因縁 （角川文庫）

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投稿者：ナミ　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

犯罪小説というより不運な境遇の人間の再生物語といったところか。重病の妹の為と軽い気持ちで引き受けた仕事が意外な展開に成り、瞬く間に事件の中心人物に。こりゃ動揺しますわね。しかし、蛙の子は蛙というか、日本史上最高額の銀行強盗を成し遂げた父親の血筋を引く主人公はそれなりに腹が座っていた。結果、大した活躍をするわけでもないのだが、周りの応援のお陰で終焉に。しかし、終焉には予想外の結末が。短い時間の中に数十年の因果関係を凝縮した筋書は流石でした。とは言え、細かく時間区切りで場面を変えていく文章構成は、確かに物事の進行過程を臨場感豊かに描いてはくれるが、何か映画やテレビの脚本を読んでる、または長編小説の骨子を読んでる感じで、私的には嬉しくなかったです。

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投稿者：なみ　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

特に前半、細切れ感が強く、時系列も動くので、なんだか集中できなかった。時間くくりにとらわれなくても良かったのでは、と思う。
強い個性のない、昔ちょっとやんちゃをしたことのある主人公・葉山と、主人公以外は良くも悪くも癖の強すぎる面々。最初は現状に流されるままであたふたしていた葉山が、クセ強面々と接するうちに、追い込まれ、強くならざるを得なくなる。下ばかり見ていた葉山が、上を向いていくようで、印象に残った。