紙の本
『教室に並んだ背表紙』
2021/01/30 20:43
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投稿者:百書繚乱 - この投稿者のレビュー一覧を見る
“陰キャ”と笑われて図書室で過ごすあお
──「その背に指を伸ばして」
大きらいな読書感想文をずるをして書こうとしているあかね
──「やさしいわたしの綴りかた」
アニメのキャラにしか興味が持てない萌香
──「花布の咲くころ」
学校生活に息苦しさを感じている少女たちが、図書室を舞台に学校司書との交流を通して変わっていくきっかけをつかむ姿を描いた6つの連作短編集
各編とも主人公は同じ学校の中学2年生
登場人物がモザイクのように交錯し、学校司書の“しおり先生”が彼女たちをつないでいく構成に感嘆
「自分の思った通りに書かれている本なんて、どこにもないのよ。自分に合わないだなんて読む前から決めつけて、ページを捲ることをしないのはもったいないじゃない」
「読書をして、心を動かされて、感動をして……。そうすることで積み重なった優しさは、また他の誰かを優しい気持ちにしてくれると思う」
「同じものを好きになって、感想を語り合うときって、本当に幸せな時間なんだよ。この広い世界で、同じ感性が巡り合うの。それも、読書の醍醐味だよね」
《随所にちりばめられた救いの言葉と再び出会えるように。》──大友花恋の推薦文
5編は初出「小説すばる」、巻末の表題作は書き下ろし、2020年12月刊
紙の本
相沢沙呼の最高傑作
2020/12/09 12:25
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投稿者:かき - この投稿者のレビュー一覧を見る
読者をアッと唸らせた、medium霊媒探偵城塚翡翠の作家さん。
今作は、中学校の図書室を舞台にしたお話。思春期の女子中学生の友人関係や生きづらさを見事に表現している。
ミステリー好きには堪らない仕掛けも少しあり。
最終話は読んでいて涙が止まらなかった。
本っていいなと改めて思う一冊。
紙の本
悩む年頃
2022/01/13 18:51
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投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
中学校の図書館に学校司書として赴任してきた「しおり先生」と悩める中学生たちの優しいお話です。
教室に居場所がない子、居場所を失った子、なじめない子たちがしおり先生に紹介してもらった本を通して少しずつ勇気を貰ったり、自分を少しだけ好きになれたりしていきます。
途中、叙述トリックについて触りがあったので「まさか、しおり先生って実在してない?」とか疑ったけど・・・。
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中学生の女の子の、自分の事しか見えなくて居場所や存在に不安を抱える気持ち、大人になると、踏み出せば変わると気づくけど、その時は怖くてできないのだろうな。そんな女の子達にふんわり関わる学校司書のしおり先生。意地悪な子に加勢するかのようなクラスの人や頭のかたい担任や理解のない親に違和感があるが、1人でも「ここにいていいよ」と言ってくれる人がいて良かったかな。ここまで生徒に関われるほど、学校司書の立場は学校の中では重くないのが現実ですよーー(笑)
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中学校の図書室を逃げ場とする生徒と司書の先生の触れ合いや使われていない図書室で、本にはさみこまれていた謎の手紙のエピソード、読みたい本の情報を書いて調べる「おすすめノート」など興味深かった。本と図書館を愛する人に読んでもらいたい感動作です。
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新刊の告知を目にしてビビビッときて、次女あたりが好きそうなジャンルだと思ったので本人にも聞いてみたら案の定読んでみたいというので購入してみた。
とある中学校の図書室にいれかわりたちかわり訪れる生徒が順に主人公になる6つの連作短編。もともと騒がしいのが苦手で本が友達という子もいれば、本など読まないけど教室の居場所を失って逃げ込む子もあり。助けを求めてくるわけじゃない、図書館や本が助けてもらえるところだなんて知らずにいる子も多い。いまどきな話し言葉や抱える不安に自分を重ねて共感できる女子中学生も多そう。全編を通してちょっとした謎解き要素もあって、後半は読み終えた章を何度も読み返してしまった。作品中でキーとなる短編集は、おそらく架空のものなのだろうと思うけれど、実際に「恋愛も部活も友情もでてこない中学生の物語」でおすすめできるのってなにがあるのかちゃんと考えてみたい。
現実は物語のようにはうまくいかないことにもやもやして物語が楽しめないという中学生が作中に何人かでてくるが、せめて、現実の学校の図書室はしおり先生がいて自分からSOSを出せないような子をさりげなく見守ってくれているこういう場所であってほしいと願わずにいられない。願わくば、こういう物語に陽キャで本好きな女の子や、いろんな男の子ももっとでてくるといいんだけどな…。
あなたには図書室という居場所もあるよという物語でもあり、ともだちには意外な一面や秘めた一面があるかもしれないよ、という意味では森絵都『クラスメイツ』などと並べておきたい。
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中学校の図書室を舞台にした連作。
それぞれ異なる悩みや思いを抱えているだけでなく、中には本好きでない子さえいる。けれど図書室という空間と司書のしおり先生が各々に優しく寄り添い、物語が明日へ導いてくれる。その明日が今よりも明るいかもしれないと希望を持たせてくれる、前向きなお話だった。
最後のちょっとした仕掛けにもまんまとやられ、なるほどそういうことだったのかと直ぐに読み返したくなる面白さもあり。本好きの私にとってしおり先生の紡ぐ言葉がどれもすっと心に染み込んできたり。
人はこうして、いくつ歳を重ねても、物語の中の登場人物に救われたり、想いを馳せたり、温かい涙を流せたりする。物語はやっぱり、私たちをどこへでもどこまでも連れて行ってくれるんだ。
2021.5.1 読了
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本なんて嫌い。
読むのが大変で時間を取られるだけだし、何の役にも立たないでしょ。
と思っていた学生達が、物語を読むことでそこに救いや何かを見出していく。
若い学生達にこそ読んで欲しい1冊。
確かに物語は作り物だけど、その本を読むことで体験した経験や気持ちは嘘偽りない自分の『体験』だと自分も思う。
めちゃくちゃに落ち込んでいたり、苦しい時に助けてくれたのも本。
同じ本が好きだけで一気に距離を縮めてくれるのも本。
時間も取られるし、読むのが大変な時もあるけどやっぱり本っていいよなぁ…
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主人公たちは中学生。舞台は中学校の図書館。もう一人の主人公は「図書館司書の先生」
もう、この設定だけで心惹かれる。ついこの間までランドセルを背負っていた中学生たち。少し先には高校生活が待っていて、でもまだいろんな意味で幼さの残る頃。
だけど、彼女たちなりに今、ここ、そしてこれからについて悩んでいる。そんないろんな悩みに寄り添うのが図書館の本でありそこにいる司書の先生であり、っていい話だ、しみじみとしみる…と思って連作短編として読んできての!きての!そうきたかっ!
大急ぎで最後まで読んで、そく最初に戻る。あぁ、そうだったのかとニヤリ。
精いっぱい生きている中学生にほろりとした心は、相沢沙呼の手のひらの上で転がされていたわけだ。やられたね。
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高校の図書室を舞台に何かしらの悩みを抱えた女子高生たちが、「読書」をテーマに前に一歩踏み出そうともがきながらも頑張っている姿に応援したくなる作品でした。
全6編の連作短編集ですが、時系列は順序よくではなく、バラバラです。シーンによっては、最初はAの視点だったのが、後にBの視点となって、同じシーンが描かれるというのもありました。
全てのエピソードで共通しているのは、図書室です。どっちかというと「陰」の存在の場所というイメージがありますが、ここでは悩める子羊達の癒しの場所みたいな表現で明るめな存在になっています。
読書感想文や課題図書など懐かしい言葉が登場し、高校時代の思い出が甦りました。
当時は読書は好きでしたが、感想を書くことが嫌いでしたので、今こうして書いていることが不思議に感じます。
この作品での魅力は、なんといっても、「しおり先生」の存在でした。図書室に行けば、何か助けてくれる先生。
各エピソードに登場する主人公が、先生を通して、前向きに頑張ろうとする姿に変わっていくので、こんな先生に会いたかったなと思ってしまいました。
マウンティングやキラキラネームといった現代的な問題が女子高生の心を抉っていく描写は、読んでいて辛かったですし、加害者に怒りを感じました。
被害者側としては、ずーっと逃げるのではなく、勇気を持って、「声を出す」ことを怖がらない。
最後の章では、そういったシーンがあるのですが、ジーンと心に響きました。ぜひ悩みを抱えている人に読んでほしいなと思いました。
これで終わりかなと思いきや、最後にちょっとした驚きの真実があり、「えっ?」と戸惑いました。
なるほど‼︎そう考えると、また最初に戻って読んでみたくなりました。該当する章を読むと、また違った味わい方が生まれたので、面白かったです。
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図書室を舞台に、少女たちが友だちとの関係や自分の居場所を探して悩みながら少しずつ成長していく連作短編集。
司書のしおり先生が素敵。先生の言葉は温かくて、自分はこのままでいいんだと安心させてくれる。
心がじんわり優しい気持ちで満たされる1冊でした♪
*「やさしいわたしの綴りかた」
*「煌めきのしずくをかぶせる」
*「教室に並んだ背表紙」
読書感想文の話、漫画家とネイルアーティスト志望の少女のお話が特に好きでした。
表題作も良かった。
本好きの一人としてしおり先生の言葉に「うんうん」ってなったし、心に響いてくるフレーズがいっぱいあって何度もじーんときた。
現役の中高生に特に読んで欲しい。それ以外の人にもお薦めの1冊です♪
『たとえ架空の中であっても、そこに一人の生きている人間を見出すことができるの。誰かを慮って、心を動かし、考えることができる。その感性は誰もが持っているものじゃない、とても得がたいものなんだと思うよ』
『わたしたちは物語を通して、そこに生きる人たちと出会うことができる。その言葉と優しさは、きっと本物だよ。実際に誰かと出会うことができなくても、物語に込められた願いは、きっとあなたを救ってくれる』
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きっと 誰もが感じたことのある気持ち
思い出して 心のささくれに胸が痛む 切なくて苦い幼い頃の自分
しおり先生の 生徒たちとの関わり方が 押し付けではない優しさで素敵だと思った
そして さりげなく本との橋渡しをし 読書の素晴らしさを気付かせてくれる
私も自分の好きな本を こんな風に 大切な人へ伝えることが出来たらいいな
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教室に並んだ背表紙
著作者:相沢沙呼
発行者:集英社
タイムライン
http://booklog.jp/timeline/users/collabo39698
偶然クラスメイトが捨てた下書きを見つけてそれを利用しようとするが、
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学校司書も公立では掛け持ちが多いので、司書目線で読むとうらやましいことも。
私も夏休み前や読書週間中はオススメコーナーを作って、そこから借りられるとうれしかったことを思い出しました。感想は聞かないし、聞かれるのも苦手ですが。
今は大人になったので、「周りなんて気にしないで」生きることが可能ですが、小学校から高校まで、話や行動を合わせたり、誰かの機嫌を取ったり、「空気を読む」ことが要求されるのは苦しいと思います。
給食の頃はともかく、お弁当になると食べる相手がいることが大切で、コロナ禍の黙食は、かえって良かった面もあるようです。
司書さんが「しおり先生」とひらがなの訳、2話目だけ「しおり先生」でなく「塚本詩織先生」だった訳が最後でわかってグッときました。
名前の悩みや母子関係の悩みもあり、それぞれの気持ちの変化もよかった。
中高生におすすめ。
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初めて読む作家さん。サイン本
中学校の学校図書室が舞台。
スクールカーストや窮屈で繊細で多感な年頃の時期。
図書室で、司書と出会い、本を少しでも身近に感じていくことから、みんな、少しずつ顔を上げていく気がした。
図書室を扱っているけど、具体的な本の名前は出てこない。
でも、作中に出てくる本はもしかしたら、この本のこと自体を指しているのかもしれないと思った。
読み終わり時間がすぎるにつれてじわじわ胸をうつ。