限する力を与えたのだから、これをきっかけにそれを大きくすることはあっても元に戻すことはないのではないか?と思っていた。しかし、私はひとつのことを忘れていた。私たちは、「感染症を収束させるために一時的に自ら主体的に制限を受けた」のである。その過程は公開されていた。この目的と期間を逸脱するような政府は、おそらく日本だけではなく、世界でも直ぐに淘汰されるだろう。
しかし、細かいところにはまだまだ不安もある。そして希望もある。以下、参考になったところの私的メモ。冒頭に名前と専門領域も載せる。
・高山義浩(医師)コロナの基本再生産数は1.4-2.5と試算されていて、日本人口の29-60%が免疫を獲得すれば収束にいたり、麻疹の92-94%と比べれば少ない。しかし感染力は強くないからじっくり進み僻地まで感染が進むのは数十年かかるかも。ワクチンが開発されても、死亡率の低い若者の接種率は低くなる。副反応リスクがあればなおさら。
・村上陽一郎(科学思想史)ポピュラー・センティメント(世論)を煽るデマゴーグは気になる。今度の厄災を好機に転じてウェブ上の真偽を見分ける術を人々が学ぶことができれば、と思う。
・ヤマザキマリ(漫画家)ドイツのメルケル首相のテレビ演説が称賛を受け、欧州各国の演説がすごいのは、ローマ時代からの伝統。国民は演説能力で権力者に民衆を纏める力があることを知るからだ。そのための教育が欧州ではなされてきた。日本にはない。イタリア人は、マスクをするのは病気への敗北と屈服を象徴するものと考える。だからマスクをすると偏見を受ける可能性がある。ウイルスを敵とみなしたり戦争に例えるのは旧約聖書に根付く人間至上主義的な欧州であり、融通念仏絵巻の門番に説得され、退散する物分かりの良い疫病の日本は、感染症の惨事は忘れてしまう。
・ロバート・キャンベル(日本近世・近代文学)「民度」は、1870年以降の和製単語。差別的な文脈で使われる。強さを強調するつもりが、かえって「向こう」にいる人々の不信を買い、損失を招きかねない。
・山口香(柔道家)IOC会長と安倍首相との会談でオリンピック延期が決まった時に、JOC会長の山下氏はいなかった。ホントに開催を決める時には、スポーツ界も議論に加わるべきだ。アスリートファーストと言いながら、実態はそうではない。猛暑時にしか開催できないのは何故か、決勝の時間帯が朝に設定されているのは何故か、マネーファーストだという本質に気が付きながら続けていく価値があるのか?各競技は、五輪でなければならない価値を自ら説明できなければならない。
・出口治明(人類史)全世界が直面している課題は3つ。(1)ステイホームは真っ当な政策(2)その政策が可能に��るのは医療従事者、流通、食料生産者、交通・運輸の人たちか外で働いているから。彼らに感謝と支援を。(3)そして、ほとんどの人が収入減になり1番ダメージがあるのは、パートなどの社会的弱者。所得の再配分をどのように短期間で設計・実施できるか、各国で競っている。過去三度のパンデミック(ペスト・コロンブスの米大陸進出・スペイン風邪)は全てグロバリゼーションを加速し、国際協調を生み出してきた。
・杉田敦(政治学)日本の政策は、国境封鎖は遅れた。「クラスター」隔離導入。聞き込みという警察捜査的手法。緊急事態宣言。PCR検査の絞り込みは、医療崩壊回避が目的で、その後余裕ができても拡大への転換は時間を要した。外部専門家を導入しなかったのが政策の硬直化につながる。
・藻谷浩介(地域エコノミスト)筆者は「コロナで日本は変わらない」と考える。自粛が通用したのは「人より先に罹患して余計な口出しをされたくない」から。行動変容よりも、手を洗う、マスクする、室内を清潔にする、他人に触れない、近い距離での会話は慎むという昔ながらの湿気が強い島国ならではの所作が最も効果的だった。日本の今までの大変革(江戸・明治時代の始まりや戦後)は、実は伝統回帰だった。「自作農中心の村落共同体」「対外緊張回避・絶対権力者忌避」だから変わるとすれば「伝統回帰」の方向へ。通商を重視した周辺諸国との妥協と融和、女性のリーダーシップへの信頼、小さくて弱い中央政府、多極分散型国土構造、空論よりも実学重視へ。分散型経済は、今までも進んでいたが東京集中というイメージを取り払えればもっと進む。東京は、これからもリスクの高くコストの高い場所になり続ける。若者の自覚が必要だ
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様々な専門家がコロナの現状とこれからの未来について展望。立場や専門は違えども、これまであった問題がコロナで炙り出されただけという論考は共通している。これまでの問題をどのように整理して変えていけばよいかでおのずと答は見えてくる。
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藻谷浩介「新型コロナウイルスで変わらないもの・変わるもの」と多和田葉子「ドイツの事情」は、読む価値あり。
藻谷は「コロナ禍では日本は変わらない」と言う。「日本人の行動を基本的に変革しなかった新型コロナウイルスが、一転して今後の社会を変えていくとは、筆者には信じられない」
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しばし、品切れになっていて、きっと多くの人が読んだんだろうな〜。
いろいろな分野の多様な人たちが「コロナ後」について、語っている。なるほどね〜な多様な意見があって、ハッとする新たな視点がある。
にもかかわらず、なんだか、そうだろうな〜という気持ちになってしまうのは何でだろう?
そんなことを思いながら、最後のクロージングにむけて、藻谷浩介さん、内橋克人さんの論考におおっとパワーをうけとる。そして、最後のマーガレット・アトウッドさんのシンプルなメッセージが心に響く。
「コロナ」本、やっぱたくさんでているな〜。もうちょっと読んでみよう。
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各界の第一人者が、コロナウィルスについて書いた論考をまとめたもの。
書名は「コロナ後の世界を生きる」であるが、パンデミックの比較的初期に書かれたものが多いため、むしろ、その時点での事実の整理や状況の分析を書いたものも多い。だからといってつまらないというわけではなく、考えさせられる、あるいは、面白い論考も多い。
個人的には、多和田葉子さんのものが好きだった。
多和田葉子
■新型コロナウィルス感染が広がり始めてから毎日入ってくる新しいニュースを追うだけで必死で、いつの間にか遠い未来を考えることができなくなっている。これは危険な精神状態だと思う。ニュースは現代を毎日薄切りにして投げつけてくるだけで、歴史的つながりが見えてこない。
■トランプ政権と中国の対立が深まっているとしても、それはコロナのせいではない。目に見えないウィルスが、世界の状況を見えやすくしてくれたのかもしれない。だから、パンデミックによって世界が変わってしまったというよりも、パンデミックのおかげで把握しやすくなった今の世界をわたしたちがこれからどうしたいのか、ということではないかと思う。
■コロナウィルスは少なくとも地球環境にいい影響を与えたということになる。また今回のパンデミックは、環境を重視する政策をとると、経済的にどのくらいのマイナスが出るのか、それは一般市民がひどい打撃を受けるほどひどいものなのか、それとも社会が背負っていける程度のものなのかを憶測ではなく、「実験結果」として残せるチャンスでもある。
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岩波らしくいろんな人が書いていて、それが2020年5月くらいのもの。今読むといろいろと面白い。後の話にはなっていないけど。
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コロナが見せた、私たちの社会の未来。
私たちは今、未曾有の事態の真っ只中にいる。ここから私たちは、何を考え、何を変えようとするのだろうか。様々な分野の人からの提言をまとめている。日本だけではなく、イタリアやドイツなど、海外の様子も描かれている。これは記録である。
緊急事態だからと、本来なら認められない政策に飛び付きたくない。緊急事態であろうとなかろうと、収入を減らした人や、感染症に弱い人に対して、サポートを手厚くしてほしい。緊急事態だからではなく、そろそろ本気で移動や流通のコストだったり、場所の共有だったり、エネルギーの使い方だったりを考えなければ。そして、緊急事態であっても、芸術やスポーツや娯楽を諦めたくない。