紙の本
祈りのカルテ
2021/03/08 20:24
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投稿者:ごんちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
研修医として諏訪野がいろいろな科の研修を受け内科循環器科に正式にスタートを切る物語だが、医療に対する真摯な取り組みを感じさせてくれる話でした。最後の女優の話が一番心に響きました。
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研修医・諏訪野の物語
2021/03/05 01:30
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投稿者:ぽんぽん - この投稿者のレビュー一覧を見る
研修医・諏訪野が、各診療科で出逢った様々な患者とのコミュニケーションを経て、自身の専門を決めるまでの物語。患者が表に出さない様々な真相を諏訪野医師が解きほぐすという基本構造は同じだが、診療科の特性に応じたドラマになっていて飽きない。秀逸は、循環器内科の「胸に嘘を秘めて」でしょうか。患者が心に秘めた真の願い。涙腺を刺激されました。あとは消化器外科の「悪性の境界線」。内視鏡手術で済むのに、開腹手術を望む患者の思いが、これも切なくも暖かい。医療ミステリーという訳でもないが、とても楽しめる満足の一冊。
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主人公諏訪野君の2年間に渡る研修医としての生活を描く、色々な専門医局で指導医、患者と出会いながら患者の病魔と共に背景に有る私生活の問題を見抜き総合的な治療の選択を指導医と共に行う内容。普通の感受性を持ち一生懸命研修医として患者に向き合う姿に好感を感じる。
「彼女が瞳を閉じる理由」
精神科で出会った男からのDVから逃れる為、多量の服薬を繰り返す女性
「悪性の境界線」
外科で出会った家族の為、保険金を当てに敢えて自分の体にメスを入れる手術にを望む老人
「冷めない傷痕」
皮膚科で出会った再婚での幸せな未来を手に入れる為下腿部に火傷を負い自ら湯をかけ患部を広げる母親
「シンデレラの吐息」
小児科で出会った親の離婚で別れた愛する父親に逢いたくて服薬をせず入院を望む少女
「胸に嘘を秘めて」
循環器内科で出会った元アイドル&女優で身内、世間を欺いてまで多くの人を救おうとして成し遂げる女性
どの話も病状の裏に付随する患者の気持ちに寄り添い治療する内容で全て良かったが、特に進路の循環器内科を選択するきっかけとなる「胸に嘘を秘めて」は唯一治療の至らず患者を看取るが、生前患者との繋がりで献身的な想いを成熟させる話はちょっと心を撃たれた。
現実性は??だが、医者に望む気持ちとしてこうあって欲しいなと思わせる内容でどんな職業でも真摯に向き合う姿勢を考えさせる良本だと思う。
次はどんな展開なんだろうと興味をそそられ直ぐ読み終えてしまった。諏訪野君の循環器内科医としての次巻を期待したい。
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彼女が瞳を閉じる理由/悪性の境界線/冷めない傷痕/
シンデレラの吐息/胸に嘘を秘めて/エピローグ
研修で様々な科を回っている新米医師の諏訪野君。新米だから気にかかるのか彼だから気になるのか、さてさてお手並み拝見です。
読み終わって、ずっと応援したくなりました。初心を忘れずにね。
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医者にとって必要な能力って何だろう。オペの技術も大切かもしれませんが、患者との信頼関係を築ける能力も大切だと感じます。
本作の主人公の諏訪野は新米医師で将来の科を選ぶため、色々な科で奮闘する。5つのストーリーで、どちらかと言うとヒューマンドラマ的な要素が強い気がします。
熱湯で火傷を負った女性。手術の時期に拘る中年男性。シンデレラのあだ名の女の子の話など。やはり最後のお話が1番印象に残りました。
こんなに真面目で患者思いな先生ばかりだと良いなと思います。
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知念実希人『祈りのカルテ』角川文庫。
エピローグを含む6編収録の連作医療ミステリー。珍しく地元の本屋に置いてあった著者のサイン本。
新型コロナウイルス感染禍で誰もが経済的にも精神的にも疲弊する世知辛い世の中。そんな世の中にあっても、自らの使命を全うしようと日夜努力を続ける医療関係者には頭が下がる思いだ。そんな医療の現場で働く一人の研修医を主人公にした物語である。純正会医科大学附属病院の研修医として、内科、外科、小児科など様々な科で経験を積む諏訪野良太は患者たちが心の中に抱える闇を解き明かしていく感動の医療ミステリー。
『彼女が瞳を閉じる理由』。周期的に自殺未遂を繰り返し、救急搬送されてくる離婚歴のある若い女性。ある夜に睡眠薬を飲み、救急搬送されて来るが、良太は女性の態度と右腕の火傷の痕に違和感を覚える。女性が抱える心の闇の正体は……
『悪性の境界線』。急に初期の胃癌の内視鏡手術を拒否し、開腹手術を希望する老人が心の中に抱える闇とは。結末は倫理的にはかなりグレーだが、老人とその家族が幸せになるならば目を瞑ろう。
『冷めない傷痕』。足のふくらはぎの火傷で入院して来た女性。何故か入院中に火傷が大きくなり……良太は女性の抱える心の中の闇を炙り出し、解決へと導く。
『シンデレラの吐息』。喘息の発作で入院して来た女の子。薬を投与したはずなのに、何故か再び喘息の発作を起こす。大人の我が儘の犠牲になるのはいつも子供なのだ。
『胸に嘘を秘めて』。重い心臓病で極秘裏に入院する傲慢な女優。助かるためには心臓移植しか方法は無いのだが……
『エピローグ』。そして、研修医の諏訪野良太は自らの進むべき医療分野を決める。
本体価格640円
★★★★★
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医療系の小説が好きです。この作品は研修医が関わる患者さんと一緒に成長する短編集。医療って、実はどんな科も「心の問題」だったりします。それを煩くない程度に題材にしていて、読みやすい1冊でした。
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研修医が色々な専門科を回りながら患者の秘めた思いに向き合い悩みを解きほぐしていく連作短編。読み終わった後にほっと優しい気持ちになれる物語。
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一人の研修医が,5つの科での研修中の物語がオムニバスで語られ,最終的な専門研修先を選ぶ.取り立てて起伏がある訳でも裏がある訳でもなく,頭を使わず読めるというのは良い点なのかも知れない.
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長距離移動のお供として購読。期待通りサスサク気張らず楽しく読めました。諏訪野先生の研修課程にならって話が進んでいくのも面白かった。諏訪野先生の人生の続きも読んでみたい、そして今回出てきた指導医の先生たちにも再登場して欲しい、読後にまずそう思いました。
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5つのオムニバス形式のお話。
研修医諏訪野が研修先の5つの科でミステリーを謎解く。どれも最後ホロリとする内容です。とても読み易いのであっという間に読めました。
エピローグでやはりその科を選択したのねと思いました。
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研修医が各研修先にて患者の病気と心のケアまで行う短編集。
シリーズものなのでしょうか?
知らずに手に取りました。
短編でどのお話も意外とさっぱりした仕上がり。
主人公もあまり喜怒哀楽が激しくないタイプ。
周りのスタッフたちもアッサリ。
読み終わり後も不快な気持ちにならず別シリーズ作品も読んでみようかと思います。
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現役医師による臨床研修医連作短編集。大学病院各科指導医によると、精神科は患者に入れ込み過ぎると自分が診断を受ける側になってしまう。外科は手術が中心で一人一人にはなかなか向き合えない。皮膚科は皮膚の状態を視診し素早く診断しないと外来が滞る。小児科医の仕事の半分は親への説明。循環器内科のやりがいは勝負が早い。主人公諏訪野良太の選択は
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主人公は諏訪野良太。研修医として、2年間初期臨床研修で様々な科を数ヶ月間回っている。この作品では、5つの科でそれぞれ出会った患者に着目し、違和感のある謎を解き明かしていく。そして良太は、研修を経て、どこの科に所属するのか?
全5作+αの連作短編集で、それぞれ短めのストーリーでサクッと解決していくのですが、意外な真実に発展していくので面白かったです。現役医師ならではの知識をミステリーに絡めているので、今まで知らなかった医療用語や病気も登場し、へぇーと思うこともありました。
良太が、行く先々で待ち受ける謎に立ち向かうのですが、本当に研修医?と思うくらい、機転が良く、発想の幅も広くて、救急救命に向いているのでは?と安易に考えてしまいました。
そういった性格が良太の良いところでもあり、悪いところでもあります。そうなると、指導医の活躍がぼやけてしまいますが、そういった良太の活躍を先輩の指導医が的確に見て判断しているところもあり、さすがとも思ってしまいました。
この作品では、5つの科(精神科、外科、皮膚科、小児科、循環器内科)しか紹介されていませんが、それ以外にも多くの専門医がいます。それぞれの現場で活躍されている医師の方には、本当に感謝したいなと思いました。
ミステリーというよりは、医師と患者との対話を大切にしたヒューマンドラマかなと思いました。もちろんミステリーの要素はあり、それぞれ患者が抱える事情は重めでしたが、気持ちとしては良い結末の方向に向けさせてくれるので、読了感は軽やかでした。
ちなみに同じ時期に発売された「傷痕のメッセージ」の初期限定版として、短編集が封入されています。その中には、「傷痕のメッセージ」の登場人物と本作品の登場人物がコラボして登場されています。2つを読むことで、より世界観を味わえますので、ぜひ。
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読みやすかったです。今回はショートストーリーでまとめてあったので余計に読みやすかったのかな?
主人公が精神科、外科、皮膚科、小児科、循環器内科と様々な診療科でのちょっとした事件(トラブル?)にあう。
作者さんが現役の医師なので、皮膚科とか精神科とか、変わった診療科の話は面白かった。
他の話と今後クロスオーバーすることがあれば面白そうだな。期待してます。