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商品説明
自分が何処の何者であるかは、先祖たちに起こった厄災を我身内に負うことではないのか。現代日本文学をはるかに照らす古井由吉の最後の小説集。表題作ほか「雛の春」、未完の「遺稿」など全4編を収録。『新潮』掲載を書籍化。【「TRC MARC」の商品解説】
自分が何処の何者であるかは、先祖たちに起こった厄災を我身内に負うことではないのか。インフルエンザの流行下、幾度目かの入院。雛の節句にあった厄災の記憶。改元の初夏、山で危ない道を渡った若かりし日が甦る。梅雨さなか、次兄の訃報に去来する亡き母と父。そして術後の30年前と同じく並木路をめぐった数日後、またも病院のベッドにいた。未完の「遺稿」収録。現代日本文学をはるかに照らす作家、最後の小説集。【商品解説】
収録作品一覧
雛の春 | 5−39 | |
---|---|---|
われもまた天に | 41−76 | |
雨あがりの出立 | 77−112 |
著者紹介
古井由吉
- 略歴
- 〈古井由吉〉1937〜2020年。東京生まれ。東京大学独文科修士課程修了。「杳子」で芥川賞、「仮往生伝試文」で読売文学賞、「白髪の唄」で毎日芸術賞を受賞。
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紙の本
遺作となった連作短編集
2020/11/20 18:14
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:遊糸 - この投稿者のレビュー一覧を見る
帯の惹句が心に沁みる。
「自分が何処の
何者であるかは、先祖たちに起こった厄災を
我身内に負うことではないのか」
「雛の春」昨年(2019年)の立春で始まり
(当時のインフルエンザの流行は、
今年(2020年)のCOVID-19に重なって見えてしまう)
「われもまた天に」では改元の祝いのあった連休のころを綴り
「雨あがりの出立」は梅雨のさなか接した訃報
そして
「遺稿」は、九月に大きな災害をもたらした台風を描く。
幾度目かの入院・手術や
衰えいく我が身を
あるいは
近親者の訃報によって呼び覚まされる
亡くなった人々への思いが綴られていく。
未完の「遺稿」だが、
これはこれで、完結しているようにも思える。
恬淡にも見えるが、文体は屹立し、
読むほどに胸に沁みいった。
言葉の選び方も見事という他はない。
(自分などが述べるのは、僭越で汗顔の至りであるが)