紙の本
わかりやすく面白い
2021/06/12 18:37
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kimonomatu - この投稿者のレビュー一覧を見る
オートファジーの世界的な権威の先生がご自分の研究を一般の人向けに本当にわかりやすく書いた本です。一般の人も科学的な思考を身に着けることが社会のためになると考えていらっしゃるからです。私は「相関関係と因果関係は違う。だまされてはいけない」ということがわかっただけでも良かったと思います。随所に書かれているこぼれ話もとても楽しく読めました。
紙の本
科学のとらえ方
2022/09/04 00:33
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:募集要項難読且理解 - この投稿者のレビュー一覧を見る
語句を覚えるのではなく生命体としてのシステムについて考察していて興味深かった。
紙の本
わかりやすい。みんな読もう。
2021/06/26 22:25
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ら君 - この投稿者のレビュー一覧を見る
とてもわかりやすい。一章ごとにテーマがあって、時間を見つけて少しずつ読み進められる。一章読むごとに賢くなった気分になれるのも良かった。
投稿元:
レビューを見る
オートファジーが長生き&アンチエイジングに深く関係していることがよくわかりました。
それだけでなく、あやしいエセ科学を見破る目も養われた気がします。
投稿元:
レビューを見る
すごい読みやすく分かりやすかった。最初の方の、科学的な見方考え方とかの話は、本のテーマからすると迂遠ではと一瞬思ったけど、やはり理解の土台としてあって良かった。
投稿元:
レビューを見る
【はじめに】
著者は、細胞老化研究でも非常に注目されているオートファジーの研究者。ノーベル賞を受賞した大隅さんの弟子筋に当たり、哺乳類の細胞でのオートファジーの研究で知られている。世界で初めてオートファジーの「動き」を撮影したのも著者たちのグループだそうだ。
その著者いわく、「生命科学は現代人にとって必須の教養になりつつある」という。
そして、生命の基本は細胞であり、細胞を知ることで、人間の体の働き、遺伝、病気などが理解できるようになるとのこと。人間も、他の哺乳類どころか酵母や細菌も、基本である細胞の仕組みはほとんど同じである。37兆個の細胞からなる人間を知るためには、細胞のことを知らないといけない。著者が専門とするオートファジーは、細胞の機能の中でも老化や病気に深く関わるものであり、そうであるがゆえに大いに注目を集めているのである。なにせ、老化こそが飢餓、疫病、戦争を克服した人類が次に挑むべき敵(的(まと))であるのだから。
『LIFE SCIENCE』というタイトルと装丁は、先行したベストセラー『LIFE SHIFT』や『LIFE SPAN』に合わせにいった感があるが、中身は極めて真っ当で「必須の教養」たる生命科学の勉強になる本である。
【概要】
本の筋立てとしては、まずは科学的思考の重要性から入るが、その準備運動を経た後の最初のメインが「細胞とは何か」である。何ごとも複雑なものには階層構造が存在し、ここでタンパク質、オルガネラ(細胞小器官)、細胞という階層構造について明晰な理解が必要だと説いている。特にオルガネラという聞きなれない言葉で示されるものが理解の鍵になる。
「生命の特徴はこうした階層制と、動的平衡にあります」 ―― 著者はこのように言う。動的平衡は福岡伸一氏の著作で一躍有名になったが、オートファジーはこの生命の動的平衡の中で重要な役割を果たしている。
著者はオートファジーのことを、「細胞が自分の力で新品にする機能」と表現する。古くなった細胞の成分を回収し、それをもとに新しい細胞を組立てるのだ。毎日食事で供給する物質以外にもこういった形で体細胞は作られていく。
生き物はなぜ死ぬのか ―― 答えは、すべての命は死ぬべく定められているから ―― では全くない。生き物は本来死なないようにできているという。実際、ベニクラゲというクラゲは死なない。
リチャード・ファインマンは次のように語ったという。
「生体のふるまいを調べても、死が避けがたいことを示すものはまだ何一つ見つかっていない。だとすれば死とは少しも必然ではなく、この厄介事の原因を生物学者が発見するのも時間の問題と思われる」
生き物はなぜ死ぬのかの答えは、おそらくは「多くの生き物は進化の過程で死んだ方が有利だったのではないか」という。つまり、生き物は「わざわざ」老化しているのだ。そして、それが進化の帰結だとすれば遺伝子にその仕組みが刻み込まれているということだ。だからこそ、その仕組みを見つけることが、多くの科学者の目標になっている。
それとともにオートファジーが着目されている���由の中のひとつが、免疫機構と関係しているからだ。免疫機構は細胞の新陳代謝の仕組みを使い回してできたものである。また、オートファジーがタンパク質の塊の除去にも働いていることからアルツハイマー病などの神経変性疾患にも関係しているのでは、とも言われている。最新のアルツハイマー病治療薬が免疫機構を活用したものだということだったが、いろいろと関係しているのかもしれない。
【寿命を延ばすために】
この本でも『LIFE SPAN』のように老化を遅らせたり、防止したりするための処方箋が記載されている。ここは外せないところなので、順番に見ていきたい。
① カロリー制限: 『LIFE SPAN』で紹介されたものと同じである。かなり多くのところで紹介されるようになっているらしく、最近かみさんが16時間の断食がいいらしいと言ってきたので驚いた。
②インスリンシグナルの抑制: こちらも『LIFE SPAN』で出てきた糖尿病治療薬メトホルミンの話である。AMPK活性の話でもある。
③TORシグナルの抑制: こちらも『LIFE SPAN』でも出てきていた。イースター島の土壌から見つかったというラパマイシン(mTOR阻害薬)を飲むといいという話だ。
④生殖細胞の除去: この話は『LIFE SPAN』にはなかったと思う。宦官は長生きしたということだろうか。
⑤ミトコンドリアの抑制: こちら何か副作用もありそうですが、効果があると言われているという。
①~⑤の話はすべてオートファジーの活性化につながる話なので、著者は「オートファジーが要かも」と言うのである。上記で『LIFE SPAN』にあったかどうかということを記したが、著者も『LIFE SPAN』のシンクレア教授のことは意識をしていて、老化の統合理論であるとする「老化の情報理論」に夢中でオートファージの階層まで注意が向いていないのではとしている。この辺り静かな対抗意識が見えて面白い。
著者はさらに、自分が見つけた「ルビコン」という物質について着目する。ルビコンが増えることでオートファジーの動きが悪くなることがわかっている上に、ルビコンは加齢によって細胞内で急にその量を増やしているという。オートファジーの活性化が老化防止の鍵であるなら、このルビコンの量が増えるのを抑制するか、増えた量を下げることで目的を果たすことができるのではというのが著者の考えだ。
その方法として納豆やキノコに含まれるスペルミジンや、ワインに含まれるレスベラトール(こちらは『LIFE SPAN』にも出てきた)の摂取も効くかもしれないという。
で、結局まとめると「腹八分で、運動する。脂っこい食事を避ける」ということなのでちょっとがっかり。
【所感】
オートファジーの研究は、大隅先生が先鞭を付けただけあって、世界でも日本の研究が進んでいるという。しかしながら、ビジネスの段になるといつも後れを取るらしい。著者もこれまでビジネスには疎く、例えば特許の取得も怠ってきたという。それではいけないとして、最近オートファジーのベンチャー企業を立ち上げたという。
著者の力の入れ方を読むと、老化防止研究もかなり進んでいると感じることができるし、何よりベンチャーを設立したということはお金が集まったということに他ならない。今後、急速な研究の進展を切に期待するもの���ある。また、少しオートファジー関連の本を読んでみようかなと、思った。『LIFE SPAN』を読み切って、面白いと感じた人ならば、文句なくお奨め。
----
『LIFE SPAN: 老いなき世界』(デビッドA・・シンクレア)のレビュー
https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4492046747
投稿元:
レビューを見る
「ゲノム解析は「私」の世界をどう変えるのか?」に続いて、
ライフサイエンス系で読みやすそうなものをチョイス。
こちらも面白いです。
※ゲノム解析は「私」の世界をどう変えるのか?
https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4799321676#comment
著者は大阪大学の教授なのですが、
大学の先生って難しいことを難しくしか言えない人のイメージがありましたが、
この人は珍しく当てはまらないようです。
とても分かりやすい。これは素人でも読める本です。
大昔、生物のクラスで「こんなこと勉強したな~」と
思いながら、読んでいました。
後半からは、オートファージというほとんど聞いたことのない著者の研究の話に移っていき、
レベルもそれなりに上がっていくのですが、
著者の分かりやすい口調(文調?)のお陰で何とか読み進めることができました。
文系の人でも全然イケると思います。
色々ホットな分野である生命科学を学んでみようと思っている人にとっては、
とてもおススメな一冊です。
投稿元:
レビューを見る
<目次>
第1章 科学的思考を身につける
第2章 細胞がわかれば生命の基本がわかる
第3章 病気について
第4章 細胞の未来であるオートファジーを知ろう
第5章 寿命を延ばすために何をすればいいか
<内容>
生物の教科書のような本。第1章、2章は基本を、第3章はそこからわかってきた病気のカラクリ、第4章、5章は著者の本職である「オートファジー」の研究内容を、わかりやすい語り口でまとめている。まず、一項目の短いものが多い。中学生でもわかる説明の仕方。すばらしい!
投稿元:
レビューを見る
生命とはなにか?細胞とはなにか?細胞の中の詳細説明の基礎を優しく説明してくれた上で、ノーベル賞を受賞したオートファジーはどんな働きのことで、これからどんな研究に発展していくのかがわかる本。面白くて一気に読み終えた。
投稿元:
レビューを見る
文章がとても平易でわかりやすいのでおすすめです。
相関と因果は、科学的な思考において重要。
世の中本当に、ただの相関関係でこじつけの様に断定している事が多すぎると常日頃感じていたので、吉森先生が文章にしている事で自信がもてた。
最後の方の、オートファジーの活性化にあたっての生活の上でのポイント。取り入れたいのは納豆だったりワインだったり、運動だったり。割と今まで体に良いと言われてきているものなので受け入れやすい。また、油はあまり良くない。
意外だったのが、3食きちんと食べるよりも1食抜く、あるいは1食はカロリーを抑えるということ。
飢餓状態がオートファジーの活性化に効果があるらしい。
ゆく川の流れは絶えずしてしかももとの水にあらず
方丈記の引用があったがまさにそうで、こんなふうに読んだ本の感想を書いている今でも、細胞レベルでは一瞬前の私とは僅かに違う自分に常に入れ替わっているんだなと。いやー奥深い。
投稿元:
レビューを見る
科学的思考の話は初歩的だけど興味深かった。あとは細胞の基本構造やオートファジーあたりが参考になった。
投稿元:
レビューを見る
生命科学研究者によるる寿命や遺伝子、オートファジーなど盛沢山の内容。
専門分野の話というのは素人にはとっつきにくい内容になってしまいがちなのだが、我々の日常に関わる例をあげながら説明してくれるのでとてもわかりやすいです。
特に著者の専門分野であるオートファジーの話はすごく興味深い。
ルビコンが人間の健康寿命を伸ばす鍵になるかもしれないという話はすごくワクワクしますね。
これからもこういった専門分野の内容を一般向けの本で解説してくれるという橋渡しの役割に期待します。
とても面白い内容でした。
投稿元:
レビューを見る
コロナもあってなんとなく手に取った1冊。大当たり。細胞についての本を読むのは初めてだったけれど、とても分かりやすく、生命の複雑さ、合理的さ、凄さに感動した。老化を遅らせる可能性が高いオートファジーを発見した吉森先生、これからもますます頑張ってください!
投稿元:
レビューを見る
科学は、本当に正しいかはわからない、が前提。
断定する人は科学的にはあやしい。
真実に近い仮説。
相関関係と因果関係の違いに注意する。
比べること=RCT検査。対照群がなければ、比べていることにならない。
査読=ピアレビュー。二人から4人。普通は3人。リバイスが一番多い。査読前の論文を公表するプレプリントサーバーという仕組みもある。
二重らせん構造を発見したワトソンは、写真を盗用した。
スタップ細胞の問題は、存在ではなく論文として不正をしたこと。サリーマンの塗られたネズミ、と同じではないか、という疑惑がある。
「仮説が正しければ、こういう結果も出るはず」という積み重ねが大事。間違っていれば訂正すればよい。
ヒーラ細胞(がん細胞を培養した)。培養細胞でウイルスの増殖を防げるか試す。その後、動物実験、最後が人間で試す。培養細胞が基本となる。
遺伝子には記憶はないが、外観はそっくりにできる=クローン人間。
大きさの順に、タンパク質、超分子複合体、オルガネラ(細胞小器官)、細胞、組織、固体、の順。
遺伝子は、タンパク質の設計図。一つの遺伝子は、一つのたんぱく質に書かれている。
遺伝子は、DNAで書かれている。二重らせんなのは、情報をコピーするため。
DNAの集まりが遺伝子、ゲノムは、ソフトウエア。
クローン羊のドリーが生まれたことで、生殖細胞以外の細胞にもゲノムが存在することが証明された。
進化は、遺伝子のコピーミス。ダーウィンの自然淘汰説と、進化の中立説。どちらが正しいかは検証不能。
生命は、多様性がないと死に絶えるもの。
色覚異常は、異常ではなく多様性。遺伝学会は、色覚異常とは呼ばず色覚多様性と呼んでいる。
人類もいずれ滅びる。人類誕生から700万年。恐竜の繁栄は1億6000万年もあった。
研究は役に立つことを研究するだけではない。何かの大発見につながるもの。
細胞の死の原因
たんぱく質の塊がたまる(変性疾患)=アルツハイマーなど。
ウイルスの病原菌によるもの
細胞内の事故=活性酸素によるもの、自死。
がんは、元気な細胞で増え続けるもののこと。
脳梗塞は、細胞の酸欠。
細菌は生物、ウイルスは中間。
風邪は、ほとんどウイルスによる=抗生物質は効かない
抗体は、ウイルスの鍵にくっついて侵入を防ぐ。
抗体検査は、ウイルスの鍵ではない部分に取り付く抗体でも検出してしまう。
サイトカインは、免疫機能が活性化すること。サイトカインストームは、それが暴走すること。
生命は、エントロピーの増大を相殺することで定常状態を保持している。
ベニクラゲは死なない。しかし進化しない。死は生命の必然ではない。
老化も必然ではない。アホウドリやネズミの一種は老いず突然死ぬ。進化の過程で老化を選んだ。人間の老化のスピードは早い。
タンパク質は多くはオートファジーでできたアミノ酸を再利用して作られる。一日に240gのたんぱく質をつくる。
オートファジーの役割
飢餓状態になったときの栄養素
細胞の新陳代謝=スクラップ&ビルド。エントロピーの増大に抵抗する。
細胞内の有害物を除去する=病原体を一緒に殺す
ポリオウイルスはオートファジーの仕組みをつかって増える。=病原体も進化している。人類も進化している。
神経細胞は一生もの。オートファジーの仕組みを使ってアルツハイマーを治せないか。
オートファジーは高齢になると働かなくなる。
脂っこいものを食べると肝臓のルビコンが増えてオーt-ファジーが働かなくなり、脂肪肝になる。
因果関係と相関関係の違い。因果関係を調べるには多数の実験が必要。
寿命を延ばす方法=オートファジーの活性化=ルビコンの増加を抑える。
カロリー制限。
インスリンを働かせない。
TORシグナルの抑制=たんぱく質の合成を抑える。
生殖細胞の除去=宦官は長生きだった
ミトコンドリアの抑制=細胞のエネルギー源。
オートファジーの活性化は、神経変性(アルツハイマーなど)を抑える。
がんになったら、オートファジーを抑えたほうがいい
納豆やキノコは、オートファジーを活性化させる。
夜は赤ワインとチーズ。
食事をとらないとオートファジーは活性化する=飢餓から守るため。食後4時間。一食空ける。朝食を遅めに、火を抜く。食事の前に空腹を感じる。
高脂肪食を避ける。
腹八分目で運動する。
投稿元:
レビューを見る
https://www.nikkeibp.co.jp/atclpubmkt/book/20/P88660/