おそい・はやい・ひくい・たかい １０９ 「不登校」「ひきこもり」の子どもが一歩を踏みだすとき

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いい本でした。「学校は休んでもいい」納得できました。半面、学校教育の在り方に疑問を通り越してあきれてしまいます。日本は大丈夫でしょうか？国民の教育レベルが高い、というのは、もう昔のことなんでしょうね…改めて、子供の人権、命について気づかせてもらいました。ありがとうございます。

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親身なアドバイスと応援が、不登校やひきこもりの子どもをもつ親（とくに母親）を励ましてくれる一冊。犬に噛まれたことのある人にとって「犬の群れがいる犬小屋」はこわいに決まってる、子どもが殻を破って一歩を踏みだす鍵は「親が子どもの話を最後まで聞くこと」など、心理カウンセラーならではの知見が豊富。

一方で、個人的にいくつか疑問も抱いた。

①原因はすべて過去の「心の傷」にあり、心の傷が回復すればおのずと社会復帰できる、という立場が一貫して読み取れたのが気になった。子どもたちは心の傷を負ったから不登校やひきこもりになったのだろうか？すべての子どものふるまいを心理学的な解釈だけで説明するのはちょっと大雑把では？傷ついたわけじゃなく、ただなんとなく学校に行かなくなった子どもも一定数いそうだけど。

②また、本書における親むけのアドバイスはグループ相談会への参加を前提にしているものが多く、相談会に参加できない／したくない親はどうすればいいのかとも思った。

③さらに、傷ついた子どもが回復するために「必要なのは時間」はその通りだけど、かといって回復の兆しもないまま、永遠にひきこもる／ひきこもられるわけにもいかない。ひきこもってから年単位の時間が過ぎてしまったような場合、現実問題として親や周囲の人たちはどうすればいいのか？いいかえれば「お金の問題」について、本書はとくにふれていない。なので家計が逼迫するほど追い詰められているなど深刻な状況下にある当事者は、他書を参照したり、なにより行政サービスなど第三者の支援につながったほうがよいと思った。

以上、いくつか疑問が残ったものの、全体としては優しいまなざしによって編まれた良書。親子の関係が打ち解けたものになるよう、本書のあちこちで著者（と編集者）は願ってくれている。その応援に救われる人もきっといると思う。

【まとめ】

Q. 不登校やひきこもりの子どもたちが一歩を踏みだすのはどんなとき？

A. 親が子どもの話を最後まで聞いてくれたとき。自分が話すことを遮られることなく最後まで聞いてもらえた、と思うことで、①この世界には自分のことを理解し受け入れてくれる誰かがいるということ、②家は安心な居場所だということを感じられるようになるし、③自分の体験を話すことをつうじて心の傷口が洗われ、心が整理されていく。そうした信頼と安心感と自己理解の深まりが、子どもたちの一歩を後押しする。

【キーワード】

相談に来る人はすでに答えをもっている

人生の荷物は人に預けない
危険な場所には近づかない
なぜ人がこわいのかを知る
犬の群れがいる犬小屋
二度めの傷は大きな痛みをともなう

最後まで聴く、話の腰を折らない
傷ついた隣人の話を聴く
存在の保証人

「心の居場所」だった保健室
専門家は権力に奉仕する
学校を休む権利
教育機会確保法（2016）
家庭の学校化（ホームエデュケーション）への懸念

【目次】

はじめに
一本の細い道

Ⅰ　学校に行かなくてもいいんですか？

　心理室から「モモの部屋」へ

　相談の場で子どもたちが教えてくれたこと
　　心理室で子どもたちの具合がよくなった
　　一歳八ヶ月の子でも話せばわかる
　　見えてきたのは、身体症状と学校生活との関係
　　学校は行かなくてもいい
　　学びは誰のためにあるのか
　　自分の力で考えること
　　子どものいうことを信頼する
　　心配や悩みごとが言葉として出てくるとき

　なぜ、子どもを追いこむのか
　　子どものことがわかりはじめるとき
　　答えは子どもが教えてくれる
　　人生の荷物は人に預けない
　　「登校拒否」だった子ども時代
　　まずは疑ってかかる
　　自分を守ってくれたもの
　　「いじめられている」といえない子どもたち
　　「いい母親」を演じるプレッシャー
　　親子が対等な関係になるために
　　子どもから問われるのは、親の生き方

Ⅱ　親子の和解と修復のものがたり

　子どもの傷と周囲の気づき

　１　基本になること
　　危険な場所には近づかないこと
　　なぜ、人がこわいのかを知る
　　二度めの傷は大きな痛みをともなう
　　傷口を広げないための近道
　　親子関係の断絶を招くとき
　　不安をもちつづけたときに起きる症状
　　ゲームは命の浮き輪
　　なにか理由があるのではないか、と思いをめぐらせる
　　こだわりが強くなるとき
　　親が、日々傷つけ直していることに気づく
　　親子関係が険悪になったら

　２　親が変わるとき
　　体験を語り伝えあう
　　父親の理解で改善すること
　　体験を共有する先に
　　親の人間的な成長
　　親自身の不安の実態が明らかになる

　３　話を聴くこと、話をすること　
　　最後まで聴く
　　親にほんとうの話をするとき
　　一部始終を話せるようになるには
　　働きはじめて……過去に負った心の傷の修復
　　信頼の基本
　　夫の話をよく聴けるようになる
　　「なにを迷っているの？」という問いかけを
　　つらい思い出を語る
　　だから、話の腰を折らない
　　傷ついた隣人の話を聴く距離感で
　　心の傷が回復するということ
　　専門家に委ねなくても
　　和解のとき
　　助け舟はいらない

　4　親が心すること
　　必要なのは、屋根と寝床と食事、そして時間
　　医療に頼ることで起こるのは
　　発達障害という誤解
　　薬を知る
　　「助けて」をいわない子への注意
　　「ＮＯ」をしっかり受けとめる

Ⅲ　子どもたちの抵抗と母親たちの連帯──不登校をめぐる歴史から

　「命が大事」という原点

　　「親の会」が広がる──親が子どもの側にいた時代
　　親同士、「親の会」同士がつながり学ぶ時間
　　教育行政がつくる「親の会」と相談のルート
　　親たちが教育行政にとりこまれて
　　「心の居場��」だった保健室は
　　専門家は権力に奉仕する
　　人間として学校を「休む権利」
　　「教育機会確保法」の問題点──自殺する子は減ったか
　　「教育機会確保法」の問題点──ほんらいの子どもの権利を明示したか
　　「教育機会確保法」の問題点──貧困、障害のある子も安心して学べるか
　　ホームエデュケーション──家庭の学校化への懸念

おわりに：ひきこもるくらしから獲得する「生きる学力」

解説：「寄り添う覚悟」をする「勇気」と「幸せ」を育てるために　岡崎 勝（〈お・は〉編集人／小学校教員）

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不登校の我が子についつい余計な一言
見守るだけで、はたして何か動くのか
(学校はゴールとはしていない)
ハテナが正直ある
でも、著者が言うように
○家庭を安らげる場所にする
○子供の話を丁寧に聞く(遮らず、意見を押し付けない)
これは心がけようと思った

2度目の不登校
傷が深く回復に時間がかかるという
焦らず子供を今後もサポートしていこう
まずは情報をたくさん得よう