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商品説明
ピカソ、ヘミングウェイ、サルトル、ボーヴォワール…。何故彼らはカフェに集い、数々の思想や運動がカフェから生まれたのか? 20世紀前半のパリのカフェを中心に、社会を変えうる力を持ったカフェという場の魅力に迫る。〔「caféから時代は創られる」(いなほ書房 2008年刊)の改題増補改訂版〕【「TRC MARC」の商品解説】
あれやこれやと、悩みが尽きないなら
──カフェに行くことさ!
(ペーター・アルテンブルグ)
20世紀初頭、パリ。カフェは異端者たちの避難所だった。
政治、文学、哲学、絵画、あらゆる領域で、それまでの枠組みに収まらない、新しい感性をたぎらせる者たち。ただしそうした時代を先取りした「異端者」たちへの、社会からの風当たりもまた強かった。彼らが自然と集うようになったのがカフェだった。コーヒー代さえ支払えば、身分や社会的立場に関係なく誰でも受け入れてもらえ、何を考え、それをどう表現しようが、誰からも何も言われない──彼らの求める自由が、そこにはあったからだ。
ピカソ、ヘミングウェイ、アンドレ・サルモン、モディリアーニ、藤田嗣治、マン・レイ、サルトル、ボーヴォワール……。
1人、また1人、カフェへと向かう、まだ何者でもない者たち。彼らは、カフェというゆりかごで同志やライヴァルと出会い、刺激し合い、切磋琢磨し、少しずつ自らの力量を超えることで、時代を切り拓く存在となっていった。
「天才は規則的に現れず、集団として現れることは古代から知られている現象である──シルバーノ・アリエティ『創造力』」
時代に力ある<場>が生まれたとき、それは才能を受け止め、育む孵卵器となる。後に生きる我々は、「なぜあれだけの偉大な人物たちがこぞってみな、あの時代、あの場所に集っていたのだろうか」と考えるが、それはむしろ捉え方が逆で、そこに力ある<場>があったからこそ、そこに集った人々が、それぞれ後に名を知られるくらいの偉大な人物へと育っていったとも考えられるのだ。
20世紀前半のパリのカフェはまさにそれだった。
本書は、「天才」たちの残した自伝的記録を中心に、カフェとそこに集った人々の相互作用の記録を丹念かつ克明にたどり、力ある<場>がどのようにして生まれ、変遷し、いかに人、文化、時代を創っていったか、その過程を明らかにするものである。ただしそれは「100年前に起こった出来事」を過去として伝えるものであるだけではない。自由な<場>が、自由な発想を持つ者と出会い、そこで絶妙な相互作用を起こしたときに、途方もない創造を顕現させることがあるのだと、その可能性を未来へと語るものでもある。
カフェをつくる者、カフェに通う者、カフェを愛するすべての者たちへ、100年前のパリから贈られるメッセージ。
「カフェから時代は創られる」のだと、混迷する現代に、一筋の光明を示す一冊。【商品解説】
著者紹介
飯田 美樹
- 略歴
- カフェ文化、パブリック・ライフ研究家
学生時代、環境活動をしている若者が集う場づくりを通じて、社会が変わる場とは何かに深い関心を抱く。大学3年の時パリ政治学院に留学し、1日3回カフェに通う。パリのカフェには芸術家が集っただけでなく、フランス革命も関係していたと知り、研究を開始。帰国後、大学院に通い、「天才たちがカフェに集ったのではなく、カフェという場が天才を育てたのでは」という視点で研究をすすめ、2008年に『caféから時代は創られる』を出版。現在は、街なかでリラックスした時を過ごせるインフォーマル・パブリック・ライフの重要性と、オープンカフェがいかに街の活性化に役立つかという視点で2冊目の本を執筆中。かつてのカフェのように世界の先端の知に出会い、議論し、つながれる場を創ろうと、オンラインで”World News Café”を主催している。
Paris-Bistro.com日本版代表
東京大学情報学環 特任助教
https://www.la-terrasse-de-cafe.com/
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紙の本
カフェが才能を育む理由を探求した力作です。
2023/05/28 19:45
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:クッキーパパ - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者のことは存じませんが、ホントのフェアで知って購入しました。エッセイ風かと思ったのですが、いい意味で外れました。元々論文としてまとめたものを再構成したらしく、その内容はパリのカフェの歴史とそこに集まる天才達の風景、そして最後はカフェの様な空間を提供する人に対するヒントなどにも広がり、全編を通じて引用される相当な量の参考文献に裏打ちされた重厚な内容でした。ピカソ、藤田、サルトルとヴォーヴォワール、ヘミングウエイなど天才、異才が自由と刺激を求めて集う独特の空間、そこを提供する主人の役割等、カフェにあらゆる側面から考察を加え、カフェという「場」が如何に才能を育んだのかを探求した力作で、楽しく読みました(但し第6章「カフェと人との相互作用」はもう少しコンパクトにまとめて欲しかったと思います)。本書を通じて初めて知った情報も数多くあります。SNS全盛の現代では、場としてのカフェの役割は相当減じてしまったのでしょうが、それでもフランスは若いアーティストを支える意識が伝統的に残って居る印象であり、一方でお笑い芸人とアニメが闊歩するこの国の文化はどうなるのかなとも思います。それはそうと、「移動祝祭日」など本書で引用されている本も読もうかと刺激も受けました。著者の情熱を感じる力作です。