紙の本
市川憂人の最高傑作では
2020/10/22 08:52
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かき - この投稿者のレビュー一覧を見る
単なるミステリーに収まっていません。儚くて切ないラブストーリーにも思えます。
コロナ禍の今だからこそ感じる、何ともいえない読後感。
感想を書こうにもネタバレしそうで詳しく書けないのがもどかしいですが、散りばめられたヒントが全て繋がり真実が明らかになったときの驚きといったら…。
あくまで小説の中の話なのに、登場人物たちのことを思うと、切なさでいっぱいです。
紙の本
とにかく話の展開がうまい!
2023/10/31 08:37
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yino - この投稿者のレビュー一覧を見る
外界と遮断された2人きりの無菌病棟で起こる殺人事件。免疫不全の身ながら、危険を承知で無菌病棟を出て犯人を追う主人公の目線で、無菌病棟に隠された真実が少しずつ浮き彫りになる。いかにも怪しげな伏線(というか、絶妙な采配で少しずつ明らかになる真実)を回収しつつ迎える結末は、大きなカタルシスを感じずにはいられません。「こうしたミステリーもありだな」と思わせる力作です。おすすめ。
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ウイルスすら出入り不能の密室で起きた殺人…いったい誰が殺したのか。クローズドサークルものと思いきや、予想を裏切る展開と徐々に明らかになっていく真相には衝撃を受けました。登場人物や舞台などはシンプルでありながら、とても深い物語でした。
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興味をそそる内容に今後どうなっていくの?とグイグイ世界観に惹きこまれました。
題名に出てくる「アディポクル」。その意味は、ぜひ読んでみてください。ここで意味を提示してしまうと、事件の真相の核心に迫ってしまうので、伏せさせていただきます。
市川さんの作品というと、他に「ジェリーフィッシュは凍らない」や「ブルーローズは眠らない」があるのですが、一風変わった世界観、意外な真相で印象深かったのを記憶しています。
この作品でも、それに通じるものがあり、どこか異世界で起きているような不思議な感覚がありました。
内容としては、ある病院の無菌病棟で、殺人事件が発生。大嵐で、一般病棟とを結ぶ渡り廊下が、貯水槽が倒れたことに遮断なため、外部からの犯行は不可能。中にいたのは、主人公・タケルと殺された少女だけ。無菌病棟という管理が徹底されている状況下で、いったい犯人は誰なのか?
自分?医師?看護師?
次々と不可解な真実が登場し、事件の真相はどうなるの?と自分の中で期待値がグングン上がっていきました。
基本的には、タケルの視点で物語は進むのですが、時折少女と医者の視点が登場します。今に至るまでのヒントとなる前日譚が語られています。
タケルが少女の無念を晴らすために事件を推理していくのですが、結果として、個人的には肩透かし感がありました。
所々、伏線を張り巡らし、解決に導いていくのですが、期待値が高かった分、変化球で投げてきたかのような真実でしたので、なんだかなぁ・・・と思ってしまいました。
病気や機械をうまく利用したトリックで面白かったのですが、最後は歯痒い気持ちになりました。
タケルの切ない気持ち、少女の危機迫る心理描写に胸を撃たれましたし、今後タケルがどうなっていくのか、不憫で仕方がありませんでした。
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ラストギリギリまで明かされ続ける謎。大切な存在を失わせた犯人を追い続けながらも行き着く先は全てゆりかごの中。無機質な病棟を舞台としているからか、白く、そして青い鳥のような印象を受ける作品。アディポクルである事が鍵。
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近未来の新たな感染症、アディポクル。
東京都下のさる場所の隔離病棟が舞台。コノハとタケルという少年少女の闘病とそして確執。殺人事件しかも、クローズドサークルとドンデン返し。ミステリ好きにはたまらない本です。
あの三部作以来のファンで、着目していて良かった!といえる作家さんです。
絶対、ネタバレになるので詳しくはレビューとして書けないのがジレンマ。
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市川憂人作品らしい、考え抜かれた伏線による、緻密なトリックを備えてはいるもののミステリというより、素直に悲恋ものとして読んだほうがいいかなあ。それはともかくコノハちゃんが可愛い。
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近未来の新たな感染症、完全なる無菌室に住まうタケルとコノハ。二人と主治医の視点で段々と真相が明らかにされる。兎に角無駄がなく、全て伏線が回収されるのが見事。色彩、嗅覚、五感総動員して読んだ。
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読み応えのあるミステリーだった。
クレイドルと呼ばれる無菌病棟の入院患者は、13歳のタケル、コトハの2人だけ。タケルはコトハに惹かれていた。
厳重に管理された無菌病棟が大嵐の被害で外界と断絶され密室状態になり、二人きりで救助を待っていた。
そのはずだったが…コトハは何者かに殺された。
タケルは事件の真相をたった一人で調べていくうちに、未知の感染症アディポクルのこと、隣接の一般病棟が廃墟になった経緯、この場所が海に囲まれた孤島だったこと、担当医と看護師が救助に来ない理由、自分の体のことなど…数々の秘密を突き止めていく。
たっぷり2センチ超えの厚さがあったけど半日で読めた。
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おすすめの人
・若干SF込みでも好き
(アイアムレジェンドとか)
・森博嗣先生作品が好み
・余韻のある作品が好み
ある程度タケルの推測で導かれている事柄があるから探偵もののように全てはっきりと補完できるわけではない。なので市川先生の他作品のようなものを期待しない方が良いかも。
個人的にはとても好きな世界観、オチ。人によっては、こじんまりと纏めてきたなと感じるかもしれないけど。
あと、表紙が最高に良いと思う。
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未知の感染症×密室殺人×ボーイ・ミーツ・ガール。終盤2度驚かされ、切ないラスト。いささか反則気味なところはあるが、筆者にしてはシンプルなミステリーだった。
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ラストは「アリか?」って少し思ってしまった。鳥頭っていうあだ名とかからにしてはちょっとヒントが少なすぎるような。
偽装はタケルを外に連れ出すためにやったって、あの時点で彼女は外の人たちがすでに感染してるとかも知らないはずだから、つまり周りの人が感染してもいいから外に出てって願ったってこと?
そう思うかな。
ちょっと辛口な感想かもしれないけど、推理はしっかりしてるしすごく面白かったから星4つ。
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このご時世、無菌室に隔離された謎の病気の二人の生活は気になったが、この状況じゃそうなるよね、という展開だったのが残念。病気のせいかもしれないけど、この主人公が子供っぽすぎて馴染めなかった。
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病のため、無菌病棟で暮らす少年と少女。ある日襲い掛かった嵐によって孤立してしまった無菌病棟の中で、何者かに殺されていた少女。犯人は誰でどこからやってきたのか。真相を突き止めようと奮闘する少年がたどり着いたとんでもない真実を描くミステリ。
最初は単純にありがちなクローズドサークルミステリだと思って読んでいましたが。途中から次々判明していく驚愕の真実の連打に打ちのめされました。ちょっと待て、いったいどういうこと!? あまりにいろいろとんでもなさすぎて、だけれども伏線は……きちんとあったのか!
思い込んでいた世界が次々崩れていくのには衝撃。そして少年と少女がそれぞれに抱えていた想いの切なさも印象的でした。真相は苦く残酷なのだけれど、それでもどこかしら温かく爽やかな読後感に救われます。
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無菌病棟に入院しているコノハとタケル。ある嵐の日、そこは通路を寸断され隔絶される。ここには死体と自分だけ…。著者の作品は現実味の薄いものが多いので今回も無菌病棟や病はクローズドサークルの一つのキーで、心に響く会話も伏線と思っての読み始めでした。しかし病気により断絶されることをリアルに知っている今、現実味がないどころか、彼らの状況がなんて切ないことなのか…。重なる違和感がするするとクリアになる伏線の回収とラストの展開は著者らしく見事です。でも読後感じるのは日記に残らなかった日々への哀しさと胸の痛みでした。