紙の本
無味無臭で潔癖な社会に警鐘を鳴らしたい
2021/12/06 10:21
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投稿者:ぴんさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「不潔」と「清潔」の二項対立では解けないウンコの未来をゴーギャンの言葉のように「どこへ行くのか」考えていく。ウンコするならこれを読め!ウンコから見た近代史。中身もタイトルのインパクトに負けない面白さ。屎尿処理が市営化された背景には、衛生上の関心だけでなく、市の財源としての屎尿という都市経営的な問題もあったという。
紙の本
「ウンコ」の歴史
2020/12/22 06:49
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投稿者:チップ - この投稿者のレビュー一覧を見る
人糞はいつ頃から「肥料」から処理しなければいけない廃棄物になったのか?
著者自身の幼少期の記憶や資料を調べての調査は大変参考になる。
大変な労作だと思うが、後半になると「ウンコ」疲れしてきました(笑)
紙の本
日本人とうんこの歴史
2022/08/26 11:56
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投稿者:もちもちの木 - この投稿者のレビュー一覧を見る
江戸時代はうんこと野菜を物々交換するなど、うんこは財産だったそう。都市化が進んだことでうんこは汚物としてお金をかけて処理されるようになりました。日本人のうんこに対する認識の変遷が解説されています。世界的に「肥料不足」なんて話もある中で、人糞はうまく活用すれば解決の糸口になるのかも、と思ったけれど、「清潔」な社会しか知らない(生まれた時から水洗トイレ)世代の私は果たして実際そんなことできるのか…?色々考えさせられました。
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新書大賞2021ノミネート作品から積読になっていた一冊。しばらく通勤カバンに入りっぱなしだったけど、福岡行の飛行機で読了。
実家は俺が小学生の時まではボットン便所。祖父が週末に自分で汲み取って、畑に撒いていたことを思い出す。
名古屋の例を使った利用と処理の歴史の紐解きも興味深い。
猫見ていて思うけど、食べることと勝とも劣らず重要な排泄。汚物って一言で片づけちゃいけないなと思った。
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うんこの扱われ方やうんこに対しての意識の変遷を解説している。思った感じとは違ったけどこれはこれで面白くはあった。
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やたら「ウンコ」という文字が連打されているので、やや辟易。内容は、フィールドワークを含め、比較文化人類学といった本。
結局、下肥として消費できないくらいの排泄量が都市で発生してしまって、排泄物から汚物になってしまったということです。
下水道は社会インフラですが、維持コストも過疎地域になるとpayしないので、そういった地域で、サステイナブルな循環を目指すのはよいのでは、と思った。ただし、そういう地域に自分が住みたいか、と言われると・・・なので、難しい問題ですね。
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近世から現代にかけての日本の屎尿処理の話を中心に、ウンコに纏わるあれこれと作者のウンコ感?をまとめたもの。「人糞地理学ことはじめ」とサブタイトルにあるが、人糞地理学について本文中で軽く触れられてはいるけれど、具体的にそれがどのような学問なのかは良く判らなかった。愛知や長野のローカルな話題は出てくるが他地域との比較がないので地域に根ざしたものなのか判断がつかない。ことはじめとあるので、そういうのは今後ということか…
(江戸時代に屎尿処理の話は良く出てくるが、江戸や大阪といった都市部と農村との関係の話が多く、ではもっと田舎ではどうったんだとかいろいろ知りたいことは山ほどある)
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タイトル買いした一冊。
前半は人糞と肥料の話がちょっと厚すぎなのだが、後半からはウンコをめぐるネタがあれこれ登場して面白くなってくる。
人糞が価値あるものから汚物となり、処理方法が河川・海洋への投棄から屎尿処理へとむかう過程はギリギリで見ることができた。ウォシュレットの登場には、心底驚いた(もう当たり前だけど)。
著者が欧州で経験して驚いたという、線路上へ捨て去るタイプのトイレも、昔どこかで経験した記憶がある。
昔、農地が広がる地域で車の窓を開けて走っていると、口の悪い子どもたちが“田舎の香水”と呼んでいた糞(家畜か人糞かはわからない)的な臭いにおいがしてきたものだ。そういえば、めっきりそんな機会も減ったような。
男の子は基本、ウンコ話が好きなのだけれど、著者は女性。案外女の子も好きなのかも。
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ウンコという言葉をこの本以上に目にすることはないだろう。
そして、冒頭からいきなり、「はたしてウンコは『汚い』のだろうか」(13頁)と聞かれることも、またないだろう。
ウンコは汚いか?と問われれば、「そりゃそうでしょ」と答える人がほとんどだろう。
しかし、まずその常識を疑うのが学問である。
ウンコは汚いのだろうか?
さっきまで体内にあったものが排泄行為によって出た瞬間から気持ちの悪いもの、関係のないもの、となる。
それは、抜けた髪や切った爪、身体中から出る垢も同じだ。
もちろん感染症に敏感になっている今は、感染対策を取らなければならないものもあるだろうが、単純に不思議な気がする。
さっきまで、私の体であったものなのに、と。
ウンコが高値で買われ、肥料として使われていた時。
都市部に人が流入し、水洗トイレが出てきた時、ウォシュレットが使われた時…人はどんどんウンコから遠ざかる。
けれども、それでよかったのか?
私は東京育ちの人間だから、綺麗で高機能で臭わないトイレが当たり前だった。
昔田舎にあった「ボットン便所」はごめん被りたい(使ったことはある)。
しかし、子供のうんこを日々見て(嗅いで)いると、うんことは生きている証だと思う。。
ニラを食べれば臭くなるし、ヨーグルトを食べさせれば綺麗なバナナ型になる。
コロコロだったり、軟便だったり、「くっさ!」「ああー漏れているー!」「ぎゃぁ手についたぁーーー」も生きているからこそ。
あわやウンコ、なぜかウンコ。されどウンコ。
本書の最後でゴーギャンの話が出るなんて!
ウンコから人類の来し方を考える良書であった。
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下水道処理システムについて知りたくて手にしたけど、そんな専門的で視野狭窄なお話ではなく、ウンコ総論、そもそもウンコは汚いのか、汚いとはなんぞや、そしてウンコ史、世界のウンコ事情と、ウンコ話がてんこ盛り。我が人生においても、トイレも処理紙も大いなる変遷があった。大学受験で上京し、ホテルの洋式トイレに惑ってなかなか用が足せなかった友人がいた。郊外の畑には肥溜めがあり、漂う香りは田舎の香水と称していたっけ。忌避するのは仕方ないとして、改めて学ぶこと多し。椎名誠氏に世界のトイレ事情をまとめていただけば楽しそうだ。
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「ウンコの来し方行く末を考えることは、つまるところ、私たち人間の来し方行く末を考えることにほかならないのである。」なかなか大きく出たなあ。それにしても、「ウンコ」が多すぎる。目次4ページの中には32個、プロローグ6ページには30個もある。のっけからのあまりの多さに、思わず数えてしまった。その後も、次々とウンコが出てくる。まあ、ウンコの本だから仕方ない。僕が小学2年生まで住んでいたのは町中の家で、水洗トイレだった。3年で引っ越しすると、そこはくみ取り式。いわゆる「ぽっとん便所」だ。おつりが返って来るというやつ。それがまた臭い。引っ越してすぐ、僕はトイレが水洗になるまではうちのトイレは使わないと言っていた。まあ、がまんできるわけもなく、すぐに慣れてしまうのだが。月1回だったかバキュームカーがやってくる。それがとにかく臭い。母は、たびたびくみ取りをしてくれる人に「たばこ代」などと言って小銭を渡していた。それで、ちょっとサービスしてくれたのだろうか。何をだ?昭和40年代に建った住宅地だが、近くには田畑がわりと残っていた。そこに、肥溜めと言われるものがあった。この周りで遊んでいて落ちた子がいるという話を聞いた。いくら風呂に入って洗っても2,3日は臭いがとれなかったという。嘘か本当か。木の箱に入ったちり紙を使っていた記憶もある。かたくてお尻が痛かった。たぶん。それにしても、葉っぱでふくのは分からなくもないが、板とか棒とかなんかとっても痛そうだ。そんなものでちゃんとふけるのか。砂とか、もう考えられない。まあ、食べ物によってウンコのかたさなども違うのだろう。ほとんどふかなくても大丈夫だったのかもしれない。でも、いつでもそうとは限らないし。まあ、1章分お尻のふき方でなかなか興味深い。糞尿を肥料にするためにわざわざお金を出す、もしくは野菜などと交換していた、という話は聞いたことあったけれど、そこからお金を払って屎尿を取りに来てもらうという時代への移り変わりがおもしろい。世界各地のトイレ事情もまたおもしろい。いやあ、とにかく「ウンコ」だけで1冊できてしまったのだ。人糞地理学ことはじめ、これからの研究にも期待しよう。
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「うんこは汚いか?」
ウンコを肥料として使っていた時代までは、ウンコは汚いものではなかった。肥料として金銭で取引されたものだった。
しかし第二次大戦後、アメリカやヨーロッパから見るとウンコは寄生虫の心配のある汚物であること、人口集中で肥料としても使いきれない量が出ることなどからだんだんウンコは捨てる物となり、汚いものと扱われるようになっていった。
その変化が分析されていて面白かった。
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現代生活では欠かせない電力については憂慮される問題が山積みなので今も話題が絶えない一方、下水道については多くの人が何も考えることなく日常を過ごしていると思う。しかし改めて考えると、都市の超絶膨大な人口のうんこ、しょんべんをここまで処理しているシステムってすごいことで、もう少しそれを個人で勉強してもいいんじゃないかって思った。
実際に下水道には糞尿以外に強酸洗剤のような危険な薬品も結構流れてる訳で、ゴミの分別とかと同じように環境に優しい下水道の使い方って何だろうって今考えている。
うんこは土に埋めれば簡単に肥料になるのは自明である一方、衛生面や強烈な臭い等、取扱厳重注意な物体であることも改めて認識することができた。
これからはウンコの処理を「他人事」として見るのではなく「自分事」として見る意識で考えていきたいと思いました!
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生きる上で一番大切なことは「食べること」と同時に「ウンコをすること」なのに現代では軽視され水に流されるだけ、という冒頭の投げかけから始まって、かっての循環経済を解説し近代のトイレ事情の変遷を語る。
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ウンコが現代人にとって忌避すべき存在であるが、それが忌避されるべき存在になったのかを歴史資料や文学資料、マンガまでを駆使してまとめている。
特に江戸時代は肥料として、お金を払って取引されていたが、屎尿として処理されるまでの経緯を丁寧に辿っていく研究が、彼女の本来の研究分野であるが、一番面白かった。都市化と衛生という概念が、糞尿を屎尿にしていくのは近代化の象徴でもあるし、それが今の世界中の共通認識になりつつある姿を見ると、失ってきたものの大きさを感じない訳にはいかない。
著者自身のトイレ体験から書き起こしているが、私自身、汲み取りも水洗も、また糞尿の肥料として使うのも経験していたので、この50年ほどの変化が実体験に照らして読む事が出来た。