紙の本
これ現代の必読書
2021/07/06 16:12
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nkybgs - この投稿者のレビュー一覧を見る
軽妙でとぼけた文体で、脱力しながらも力強く訴える奇妙な本。せっかく生まれてきたんだもの。苦境も笑い飛ばしながら元気に生きていきたい。ここ30年、国力が失われ多くが貧困化する中で、自己責任という言葉が大手を振ってまかり通っているが、そんなの間違いだ。働かなくっても食っていいんだ。食わせろよ。自己責任の呪縛を解き、読むものに力を与える、今、必要とされる本。
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:なつめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
従来の考え方にとらわれないで生きていく方法が、わかりやすくてよかったです。新しい視点ですが、魅力的でした。
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栗原康のことはまったく知らず、本屋で表紙を見てなんとなしに買ってみたのだが、これがびっくりするくらいおもしろかった。
アナキズム研究が専門で大学の非常勤講師をやっているとのことだが、文体はまるで町田康のような、ふざけているのか真面目なのかわからない、いや絶対にふざけているのだけど、ちょうどいい塩梅のふざけっぷりで、良い。文体だけでなく、自らの情けなさと滑稽さを魅力的に書けるあたりも似ている。
文体や語り口もいいのだが、そもそも主張がわたしの好きなものだったので、おもしろく読めたのだと思う。ちょっと過激な主張ではあるけど、賛同する人はけっこういるんじゃないだろうか。
主張と文体が、合ってる。
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植本さんとポッドキャストでお話させていただいたときにレコメンドしてもらったので読んだ。タイトルにあるとおり、いかにはたらかないか、そもそもお前ら資本主義社会、消費社会に迎合しすぎではないか?繰り返し説かれることで自分の当たり前が音をたてて崩れていくような感覚で新鮮な読書体験だった。
冒頭のアリとキリギリスの反転させた話が本著を象徴していて、(キリギリスがアリを食べてしまう…!)「働かざる者食うべからず」という価値観をぐらぐら揺さぶってくる。グローバリズムの浸透で自己責任論がますます幅を聞かせる世の中で「自分の生を負債化」させて好きでもない労働に従事する人生に意味があるのか?と聞かれると確かに…と思うことがいくらかあった。著者自身は実家暮らしで非常勤講師、親の年金で暮らしていることを宣言していて「結局親にパラサイトしてるだけ」というクソリプが飛んでくることなんてつゆ知らず、ひたすら働かないで生きていくための思考を展開していくのがオモシロかった。以下興味深かったところの引用。
"犠牲と交換のロジックがうまれたからこそ、自分の行為に見返りをもとめることが一般化してしまったのである。"
"人間は物ごとを区別して。そこに善悪優劣の価値判断をはさみこんでいる。そうやって、不変の秩序をつくりだし、ほんらい渾沌とした世界を、有限で管理可能なものにしたてあげているのである。"
一番驚いたのは歴史の紹介。自分の主張とからめながら過去の偉人たちについて比較的ファニーに紹介してくれるのだけど、めちゃくちゃ分かりやすかった。こんなに徳川家の話がすっと頭に入ってきたのは初めてかもしれない。(自分が歳をとって歴史に対して関心が増しているのも影響しているかもしれない)引用もオモシロいのだけど、ひらがなの多用と詩のようなラインが織り交ぜられた独特のグルーヴを持つ文体も読んでいて楽しかった。本著でも引用されていた伊藤野枝の自伝がかなりオモシロそうなので次はそれを読みたい。
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本屋の店主さんがオススメしていたので読みました。
普段読まない主張や文体で新鮮。
好き嫌いが分かれそう。
おもしろいリズムだと感じましたが、流し読みしてしまう。
ただ、今の社会に疑問を持つ、自分を持つ、という視点を思い出させてくれて良かった。
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はたらかないで、たらふく食べたいという気持ちには共感するけれども、皆がそうしたら社会は成り立たない。それこそ著者の好きなタバコもビールものめなくなっちゃう。
しかし、別にこういう人がいたっていいのである。働きたくないけど、主義は曲げず楽しく生きたいというのは明治なら「高等遊民」と言われたのに今はニートだヒモだと言われて気の毒である。
妻になる人に扶養される気満々だが、「専業主夫」ができるほど家事ができるわけでもない。いざというときの役にも立たなそう。でも、彼女がいつもいるってことは、稼ぎがなくても、なんというか、可愛げがあるんじゃないか。そういう男を養ってあげたいという女性もいるだろうし、二人が納得していれば良い。しかし、この本で一番面白いのは結婚しようと思っていた女性にフラれる部分である。
アナーキスト、政治学者として口を糊しているわけだけど、文章は独特で面白いし、ダメ男の哀れな滑稽味もよく出ているから、私小説家としてもいけるんじゃないかな。
TA(ティーチングアシスタント)をしていたとき、サボりまくって金だけもらい、「いまさらながらわるいことをしたとおもっている。すぎたことだ。」(p113)なんて太宰治みたいじゃん。お前が言うな、っていう。
この本を書き始めたときは年収10万だったのが、書き終わる頃には200万と20倍に爆上がりしたそうなので、もしかすると今はもっと爆上がりして、妻や親に扶養してもらわずに生きていらっしゃるのかもしれないが、是非このダメ男感は失くさずに書き続けてほしいものです。
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エッセイ集。いまの自己責任がはびこる社会。そんな社会はちょっとおかしいんじゃないか、労働ってみんなが楽しく暮らせるような空間を作ったり、純粋に誰かを楽しませることなんじゃないだろうか。「はたらかないで、たらふく食べたい」を新たな格言にすると、違った社会を見いだせるんじゃないだろうか、と呼び掛けている。読んでいてやはりとても面白く、明るい気持ちになれる。社会の決まった地図は破り捨てて人生を何度だってやり直せる、そんな社会・人生を見いだしたいねー。
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「はたらかないでたらふく食べたい」というのは良いタイトルだ。「ブルシット」な、意味があるのかないのかわからないような、いや意味なんてない、仕事なんかクソ食らえ!!と思う。別にお金がなくても腹いっぱい食べられる社会があってもいい、というかあってしかるべきだ。そう主張したっていいことにわかりやすく気づかせてくれる本だと思う。グレーバーとか齋藤幸平の本と一緒に読めば、世の中の流れがわかると思う。
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アナキズムはよく理解できていないけど、著者の語りは尖っているのかいないのか、とにかく緩くて面白い。
また、先人の思想や生き方の紹介が、とても分かりやすく思わず、表記してある文献を紐解きたくなる。
はたらかないで、たらふくたべたい
はい!同感
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"はたらかないで、たらふく食べたい''
そうできたらなあと思いつつ、でも仕事をしないとお金が稼げないしということで、何とか仕事に就いて働く、それが普通の生活だと思って生きている人が多いのではないだろうか。
働かないと生きていけない、それは本当なのか、もっと違う生き方もあるのではないか。アナキズムや労働運動に関する研究や実体験をバックにしつつ、著者は饒舌にアジる。始めのうちは文章が露悪的に感じられたが、読み進めていくと、段々その文体に快感を覚えるようになってくる。
語りの面白さに加え著者の生活態度の可笑しさもあり、笑ってしまうところが多いが、一編一編の内容は現代社会の本質を鋭く突いており、とても考えさせられる。
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最初は純粋にお互いのこと好きだったカップルがいざ結婚てことになると、自分にどれほど利益をもたらすかってことしか考えなくなっちゃうっていう指摘が刺さった
伊藤野枝の結婚制度は奴隷制度ってとこ気になった。
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とんでもねえな、と思いながら読み進めるうちに、
黙って搾取されたくはないという、共感を強くした。
本当に一握りの、勝手なトップによって決められた枠組に、なぜ何もかも従わなくてはならないのか、と。
酒をかっくらい、噛みつくようにブルーハーツを歌っていた頃を思い出して、いつの間に忘れていたのかと思った。
面白かった。
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ニートのアナキストがいかに労働が悪かをあの手この手で示そうとするお話。
やや説得力に欠ける部分もあるが、これまでにあまり触れた事のない視点で、考えさせられる部分は多かった。資本主義貨幣経済の中で生きているうちに、いつしか都合の良い道徳観にまみれて、人ととしての豊かさとはなんたるかを忘れてしまっていたのかもしれない。
無償の施し、固定観念をぶっ壊して考える力の尊さを学んだ。