紙の本
金閣寺 新版 (新潮文庫)
著者 三島由紀夫 (著)
【読売文学賞小説賞(第8回)】吃音と醜い外貌に悩む学僧・溝口にとって、金閣は世界を超脱した美そのものだった。ならばなぜ、彼は憧れを焼いたのか? 金閣放火事件に材を取り、3...
金閣寺 新版 (新潮文庫)
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商品説明
【読売文学賞小説賞(第8回)】吃音と醜い外貌に悩む学僧・溝口にとって、金閣は世界を超脱した美そのものだった。ならばなぜ、彼は憧れを焼いたのか? 金閣放火事件に材を取り、31歳の三島由紀夫が自らの内面全てを託した不朽の名作。【「TRC MARC」の商品解説】
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紙の本
一人称
2021/05/05 03:07
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:バベル - この投稿者のレビュー一覧を見る
三島由紀夫作品の中で、仮面の告白とこの金閣寺が一人称で書かれているとのことだが、ものすごく引き込まれる。主人公が三島由紀夫にすら思えてくる。
紙の本
人間そして人生、この厄介にして迷えるもの
2022/04/09 17:59
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Haserumio - この投稿者のレビュー一覧を見る
長年にわたり、読まなきゃ読まなきゃと思い続けてきた本作をようやく読了。それにしても、素直に、これだけの日本語の遣い手はもう現れることはないだろうということを、強く実感。正に日本文学の一つの頂点(極北)ではないかと。
「いつかきっとお前を支配してやる。二度と私の邪魔をしに来ないように、いつかは必ずお前をわがものにしてやるぞ」(196頁)
「金閣を焼かなければならぬ」(243頁)
「『金閣を焼けば』と独言した。『その教育的効果はいちじるしいものがあるだろう。そのおかげで人は、類推による不滅が何の意味ももたないことを学ぶからだ。ただ単に持続してきた、五百五十年のあいだ鏡湖池畔に立ちつづけてきたということが、何の保証にもならぬことを学ぶからだ。われわれの生存がその上に乗っかっている自明の前提が、明日にも崩れるという不安を学ぶからだ』・・・ 私はこの行為によって、金閣の存在する世界を、金閣の存在しない世界へ押しめぐらすことになろう。世界の意味は確実に変わるだろう。」(246~8頁)
「僕は君に知らせたかったんだ。この世界を変貌させるものは認識だと。いいかね、他のものは何一つ世界を変えないのだ。認識だけが、世界を不変のまま、そのままの状態で、変貌させるんだ。認識の目から見れば、世界は永久に不変であり、そうして永久に変貌するんだ。それが何の役に立つかと君は言うだろう。だがこの生を耐えるために、人間は認識の武器を持ったのだと云おう。動物にはそんなものは要らない。動物には生を耐えるという意識なんかないからな。認識は生の耐えがたさがそのまま人間の武器になったものだが、それで以て耐えがたさは少しも軽減されない。それだけだ」(273頁、柏木の言葉)
「世界を変貌させるのは決して認識なんかじゃない ・・・ 世界を変貌させるのは行為なんだ。それだけしかない」(同頁、溝口の言葉)
「私の現実生活における行為は、人とはちがって、いつも想像の忠実な模倣に終る傾きがある。想像というのは適当ではない。むしろ私の源の記憶と云いかえるべきだ。人生でいずれ私が味わうことになるあらゆる体験は、最も輝やかしい形で、あらかじめ体験されているという感じを、私は拭うことができない。こうした肉の行為にしても、私は思い出せぬ時と場所で、(多分有為子と)、もっと烈しい、もっと身のしびれる官能の悦びをすでに味わっているような気がする。それがあらゆる快さの泉をなしていて、現実の快さは、そこから一掬の水を頒けてもらうにすぎないのである。」(290頁)
「鞘を払って、小刀の刃を舐めてみる。刃はたちまち曇り、舌には明確な冷たさの果てに、遠い甘みが感じられた。・・・ 私の肉が、いつかこの甘みの迸りに酔う日のことを、私は愉しく考えた。・・・ この世には苦痛は存在しないのだ。」(303頁)
「『私は行為の一歩手前まで準備したんだ』と私は呟いた。『行為そのものは完全に夢みられ、私がその夢を完全に生きた以上、この上行為する必要があるだろうか。もはやそれは無駄事ではあるまいか。柏木の言ったことはおそらく本当だ。世界を変えるのは行為ではなく認識だと彼は言った。そしてぎりぎりまで行為を模倣しようとする認識もあるのだ。私の認識はこの種のものだった。そして行為を本当に無効にするのもこの種の認識なのだ。・・・』」(323頁)
思えば、「金閣寺」という存在は、ある意味で人間がその思考や願望を投影する「スクリーン」であり、その意味では神の「沈黙」について描いた遠藤周作の『沈黙』とも通底する含意を本作から感じ取った評者です。
紙の本
障害ではなく弊害
2023/06/16 00:44
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:りく - この投稿者のレビュー一覧を見る
京都が空襲を受ければ世界で1番美しい金閣寺も、美という概念の外にいる気さえする自分も同じく朽ちる。
火によってのみ自分は金閣寺とも対等な存在になれるのだという極めて傲慢で自己中心的な考えによって放火は行われた。だがそこに至るまでの葛藤や吃音という障害とまではいかないグレーゾーンに生きる人の心がありありと伝わってきた。
彼がなぜ放火に至ったかわからないというレビューもあったので心配だったが読めば自然と理解できる流れになっている。慣れない言葉はあるがそこまで難しい小説ではないので高校生以上の全日本語話者にオススメする。
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私たち人間が逃れようのない「劣等感」や「美への憧れ」といった宿命や「戦後社会」が私たちにとって何だったのか
2022/02/01 11:48
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぴんさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
三島由紀夫「金閣寺」は、1950年7月に実際に起こった「金閣寺放火事件」を素材にして創作された、戦後文学の最高傑作とも称される作品です。戯曲化や映画化も果たし、今も、国内外で数多くの作家や研究者、クリエイターたちが言及し続けるなど、現代の私たちに「人間とは何か」「美とは何か」を問い続けています。
紙の本
金閣寺放火事件をベースに
2023/04/30 19:20
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:a - この投稿者のレビュー一覧を見る
水上勉とは放火の動機や過程がずいぶん違いますけれど、根底にある無邪気で傲慢なナルシシズムは共通してる感じです。
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ちょっと難解
2021/03/08 18:13
2人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:帛門臣昂 - この投稿者のレビュー一覧を見る
私の想像力が足りないのか、なぜこの話の流れで、かつここでそういうことを思うのか、という疑問の連続であった。常人には理解し得ない天才の文章とでも言おうか。
しかし、三島の美しい文章と、各場面の新鮮さは素直に楽しめる。
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吃音癖をバカにされ続けた青年
2023/07/29 06:39
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
溝口の鬱屈とした想いが伝わってきます。戦争を背景に世の中が醜くなる中で、一層の輝きを増していく金閣寺が無気味でした。
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三島由紀夫31歳 やはり天才か
2023/07/17 20:16
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Ottoさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
金閣寺が焼失したのが1950年7月1日、そして三島が自決したのが1970年11月25日。
50年が経過し三島に関する文書を目にする。NHK「100分で名著」に取り上げれらたので「仮面の告白」に続き読んでみた。金閣寺は三島が31歳ごろの作品で、主人公の学僧は、とっさに言葉が出にくいというハンディキャップを持ち、戦争を生き残ってしまったという三島自身のコンプレックスが投影されている(100分での平野啓一の解説)らしい。
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美への憧れ
2023/01/08 17:42
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:やっち - この投稿者のレビュー一覧を見る
狂気に満ちた美への憧れ。その美の象徴である金閣寺を焼き払わなければという危機感にも似た強い感情。切羽詰まった狂わしい思いに突き動かされて放火する様。これほど熱い感情を現代人は持つ事があるのでしょうか?
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コンプレックス
2022/10/29 23:48
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ho - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公がコンプレックスを抱え込みながら人生を過ごし、最終的に主人公が異常なまでに執着心を抱いていた金閣を放火するのだが、よく人間が各々のコンプレックスが引き金となり大きな犯罪などを犯すのかと考えさせられる。
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なぜ 青年のこころは 金閣寺を焼こうと思ったのか
2021/10/05 22:49
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:伊達直人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
青年は 戦争が終って 金閣寺の住職になることを望み
修行するが 老子により 「住職にする気はない」
といわれる だからか 寺を 出奔し 日本海の荒波を見ている間に
金閣寺を焼き付くしかないと おもい始める
ちょっと 気がふれた青年かもしれない
女性の肌が 昇華して 金閣寺にみえたりする
かりに 女性の肌が 白く輝く 女にみえたら
金閣寺放火はなかったかもしれない
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金閣寺
2021/06/16 10:20
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:S - この投稿者のレビュー一覧を見る
三島由紀夫の思考と言語力の波に溺れそうになりながらも、読破
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☆金閣寺☆
2023/05/14 12:02
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ACE - この投稿者のレビュー一覧を見る
『金閣寺』は、昭和31年(1956年)に発表された三島由紀夫の長編小説である。
金閣寺の美に憑りつかれた学僧がそれに放火するまでの経緯を、一人称告白体の形で綴ってゆく物語である。
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よくわからなかった
2022/01/16 17:01
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:makiko - この投稿者のレビュー一覧を見る
吃音のある青年僧が幼い頃から金閣寺に放火するまでを振り返って語る内容。金閣寺を究極の美と捉えていて、その美を自らの手で葬り去ることにより何かを達成できると思っていたということなのか?金閣寺の放火事件を知らない人にとっては、最初から読んでいても何のことかサッパリわからない小説だと思います。事件を知っていても、小難しくてよくわからなかったです。教養の一環だと思って読みましたが、楽しくはない作品でした。