紙の本
いわゆる「常識」には反する記載も多いが
2021/03/17 23:08
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投稿者:しおかぜ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ミンツバーグは、経営学者の中でも異色の存在で、この本の中でもその特性が遺憾なく発揮される。マイケル・ポーターやジョン・コッターといった経営学のメジャーな学者に皮肉めいた疑問を投げかけ、ハーバード・ビジネス・スクールを厳しく批判する。この本でミンツバーグが主張している内容は、経営学の「常識」に反する記載も多い。
ブログの文章がベースの書籍なので、軽妙な語り口ではあるが、読んでいるうちに「なるほど」と思うことが多い。それは、ミンツバーグの主張こそ、一般的な感覚や「常識」に根差しており、抽象的観念的な理論に走るのではなく、行動や経験を重視することを求めているからに他ならない。
その意味で、本書は危険な本である。しかし、読んで元気が湧いてくる本である。
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カナダ・モントリオールの大学院で教授を勤める著者が書き留めたブログ記事を集め、著者いわく、マネジャーが寝る前にベッドで読めるような本。
著者は、「この本はマネジメントの本だが、マネジメントの特効薬は期待しないで欲しい。私に言わせれば、特効薬を提供しようとする本は、問題をより複雑にするだけだ。本書では思いがけない発見を提供したい。」と述べているとおり、ビジネス書として、マネジメントを扱う書籍でありながら、解説らしいものではなく、ノウハウもなく、著者がマネジメントに関するちょっと思ったことを書き連ねている印象で、これまでにない読後感でした。もともとの著書名が「BEDTIME STORIES FOR MANAGERS」となっているとおり、肩肘張らずに、寝る間に1話読み進め、少しずつマネジメントについて知見を得ていく、そんな感じです。一気に読むと、著者の意図はいまいち掴めないかもしれません。
▼この本は、遊び心でいっぱいだけれど、とても真剣なメッセージが込められた本だ。マネジメントは、現場から離れた高い場所でリーダーシップを振りかざすことではなく、地に足をつけて現場に関わっていくことであるべきだ
▼生きた一頭の牛のような組織をつくればよい。そうすれば、庭の雑草のように自然に戦略が生まれ、普通の人たちが並外れたアイデアを生み出せるようになる。そうした人たちは、画一的にグローバルなのではなく、個性があってワールドリー、つまり実世界をよく知っている。
▼リーダーシップをマネジメントから切り離して考えるのはもうやめよう。両者は一枚のコインの表と裏の関係にある。「大きなビジョン」ばかりを語り、現場を見ずに遠隔操作でリーダーシップを振るおうとする風潮は、もうたくさんだ。大きなビジョンも、現場の経験をもとに、いわば一筆一筆描き上げていくべきなのだ。
▼マネジメントの過剰とリーダーシップの不足を問題にする主張をよく耳にするが、現実は正反対だ。実際には、お高く止まったリーダーシップが蔓延し、地に足のついたマネジメントが不足している。
▼マネジャーや、経営を論じる専門家や大学教授は、変革を説くことには慎重であるべきだ。それよりも、もっとコミュニティシップに関心を払ったほうがよい。
▼やることがないマネジャーほど危険なマネジャーはいない。マネジャーとは、そもそも精力的な人たちだ。そうでなければ、マネジャーになれない。そんな人物にマネジメント不可能な職務を与えると、その人は自分にできる仕事をひねり出す。
▼人は「効率」という言葉を聞くと、無意識にもっとも数値計測しやすいものに目が向く。
▼マネジメントを補強するために定量的な評価をおこなうのは、悪い発想ではない。計測できるものは計測すればよい。しかし、計測できないものを軽んじてはならない。両方を思慮深くマネジメントすべきだ。数値計測できるものはもちろんのこと、数値計測できないものもマネジメントすることを忘れてはならない。
▼いま私たちが直面している大きな問題は、多くの場合、社会の不均衡が根本原因だと、私は考えている。
<目次>
第1章 マネジメントの話
第2章 組織の話
第3章 分析の話
第4章 マネジャー育成の話
第5章 文脈の話
第6章 責任の話
第7章 未来の話
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ミンツバーグ教授の新刊。
教授のブログから選んだものを本にしたものであり、これまでの教授の著作とは、少しテイストが異なる。エッセイ集的な印象を受ける本。内容自体は、これまでの教授の著作での主張に沿ったもの。
マネジメント・マネジャー・リーダーシップに関するもの。株主至上主義・資本主義に関するもの。組織や戦略に関するもの、などが収められている。
マネジメント、あるいは、リーダーシップに関する本は山ほどあるが、私はミンツバーグ教授の書かれているものが一番好きだ。
マネジャーには、ジレンマ的な、いまいましいことが、次から次に降りかかってくる。そういった中でも、何とか成果を出すのがマネジャーの役割。置かれている状況や、目指すべきものが、マネジャー一人一人異なるので、どんな場合にも通じるようなマネジメントの方法論というものはない。マネジャー一人一人が、現実を見ながら、考えながら、個々の場面に対処していくしかない。
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地に足のついたマネジメントに大変共感
決めるために実行するのではなく、実行するために決める。小さく始めて大きく学ぶ
雑草型の戦略形成
リーダーシップよりコミニティシップが重要
効率化の落とし穴
コストは便益より数値化しやすいため、単なる倹約の推進になることが多い。
活力ある経済をはぐくむのは、新しいものを築く人たちであって、既得権にしがみつく人たちではない。民主的な社会の土台を強化するのは、みずからの才覚で成功する人たちであって、生まれながらの特権で地位を手にする人たちではない。
必要なのは進むべき道をみずから切り開く人達なのである。
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これまでのマネジメント論に対するアンチテーゼ。ブログが基になっているので、一つひとつの論証が浅いのは少し不満。
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アイロニックな表現が多用されていますが、それが、また、面白い。
答えはなくて、グッドなことを続けることでマネジャーとして成長できそうです。
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▼地に足のついたマネジメントは以下2点が実施でき、結果信頼されておる状態。
①対組織
上下ピラミッドでなく縦横無尽にネットワークを行き来戦略形成に資する事。
→
②対個人
生身の人間と、意思を通じ合わせる事。
→自分の頭で判断し、人を巻き込む。
※数値化できない事を判断・評価し漸進させていく事がマネージャーの仕事とも言える。
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ミンツバーグの、これまでの著作のエッセンスが詰まった本書。
マネジャーが良かれと思って取り組んでいることが、組織を悪い方向へと動かしている場合があります。
42のストーリーにより、より良いマネジメントを実践するための道筋を示してくれます。
「もっと多く」の経済を「もっとよく」の経済へ転換させるべきだ。社会を悪化させるのではなく向上させるために、量から質への転換を果たす必要がある。長持ちする製品、ヘルシーな食品、一人ひとりに合わせたサービス、堅固な教育を生み出すために、私たちは努力すべきだ。「もっとよく」を目指せば、雇用は減るのではなく増える。しかも、より健全な組織における、より高給の仕事が生まれるのだ。人はよい仕事に就けば、満足感を 覚え、よりよい人生を送ることができる。「もっと多く」ではなく、「もっとよく」を目指そう。 ー 202ページ
最高の仕事を成し遂げるのは、人と競争するのではなく、自分自身と競争している人だ。そのような人物は、ライバルの中でのベストではなく、自分のベストを尽くしている。 ー 203ページ
高い水準を目指す姿勢を捨てるのではなく、一番にならなくてはならないという思い込みのほうを捨てるべきだ。そうすれば、自分にとって最善の結果を得ることができるのだ。 ー 205ページ
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組織論の大家であるミンツバーグのマネージャーに向けたストーリー集。
仕事における思考の再整理のヒントを掴みたく、手に取った。
ショートストーリー形式で、短い隙間時間でも読み進められた。
内容は、目から鱗というよりは、自分がすでに考えていたことを整理してくれる本であった。
考えていること、やるべきことを思い浮かべながら、ゆっくり読み進める時間は、とても有意義だった。
印象に残ったのは、下記の内容。
・マネジャーの選考では、候補者にマネジメントされた経験のある人の声を聞け
・人は変化するものばかりに目を向けがちだが、ほとんどのものは変わっていない。変わっていないものにも注意を払うべき
・IMPMにおけるマインドセット(振り返り/分析/広い視野/協働/行動)
・物事の全体像は高い場所から見下ろして描く必要は必ずしもない(グローバルとワールドリーの違い)
・ベストよりグットを目指す(自分自身と競うことが重要)
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■著者はマギル大学の工学部機械工学科を卒業し、マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院にて1965年に経営学修士及び1968年に博士を取得。現在、カナダのマギル大学の教授である。
■「マネジメントは、リーダーシップを振りかざすことではなく、地に足をつけて現場に関わっていくことであるべきだ。」この言葉にこの本の全てが集約されている。
■もともとは同氏のブログに書き留めたものの中から、特に有意義だと思える42本を選んで、マネジャーが寝る前にベッドで読めるような本を作りたいと考えて編成された本である。
■日本人、日本のことが結構出てくる。著者は日本にも造詣が深いように感じる。日本語訳も自然で読みやすかった。
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アート、クラフト、サイエンスという3つの要素のなかの、サイエンスが過剰に評価されている状況に警鐘を鳴らし、現場に根ざしたのコミュニティシップの重要性を説く内容。「より多く」ではなく「より良く」を重視しよう、という主張にも共感できた。
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「危機意識を高める、ビジョンをつくる、ビジョンを周知徹底する、短期的成果を上げるための計画を立て、それを達成する等」が参考になりました。現場で意識して行動や発言をしていきます。
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あまり頭に残らず。
ようは現代経営批判。
リーダーシップよりも繋がり。組織は誰もが引っ張っていけて本当の組織という思想。
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元ヤフーの方の輪読講座で使用。
やってみてわかったけどマネージャーってつくづく難しい。そんな自信がない管理職の元では部下も不安だったろう、彼らにとってのキャリアに関わることだから失敗はしないほうが良いけどあまり上手く出来なかった。もちろん毎年、少しずつ自分も成長していったのは実感出来てるけど、もっと早く良いマネージャーになりたかった。
マネージャーのいろんな大変なことは経験してみないとわからないが、経験する前に知っておきたかった。この本はそれを助けてくれるかもしれない。説教くさくないのが良いし、MBAとかビジネススクールとかグロービス的なモノを軽くディスってるのも小気味良い。
メモしたいくつかのフレーズ。
「マネジャーには際限なくあらゆることが降りかかる」
「メールでは、言葉による情報しか伝わらない。声の調子も聞こえないし、身振り手振りも見えない。雰囲気も感じ取れない。しかし、マネジメントで重要なのはそういう情報だ。電話で話すとき、私たちは笑ったり舌打ちしたりする。会って話せば、うなずいたり首を振ったりして、賛意や不同意を表現する。観察力の鋭いマネジャーは、こうした手がかりを見逃さない。」
・しかし、変わっていないものにも注意を払う必要がある。
・判断に迷う場合は、まずやってみる以外にない。実行するために決めるのではなく、決めるために実行するのだ。
・人々に学習する能力があり、学習を支援する体制が整っていれば、どこからでも戦略は生まれる。機会さえあれば、誰もが新しいアイデアを考えつき、それが戦略に発展していく。
・既存の戦略を活用すべきときと、新しい戦略に転換すべきときを見極めるのが、マネジャーの大切な役割になる。
・大勢の人が一体となり、ゆっくり足並みをそろえて、混沌とした状況の中を前進していく——これと同じことが組織でもできればいいのではないだろうか。 生きた牛のような組織をつくるためのヒントは、牛のように歩くことの中にある。みんなが一体になって仕事をし、一体になって歩くことが重要なのだ。マネジメント論ではリーダーシップが神聖視されるが、それよりも重要なのは、言うなれば「コミュニティシップ」だ。
・リーダーが不要なわけではない。特に、新しい組織にコミュニティシップを確立したり、既存の組織でそれを維維持したりするためには、リーダーの役割が欠かせない。不要なのは、過度にリーダーシップを重んじる姿勢だ。誰か一人を選んでリーダーの座に据え、その人物を組織づくりの唯一の最重要人物と位置づけ、途方もない金額の給料を支払うようなことは、もう終わりにしたほうがよい。コミュニティシップの中に組み込まれた「必要最低限のリーダーシップ」が一番だ。
・マネジャーや、経営を論じる専門家や大学教授は、変革を説くことには慎重であるべきだ。それよりも、もっとコミュニティシップに関心を払ったほうがよい。
・最高幹部たちに必要なのは、ほかの階層のマネジャーたちが何を考えているかを知ることだ。
・やることがないマネジャーほど危険なマネジャーはいない。マネジャーとは、���もそも精力的な人たちだ。そうでなければ、マネジャーにはなれない。そんな人物にマネジメント不可能な職務を与えると、その人は自分にできる仕事をひねり出す。
あとは省略。同意できるキーワードの宝庫でした。
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初めて全部読んだかも。
なんだかんだとミンツバーグの本は買っておきながら読んでないことが多いのだが、それは近しい思考だから、内容わかるため?
マネジャーの仕事以来のファンなのだが、ここ最近の著作は買ってもいない。もう少し積読減ったら読もう。