紙の本
爽やかな大人の青春小説
2023/12/13 12:38
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投稿者:kochimi - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルはホラーっぽいですが、
爽やかな大人の青春小説でした。
かすみさんが人並み以上の苦労を重ねても
心の柔らかな部分を保てたのは、
あの出会いがあったからなのかな、という気がします。
色々あって再会した2人、
今度は一緒に乗り越えていけるといいですね。
紙の本
さわやかな読後感
2021/02/24 22:14
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投稿者:暴れ熊 - この投稿者のレビュー一覧を見る
【ネタバレ注意】
読後感がとても爽やかな小説だった。
細やかな人間の心理もよく描かれていると思った。(特に本間の心理。)
本間とよう子の二人の語り手がそれぞれの立場から物語を紡いでいく。
劇中劇のように、小説の中で小説が書かれているが、その小説がまたすばらしく、それだけで泣けてくる。
ただ、一点、友美という女が本当はどういう女だったのか、よう子が思ったように「息を吐くようにうそをつく」女だったのか、その点は最後まで解明されないままで、少しもやっとした。
ただ、友美がどんな女であろうと、物語の大筋に関係ないといえば関係ないのだが。
タイトルの「ぼくもだよ。」という言葉は、要所要所で(三箇所)出てきて、大きな役割を果たしている。
うまいなあ、と思った。
タイトルも含めて、いい小説だったと思う。
紙の本
目に見えない大切なもの
2021/02/18 03:13
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投稿者:くみみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
盲目の書評家よう子、孤独に抗う古書店主の本間、書物を愛する人々の深い想いを詰めた壮大なモラトリアムの延長戦。現代社会で本を商い続ける切迫感、脆く儚い恋慕、すべてが痛いほど目に見えて自然と心を重ねた。点字本やデイジー図書、見えないまたは見えにくい事がもたらす日常生活の些細な出来事にも驚かされる事が多く、とても勉強になった。タイトルの意味を知った時、ロマンチックで泣きたくなった。忘れられず後を引く作品
紙の本
今年読んだ本の中で一番好きと思える一冊
2021/02/16 06:12
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投稿者:GORI - この投稿者のレビュー一覧を見る
神楽坂を舞台に暖かで、寂しくて、そして喜びに満ちた想いが溢れていて、読んでいてしあわせな気持ちになりました。
視覚障害をもつ書評家のよう子。
出版社の希子に励まされながら書き続け自信を深めていく。
もう一人の主人公は古本屋を営むバツイチの本間さん。
楽しみは5歳の息子と会える週一回の面談日。
そんな二人が神楽坂で悩み、苦しみながら生きている。
本間さんの古本屋は本が売れなくて、もう廃業しようと考えている時、常連客だった希子から出版社との提携を打診される。
いろいろアイデアを出し合って、少しずつやれそうな感触を掴んでいく。
一方よう子もエッセイ、短編小説と少しずつ物語を書き自身を深めていく。
自分の一番の思い出を小説として書きながら、自分を見つめなす。
ここまで読むと読者は何となく二人の関係が想像できて、ますます先が読みたくなる。
遂に二人が神楽坂で出会った。
今まで別々の道を、同じ想いを持ちながら歩んできた二人出会いも二人の思い出も最高!
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神楽坂で盲導犬アンと暮らす書評家の竹宮よう子。人は食べたものと、読んだもので出来ている、と言うのが竹宮よう子の信念である。
本間は、神楽坂の路地裏で古本屋を営む。古本屋の主人になるためにはどんな能力が必要かという問に、店のオーナーとして、一冊ずつの根づけの理由について説明できないといけないと言う。
本間が”ちくま文庫の女”と名付けた七瀬希子は神楽坂にあるS社に勤める(新潮社を彷彿させるのだが)。
希子は竹宮よう子に書評家としての才能を見いだし、さらにエッセイスト、小説家の才も発掘しようとする。
希子は店を畳もうとする本間にコラボ企画を持ち込む。
本にまつわるよう子と本間の物語を希子が結びつけ物語は意外な方向に展開します。
本と食べ物(神楽坂のグルメ店をが実名で次々と登場)が物語を彩る。
神楽坂を舞台に、挫折した人生を見つめ直し再生させていくお話しである。
木曜日の奇跡は読んでのお楽しみにしておきましょう。
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本が好きで好きで仕方がない、という著者の思いが伝わってくる小説だった。
4ページ目の「人は食べたものと、読んだもので出来ている(中略)人はからだの中に海を持っているというが、それは水塩比率のことだけではない。言葉の海でもあるのだ」で、早くも心を掴まれた。自分のなかにどれほどの言葉の海があるのだろうか、と。(最近、ちょうど自分の語彙力に疑問を感じていたのでなおさら。)
そして本間の「ちくま文庫が好きな女に悪い女はいない。」には思わず笑ってしまった。なんだか分かる気はするけれども(笑)でもこんな考えを持つ本間は好きだ。
よう子の「いつか見えなくなる」という事実を抱えながら生きていた時というのは、どれだけの恐怖と不安だっただろう。まして本好きであるなら。私も失明は幾度も想像したことはあるが、視力を失ってもよう子のように本を好きでい続けられるだろうか。よう子が本好きのままでいられたのには、木曜日の本間とのリーディングタイムの存在が大きいんだろう。
それだけ好きな人と同じ本を楽しめる時間って特別だ。それは恋愛に限らず、子どもに読み聞かせをしている時でも。五歳のふうちゃんに読み聞かせる本としては渋い『十五少年漂流記』と『星の王子さま』をチョイスしているのも、きっと本間自身が大好きだからなんだろう。だからこそ、ふうちゃんにその本を知ってほしい、一緒に楽しみたいんだろう。ものすごく共感する。
73ページの「よう子さんは(中略)『人はなんで本を読むんだろう』とか、『本のある人生って豊かかも』という所まで人を連れて行ける。」という希子の台詞も刺さった。本間の古本屋も、そういう存在になり得るのだろう。よう子と二人三脚でならなおさら、希子と近藤も合わせた四人五脚ならもっと。
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「人は食べたものと、読んだもので出来ている」とは、書評家、竹宮よう子の信念。彼女は神楽坂に盲導犬と住んでいる。出版社の担当、希子と隔週の木曜日に打ち合わせを兼ねたランチをする。よう子の才能を確信する希子に、短編集を書いてみないかと勧められる。
そこで、小学校から高校にかけての体験を書くことに。
一方、神楽坂で古書店を営む本間。妻と離婚しているが、5歳になる息子ふうちゃんと、毎週木曜日に会えるのを楽しみにしている。
そんな彼の古本屋によくやってくる女性は、ちくま文庫をよく買う。
よう子、本間、ちくま文庫をよく買う女性。何の繋がりもないように見えた3人が、実は不思議な縁で結ばれていた。
本が好きな人には、「そうそう、だから本っていいのよね」と思えるのではないでしょうか。
そんな、本に関することだけではなくて、もう一つのことも、この本では描かれているのではないだろうか。
それは、「赦し」ということ。そして、そこから始まる「奇跡」。
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小川糸の「とわの庭」と同じ様に、母親から虐待された少女時代を語る姿にやるせない気持ちに。「ぼくもだよ」と発言したのはあの人とこの人。伏線にドッキリした。まさかそうつながるとは!
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神楽坂、と聞いて真っ先に思い浮かぶのが某出版社。地方在住なので街自体の雰囲気などはよくわからないけど、「神楽坂スタイル」というものがあるらしい。ふむふむ、なるほど。
バツイチ古本屋店主と盲目の書評家。まったくつながりのない二人。共通するのは「本」か。
そんな二人のそれぞれの物語を読むうちに、すこしずつ見えてくる過去。
いいねぇ。こういう物語は好きだ。
ゆっくりと過ぎていく時間。でも、ゆっくりとのんびりとしている余裕はない。タイムリミットまでのカウントダウンは容赦ない。
それぞれに見える真実、見えなかった事実。大切なものは目に見えない。そう、見えないからこそ大切にしなきゃいけないんだ。
センチメンタル過ぎない、変にあおらない描写がさらさらと流れてきて心地いい。
「ぼくもだよ」という言葉が温かく心にしみる。
本に救われる人がいるかぎり、本を作り、本を手渡す人はいなくならない。私もその世界の中にずっといたい、そう思った。
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『ぼくもだよ』
っていう言葉が、とても心地よいく、
こんなに素敵な言葉なんだって、
思えるストーリーでした。
最初は何気なくモクモク読んでいたら、
えっ?そういうことだったのかーっ!
ってことが次々にでてくる展開が、
とても面白かった。
そして、
ようこ(かすみ)と風間くん(本間)の青春が、
微笑ましくて清々しくて、
それでいて切なくて、話がとても爽やか。
40歳になる二人が再会して、
最後、本間のお店のベンチで、
再び朗読する本間とそれを聞くかすみの姿、
本間の「ぼくもだよ」っていう言葉に、
爽やかな気分になりつつ胸が高なり、
そしてちょっぴり感動しました。
また、本には、
著者やいろんな人の思いがつまっていること、
その本を読むことがどんなに貴重なことか、
改めて感じました。
素敵な物語でした。
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ふと気になって手に取った1冊。
「今年一番の感動作!」という帯にも惹かれて。
初めて平岡氏の本を読んだけれど、何と読みやすい!
今年読んだ本の中でも1、2を争う程スラスラと読みやすく容易にストーリーに引き込まれた。
どこにでもある内容ではないし、主人公の二人の背景が共感できるものではないにも関わらず夢中で読んだ。
そして、読みながらも本を扱うということや、盲目であることはどういうことか等の理解にも繋がり新たな世界を見せてくれる。
ラストに向かってワクワクと楽しく読ませて頂いた。
続編見たいな~~~!
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前評判がいい割に、「ぼくもだよ。」ってタイトルはどうなのよという思いがありました。しかし読み始めると一気読んでしまいました。一気と書いたが、読んでいる間はゆったりと本と向き合うことのできる贅沢な時間だったよう思います。
「邂逅」なんて言葉、あまり考えたことはないけれど、こういうことなんじゃないか?そんなことをふと思ってしまいました。
「藍を建てる」素敵な言葉だし、素敵な作品。私も是非手に取ってみたい。
そして、この作品はそのうち、映像作品になるだろうなと思います。映画が良いかな~、個人的には日本ではなくてアジアのどこかの国(できれば台湾)で映画化してほしい感じ。カザマ君と竹宮の青春の一ページを「藍色夏恋」風に描いてほしい。妄想ながら、我ながら良い妄想かなと(笑)
最初はピンと来なかった「ぼくもだよ。」に涙する心温まる素敵な物語。
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ぼくもだよと木曜日。思い出のキーワードだったんですね。希子さんのポジティブなオーラが文章からも伝わってくるのがいいなと思いました。
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盲目の書評家よう子は、担当者にエッセイを書くことを勧められ、自分の過去を書き下ろすことになる。一方で神楽坂で古書店を営む本間はバツイチで週一度息子と会うのを楽しみにしている…。今回彼女が過去と向き合う過程でエンパスについて初めて詳しく知ったが、とても勉強になった。本間の息子と離れることへの葛藤も痛いほどわかる。交互に語られた二人の話が絡み、題名の、そして副題の意味することが明らかになったとき思わずため息が出た。ラストシーンに思わず頬が緩む。神楽坂の町並みにぴったりの優しくて温かいお話だった。
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青春と 幼い恋
現実と これからの未来
さわやかで 少し切ないけれど優しくて明るい気持ちにさせてくれるお話